第17話 原画頭
原画頭
(´・ω・`)「ボクはこの称号をもつアニメーターを一人しか知らない」
( ゚∋゚)←それがこの金田伊巧
サイボーグ009のOP、銀河鉄道999のラストを手掛け
宮崎駿の前作“風の谷のナウシカ”では
物語の前半、風の谷に落下するペジテの飛行艇のシーン
中盤の、アスベルがナウシカたちの乗るトルメキアの編隊を襲撃するシーン
といった緊迫感とスピード感溢れる場面を担当した
(´・ω・`)「ラピュタでは……」
序盤のパズーの親方とドーラ一家の長男の殴り合いのシーン
後半のシータとパズーが竜の巣を通過するシーン
軍艦ゴリアテの攻撃で被弾するタイガーモス号のシーンを担当していた
(´・ω・`)「どのシーンも見てて躍動感のある心躍るものばかりだ」
(´・ω・`)「宮崎さんは普段からよく……」
彡(゚)(゚)「アニメーションはタイミングがすべてや!」
と口にしていた、そして……
彡(^)(^)「金田さんのタイミングは天才や!!」
と何度も絶賛していた
(´・ω・`)「宮崎さんの金田さんに対する信頼は絶大で……」
前に話したフラップターのデザインを最終的に仕上げたのは金田さんだ
世界観のなにもかもを自分自身で作り上げる宮崎駿が
お気に入りだったフラップターの設定を金田さんにゆだね
手を加えることがなかったのはスゴイことだ
彡(゚)(゚)カキカキカキ
( ゚∋゚)カキカキカキ
まさに金田さんは宮崎駿の右腕とも呼ぶべき存在
(´・ω・`)「彼のことをボクたちは頭と呼び、慕っていた」
金田さんの真面目で懸命に仕事に取り組む姿勢
その楽しくユニークな人柄
(´・ω・`)「そんな金田さんは……」
(´・ω・`)「ボクたち若いアニメーターの手本となる人だった」
第18話 ポムじいさん
(´0`)「よし、完成と」
(´・ω・`) .。oO(小林さんが出来上がった原画を未チェック棚に置いた)
彡(゚)(゚)!
彡(゚)(゚)パラパラパラ
(´・ω・`) .。oO(珍しいな。今の作業を止めてチェックを始めるなんて)
宮崎さんは原画を二、三度パラパラとめくる
彡(^)(^)
子供みたいに笑った
(´・ω・`) .。oO(そんなにいい出来だったのかな?気になる……)
(´・ω・`)「どのシーンの原画ですか?」
彡(^)(^)「ポムじいさんのシーンや」
(´・ω・`) .。oO(ポムじいさんとは……)
シータとパズーが炭鉱街の廃坑となった地下道で出会う不思議なキャラだ
スコップにツルハシ、ロープにランプ、ハンマーにテント、さらには水筒を持ち
地上の陽の光を極端に嫌い、迷宮のような地下で生活をしているという設定だ
(´・ω・`) .。oO(ボクはこのポムじいさんを……)
ラピュタの謎にせまるキーキャラクターだと考えていた
なぜなら、ポムおじさんは地上の人々が忘れ去ってしまったラピュタ人のことを知り
飛行石についての知識も持っていたからだ
彡(゚)(゚)「ヒロカツくんはポムじいさんがどれだけ重要か分かっとるか?」
(´・ω・`) .。oO(またきたな)
宮崎さんと仕事を一緒にして分かったことがある
宮崎駿はちょいちょいアニメの内容を理解しているか試してくる
(´・ω・`) .。oO(ボクはアニメーターとして演出も学びたいと思っていた)
だから作品に対する読解の思考を巡らせることは楽しかったし
あの宮崎駿に自分の考えを存分に話せることは願っても叶ってもないことだった
まあ、創作した本人を前に解釈を披露するなんて冷や汗ものだけどね
(´・ω・`) .。oO(でも、気難しいことで定評のある宮崎駿だ)
その回答には神経を使う
内容もさることながら、話し方にまで気を使わないといけない
物怖じして言葉に間があってはいけない、といって喋りすぎてもいけない
彼は説明が長くなると仕事が分かっていないと不機嫌になるのだ
(´・ω・`)「……たぶん分かっているつもりです」
彡(゚)(゚)「じゃあ、どんなふうに重要なんや?」
(´・ω・`)「ポムじいさんはラピュタ人の末裔だから……違いますか?」
彡(゚)(゚)「ほう、なぜラピュタ人の末裔だと思ったんや?」
(´・ω・`)「シータとムスカはラピュタ人の王族の末裔です」
(´・ω・`)「物語はこの2人が飛行石を軸に追走劇をやっています」
(´・ω・`)「でも、ボクはあと1人、かつて飛行石を掘っていた……」
(´・ω・`)「労働者階級のラピュタ人も物語に出てくるべきだと思っています」
彡(゚)(゚)「なんでや?」
(´・ω・`)「オープニングに地下を掘り進めているレリーフがありましたよね」
(´・ω・`)「あのバケットに乗っているのは労働者階級のラピュタ人だと思います」
(´・ω・`)「その末裔なら飛行石の説明を出来ると思ったんです」
彡(゚)(゚)「それがポムじいさんやと?」
(´・ω・`)「そう考えると、地下深くでシータとポムじいさんが出会うシーンは……」
(´・ω・`)「王族には生涯会えるはずのない労働者が、それも星空みたいな坑道で……」
(´・ω・`)「謁見しているような絵になりますよね」
彡(゚)(゚)「それで?」
(;´・ω・` ) .。oO(まだ訊いてくるのかよ……)
(´・ω・`)「ポムじいさんはシータと会話している間、ずっと座ったままでした」
(´・ω・`)「逆にシータは飛行石の欠片が輝きだすと立ち上がってそのままです」
彡(゚)(゚)「ふむ」
(´・ω・`)「ポムじいさんが座りっぱなしの姿はまるで……」
(´・ω・`)「無意識にシータの持つ飛行石の王家の紋章の前に立つことが出来ない……」
(´・ω・`)「古代からの記憶がそうさせている演出に見えました」
彡(゚)(゚)「……」
(´・ω・`) .。oO(正しいとも間違っているとも言わないのはもはや定番だ)
彡(゚)(゚)「……いつまで話してるんや?」
彡(゚)(゚)「はよう、席に戻って仕事せいや」
(´・ω・`) .。oO(ボクの仮説……)
ポムじいさんがラピュタ人の末裔であるかどうか?は分からないままだが
胡坐をかいて仕事を再開した宮崎さんは
急に鼻歌なんだか替え歌なんだかを楽しそうに歌い始めた
彡(^)(^)♪♪♬