キュウべえ「ボクと契約してTS魔法少女になってよ」   作:フェレーデ

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10正義の味方

「どういうことだ……これは」

 

 佐倉杏子は唐突に記憶を思い出した。

 それは、魔獣に関することではなく、魔女に関すること。急に世界が歪みおかしくなったと思ったら、次の瞬間にはいつの間にか記憶を取り戻していた。

それだけでも不可解だが、注目するべきは魔女の世界の記憶が複数あること。どれも似通っているが、明確に違うのは暁美ほむらが──

 

「──そうだ!」

 

 何事も本人に聞くのが一番手っ取り早い。

 以前、ほむらは魔女について知ってるかと聞いていた。それはつまり、ほむらにも今の自分と同じような現象が起こり、魔女がいた世界の記憶を取り戻したということ。

 

 だとすれば、よく分からないのは魔獣の存在と円環の理という概念だ。

 そんなものは魔女のいた世界には存在しなかった。そして、魔獣のいた世界には鹿目まどかも存在していない。

 すべての事情を知っていそうなのはほむらだけだ。だが、何度電話をかけても繋がらない。

 

「っ…こんなときに…!」

「佐倉さん!!」

 

 と、ここで空から降ってきたのは巴マミ。

 そして、隣に引き連れているのは……確か、魔法少女の素質があるっていう百江なぎさだったか?

 

「よかった、合流できて。早速だけど、魔女については?」

「っ…! たった今、思い出したところだ」

「なら良かった。暁美さんが危ないらしいの。貴方にも協力してほしいわ」

「あいつが…? おい、簡単にでもいい。いったい何が起こってるんだ」

「私も詳しいことはまだ何も…。事情を知ってるのはこの子」

 

 そう言ってマミは百江なぎさの方を見る。

 

「おい、そもそもあんたは誰なんだ? ただの魔法少女の素質があるだけの小学生ってわけでもないよな?」

「……そうなのです。なぎさは円環の理から来た魔法少女なのです」

「円環の理…」

「あれは、あなた達の友人の鹿目まどかの願いで生まれた魔法少女の救済システムなのです。その願いのおかげで、魔法少女が魔女になることはなくなったのです」

 

 その説明を受けてマミと杏子は納得する。

 魔獣がいた世界で、ソウルジェムから魔女が生まれなくなったのはそのためかと。

 

「じゃあ何だ? ほむらが危険だって言うのは、あいつが魔女にでもなっちまったってことか? この世界は魔女空間そのものだろ」

「それがそうでもないのです。この世界を作り出した魔法少女は、インキュベーターと結託して疑似的な暁美ほむらの魔女結界を作り出したのです」

「はぁ? なんだそりゃ? そんなことができるのか?」

「……えぇ、できるわ」

「マミさん…?」

「疑似的な魔女結界を作り出す魔法少女を私は知ってるわ。そんなことができるのは1人しかいないじゃない」

「っ……おい、それって」

 

 確認のためになぎさへと視線を向けると、返ってきたのは肯定を示す頷き。

 補足するようになぎさは説明を続ける。

 

「渡里さつき。円環の理の消滅を望む魔法少女なのです。この世界を作り出して暁美ほむらに時間遡行の魔法を取り戻させて、それを利用して円環の理をなかったことにしようとしているのです」

「ちょっと……それ、マジで言ってるのか?」

「大マジなのです」

「ふーん、じゃあ動機は?」

「えっ?」

「そんな大層なことをしようとしてるんだ。何か理由がなきゃそんなことやろうと思わないだろ」

「それは……なぎさにも分からないのです」

「分からない…?」

「そうなのです。でも、円環の理をなかったことにしようとしているのだけは間違いないのです」

 

 杏子はなぎさをジッと見つめる。

 そして、数秒それを続けた後、ふいっと視線を逸らした。

 

「悪いけど、あたしは一人で動かせてもらうよ」

「な、何でですか?」

「あんたが嘘を言ってるわけじゃないってのは分かった。でも、あたしにはどうしてもあいつが何の理由もなしにこんなことをやるとは思えないんだ」

「……」

「だって、あいつの根本はマミと同じようなもんだ。魔法少女を正義の味方だと心の底から信じてる。接した時間は少ないけど、あたしの記憶ではいつもそうだった」

「佐倉さん…」

「マミさんだってそう思うだろ? 結局、魔法少女の末路を知ってワルプルギスの夜に立ち向かったのはあいつとほむらだけだ。あたしなんかよりよっぽど正義を貫いてた」

「……そうね。私も彼女が何の理由もなしにこんなことをするとは思えない。何か理由があるはずよ」

 

