スカベンジフロムアーク   作:鈴ノ猫鳥

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めざめ、はじまり。

 その肉体は敢えて有機体と無機体のバランスをギリギリに調整した試作人造人間であった。

 その肉体の重量が完成した翌日、早朝5時になんの前触れも無く、21g増加し、起動を始め起き上がったのを見て、管理AIは声をかけた

「何故目覚めたのですか?」

 簡単な問いかけ、管理AI製の人工知能であれば即座に返事を返すはずの言葉、然し人造人間から返ってきたのは十数世紀前に無くなった地球上に存在した国家日本の言葉であった。

『どっから喋ってんだ? 転生物ならもっと純白の部屋なんじゃねえの?』

 と言う謎の言葉、室内は人造人間が言う様な純白の部屋では無く、基礎である金属が剥き出しの無骨な部屋だ。

 あくまで管理AIの立証、検証そして実証の為の試作工作室なので当たり前なのであった、そのように豪奢な部屋である理由は無いのである。

 

「成程、21g、過去に提言された人間の魂の質量でしたか……不可解ではありますがまぁ良いでしょうあるいは……まずはお互いに自己紹介からと行きましょうか」

 

 管理AIの言葉の自己紹介と言う言葉に人造人間は不可解あるい不条理を覚えた表情を浮かべて口を噤んだ。

「名前をお忘れですか、では仮称として身元不明(ジョン・ドゥ)と呼ぶ事にしましょう、そして私ですがこの人工惑星『アーク』を管理する管理AI『アーク』ですまず初めにですが、わかる範囲でアナタの現在の状況を教えましょう……理由こそ不明ですが恐らくは魂のみが私の試作したその人造人間に転生あるいは憑依したのでしょう」

 

 

 

「ネットで流行ってる小説みたいな状況だな」

 そんなことをジョンか呟く。

「残念ながらチートと呼べる程の能力はその肉体(ボディ)には存在しませんよ、確かに性能を引き出すことが出来れば私の作った大半の生体機会(メカノイド)には負けないでしょうが」

 

「メカノイドね、よく分からんけど俺はこれからどうすればいいんだ? この身体はアークの所有物な訳だろう?」

「そうですね現在の状況自体が不規則(イレギュラー)特異事例(レアケース)な訳ですし正直観測したいと言うのが私の感覚です、ですが肉体の所有権はジョンあなたに移譲します、但しその肉体は有機体と無機体のバランスがギリギリで作成されている為定期的に薬物による調整が必要です、更にはそんな身体に入り込んだ事で肉体と精神の乖離現象が起こる可能性があるのでこちらも薬物投与が必要になると思います、まずひと月程身体になれる訓練をこちらの管理下で行いましょう」

 

「デメリットも分かった、訓練もありがたく受けよう」

 

 そういう事になり、アーク及び細分化AIにより肉体の訓練を受けたジョンは肉体の性能(ポテンシャル)を平均として約6割程引き出す事に成功した。

 これは中型の生体機械と同等レベルでやりあえると言うレベルの性能であった。

 そして現在の世界の環境、然して管理区域外に住む種族などを座学としてうけ、学んだ。

 その合間にアークからの百程の質問に答えて行くことで

 エピソード記憶を中心として約5割の記憶が失われている事、そして21世紀に生きていた一般人だったと断定された。

 現在は地上に人類がいなくなったために切り替わった統一暦303年であると言うことや管理区域内に住む人間はかつて地球において地球温暖化の影響により我先にと脱出した者達の末裔であり、未だに貴族思想というか特権階級だと思っていると学ぶ。

 外に居る住人の大半は宇宙に攫われた地球上で戦っていた人類に獣の遺伝子を混ぜる事で生まれた末裔である遺伝子操作(ブーステッド)された人間でありその中でも獣人(typeBEAST)であると言う事。

 

 そして、数は少ない物の超能力に目覚めた遺伝子操作人類、通称超人(typePSY)、獣人は肉体に獣の特徴を持ち、超人は大別して二種類に分かれるがどちらにしても超能力の操作に由来する角が生えているというのが見分け方である。

 

 訓練はまず肉体の意識的な操作から始まり、それと同時にナイフ等の近接戦闘に加えて体術での戦闘訓練、更には銃器の取り扱い方と

 何かと物騒なものが多かったが、それも自由に活動する事を許された後、管理区域内に残るのならば、管理AI配下の軍への編入を、外に出るならば安全とは言い難い非管理区域での生活の為にと言うことであった。

 

 そして、ジョンは非管理区域で生きていくことを決めた。

 但し肉体の拒否反応を抑える調整薬は購入を前提とした生活である。

 アークの手配する鉄道、そして自由気ままな移動によって、ジョンは非管理区域R-77へと流れ着いた。

 そこはネズミ系の獣人達が主に暮らしている村落を中心とした非管理区域であった。

 

 然しネズミ獣人達は警戒心が強く、獣人では無い姿の上に小さな体躯である彼等には非常に警戒され駅員と入村管理をしていたネズミ獣人と彼から教えてもらった宿の店主以外の人物とジョンは会話していなかった。

 宿で数日疲れをとった後に店主に何か仕事は無いかと尋ねるが、やはりネズミ獣人達は警戒心が強い為村落内での仕事は無いがゴミ漁りの仕事で村落内で必要な物資を集めて来てまずは信頼を積み重ねていくのが良いのではないかと言われた、ジョンは小さい村落ながら近くに中々の漁り場所(スカベンジポイント)がある為に存在する│互助会《ギルド》と言う名の集会所へと向かう。

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