一同の前に現れた純白の少女、月代ユキは何時もののほほんとした表情で皆の前に立つ
「随分騒がしいですね…………」
ユキの一言に全員の視線が雪に集まる
「お嬢ちゃんもここに住んでいる子か、君も外に出たいと思わないかい?」
そんなユキに一番に声をかけたのはマーゴでもアンアンでも無くマーゴの父
その言葉にユキは一瞬首を傾げ次にニコリと笑う
「私はずっとここで生きてきました。外の世界に出るのはヒロとエマと会う時だけ、なぜ私が外に出ないといけないのですか?」
「そりゃあこんなまともな整備も入っていない胡散臭い場所に君の様な子が居たら体に毒だからさ、だがうちに来ればそんな危険は無い」
その言葉に薄ら笑いを浮かべていたユキが固まると次第に空気が凍り付いていく
「成る程、あなたは彼らと同じですか…………良いでしょう。好きにしなさい」
ユキからの以外な言葉にマーゴとアンアンは目を見開き止めようとする
「そうか!!それは良かった、では是非マーゴと一緒に…………」
しかしそれより早くマーゴの父が口を開きユキをヘリに乗せようと動き出す
しかしユキはその手を跳ね除け更に口を開く
「ですが、彼女の怒りに触れない様に忠告しておくべきでしたね」
「は?」
マーゴの父の間抜けな声と同時にユキが空を見上げると先ほどからどんより曇っていた雲が突如雷を鳴らし始め雨が降る
その雨は次第に威力を増していきユキはマーゴとアンアンの手を取る
「その男から離れた方が良いですよ、彼女は相当お怒りの様なので」
「か、彼女って一体?」
マーゴが雨に打たれるユキに尋ねるとユキはニコリと笑う
「彼女は彼女ですよ、私も貴女もアンアンも、私の凶行を止めた貴女達全員が良く知っている彼女です」
その言葉にアンアンとマーゴは同時にその人物に行き着く
「まさか…………」
「アイツなのか?」
ドォーン!!と雷が近くに落ち光が一帯を包む、同時に今まで影も形も無かった1人の少女が姿を現す
「真田…………」
「…………ユリカちゃん」
「………………………………」
アンアンとマーゴがその人物、ユリカの名前を呼ぶがユリカは一切反応すること無くマーゴの父と政府の人間と思われる男を睨み続ける
「うん?君は…………君もここに住む子かな?君も一緒に」
マーゴの父がそう言いユリカに手を伸ばそうとした時政府の人間がその間に割って入りユリカに銃を向ける
「やはり生きていたな真田ユリカ!!貴様何を企んでいる!!」
「……………………………………」
男は油断なくユリカに銃を向け続けるがユリカは一切反応しない
「え?は?」
マーゴの父は目の前で起こった事が理解出来ずひたすらに間抜けな声を上げるだけで終わりユリカはそのマーゴの父に手を伸ばす
すると再び雷が鳴り何とマーゴの父に直撃した
「かっ!?」
一瞬の出来事にその場の誰も反応出来ずユリカは政府の人間を見る
『次は無い』
その言葉はマーゴ達には聞き取れなかったが政府の人間は顔を真っ青にしマーゴの父を置き去りにしてさっさと飛び去って行った
マーゴの父の遺体はユリカが指を鳴らすと炎が灯り骨すら残さず灰となり空に舞い気付けば雲1つ無い快晴が広がっていた
「…………ユリカちゃん?」
マーゴが恐る恐るユリカに声を掛けるとユリカはゆっくりと振り返りほほ笑みを浮かべていた
「ユリカ!!」
アンアンもユリカに抱き着こうとユリカの胸に飛び込んだが受け止められる事は無くユリカの体をすり抜けた
「水の反射で姿を現しているだけの様ですね。だから最初に雨を降らせた」
ユキが透過の正体を説明するとマーゴもアンアンも納得しユリカを見る、良く見ればユリカの体が揺れ足先から霧散していっていた
「ユリカちゃん!!その、ありがとう。貴女のお陰で私はまだここに居られるわ」
「わがはいからも礼を言う。マーゴを助けてくれてます感謝する」
『………………………………』
ユリカは何も言わず指を鳴らすとアンアンの手の中に瓶に入った小さな黒い丸薬が現れる
「それは魔女の治療薬ですね、原初の魔女達が作っていた薬の1つ、ソレを使えばどんな症状も治す事が出来る。魔女の魔法でさえ」
「ッ!!」
その意味が分かったのかアンアンはユリカを見る、釣られてマーゴとユキもユリカを見るが既にそこにユリカの姿は無かった
「……………………本当に感謝する。ユリカ、わがはい達を救ってくれて」
後日、マーゴとノアの部屋には2人の男女に囲まれ嬉しそうに笑うアンアンの写真があったと言う