マブラヴガールズガーデン外伝 月ヶ瀬ちゆる~マルチバースの流儀~   作:マブラマ

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第8話 進行

その後、アイリスディーナとベアトリクスはテオドールと協力し、ちゆる達は勿論、他に飛ばされた衛士達―――ユウヤ・ブリッジス、ヴァレリオ・ジアコーザ、ステラ・ブレーメル、レオン・クゼ、シャロン・エイム。そして1998年9月24日での佐渡島防衛戦で戦死したはずの坂崎都を確保していった。

冥夜は、静かに剣を握りしめながら、傍らの少女――カラフルブーケのリーダー、生駒葵に視線を向けた。

「そなたは衛士ではないのか?」

葵は、穏やかに首を振る。

「私ではないな」

そして……武は、周囲を見回し、拳を握りしめて息を吐いた。

「よし、これでひとまず全員揃えたな! あとは……」

アイリスディーナが、冷徹に言葉を継ぐ。

「全員、元の世界へ送り返すだけだ」

ドクター・ストレンジは、マントを翻し、第三の目を細めて虚空を睨む。

「急ぐぞ……!もう時間が」

ピシッ

空気が、乾いた音を立ててひび割れた。皆の視線が一斉に上空へ向く。

ユウヤが、顔を青ざめさせて呟く。

「な、何だ? 空が……」

ストレンジの声が、慌てたように響く。

「いかん! 想定よりインカージョンが異常に早い!まさか、ヴェノムメイズシフターの存在が歪みを助長したのか……!?」

都が、撃震のハッチから身を乗り出して叫ぶ。

「どう言うことだ? 何が起きるんだ!?」

ドクター・ストレンジは、黄金の円環を展開し、空中に歪みの幻影を映し出す。無数の糸が絡まり、裂けていくタイムラインが、皆の胸を締めつけた。

「このままでは……白銀武やテオドール・エーベルバッハ、ユウヤ・ブリッジスにほんの少し縁のある存在……それこそヴェノムメイズシフター以上に無関係な者達がこの世界にやって来てしまう。……最早、世界そのものが融合しつつある。手遅れだ。既に送り返すことも出来なくなっている」

ユウヤが、拳を握りしめて叫ぶ。

「じゃあ、どうすればいいんだ!?」

ドクター・ストレンジは、静かに、しかし重く告げた。

「今、世界は大量の衛士達が引き寄せられた結果、インカージョンが進行している。原因である複数の衛士を送り返すことが出来ない以上……白銀武、テオドール、ユウヤ。その他諸々以外の衛士達を消滅させて元の世界に戻せば……」

