素直になった幼馴染から激重感情を向けられていることを俺はまだ知らない   作:水島紗鳥

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第9話 べ、別に私は春人の彼女じゃないから関係ないわよ

 高校に入学してから約一ヶ月が経過し五月に突入していた。最初は新しい環境で緊張していたクラスメイト達も慣れてきたようで入学直後の独特の空気は無くなっている。

 そして今日はクラス内の雰囲気がいつもよりもだいぶ明るい。それもそのはず、明日からいよいよゴールデンウィークに突入するのだから当然だろう。

 

「明日から五連休ってめちゃくちゃ嬉しいな」

 

「課題が無かったら最高だったんだけど」

 

「なら秋夜はサボるか?」

 

「いやいや、そんな事をしたら間違いなく呼び出しをくらって吊し上げられるから」

 

 俺と秋夜は帰りのホームルームが終わった後、二人でそんな話をしていた。周りにいるクラスメイト達の会話内容もゴールデンウィークに関することばかりだ。そんなことを思っているとクラスメイトの中心人物的女子である進藤萌音(しんどうもね)が話しかけてくる。

 

「明日クラスの行けるメンバーでカラオケに行くんだけど、川口君と黒崎君も来ない?」

 

「せっかくだし参加させて貰うよ、春人はどうする?」

 

「特に予定とかも無いし俺も行こうかな」

 

 まだあまり話したことがないクラスメイトもいるし、こういう機会に交流を増やすのはありだろう。だから俺も進藤さんの誘いに乗ることにした。

 

「オッケー、じゃあLIMEのグループに招待するからQRコードを表示して貰ってもいいかな?」

 

 そう促されたため俺と秋夜はLIMEアプリを開いて画面に友達追加用のQRコードを表示させる。

 

「あっ、ごめん。そう言えばスマホはロッカーの中に入れたままだった、ちょっと待ってて」

 

 そう言い残すと進藤さんは教室から出て行く。ロッカーは教室前の廊下にあるため、中身を取り出すたびに出て行くのはちょっと面倒だと思う。教室内にロッカーを置くスペースは無かったんだろうかと思っているといつの間にか隣に紗奈が立っていた。

 

「さっきから一体何をしてるのかしら?」

 

「ああ、明日クラスの何人かでカラオケに行くらしくて誘われたから友達登録をしようとしてたんだよ」

 

 普段通りの表情を浮かべる紗奈だったが、何故か上手く言葉に言い表せられないプレッシャーを感じる。すると空気を読まない秋夜が口を挟んでくる。

 

「そうそう、春人は浮気なんかしてないから安心してくれ」

 

「べ、別に私は春人の彼女じゃないから関係ないわよ」

 

 秋夜の悪ふざけとも言える言葉を聞いた紗奈は何故か狼狽えていた。それと同時に先程から感じた謎のプレッシャーも感じなくなったため結局その理由は分からずじまいだ。そんなやり取りをしていると進藤さんが戻ってきた。

 

「二人ともお待たせ……あっ、ちょうどいいところに紗奈ちゃんもいるじゃん。もし良かったら明日一緒にカラオケ行かない?」

 

「そうね、春人も行くみたいだし私も行くわ」

 

「じゃあ紗奈ちゃんもLIMEのQRコードをよろしく」

 

「あっ、春人は私がグループに招待するから交換しなくても大丈夫よ。その方が時間短縮になると思うし」

 

「確かにそうだね、じゃあ黒崎君の招待は紗奈ちゃんに頼むよ」

 

 それから進藤さんは紗奈と秋夜の友達登録を済ませるとそのまま他のクラスメイトに話しかけ始める。誘えるだけ誘おうとしているに違いない。

 

「用事もこれで済んだと思うし、帰りましょう」

 

「ああ、じゃあな秋夜」

 

「二人ともまた明日」

 

 俺と紗奈は教室を出て昇降口に向かい始める。クラス内同様、廊下にいる同級生達も皆んなゴールデンウィークの話題で盛り上がっていた。

 

「春人がクラスの集まりに参加しようとするなんてちょっと意外ね」

 

「中学生までとは違って知らない同級生が多いからな」

 

「なるほど、あんたも少しは社交的になろうと努力してるわけね」

 

「そういうこと」

 

 俺や紗奈、秋夜の通っていた中学校は同じ小学校から進学した同級生が半数以上だったため話したことがある奴は多かったが高校は違う。だから今回参加を決めたというわけだ。

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