目の前に現れた真田ユリカにアリサは唖然とする
「真……田、何で…………だって…………死んだ筈…………魔女因子ももう…………」
「確かに私は魔女因子と共に死んだ…………滅びたと言った方が良いかな?今の私は偶然の産物みたいな物だよ」
「偶然の産物?」
「私が死ぬ時魔女因子を取り込んだ事で全身の細胞が魔女因子に置き換わってね、晴れて原初の魔女の仲間入りを果たした訳なんだけど、その時私の体にならず余った魔女因子を少しずつ皆に植えといたんだ、勿論感染力も繁殖力も無い状態でね。そして皆が命の危険に陥った時私が出てこれる様に細工をした、勿論これは政府側にはバレてない。上手くいく確証も無かったけど、この分だと成功みたいだね。しかもその煙草の力も借りたから普通より長く顕現出来る。あんまり時間も無いけど、さて」
ユリカは大人達の方を向く
「久しぶりと言っておこうかな」
「おお、ユリカ様。我々の為に施しを与えに来て頂き誠にありがとうございます。」
司祭の格好をした2人は頭を垂れそう言う
「何勘違いしてんの?私は彼女を助けに来ただけ、まさか何か月か居ないだけでこんな事になってるとはね」
ユリカは自身の実家の様相の変化に何処かがっかりしながら周りを見る
「お、恐れながらユリカ様がお隠れになった後我々は財政難に陥りまして…………経営が」
「ふぅん、どうせまた私の力を当てにして散財してたんでしょ、ギャンブル、最高級の食事、最高級の酒、聖職者とは思えない暮らしぶりだったね」
「「……………………」」
ユリカの質問に2人は何も答えずユリカは椅子を作り出しそれに座る
「取り敢えず紫藤さんの命の保証は私がする、誰も傷つけるな」
「……………………はい」
「それと、ユリカ教は今日で解散する、私がここに居られるのも一時的だし、もう財産を複製するつもりもない」
「そ、それはしかし!!」
「何?何か文句あるの?」
食いかかろうとする嘗て父と呼んだ男に絶対零度の視線を送る
「い、いえ」
男は顔面蒼白になりながら顔を伏せる
「私からは以上、行こう紫藤さん」
「あ、ああ」
ユリカらアリサの手を引き廃教会を出る
「……………………」
「……………………」
アリサは先を歩くユリカの顔を見るが先を歩くユリカの顔は見えず棚引く黒髪のみが揺れていた
玄関の扉を開けアリサと共に外に出る
「おっと、丁度時間みたい」
そう言うユリカの体はボロボロと焼けるように消えていた
「真田!!」
「流石に長時間の顕現は無理だったみたい。まぁ紫藤さんが無事で良かったよ。もうここには近付かない方が良いよ、色んな意味で、貴方の中にある魔女因子は全部使っちゃったから君は晴れて純度100%のただの人間だ」
「んな事はどうでも良い!!消えるな真田!!まだお前と…………」
「無茶言わないでよ、でもそうだね。私ももっと紫藤さんと話したかった、でもあんまり時間もないから1つだけ。気を付けて魔女因子は確かに君たち以外は消滅した。あと100年もしない内に絶滅する。けど、世界から脅威が消えたわけじゃない」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味だよ。原初の魔女になって死んだ影響か世界の理が分かるんだ。まぁ、魔法使って神様気取ってたら本当に神様になっちゃったって感じ?紫藤さんが巻き込まれる可能性も無くはない。二階堂さんとか自分から厄介事に首突っ込みそうだし。皆に伝えておいて、あ!魔女因子の件は秘密ね、皆を驚かせたいから。後は…………」
ユリカはそう言い煙草を咥えるとアリサにも差し出す
「……………………フッ」
アリサも差し出された煙草から1本取り出すとライターで火を付ける
「オメェが死んだ日、今でも夢に見るよ」
「そっか………」
ボロボロと崩れ落ちるユリカの体を見ながらアリサは続ける
「今でも後悔してる、あの日お前を行かせなければ、何時でもこうして煙草吹かせたんだろうな。でも、もうウチは大丈夫だ、こうしてまたオメェと会えたからな」
アリサは流れる涙を堪えながらユリカに笑ってみせる
「…………ありがとう、
ユリカは笑顔でそう言い残し完全に消えた
アリサは煙草の煙を吐きタバコを消すと自宅に向けて歩いて行った
アリサ編はこれで 完