 杏子から見た渡里さつきは正義の魔法少女そのものだった。

 昔の自分やマミと同じ、みんなのために頑張ることができる正義の味方。

 

『え、だって魔法使い同士って協力するもんじゃないの? 敵は同じなんだし』

 

 あの言葉は嘘なんかじゃなかった。

 あの時はグリーフシードも枯渇気味だったから協力関係になることはなかったけど、そうじゃなければ協力していたと思う。それくらい、マミと同じ志を持ってた。

 

 だから信じられない。

 愉快犯でこんなことを仕出かす奴じゃないと知っているから。

 

「ま、待って欲しいのです! 一人で行動するのは危ないのです!」

「大丈夫だって。あたしはそもそもあいつと戦おうってわけじゃないし」

「えっ」

「そうね。何でこんなことをしたのか事情を聞き出せばきっと大丈夫よ。相手は魔女でも魔獣でもないんだし」

「そんな……でも、さやかは…」

「は? さやか? あいつがどうかしたのか?」

「さやかと、連絡が取れないのです。渡里さつきと接触したことまでは分かってるんですけど、その後は…」

「おいちょっと待てよ。どうしてそこでさやかが出てくるんだ。あいつは関係ないだろ」

「さやかも、なぎさと同じで円環の理から派遣されたのです」

「っ…」

 

 複数の記憶が流れ込んで混乱していたが、円環の理があるということはこの世界は魔獣がある世界をベースに作られているということ。

 それはつまり、さやかが既にいない世界ということで、それでもここにいるということは、円環の理から派遣されたとしか考えられない。

 

「佐倉さん落ち着いて。まだ美樹さんが無事な可能性も残っているから」

「……あぁ」

「きっと大丈夫よ。相手は魔女でも魔獣でもないんだから」

「そうだな…」

「暁美さんと美樹さんは恐らく同じ場所にいるわ。それを探し出して救い出せば、私たちの戦いは終わり。いつもやってることより簡単じゃない」

 

 その時だった。

 杏子とマミは異様な気配を感じ取った。

 

「何だこれは。瘴気……いや、違うな──」

「──魔女の気配」

 

 その言葉を皮切りに魔女がドッと溢れてきた。

 その数は十や二十じゃない。数えるのも億劫になるほどの魔女が夜の見滝原の街に溢れ出てきた。

 

「佐倉さん!」

「分かってる」

 

 この異常事態を前に杏子とマミは驚くほど冷静に素早く動いた。

 反射と物量でマミが魔女を殲滅し、その撃ち漏らしを持ち前の機動力で杏子が狩る。記憶を取り戻した2人の連携は、言葉がなくとも通じ合っていた。

 

「な、なぎさも協力するのです!」

 

 2人に遅れてなぎさも攻撃を行う。

 その武器はラッパ。吹くとシャボン玉が出てきて、それに触れた魔女は爆撃を受けたようなダメージを受けて倒れていった。

 

 だが、今の攻撃で倒れたのはほんの数体だけ。

 攻撃を終えてすぐのなぎさの目の前に、第二陣の魔女たちが既に迫っていた。

 

「っ…」

 

 しかし、それがなぎさへと届くことはない。

 巴マミのマスケット銃が的確に魔女たちを射抜き、佐倉杏子の槍が魔女を貫く。

 

「わぁ、2人ともすごいのです」

 

 驚くべきはその殲滅速度。

 円環の理から派遣されたなぎさが思わず感嘆の声を上げるほどの速さで2人は魔女を打ち倒していった。

 

「何か知らんが身体が軽い。今のあたしは絶好調だ」

「あら、佐倉さんもなの? 私も久しぶりに佐倉さんと戦えて調子がいいわ」

「そういうんじゃないと思うぞ?」

 

 戦いの最中だというのに会話も余裕だった。

 動いても息が上がらないし、思った通りかそれ以上に身体が動く。まるで初めて魔法少女になった日を思い出すかのようだった。

 