ユウヤが、目を丸くして後ずさる。

「おいおい、嘘だろ……」

武は、頭を抱え、苦しげに顔を歪めた。

「俺はまた一人になってしまうのか……クソ! こんな……ごめん、純夏……冥夜……彩峰……タマ……美琴……委員長。俺は」

テオドールが、唇を噛みしめて呟く。

「アイリスとベアトリクスも消える……だと……」

その時、明るい声が広場に響いた。

「みんな、困ってるようだね!」

ちゆるが、目を丸くして振り返る。

「―――! 生徒会風紀委員会!?」

リリー・ラヴォアはザルトゥーム学園生徒会風紀委員会所属の女性パイロット。

元々は内気で臆病な少女だったが、『超機神ジャスティオン』という作品を読んでから

ヒーローに憧れるようになり、明るく正義感の強い性格になった。

ヒーローについては一家言あり、同好の士を見つけるとつい話が止まらなくなる。

テオドールが、怪訝な顔で尋ねる。

「誰だ?」

リリー・ラヴォアは、笑顔で手を振る。

「ザルトゥーム学園生徒会風紀委員会のリリー・ラヴォアだよ」

テオドールが、突然声を上げて身を乗り出す。

「リリー!? まさかアンタ……リリー・レーヴィットか!? 612中隊の」

リリー・ラヴォアは、首を傾げて微笑む。

「多分、私とは縁もゆかりもない女性だね」

めるが、驚きの声を上げる。

「リリーさん、何故ここに!?」

リリー・ラヴォアは、肩をすくめて答える。

「生徒会長の命令で君達を助けに行ってこいって言われただけだよ。で? 何に困ってるの?」

めるが、息を整えて説明を始める。

「リリーさん……実は」

めるはリリーに事の経緯を全部話した。リリー・ラヴォアは、腕を組んで頷く。

「成る程ね。状況は把握したよ」

ユウヤが、すがるように尋ねる。

「リリーさんよ。俺達はどうすればいいんだ? 教えてくれ!」

リリー・ラヴォアは、目を輝かせて拳を握る。

「ふふん♪ それは……合体だよ! 戦隊ヒーローシリーズやメタルヒーローシリーズとかそうだけどZZガンダムみたいにAパーツ、Bパーツ、そしてコアファイターを合体するみたいに一つになれば良いと思うよ」

武が、目を丸くして叫ぶ。

「合体!?」

ユウヤが、呆れたように首を振る。

「お前な……アニメや特撮じゃあるまいし」

テオドールが、突然目を細めて手を上げる。

「いや、待てよ―――俺達が一つになれば良いんだな?」

ストレンジが、興味深げに尋ねる。

「そうだが……何をする気だ?」

テオドールが、拳を握りしめて宣言する。

「合体だよ! 全員を合体させて一つにすればもしかしたら……」

武が、慌てて声を上げる。

「合体!? どうやってするんだよ!」

テオドールが、ストレンジに視線を向ける。

「そこは魔法で……ストレンジさん出来そうか?」

ストレンジは、第三の目を輝かせて頷く。

「悪くないアイデアだ。ひとまずインカージョンは止められる。世界が安定した後は分離させて元の世界に送り返せばいい。問題はあそこのイロモノの衛士達と融合した結果……統合された衛士がまともな白銀武、テオドール・エーベルバッハ、ユウヤ・ブリッジスでいられるかという点だ」

純夏が、心配そうに武の袖を引く。

「タケルちゃん……」

アイリスディーナが、テオドールに尋ねる。

「テオドール、お前はどうするんだ?」

テオドールはぐっと拳を握りこう叫んだ。

「俺は国家人民軍地上軍第666戦術機中隊シュヴァルツェスマーケンのテオドール・エーベルバッハだ!“黒の宣告”を舐めるな!アイリスディーナと一緒に戦った俺がたかが並行世界の自分やBETAと合体したからって俺じゃなくなるわけがねえ!!」

武が、テオドールの言葉に勇気づけられ、頷く。

「そうだな……そうだよな!何たって俺達は衛士だよな!……やってくれ!俺達が元の世界に戻れるなら」

ユウヤが、肩をすくめて苦笑する。

「しょうがねえな……付き合ってやるよ」

ナタリーが、拳を振り上げて叫ぶ。

「よおし、皆の力を合わせるわよ!」

テオドールが、呆れた顔で突っ込む。

「アンタは衛士じゃないだろ……」

美琴が、明るく肩をすくめる。

「ボクはどうせ帰っても消えるだけだし、ずっと合体してもいいけどね」

ヴァレリオが、笑みを浮かべて言う。

「俺は帰るぜ。かわい子ちゃんが俺を待ってるからな」

ユウヤが、決然と頷く。

「俺は帰るぞ。元の世界にはイーニァが待ってるからな」

ベアトリクスが、静かに微笑む。

「私も帰るわ。カタリーナとロザリンデが待ってるからね」

ニコラが、熱く叫ぶ。

「何処までもついて行きます。少佐!」

ドクター・ストレンジが、マントを翻して宣言する。

「よし! すぐに合体を始めるぞ!」

テオドールが、力強く応じる。

「頼んだ!」

 

 

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