自己紹介が終わると例のゴクチョーと名乗る梟と看守が現れる
「あ、人がいっぱい。えっと、改めまして…………この屋敷の管理を任されている可愛いフクロウ、ゴクチョーと申します。定時とかもあるので………さっさと説明をしていきますね」
全員がゴクチョーに注目しゴクチョーは話を進めていく
「あっと…………凄く申し上げ難いんですが…………皆さんは【魔女】になる因子を持っています。」
(知ってる…………)
ユリカは煙草の煙を吐きながら心の中でそう思う
「偉い人が決めた話では【魔女】はこの国にとって、災厄を齎す悪らしいんです。我が国の法に基づいて全国検査によって、皆さんはその因子が大きく検出された存在。この国にとってあまりに危険であると判断され、この牢屋敷への収容が決まったんですね。いずれ【魔女】になる可能性があるとなると、野放しには出来ませんので…………つまり皆さん、この世界に害をなす悪者って事で………ご納得下さい」
「はぁ?なんなんお前キモ!!そんな検査やった覚えないんですけどぉ〜?」
ゴクチョーが話し終わると沢渡ココが声を上げる
「私に文句言われましても…………私はただの可愛いフクロウなので…………皆さんにはこの春から囚人として生活してもらいます。救済が無くもないのですが…………【大魔女】さえ見つかれば皆さんの呪いを…………あ、でも、期待とか持たせても良くないですよね。忘れて下さい」
ゴクチョーはバツが悪そうにそう言うと思い出した様に再び話し始める
「あ、因みに看守は嘗てここに収監された者が魔女になってしまった姿です。【なれはて】と呼ばれています。多くの魔女になった者は処刑されますが、与しやすい者をマインドコントロールしてます。逆らったら殺す様に洗脳してしまったので…………ほんとすいません、逆らったら死んで下さい」
重々しい沈黙が広がる中二階堂ヒロが1歩前に出る
「間違いです。私は悪ではない」
ゴクチョーの説明を跳ね返す端的な言葉には一切の迷いがなかった
「この国に災厄を齎す危険因子はこの子の方だ」
エマを指差し宣言する
「はぁ〜、あの、頼みます。悪者を受け入れて下さい。私は残業したくないし皆平和に楽しくがいいので」
「間違っている、私は悪じゃない」
ヒロはそう言い歩き出す
「この世界を正すことが出来るのは私だけだ、私はこの世の悪を排す。まずは」
「………………………………」
ヒロはそう言い火かき棒を手に取る、同時にユリカも煙草の火を消し前に出る
「貴様だ!!化けもっ!!」
ヒロが走り出そうとした時、その首根っこを掴む手によりヒロの体が宙を舞う
「ちょっと落ち着きなよ、はいこれ飲んで〜」
「ガボッ!!ゴホッ止めッ」
ジャバジャバとヒロの口に琥珀色の液体が流し込まれヒロは拒否しようとするが無理矢理流し込まれる
(酒!?未成年飲酒は正しくなッ)
やがて中身を全て出した瓶がヒロの口から離れる
「ゲッホゴッホ!!な、何を……」
「私の好きなお酒〜♪」
笑顔でそう言うユリカをヒロはキッと睨むが顔を赤くし揺れる視界と千鳥足を踏む姿に威厳は無く遂にソファに倒れ寝息を立て始める
「う〜ん、初心者にはちょっとアルコールが強すぎたかな?」
多少強引なやり方と自負しつつもヒロの凶行を止める
(取り敢えずはこれで良いや)
「良く分かりませんが最後に皆さんに最も大切な事を教えておきます。魔女になりつつある者は抑えきれない殺意や妄想に疲れてしまいます。面倒な事に、いずれ囚人間で殺人事件が起こるんですよ」
「殺人事件!!」
橘シェリーは言葉とは真反対の嬉しそうな声を上げる
「そうなんですよ……毎度の事なんですよねぇ……流石にそんな危険人物とは一緒に生活できませんよねぇ。と言うわけで殺人事件が起こり次第【魔女裁判】を開廷します。魔女になった囚人は…………あのー…………処刑しますので。詳しくは【魔女図鑑】をご覧下さい。では」
ゴクチョーは羽ばたき部屋の向こうへ消える
ゴクチョーが消えたラウンジでは再び重々しい沈黙が広がっていた