 

「……今のお前たちにはこれでは相手にならないか」

 

 だが、そんな快進撃も打ち止めになる。

 ぴたりと魔女の攻撃が止まったのだ。そして、気づいた時にはそこに立っていた。渡里さつき、銀色の髪をした魔法少女。

 

「佐倉杏子に巴マミ。お前たちの力が増したのは因果の収束現象が起こったからだ。他の時間軸の自分自身と同化したことで、記憶を共有し魔力が向上した」

「あんた…」

「……だが、僕に勝てるほどではない。その程度の因果量では鹿目まどかには遠く及ばない。用があるのはお前たちじゃないんだ。大人しくしているなら何もしないと約束しよう」

「そういうわけにもいかないわ」

 

 そう言うと、巴マミはなぎさを守るように立った。

 

「貴方が用がなくとも私たちは用があるの。暁美さんと美樹さんがいるところまで案内してもらうわ」

「嫌だと言ったら?」

「力づく……と言いたいところだけど、今回はそうでもないわ。訳を話してちょうだい。貴方は考えなしにこんなことをやる人じゃないでしょう?」

「理由…。それこそ、無意味なことだ」

「どうして? 力で解決するよりよっぽど平和的じゃない」

「言うことは尤もだ。だが、今回の場合は無意味だ。話し合いで解決できるのは、相手に迷いがある場合のみだ。自分の行動が正しいのか疑問に思い、行動に自信が持てないときにのみ有効に働く」

「……」

「僕はこれを止めるつもりはない。よって言葉は不要だ」

 

 そう言ってさつきは戦闘の構えを取る。

 右手には銀色の宝珠の杖。そして、全身から立ち上る魔力とプレッシャー。

 

「ちょ、ちょっと待てよ!」

「なんだ? 佐倉杏子」

「あんたはこれでいいのか? 一人でこんなこと仕出かして…」

「…? 言っている意味がよく分からない」

「あんたはっ! あんたは、正義の側の人間だったじゃないか。どうしてこんなことを」

「正義を貫くことが正解じゃない場合もあると悟ったからだ」

「は? それって…」

「大丈夫だ佐倉杏子。今のお前は間違いなく正義の味方だよ。お前の目の前に立ってるのは、暁美ほむらをそそのかして秩序を乱そうとする悪い魔法少女だ」

「ッ…!! アンタは…!」

「どうしても聞きたいことがあるなら僕を倒して聞き出せばいいじゃないか。正義の味方が相手の言葉に耳を貸すのは、いつだって悪を成敗した後。そもそも、戦いを宿命づけられた僕たち魔法少女に話し合いは似合わない」

 

 それを聞いた巴マミはマスケット銃を多数展開し戦闘の構えを取る。

 そして、未だに納得のいかない佐倉杏子に声を掛ける。

 

「佐倉さん、戦うしかないわ」

「…ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わって見滝原のどこかにある高層ビル。

 その屋上で、戦いの様子を眺める2人の魔法少女がいた。

 暁美ほむらと美樹さやか。現在起こっている戦いが何なのかを知っている2人は、戦いの激しさを見て呆然としていた。

 

 突如として見滝原の街のあちこちに現れた魔女のような気配。

 その正体は本物の魔女ではなくさつきが出現させた使い魔のようなもので、しかし、1体1体の実力は並みの魔女よりも高いことまで理解していた。

 それと戦っているのが侵入したという円環の理の魔法少女たちで、2人のいる場所を目指しているのだろうと思う。

 

「……」

 

 いま、さつきのソウルジェムはここにある。

 あれだけの魔女のような何かを暴れさせて、さらにはこの世界の維持に魔力を使い続けてなおその輝きはほとんど失われていない。

 ソウルジェムから100メートル以上離れているというのに動き続けられるのは、結界魔法をうまく応用しているからだっただろうか。以前に、空間を自在に操れれば物理的な距離は障害にならないとか言っていた気がする。

 

「ほむら、魔法を使うなら早くした方がいい」

 

 感傷に浸る私に声を掛けたのはキュウべえだった。

 

