パソコンを買い替えたときに思いつきました。
こすられすぎたネタですが。

参考
https://note.com/aklo/n/n01347e755ee0

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第1話

「それじゃあ、パソコンを買い替えたら最初にすることは何でしょうか」

 黒板の前に立つ先生が問いかけると、教室中から手が上がりました。ハイハイと元気に子供たちが先生の注目を引こうとします。

 たっぷりと視線を巡らせて、先生は一人の少年に目星をつけました。

「じゃあワンドラくん、お願いします」

「はい!」

 指名されて立ち上がった少年は自信満々の表情で胸を張りました。彼は四角形をさらに四つに区分けして四色に色付けされたTシャツを着ています。

「買い替えて最初にやることは自分のアカウントにログインすることです!」

 堂々と彼は答えました。けれど、先生は首を振りました。

「うーん、それはそうだけど、ちょっと違うなあ」

 不服そうにえー、とワンドラくんは頬を膨らます。

「バックアップデータの移行ですか」

「それもそうだけど、違うよ」

「うーん、電源を入れるとか」

「トンチ問題じゃないんだから」

 先生は苦笑して、ワンドラくんはうんうんと唸りました。他の生徒たちもなんだろう、と小首を傾げています。

「少し難しかったかもしれませんね。みんなさんはまだパソコンを買い替えたりしたことはないですか」

 そう問いかけると皆は頷きました。それでは難しいでしょう、と先生は合点がいったように目をつむりました。

「僕も買い替えたことないです」

 ワンドラくんの釈明に教師も仕方ないですね、と笑いました。

「それでは、答えを教えますね」

 教室中の視線が先生に向けられます。静かになった教室で先生は、ジャケットの内ポケットに手を伸ばしました。

「それは――」

 先生の手がゆっくり取り出されました。その手には漆黒に磨かれ、光すら反射しない鉄塊が握られています。その先端の丸い穴はワンドラくんを見ていました。

 え、とワンドラくんが呟くのと同時に、鈍い銃声が響きました。

 肉の落ちる音。

 ワンドラくんの眉間には赤い穴が開いていたのです。

「お前を消すことだ」

 先生がそう言うと、教室中が阿鼻叫喚の悲鳴におちいりました。リンゴのマークが入ったアイクラちゃんはしめやかに失禁しました。グードラくんは恐ろしくなって教室の隅で縮こまり、ドロッポくんはあまりの光景に白目を向いて失神してしまいます。

 小学校にあるまじき惨状を前にしながら先生はゆっくりとみんなに言います。

「いいですか、みなさん。パソコンを、特に某窓マークのOSが入っているパソコンに買い替えたときに必ずすることは、ワンドラくんを消すことです」

 先生はゆっくりと、一語一語しっかり力を込めて言いました。

「止めることではありません。跡形もなく、そのパソコンから、消すことです。いいですね」

「「「ハイッ!」」」

 直立不動の姿勢で生徒たちはちゃんと返事をしました。数人、まだ気絶から帰ってきていませんが、恐怖心でその声はいつもより大きく聞こえました。

 その時、ワンドラくんがぱっと立ち上がりました。なんとしぶといことでしょう。

「せ、せんせい!待ってください!」

「どうしましたかワンドラくん。さっさとアンインストールされてください」

「ぼ、僕もちゃんとみんなの役に立っているんです!」

「ほう」

 興味深そうに先生は目を細めます。肩で呼吸を整えながら、ワンドラくんは必死に訴えかけます。

「僕はクラウドのデータバックアップサービスです!最近のパソコンは本体容量が少ないものもあります。そんなとき、データをクラウドにアップロードすれば容量の節約になります」

「そうですね」

「しかも、仮にパソコンが壊れてもクラウドにあるデータは安全です!バックアップだってスムーズにできます。OSを作っている会社のクラウドですから、性能だってばっちりです!」

「ふむふむ、それで」

「さらに僕は賢いので、クラウドにアップロードしたらパソコン本体にあるデータは削除します!要領を食うだけで邪魔ですからね!」

 重い銃声が響いた。

 ワンドラくんは再びリノリウムの床に倒れ伏しました。

 その彼のもとに、先生はまだ硝煙が立ち上る拳銃を降ろしながら、近づきました。

「ワンドラくん、お前だったのか。私の秘蔵画像フォルダの元データを削除して、復元できないようにしたのは」

 ワンドラくんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。

 先生は拳銃を構えると、ワンドラくんの手足に一発ずつ、銃弾をぶち込みました。そして、なるべく長く苦しむようにしながら、ワンドラくんをアンインストールしました。

 

 後日、児童ポルノ法違反でこの教師が捕まったのは別のお話です。




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