マブラヴガールズガーデン外伝 月ヶ瀬ちゆる~マルチバースの流儀~   作:マブラマ

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第7話 毒霧

スカラ校舎の広場に、午後の陽光が柔らかく差し込み、遠くメイズの低く響く振動が空気を震わせていた。

ユリア・バーンズの明るい笑い声が響く中、ストレンジの幻影が消え、皆の視線が集中する。

だが、その緊張の余韻を破るように、広場の端から足音が近づいてきた。制服の裾を翻し、凛とした表情の少女――風紀委員会の姜小花だ。

彼女の瞳は、名家の血筋を思わせる鋭く、しかしどこか柔らかな光を宿していた。

スカラ地区の華連というコミュニティの名家出身で、様々なコネクションを有し、その全貌は知られていない。

四天王神楽を尊敬し、彼女のためなら多少の無理も押し通す。

辛いものは苦手で隠しているが、周知の事実となっている。姜小花は、アイリスディーナたちの戦術機――

MiG-21PFバラライカ(指揮官仕様)、テオドールのMiG-21バラライカ、ニコラのMiG-23チボラシュカ、そしてベアトリクスのMiG-27アリゲートル――

を一瞥し、冷徹に言い放った。

「これは没収します」

アイリスディーナの眉がピクリと動く。

テオドールが即座に反発の声を上げようとしたその時――

地響きが広場を襲った。空気が歪み、黒い霧のような影が地面から湧き上がる。

ヴェノムメイズシフターの出現だ。

毒々しい触手がうねり、周囲の空気を腐食させるように広がる。

それと同時に、異様な光の渦が開き、光線級BETAが姿を現した。

赤く輝く眼球が、広場を睨みつけ、レーザーのような光線を吐き出す。

「――!」

悲鳴が上がる中、ザルトゥーム学園のMG(メイズガーダー)たちが次々と出撃を試みるが、

シフターの毒霧に触れただけで機能不全を起こす。

軍と警察の部隊が急行し、重火器を浴びせるが、光線級のビームが一閃し、車両を溶かすように蒸発させる。

歯が立たず、後退を余儀なくされたその時――爆音が轟いた。コトハ率いる犯罪組織『双頭の斧』のMG12機が、広場に躍り込む。

違法改造された機体が、シフターに肉薄し、援護射撃を浴びせる。

「援護するわ!双頭の斧、出撃よ!」

コトハの声が回線に響くが、

シフターの触手が一機を絡め取り、光線級のビームが残りを薙ぎ払う。

12機は次々と墜落し、全滅と思いきや――残骸の煙が晴れた瞬間、ベアトリクス・ブレーメの咆哮が響いた。

「そこまでだ!」

彼女のMiG-27アリゲートルが、獣のように低空を疾走し、シフターの触手に短剣を叩き込む。

アイリスディーナのMiG-21PFバラライカが指揮官仕様の精密射撃で光線級の眼球を狙い、

テオドールのMiG-21バラライカが近接で翻弄、

ニコラのMiG-23チボラシュカが援護射撃で乱れ打ちした。

「怪異が好き勝手暴れて……貴様等の好きにはさせない!」

アイリスディーナの声が鋭く、機体が優雅に旋回する。

ベアトリクスが回線で号令を下す。

「総員突撃せよ! アローヘッドワンで叩く!」

「了解しました!」

ニコラの機体が即座に応じ、テオドールもナイフを閃かせる。

「了解だ!」

姜小花は、自身のMGを展開し、ユリアとヒイロの機体を従え、戦線に加わる。

ユリアのMGが陽気な射撃を浴びせ、

ヒイロのMGが冷徹な精密攻撃を繰り出す。

姜小花の機体は、華連のコネクションを思わせる洗練された動きで、シフターの弱点を突く。

「全く……我々の脅威は排除しなければなりませんね」

間一髪の攻防の末、ヴェノムメイズシフターの核が砕け、光線級BETAの眼球が爆散した。

広場に静寂が戻り、皆の息が荒く響く。姜小花は機体から降り、戦術機たちを一瞥し、静かに言った。

「没収は……保留にします。ですが、次は許しませんよ」

ベアトリクスが、機体のハッチを開け、笑みを浮かべる。

「ふん、助かったわね」

テオドールが、汗を拭いながら呟く。

「マジで……ギリギリだったな」

純夏が、武の袖を握りしめ、安堵の息を吐く。

だが、ストレンジの第三の目が、遠くの空を睨むように輝いていた。

48時間の砂時計は、容赦なく落ち続けている。

 

 

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