「今のところはさつきが善戦しているけれどいつまでもこんな無茶が続くとは思えない。この結界内に侵入した魔法少女にはワルプルギスの夜のもとになった子が何人かいる。もしその力を使われでもしたら、一気にこの世界は破綻してしまう。そうすれば、君はその魔法を使えなくなってしまうんだ」

「……随分と急かすのね。そんなに使って欲しいの?」

「当然じゃないか。この機会を逃せば円環の理がなくなることは二度とないだろうからね。魔女がいる世界の方がエネルギーの収率がいいんだ」

「…よく言うよ。元々はほむらを魔女にして円環の理を観測するつもりだったくせに」

 

 その言葉に、ほむらとキュウべえはさやかの方を見た。

 さやかは体育座りをしたまま話を続ける。

 

「まどかが直接ここに来ることができなかったのは、力を使うところを観測されてしまったら、それをインキュベーターに悪用されてしまう可能性があったからだよ。もちろん、簡単に乗っ取らせるつもりなんてないけど、魔法少女を救済するたびに妨害されてたらまどかも仕事になんないし…」

「なるほど。まどかにはお見通しだったんだね」

「まどかを制御しようだなんてとんだゲス野郎ね」

 

 さやかの暴露に肯定の言葉を返すキュウべえ。

 その変わらぬ様子を見て、ほむらは顔をしかめながら暴言を吐いた。もちろんキュウべえへのダメージはゼロではあるが。

 

「でも、もうその実験をしようとは思わないよ。円環の理が法則としてではなく意志で動いているのは僕にとって予想外の出来事だ。観測できれば干渉できる、干渉できれば制御ができる……そう考えていたけれど、意思をもって動く巨大な力を制御するなんていうのはとても現実的じゃない。できるとしても、いったい何千年かかるか想像もできないよ」

 

 もし、本当に意思を持った者を制御するだけの力があるなら、インキュベーターは魔法少女を従えるなり何なりしていることだろう。その方が十分合理的で、インキュベーターらしい考えだ。

 

 だが、それをしていないということはできないということ。

 インキュベーターに意思を捻じ曲げるような力はない。制御するような力もない。できるのは、魔女になるように誘導してエネルギー回収に勤しむだけ。

 

 

「ねぇ、ほむら。インキュベーターの思惑に乗るわけじゃないけど、あたしからも魔法を使うのをお願いしてもいい?」

 

 ほむらはさやかへ視線を向ける。

 

「さっきは偉そうなこと言っちゃったけど、まどかだって本当に消えちゃうことを望んでるわけじゃないと思うんだ。まどかは、誰かが苦しんでるのを見て放っておけないくらいのいい子だけど、本当はまどかだって……」

 

 

『お前たちは2人とも鹿目まどかの友達だろ。あいつにどうなって欲しいか、この際しっかり話し合うことだ』

 

 

「……ううん、違う。これはあたしの我儘だ」

「さやか…?」

「あたしはまどかにいなくならないで欲しいんだ。まどかのことを忘れたくない、いないことが当たり前になって欲しくない。たとえどんな世界になったとしてもまどかと隣にいたい。魔法少女になってもならなくても、変わらずまどかの友達でいたい」

「……」

「あたしは多分安心してたんだ。神様になってもいつも通りのまどかを見て、もう大丈夫だって。ここに来れば、ほむらも幸せになってハッピーエンドだって……そんな都合のいい事ばかり考えてた」

 

 魔法少女は条理を覆す存在。

 感情を魔力に変換して、祈りと希望で奇跡を起こす。

 何の力もない少女と比較すれば、魔法も使えて身体も自由自在に動かせて、可能性の広がった存在だと言えるだろう。

 

 しかし、決してそれは都合のいい存在ではない。

 願いや祈りの対価は重く、魔法という非日常は魔法少女から日常を奪い去っていく。

 それがどんなにかけがいがなく大切なものだったとしても、心の底から願いを叶えたことを後悔したとしても、決して取り戻すことはできない。

 その契約の重さに、現実の非情さに打ちひしがれて絶望していく。

 

 鹿目まどかは自身の魔女さえも打ち倒して、魔女という絶望の化身を世界から消し去った。

 でも、それで世界から呪いが消えたわけではない。絶望がなくなったわけでもない。魔女という形で具現化することのできなくなった絶望は、別の形で具現化する。

 

