スカベンジフロムアーク   作:鈴ノ猫鳥

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迷宮、施錠

 運がいいのか悪いのか、R-44の近辺に迷宮が出来た点は間違いなく、住人にとっては不運だろう、だが迷宮からはこれまで近辺では入手出来なかった物資の入手などの利点もある、そこに関しては幸運である。

 更に鍵の主がすぐに現れ、迷宮側に寝返る人物でなかったのも幸運であった。

 居住地から徒歩三十分程、目の前に現れた迷宮の入り口は、迷宮側の自然の草木が金属製の廊下を侵食している景色だった。

 

「チィウ、何か匂いがキツいッスよ」

 普段草木の匂いなど、嗅がないであろう鍵の主が鼻を抑えながら嘆く。

「暫くすれば慣れるだろうさ、そういえば名前は? 俺はジョン・ドゥだジョンと呼んでくれ」

「チゥ、私の名前はラティッス」

 その返事に銃を手にしいりくを警戒しながら返事をする。

「そうか、ラティ、サッサと終わらせて帰るとしよう」

 少女に声をかけ、出来るだけ気配を消しながら先行し、通路の奥、迷宮の入口を覗きクリアリングを行う。

「鍵穴は入ってすぐの部屋にありそうッス」

 どうやら鍵の主は鍵穴の位置を大まかに分かるらしい、しかし入ってすぐなら、それはそれで鍵穴を守っている敵が居そうだな。

 中をクリアリングした地点には何の気配も無い。

 代わりに植物のツタが巻き付き地面に固定されたコンテナが複数見える、更に奥には何らかの施設として扱われていたであろう頑丈そうなテントがある。

 そして幾つかのタンクが転がっている。

 つまり、入口からは見えない死角がいくつもある。

「ここからじゃ少なくとも俺には鍵穴は見えないな」

 様子を伺っていると

 

 タンクの裏からゴソゴソと何かが動く気配を察知する。

 右手に剣鉈、左手に蒸気銃という体勢でタンクの裏の気配目掛けて狙いながら飛び出し姿を晒す。

 そこに居たのはネズミ達と似た様な背丈に体格にネズミの耳に似たモノを持つネズミ獣人と少し似た醜悪な人型の存在だった、仮称としてゴブリン+ラットでラトリンと呼称する。

 その手には錆び付いたラトリン基準の長剣を持っている。

「ッセイ!」

 踏み込むと顎を狙い蹴り上げる。

 耐えきれなかったラトリンは仰向けに倒れたので、そのまま胸部を踏みつけて押さえ付けて剣鉈を首筋に振り下ろす。

 明らかな人型なのだ、弱点も似たような物だろう。

「あの奥に鍵穴ありそうッスよ」

 タンクの奥側にあって先程まで見えていなかった扉をラティが指差す。

 扉前までさっさと移動して扉向こうの気配を探る。

 中で物音などの気配は無い。

 身動きひとつとらない何かがいる可能性もあると思い、扉をそっと静かに開く、が警戒のし過ぎか中には何もおらず、宙に浮いた鍵穴を見つけた。

 ラティがその鍵穴に手を伸ばし手を捻ると、ガチャンと空間が音を鳴らし鍵が閉まる。

「これでもうこの迷宮から敵が出る事無くなったッス」

「じゃあさっさと戻るか 」

 帰還途中も何事もなく、俺とラティの初めての仕事は終わった。

 帰り道でラティが呟く。

「そう言えばついさっき思い出したんッスけど、迷宮に飲まれた場所多分ですけど小規模の居住地だったかもしれないッス」

 殺す事になった仮称ラトリンが、元の住人だったとしても、鍵穴を閉めた後にも残っていた、生えた植物などから考えると不可逆である可能性が非常に高い。

 それこそ迷宮入口に着くまで一時間程度であの状態になっていた以上助けられた可能性は残念ながら皆無である。

「まぁ、仕方なかったな」

 戻った後トタン板の依頼とラティの護衛の報酬を受け取り宿へと戻る。

 




迷宮災害
現在管理AIアークにより確認されている多元並行世界の最低ひとつにより科学と通称魔法による自称人工惑星アーク世界への侵攻。
管理AIアークによる侵攻目的は向こうの世界に存在していない金属資源や人員の奪取と考えられている。
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