魔法少女ノ魔女裁判 運命の中の少女   作:寝心地

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第20話

「…………ユリカ君が」

 

「ココちゃんを殺した犯人?」

 

「………………………………何で私?」

 

「考えてみればそれが出来るのは君しかいないからさ」

 

「ま、待てよ二階堂!?何でいきなり真田が犯人って事になるんだよ!?」

 

「私の推理はこうだ、そもそも沢渡ココは本当に【シャワールームで配信していた】のか?」

 

「どういう事?」

 

「エマも私もシャワールームで沢渡ココの姿を見ていない、ならそこ以外で配信していたと言う可能性が出てくる」

 

「まぁ、当然の結果だよね」

 

「ああ、そして沢渡ココは一体何処で配信していたのか、彼女は配信する時こう言っていた『防音効果のある場所が良い』と、そしてそんな場所はシャワールームか、後はレイアに調べてもらった場所だけだ」

 

「ああ、焼却炉室だね、そこには血痕らしき物が見つかった、因みに焼却炉室の部屋には鍵は掛かっておらず誰でも入れた、そして焼却炉の中からこれらが見つかった」

 

そう言ってレイアが提示した証拠の中には一部が焦げた衣服と燃えたロープ、そして空薬莢と絵の描かれた紙束があった

 

「ありがとうレイア、それで私の推理に戻るが、沢渡ココは焼却炉室で配信をしていた、そこに真田ユリカが現れ銃殺した、そして死体を焼却炉に入れ燃やし空薬莢とまだ弾が籠もっている銃弾を複製し入れ替えた」

 

「言いたい事は分かるけど…………じゃあどうして死体は中庭で見つかったの?それもあんなに燃えた状態で」

 

「それは、燃えなかったからだろう」

 

「燃えなかった?」

 

「純粋に様々な物が足りなかったんだ、恐らく焼却炉の中で骨すら燃やし尽くす手筈だったんだろうが、彼女のライターと酒では幾ら焼却炉の中とは言え人間を骨まで焼き尽くすのは時間も火力も足りなかった、殺した瞬間は私達も見た様にアーカイブに残ってしまっている。私達が探す事は分かりきっているし長時間密閉空間である火の付いた焼却炉に居れば酸欠で死んでしまう危険もある」

 

「でもどうして中庭に?」

 

エマが問うとヒロが話を続ける

 

「恐らく一番安全だと思ったからだろう。草木が茂る場所で火を付けると山火事や森火事になる危険性がある。そうなれば自身も死にかねない。だが、中庭は植物があるとは言え人間の手が加わった整理された場所だ、周りに注意すれば大きな火事にはならない、まぁ、豪雨で火をつけられなくなった事は完全に予想外だった様だけどね、さて」

 

ヒロはそこまで言うと一度息を吐きユリカに問う

 

「まだ、私の推理に問題があるかな?」

 

ヒロの問いに自然と少女達の視線がユリカに集まる、ユリカは煙草に火を付け煙を吐く

 

「………………………………降参」

 

そう言い両手を上げた

 

「じゃあ、君が本当にココちゃんを…………」

 

「一体何故ですの?お二人は仲が良さそうでしたわ、それなのに何故…………」

 

「………………………………そう、皆にはそう見えてたんだ」

 

「え?」

 

ユリカはそれだけ言うとゴクチョーに催促された少女達が処刑のボタンを押す

 

「では、これより魔女の処刑を行います」

 

ゴクチョーが宣言すると歯車が回る音が響き処刑台が入れ替わる、現れたのはボロボロの玉座、その前には透明な祈る人間を模したガラスの入れ物があるが頭の部分に封はされていなかった

 

なれはてに連行されユリカは処刑台に送られ玉座に座らされる

 

「ああ、またこの光景か……………………」

 

ユリカの顔がヒビ割れ手足の爪がゆっくりと伸びる思い出されるのは過去の忘れたい筈の記憶

 


 

真田ユリカは無から生まれた存在だった

 

とある夫婦の家に突然現れた謎の赤子、子供が居なかった両親はその子を神のからの贈り物だと信じユリカを崇拝した

 

その後スクスクと育ったユリカは2つ目の奇跡を起こした

 

見たことがある物なら何でも作り出せる【複製】の魔法

 

その力は外の世界では強大で両親はあっという間に新興宗教を作り上げ信徒達はユリカを神の様に敬った

 

「どうか金を…………」

 

「どうか宝石を…………」

 

「どうかあの服を…………」

 

人々はユリカに求めた、自らの欲望を満たす物をもっと、もっともっと

 

もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと

 

軈て誰も【真田ユリカ】と言う存在を見なくなった

 

人々が見るのは【ユリカ様】と言う恩恵だけ

 

求められるだけ与え

 

求められるだけ応え

 

求められるだけ尽くしたのに

 

誰も【真田ユリカ()】を見てくれなかった

 


 

「だから彼女も殺した」

 

両の手に突き刺れた針からゆっくりと血が流れる、その血は管を通り何百と並ぶ祈るガラス人形達に注がれその瞬間に赤い蝶へと変わり空を飛び立ち再び同じガラス人形に血が入り蝶となり飛び立つ

 

まるで与えても与えても満足しない人間の欲望の様に

 

そして全ての少女が納得した

 

沢渡ココは何かを求める時必ずユリカに強請っていた

 

あれが欲しいこれが欲しいと、その代償を今回支払わされただけなのだと

 

「怖かったんだ、【ユリカ様】に戻るのが、嫌だった奪われるだけ奪われて何も得られないのが、だからあの子の命を……………………ああ」

 

薄れ行く意識の中ユリカはとある思考に至った

 

「煙草、吸いたいなぁ」

 

ユリカの手から煙草とライターが落ちる、それは奇しくも紫藤アリサの元へ滑りアリサはそれを拾う

 

「……………………あげる、もう私は吸えないから」

 

ユリカは笑顔でそう言い軈て眠る様に目を閉じた

 

「おや、珍しい事もあるものですね、完全ななれはてになる前に死んじゃうなんて、まぁ、無事犯人を見つけた事ですし、コレにて閉廷とします」

 

ゴクチョーはそう言うと飛び去り少女達は裁判所を後にした

 

紫藤アリサは1人となった房でベットに腰掛けると煙草に火を付ける

 

「…………ふぅ~………………ウチには強すぎる煙草だ」

 

誰に聞かせるでもない呟きは煙と共に消えた




真田ユリカ

原罪 信仰無き女神様
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