 希望も絶望も、すべて足し合わせてゼロにしてしまったら、そこには何も残らない。

 

 

「あたしが自分勝手なのは分かってる。あんたが何度も時を遡って苦しい思いをしたっていうのも知ってる。でも、お願い。こんな結末を変えられるのはほむらだけだから」

 

「…そんなにお願いされなくとも私の返事は初めから決まっているわ」

 

 そう言うと、ほむらは立ち上がる。

 高所特有の風が吹き、長い黒髪が風にたなびく。

 

「あの子の意思がない世界で生きていくなんて、私にはもうできないもの」

 

 銀色のソウルジェムが装着された魔法の杖。

 それに、ほむらの魔力を流し込んでいくと銀色のソウルジェムが淡い紫の光が灯り、空中に複数の魔法陣が展開される。

 

「それに、私の願いの中心にはいつだってまどかがいた。私はただあの子を泣かせたくない。最後まで笑顔でいて欲しい。……そう祈って魔法少女になった」

 

 その輝きは加速度的に増していき、ほむらを中心に光が広がっていく。

 原初の祈りでエントロピーを増大させ、世界を滅ぼし創生するチカラを生み出す。

 

「その祈りを邪魔するものは何であろうと倒してみせる。覆してみせる。たとえまた、永遠に戦い続けるのだとしても、私はそれで構わない!」

 

──ピシリッ

 

 銀色のソウルジェムがひび割れ、そこからさらにエネルギーが溢れ出る。

 それでも構わずほむらは魔力を注ぎ込み続け、そして、白く眩い光が世界すべてに広がり包み込んだ。

 

 

 

 

いつか君が瞳に灯す愛の光が時を越えて

 

滅び急ぐ世界の夢を確かに一つ壊すだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

「…っ」

 

 目が覚めたのは病室。

 いつも通りの白いベッド、白い天井、整頓された病室、変わり映えのしない風景、変わらず腕に装着された紫色のソウルジェム。

 

 そして、また時を遡ったという記憶。

 

(成功……したの?)

 

 時を遡るのは随分と久しぶりのことだった。

 まるで長い夢を見ていたような感覚だ。でも、手元にあるソウルジェムと脳に想起される鮮やかな記憶が、あれは夢なんかじゃないと訴えている。

 

「…いいえ、まだ。まどかを見るまでは…」

 

『まどかならちゃんとこの世界に存在しているよ』

 

「っ…! インキュベーター!」

 

 脳に直接響く念話。

 その声の主は忘れもしないインキュベーター。窓から外を覗くと、そいつは太陽を背に電信柱の上に立っていた。




【さつきの疑似魔女結界】
 ほむらのソウルジェムに細工を施して映し出した世界。
 映画におけるほむらの魔女結界とほとんど同じだが、再現範囲が風見野まで拡張されていたり使い魔がいなかったりなどの違いがある。
 結界の維持・構築はすべてさつきとキュウべえで行っており、ほむらへの負担は一切ないように設計されている。


【キャラ紹介】
暁美ほむら
 叛逆の物語の映画における主人公。
 基本的に冷静で落ち着いているように見えるが、これだと目的を定めると視野狭窄になるのは美樹さやかと同じ。また、まどか教の狂信者でもあり、言葉の節々にまどかへの深い愛と覚悟が表れている。
 シナリオ進行役として動かしやすく、どのキャラとも接点を持ちやすいのが特徴。行動原理もはっきりしていて感情移入もしやすく、人気キャラになるのも納得。
 今作ではまどかを覚えていたのが一人じゃなかったというのもあり、原作ほど追い詰められてはいない。また、さやかの「まどかの想いを踏みにじることになる」という言葉を受けたことで、一時は過去へと戻るのを躊躇するが、結局は救い出す道を選ぶことになる。
 まどかを救い出すための筋道があったので乗っかった形。それがなかったのが映画で、一人で何とかしないといけないっていう状況だったからあんなことになった。


