素直になった幼馴染から激重感情を向けられていることを俺はまだ知らない   作:水島紗鳥

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第2章
第17話 反応が予想通り過ぎて全く面白くないわね……


 ゴールデンウィークが終わってから一週間ほどが経過した今日、放課後の教室内は少し緊張した空気に包まれていた。それもそのはず、先程行われた考査発表によっていよいよ中間テストの火蓋が切られたからだ。

 

「来週から中間テストとかだるいんだけど」

 

「秋夜も油断してるとあっという間に最下位まで転落しかねないぞ」

 

「マジでその可能性があるのが笑えない」

 

 俺達の通う星稜高校は倉敷市内で偏差値トップの進学校であり、同級生達はみんな高校入試に合格して入学している。つまり、周りは基本的に中学校では上位層だった強者ばかりだ。

 そのため入学式翌日にあった中学生の振り返りテストでは今まで取ったことがない悪い順位を取って落ち込む同級生が続出したことは記憶に新しい。

 ちなみに秋夜は真ん中くらいの順位だったらしいが、紗奈の場合は元々ワンランク下の高校を志望しておりギリギリ受かった感じなので最下位に近い順位だったようだ。秋夜とそんな話をしていると紗奈がやってくる。

 

「お待たせ、帰りましょう」

 

「秋夜またな」

 

「二人ともまた明日」

 

 俺と紗奈は教室を出て昇降口へと向かう。今日の放課後から部活動も停止となるためいつも以上に帰宅しようとしている姿が多い様子だ。

 

「ねえ、春人。付き合ってくれない?」

 

「何にだ?」

 

「反応が予想通り過ぎて全く面白くないわね……」

 

 俺の返答を聞いた紗奈は何故かつまらなさそうな表情になってしまった。何がいけなかったのか全く分からない俺を無視して紗奈は話を続ける。

 

「四月にあった振り返りテストの成績がやばかったことはあんたも知ってるでしょ? 次の中間テストも同じ感じだったら流石にやばいから勉強に付き合って欲しいのよ」

 

「なるほど、そういうことか。別に構わないぞ」

 

「他に頼めそうな相手がいなかったから助かるわ、じゃあ早速今日からお願い」

 

「ちなみにどこで勉強する?」

 

「市営図書館でどう? あそこならちょうど帰り道だし」

 

「オッケー、そうしよう」

 

 市営図書館なら家まですぐに帰れるし、中も広いので場所としては最適だろう。それから学校を出た俺と紗奈は市営図書館へ向かって歩き始める。

 

「やっぱり他の学校も今日が考査発表みたいね」

 

「公立の普通科はスケジュールが基本的に同じって聞いたぞ、学園祭の日程まで被ってるらしいし」

 

「えっ、学園祭まで被ってるの!? つまんないわね、せっかく他校の学園祭を見に行こうって思ってたのに」

 

「私立高校とかがどうなのかまでは知らないけどな」

 

 そんな話をしながら歩いているうちに市営図書館へと到着した。中間テスト一週間前ということもあって図書館の中は制服姿がばかりだ。俺達は空いていた席を確保して早速二人で勉強を始める。まずは明日の授業の予習部分から一緒に問題を解く。

 

「あっ、そこは過去形じゃなくて過去分詞形だぞ」

 

「あっ、本当ね」

 

 自分の問題を解きつつ紗奈のノートをチラ見した俺がそう指摘をすると、素直に間違いを受け入れてくれた。以前までの紗奈であれば、間違いを指摘すると不機嫌になるパターンがほとんどだったが今は違う。

 だから今の紗奈にはめちゃくちゃ勉強を教えやすかった。確かに相変わらずプライドが高いところもあるが、こんなふうに素直になれたのは本当に凄い変化に違いない。傍若無人で女王様気質のあった紗奈はもうどこにもいないと言っても過言ではないだろう。

 

「ごめんなさい、ちょっとお手洗いに行ってくるわ」

 

「ああ、俺は引き続きここにいるから」

 

 紗奈を見送った俺が予習を進めようとしていると突然後ろから声をかけられる。

 

「あっ、その後ろ姿はもしかして黒崎?」

 

 そう声をかけられて後ろを振り向くと金髪で背の高いギャル風な女子が立っていた。

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