目が覚めると、一番最初に感じたのは痛みだった。
それはもう酷いものでうつ伏せに倒れている状態ですら苦痛。
そんな状態に突然なってしまった俺は痛みと混乱で何度も目を瞬かせた。
「ど、どうなってるんだ……」
辛うじて呟いたその声は、自分の声とは思えない別物になっていた。
首を動かし、周囲を見ようとするがあたりは一面森だらけ。何かの動物らしい鳴き声が聞こえるが、人の気配はまるでしない。
困惑がさらに深まり、このままではいけないと何とか身体を起こそうとすると何か致命的な違和感を感じた。
あるはずの物が欠如した、そんな感覚。
「まさか……」
身体をよじってうつ伏せから仰向けに転がり、自分の姿を見て愕然とした。
まず一目見てわかるほどの重傷。全身のいたるところから血が流れており、打撲痕らしいものも無数にみられる。
そして服装は、どこかで見覚えのある山吹色の道着。
この時点で嫌な予感はさらに強くなる。
その状態で先ほどから違和感を強く感じる謎の喪失感を感じさせると、一番最初に感じたのは痛みだった。
それはもう酷いものでうつ伏せに倒れている状態ですら苦痛。
その状態で先ほどから違和感を強く感じる謎の喪失感を感じさせる左半身へと視線を向けた。
そこには……肩からその先、具体的には二の腕の半ばあたりから先がすっかり失われていたのだ。
「うそ、だろ」
思わずつぶやく。
全身の痛みも遠のくほどのショックに打ちのめされていると、草むらをかき分けて何者かが近寄って来た。
「ぐっ……、動けない」
熊などであったら最悪だ。何とかして逃げなければと身を起こそうとするが、片腕がない事や傷だらけであることも相まって、地面に再び転がってしまう。
そこに現れたのは珍妙な生き物だった。
「ぴぴぃ!?」
鳥のような鳴き方をするそれは金色のしずく型。それに同じ色の翼をはやした不思議生物だった。
「な、なんだ?」
困惑する俺だったが、そこにさらなる人物が現れる。
「ゴメちゃん、いきなり飛んで行ってどうしたんだよ。こっちはロモスの方角じゃないよ? ……ってうわ、怪我人だ! 大丈夫!?」
癖の強い髪をした少年は俺を見るなり、慌てて駆け寄ってきて声を上げた。
「ポップー! マァムー! こっち来てくれ、怪我人がいるんだ!」
その言葉に遅れてやってきたのは細身の少年、それとピンクの髪をした少女だった。
彼らは俺を見るなり驚いて駆け寄ってきた。
「ひでぇ怪我だ。マァム、頼むぜ」
「わかった一応周りを警戒してて。彼をこんなにした魔物がいないとも限らないわ」
少年二人は周りを警戒するように立ち、少女は俺の近くに膝をつくとその手を俺にかざしてきた。
何をする気だろうか、と思った次の瞬間。
「ホイミ」
「え」
その言葉と同時に光が溢れ、俺の身体の傷が見る見るうちにふさがっていくのだ。
「応急処置は済ませたわ。ただ、怪我が酷くて全快とまではいかなかったからどこかでしっかり休ませてあげないと」
「ならロモスに行こうよ。そこに行けば宿で休ませれると思うんだ」
「でもよ、結構な体格だぜ? 運べるか?」
彼らの言葉を聞きながら俺は内心、驚きでいっぱいだった。
「今のは……魔法かい?」
「ええ、喋れるようになったのね。どう? 歩ける?」
マァムと呼ばれた少女に問われ、手を借りつつ身を起こし立ち上がってみる。
「っ、僅かにふらつくが歩くくらいはできそうだ。ありがとう」
「気にしないで、それよりもこんなところでボロボロで……何があったの?」
三人を代表して質問してきた彼女に俺は首を振ってこたえる。
「わからないんだ。俺は少し前まで家で過ごしていたはずなのに気が付いたら傷だらけでここに転がってたんだ」
俺の言葉に長身のポップと呼ばれた少年が眉を寄せる。
「家にいたのにロモスの森に居た? 寝ぼけてたってのかよ」
「ちょっとポップ!」
「だ、だってあまりにも妙なことを言うからさぁ!」
マァムに叱られ首を引っ込めるポップ。
「俺も同じ立場なら同じことを思うから気にしてないよ。すまないんだけど、鏡みたいなものを持ってないか?」
「え? ……ああ、傷の具合を確かめたいのね。これ使って、小さいけど」
そう言って差し出されたのは手のひらサイズのコンパクトだった。女の子というだけあって身だしなみ様に持っていたのだろう。
「ありがとう」
心の中で覚悟を決めつつ、コンパクトを開いて中をのぞく。
そこに映っていたのは……やはり自分の顔ではなかった。
「っ……、やはり、そうか」
「なにかあった?」
「すまない、たすかったよ」
コンパクトを返し、頭を抱えてしまった。
声や道着で何となく察していたが、どうやら俺は……未来悟飯の肉体で異世界に飛ばされてしまったらしい。
未来悟飯のIFみたいな感覚で読んでもらえれば幸いです。