美樹さやか
 叛逆の映画では前作主人公みたいな立ち位置。
 円環の鞄持ちという天使のようなポジションで登場し、悪魔となったほむらとは対を為している。想いも性格も真っすぐなのにやること為すこと裏目に出ちゃうのがかわいそうでもあり、さやからしいとも言える。
 今回は魔女化案件ではなかったのでまどかの記憶と力を預かっているわけではなく、ただただ円環の理そのものを守るために動いている。まどかから力を借りてさつきに戦いを挑んだが、相手にされないレベルで完敗を喫する。相手が悪かったよ、うん。


渡里さつき
 今作の主人公でTS魔法少女。
 本人の言う通り世界で2番目に強い魔法少女で、なろう系の魔法使い主人公をイメージして描いた。(悪魔ほむらも入れれば3番目に強い立ち位置)
 強さを盛った結果、戦いを成立させるために結界の維持と修復、侵入してくる魔法少女たちの迎撃をしながら、因果バフを受けた巴マミと佐倉杏子を相手取るという少年漫画みたいな展開になった。
 結界維持のために常に魔法少女の姿となっているが、学校に行く際は服装のみを制服に変更している。なお、本人は男女の境界線が分からなくなってきた気がすると供述している。


百江なぎさ
 さやかと同じく円環の鞄持ちの一員として登場。
 お菓子の魔女シャルロッテの元になった魔法少女で、魔女の力はさやかがスタンドとして扱うのに対してこっちは変身型。映画ではほむらの記憶にある魔女の姿で潜入していたが、今作ではさつきの監視の目を搔い潜るために普通の小学生として潜入した。
 一人称は「なぎさ」で、語尾に「~なのです」と付ける特徴的な喋り方をする。武器のラッパはモベホーンという名前がついており、アニメでも使い魔が口からシャボン玉を吹いているのが確認できる。
 余談ではあるが、シャルロッテの魔女空間には「WATASHI HA HOMUHOMU HA DESU!!」という魔女文字があり、未だに謎の多い魔法少女であることが窺える。


巴マミ
 叛逆の映画では独りぼっちじゃなくなって無双状態の人。
 ナイトメアとの戦いではピュエラ・マギ・ホーリー・クインテットというチーム名で正義の味方と中二病を反復横跳びしながら満喫し、精神的にめちゃくちゃ余裕がある完全体マミさんの状態になっていた。
 今作ではさらに因果ブーストもかかり、パーフェクトマミさんが誕生。ただでさえ戦闘力の高いマミさんは手が付けられないレベルで強くなった。

\モウナニモコワクナイ!!/


佐倉杏子
 叛逆の映画ではなぜかさやかの家に居候してた人。
 さつきへの印象は「マミさんと同じ正義の側の人間」という見方なのでかなり色眼鏡がかかってる。少なからず、自分ができなかった正義を貫くという行為をやって欲しいと思っていた。
 因果ブーストを受けた杏子はただでさえ素早い動きにさらに磨きがかかり、固有魔法を使わずともベテラン扱いされていた実力がさらに向上した。
 また、この世界では自身の固有魔法に対するトラウマも克服済みのため、幻惑魔法による多人数攻撃が可能という壊れっぷりを発揮している。
 マミさんとどっちが強いんだろうか…。


鹿目まどか
 本編でも映画でも最後しかほとんど出番がない主人公。
 今回もお留守番を食らった。なお、円環所属の鹿目まどかさんは「そんなのってないよ! あんまりだよ! ひどすぎるよ!」と申しており、出番増加の要請を出し続けている。


人◕ ‿‿ ◕人
 シナリオ進行役&説明役&ヘイト管理役の宇宙人。
 何が起こっても結局こいつが悪いってことにしておけばすべて丸く収まる都合のいい敵役。すべてのヘイトを集めた結果まどマギ視聴者はキュウべえアンチしかいないので、アンチ・ヘイトタグすら必要ない。

\ドウシテキミタチハボクオワルモノニシタガルンダイ? ワケガワカラナイヨ/



『考察好きの皆様のために』
 展開予想のコメントをしたいけどガイドライン違反になるから駄目だ、というお悩みを抱えている人のために考察の魔女の憩いの場という考察スペースを作りました。
 作者自身は展開予想合戦や作品への考察も含めてその作品の面白さだと思っているので、感想欄ではできないことをやってもらえればと思います。
 もし、このやり方が何らかのガイドラインで禁止されていた場合は、予告なく取り潰しする可能性があるとだけ留意しておいてください。


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