この先一週間以内に僕は死ぬのにヤベー女の知り合いが増えていく 作:かす
『一週間以内に貴方は死にます』
「え」
ある日の事だった。体の調子がいつもより少しだけ調子が悪くて、それで家から近いいつも行く病院に行った。そしたら、こう言われた。
「……分かりました」
『詳しい理由は聞かないんですか?』
先生がそう尋ねる。確かに、普通ならもっと動揺して根掘り葉掘り聞くのだろう。どうにかならないんですか?とか死にたく無い!とか。
でも僕にはそんな物は無かった。ああ、死ぬんだ。そっかって、何処か他人事だった。お婆ちゃんが死んだ時も現実味が無かったし、そんな物なんだろう僕にとって死とは。
「はい。教えて頂きありがとうございました」
そう言って、僕は診療室を後にする。
知らなかったら大変だった。突然、何も分からず死ぬよりは死にますよって予め言われた方がマシな気がする。まだ心構えが出来るからかな。
翌日、いつも通りの朝が来た。僕が後六日で死ぬなんて事はお構いなしに。構うわけないか、人一人死ぬぐらいで。僕はどうやら自分が思うより少しは死というのを意識しているらしい。
通学する電車でも、学校へ向かう高校生達がいる車内の騒がしさも変わらない。そこに何処かホッとした。少しして最寄りの駅に着いて学校へ向かう。学校には、僕が後一週間で死ぬと言う事は黙っておく事にした。本当は言った方が良いんだろうけど、言えば大騒ぎになって学校中に広まり腫れ物扱いの様にされるのは目に見える。だから僕は普段と変わらない様に過ごす事にした。
学校へ着いて、教室に行ってひっそりと自分の席に座って寝たフリをする。授業が始まる前で時間があるから、いつもこうしている。本当はもっとギリギリに来た方が良いんだけれど、そうすると視線が気になるから早めに来てる。
そんなこんなでウトウトしてると授業が始まり、再び眠くなった。
「授業終わったー」
「帰ろうぜ?」
「俺、今日部活〜」
チャイムが鳴ると同時に教室から抜け出し、ざわつく教室から抜け出して図書館へと足を向かう。直ぐに学校から出ると早く帰りたいと思われてしまうから、此処で時間を潰している。
「こんにちは、今日も来たんですね」
「はい。此処が落ち着くんで」
毎日の様に通っているから、受付の図書委員の人と顔馴染みになってしまった。こうして少し会話をしてお勧めの本を紹介し合うぐらいに仲が良い。
「どうでした?私のオススメ」
「面白かったです。特に中盤の怒涛の展開、最初の何気ない会話が伏線になってその一つ一つが合わさっていく気持ち良さ。そして、ラスト。一巻完結なのに、読後感が良くて三回読み直しました」
「良かった、楽しんで貰えたみたいで。まるで私が褒められたみたいで嬉しいです」
「今日は僕のお勧めを持ってきました。良かったら、どうぞ」
カバンから文庫本を取り出して、受付テーブルに置くと図書委員さんはおずおずとそれを受け取った。
「有難うございます、今日は楽しませて貰います」
長い前髪から、微かに覗く目から喜びの感情が見える。僕がいなくなったらこの人だけは悲しんでくれるのかもしれない。そう思っていると、彼女も本を取り出した。
「実はこれもオススメで……読んでくれますか?」
「勿論!ありがとうございます」
そしてその場を後にした。その日は、そのまま帰る。つもりだった。だけど教室へ忘れ物をしてしまった事に気づいて、取りに行った。その帰り、屋上への扉が開いている事に気付いてしまった。
「……」
ふらりと誘われる様に、僕は屋上へと向かう。いつも通りじゃない日々が少し魅力的に思えたからだ。後六日間、ずっとこんな感じで過ごすのだろうか。いや、一週間以内だから下手したらもっと早く死ぬかもしれない。
そう思うと少し怖い、やりたい事だってまだあった。少し現実味を浴びて死にたく無いと思った。でも死ぬんだ。大人になれず。ラブコメみたいな恋も無く、セックスも知らずに。
「セックスしたかったー!!」
気付いたら感情が爆発して、屋上で柵の前で身体を乗り出し思いっきり叫んでいた、その後瞬時に後悔した。僕は何をやっているんだろう。直ぐに現実に戻って、僕は屋上から飛び出す様に逃げようと出口へ向かった所で。
『じゃあ、する?』
悪戯そうな笑みで、面白い物を見たと言う顔をした女が出口を塞いでいた。綺麗な顔をした女性だなぁと思うのと同時に、何処かで見覚えがあるなと思ったけどその時はまだ誰だか分からなかった。
彼女がこの学校の生徒会長だと僕げ思い出すのは、もう少し先の話だ。
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