「…………マーゴちゃん?」
「私が殺した…………その根拠はあるのかしら?」
「その前に貴女のその時の一連の動きを聞いて良い?」
「ええ、構わないわよ?」
マーゴは艷やかな笑みを浮かべる
「そうね、取り敢えずメルルちゃんの死んだと思われる1時間の話をしましょうか、その時は図書館にいて、30分もしない内にエマちゃん達とラウンジに居たわ」
「うん、最初にシェリーちゃんとハンナちゃんが居て、その後僕がメルルちゃんと短い間だけど通話してラウンジに行ったんだ、その後ナノカちゃんとマーゴちゃんがラウンジに来た」
「では、死亡推定時刻は死体発見の【20分前〜30分前】と言う事ですね」
「その後私とナノカちゃんは自分の部屋に戻ったわ。そこから死体発見まで、2人で一緒に居たの」
「つまり、宝生マーゴにはアリバイがあると言う事よ」
「これでもまだ私が犯人だと言うつもり?」
「うん、貴女が犯人だよ。宝生マーゴ」
「ではユリカ君はこのアリバイを崩す証拠を持っているのかい?」
ユリカの堂々とした態度にレイアは困惑しながらもそう尋ねる
「うん、前提として、橘さんが言った【20分前〜30分前】が死亡推定時刻と言うのは【桜羽さんが氷上さんと通話をしたから】と言う証言による物だよね?なら、もしその前から氷上さんが死んでいたとしたら?」
「はぁ?あんた何言ってんの?死人が電話なんて出来るわけ無いじゃん」
ココが当然の事を口にする
「その通り、死人…………つまり被害者である氷上さんは通話出来ない、でも、犯人は?」
「あ」
「宝生マーゴが犯人であると仮定した場合、桜羽エマの証言による死亡推定時刻は当てにならないと言う事態が発生する。更に死んだ筈の氷上メルルを相手に違和感無く演じる事は機械等では不可能、つまり宝生マーゴ、犯人は貴女しか居ないと言う事になる」
「フフフ。確かに面白い推理ね。でもユリカちゃん、その推理には致命的な欠陥があるわ」
「……………………」
「貴女も気付いてる様だけど、その推理では死亡推定時刻に頼り過ぎていると言うことよ」
「どういう意味ですの?」
ハンナがマーゴに問い掛ける
「簡単な話、今の話は【メルルちゃんを私が殺した】と言う確固たる証拠が無いと言うことよ」
「証拠ならあるよ、まぁ、まだ無いけど証拠にはなるというべきかな?」
ユリカの言葉にマーゴが顔を顰め少女達は首を傾げる
「桜羽さん、さっき氷上さんと通話したって言ってたよね?」
「う、うん。ちゃんと履歴にも残って」
「もう一回掛けてくれる?」
「??分かった」
エマは不思議に思いながらもメルルのスマホへ通話を掛ける
すると、数秒で電話を知らせる音がヒロの服のポケットから流れメルルのスマホが出てきた
「これは!!」
「これが君の言っていたマーゴ君が犯人である証拠かな?私には寧ろヒロ君が犯人である確固たる証拠に見えるのだが?」
「ねぇレイアさん、この場において最も重要な証拠って何だと思う?」
「む?う〜ん…………何だろうか」
「答えは【指紋】だよ」
その言葉に全員がハッとする
「まぁ、皆知ってる事だろうけど指紋は人によって形が違う。手袋を付けていたらスマホの画面は反応しない。もし、氷上さんが死んだ後氷上さんのスマホから宝生さんが電話したとしたら、残ってるはずだよね?宝生さんの指紋、つまり犯人の指紋が」
「何を言うかと思えば、ユリカちゃん、貴女にはほとほとがっかりよ、こんな場所にそんな物が分かる設備があると思う?」
「確かに、必要最低限の生活の為の設備しか無い。そんな物があるとは思えないわ。それとも貴女はそんな物も複製出来ると言うの?」
マーゴの指摘にナノカが肯定を示しユリカにそう尋ねる
「確かに、ここにそんな設備は無いし私もそんな物は見たこと無いから生み出せない」
「では、意味がないではありませんか」
ユリカの言葉にハンナが突っ込むがユリカは堂々としている
「でもね、指紋って身近な物で意外と簡単に見れるんだよ?」
「そうなのか?」
「例えばアイシャドーの様な粉を振りかければ物に付いた指紋を浮かび上がらせてくれる、他にも小さい箱の中で証拠と一緒に煙の出る物を入れると指紋が浮かび上がるらしいよ」
ユリカはそう言うと煙草とライターを取り出しマーゴに見せるとマーゴは青い顔をしていた
「二階堂さんはポケットから取り出した時手袋をしているから彼女の指紋は出ない。調べてみようか?氷上さんの指紋しか出てこないのか、或いは犯人の指紋も出てくるのか」
(まぁ、専門家でも無ければ指紋の見分けなんて付かないけどね)
ユリカは心の中でそう考えながらマーゴの発言を待った
「………………………………ハァ、とんだ名探偵がいたものね」
マーゴは降参と言う様に両手を上げる
「認めるのか?」
ヒロが尋ねる
「ええ、私が氷上メルルちゃんを殺したわ」
宝生マーゴは達観した顔で自身の犯行を認めた