雨と名無しのウマ娘 作:サルミアッキパイ
「おぉうトレーナー!運んできたぞぉ!」
「うぉ⁉︎ゴルシ⁉︎運んできたって何を……」
「アタシの妹」
「ハァッ⁉︎」
うぅ、気持ち悪い……。まだ、私はウマ娘のスピードに慣れていない。このスピードに慣れないとレースに出るなんて夢のまた夢だ。
「ヒウッ⁉︎」
「こりゃ、才能のある脚だな!まだ鍛えられてはねぇから、すぐにレースに出ることは無理そうだが……。鍛えりゃG1何個か取れる才能だ!」
まぁ予想はしていた。ゴルシとシービーとかいう自由人どもを、チームとしてまとめれる人間などあなたしかいないだろうと。ただ、まぁ自分がやられる側になると……
「キモッ」
「ウグッ⁉︎普通に蹴られるより心にダメージが……」
「蹴られるのは普通じゃないです」
そう、ウマ娘プリティーダービーのアニメでお馴染みチームスピカのトレーナーだ。
「悪かった。つい癖でな……。手が勝手に……」
「その腕切り落としましょうか?」
「ヒッ⁉︎怖いこと言うなよ⁉︎悪かったって⁉︎」
「相変わらずだね、トレーナー。この子がロストレイン。アタシの妹」
「あーコホン!俺は沖野。チームスピカのトレーナーをしている。つい癖でウマ娘の脚を触っちまうせいで、チームのメンバーが集まらなくてな。今はそこにいる二人だけだ」
「よーぅ!ゴルシちゃんだぞ!」
「こいつはゴールドシップ。破天荒すぎるバカだ」
「ようこそスピカへ、レイ」
「知ってるとは思うが、こいつはミスターシービー。自由人すぎるバカだ」
バカしかいねぇ……。いや嬉しいけどさ!アニメで何度も泣いたよ!沖野トレーナーも初登場の印象は最悪だったけど、ウマ娘思いのいいトレーナー……のはずだ!
「まぁ、なんだ。お前さえよけりゃ俺に担当をさせてほしいんだが……」
「はぁ……もともとそのつもりだったんです。脚を触られて気持ち悪いとは思いましたが、それだけで、担当契約を断ることはありません」
「これでレイも正式にチームスピカの仲間入りだね」
アニメの主人公たちが入るであろうチームに所属することになるとは……。
「さっそく芝の上走って、タイムを測ったり走り方見たりするから着替えてくれ」
「了解しました」
「そういえばゴルシはどこ行った?」
「ゴルシなら「秋の味覚がゴルシちゃんをよんでいる!」って言ってシュノーケリングしに行ったよ。じゃあ、アタシは散歩行ってくるね」
自由だなぁ……
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私は走った。がむしゃらに走った。
「レイ、お前は走り方が人間すぎる。もっと脚をあげて、前傾姿勢をつくれ。前に進む力が全然足りていない。せっかくいい脚持ってんだから」
「はい……こうですか?」
前傾姿勢だと空気抵抗が低くなって走りやすくなるのだろう。つまり、地面とほぼ並行で走っていけば加速力がすごいことになるのでは?
「まじか……。普通そこまで重心下げたら、頭から転ぶんだが……」
この走り方を簡易オグリキャップとなづけよう。まぁ周りで走っている人が誰もいなくて、短い距離だからこそできることだろう。実際にレースで使うとしたら、ラストスパートだろうか。
「どうでしたか?」
「お前トレーナー泣かせだよ。俺は普通のウマ娘の走り方を教えたのに、お前は普通じゃないウマ娘の走り方を身につけやがった。まだ粗いところはあるが普通はそんなパッと走り方なんてかわらねぇはずなんだがな」
「つまり、相対的に見たらすごいと言うことですね」
「あぁそうだ。しかもターフで走るのは今日が初めてなんだろ?才能に関してはシンボリルドルフともあまり差がないんじゃねぇか?」
ふふん。褒められると誰でも気分が良くなる。
「これからの課題はスタミナとスパートのタイミングだな。こればっかりは日々のトレーニングでしか見につかねぇ。ひたすら坂路だ!」
絶対許さん
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はぁ……はぁ……死ぬかと思った……。
普通最初はレースの楽しさを知るとか、一回レースやってみるとかじゃないの?私今日坂路走って休憩して坂路走ってだけだったんだけど。これが中央のやることかよ……!
シービーの友達である、カツラギエースとかマルゼンスキーとかとも会ってみたかったが、そんな余裕は今の私にはない。この地獄を乗り越えて、体力が残っているようなことがあれば会いに行ってもいいかもしれない。
「やっとついた……」
地味に家が遠い!いや二人で住んでも広く感じるし、何も文句などないのだが。坂路でボロボロになった私にはキツすぎるだけだ。夜ご飯は何にしようか。
「レイおかえりー」
「ただいま」
「お疲れ。散歩から帰った時にちらっとみたけどずっと走ってたね」
「うん」
「今日は疲れてそうだし、外食にでも行く?」
「ありがと」
「何が食べたい?」
「ラーメン」
「よし、準備できたらアタシのおすすめのところに連れて行ってあげる」
シービーがやさしい(泣)。人間の頃はシービーは周りを振り回しまくるじゃじゃウマ娘だと思っていたけど、まさかこんなに気遣いができるなんて、あたしゃうれしいよ(泣)
「ちょうど辛いものが食べたかったんだよね」
シービーのばかぁ!
主人公は辛いもの苦手です。
なぜなら辛いからです。