4人で話を終えた後、帰路につくレイアはぼんやりと真田ユリカの事を思い出す。
自身の体験していない1度目・2度目そして体験した3度目、全てを通してレイアはユリカを【掴み所のない天才】と評価していた、普段はユラユラフラフラしており雲の様な存在だが重要な場面では嘘の様に真剣な目付きに変わる姿は大した絡みも無かったレイアでも不思議と引き寄せられ最後は皆の為に死んだ。
そんな彼女が牢屋敷居残り組の前に現れマーゴ達を助けた事がレイアは何処か嬉しかった。
「ユリカ君、君はその命を掛けて尚まだ皆を助けてくれているのかい?」
「まぁ、私としてもこのままの状況は不味すぎるからね」
単なる独り言にまさか返事が帰ってくるとは思わずレイアは声のした方を向いた、そこにはあの日の姿のまま苺のショートケーキを食べるユリカの姿があった。
「ユリカ君!?何故ここに…………」
「言ったでしょ、不味い状況にあるって。美味っ、さっすが超有名菓子店のショートケーキ」
ケーキを口に運びながらそう言うユリカにレイアは更に首を傾げる事になる。
不味い状況も何も魔法は全てユリカとユキの手により消滅した筈でありこれ以上悲劇の要因は無い筈だ、しかしユリカはこうして度々顕現しそれぞれの揉め事や問題を解決して回っている。
(ユリカ君本人が対処しなければならない程の事態………………………………分からない!!)
「その不味い状況というのは?」
暫く考えたレイアだったが答えは出ず素直にユリカに尋ねる。するとユリカは持っていたフォークをスッと横にスライドさせる。同時にレイアの背後の物陰から黒スーツにサングラスの男が何かに突き飛ばされた様に現れる。
「???彼は?」
「国家のエージェント、つまりは国側の人間だよ」
「ッ!!国の人間……なぜそんな人が、私達の嫌疑は晴れた筈だ!!」
「表向きはね、でも裏ではそうは行かない。魔女は世界の敵…………なんてゴクチョーは言ってたけど、と言うか実際そうだったけど、じゃあ皆が皆魔女を殺そうとしたかと言えばそうじゃない。魔女の力を利用出来ると考えたクソ野郎馬鹿野郎達は魔女を処刑する裏で利用出来る魔法を持つ者使えなくとも気に入った者達を利用してきた、政治的にも肉体的にも」
ケーキを食べ終えたユリカは皿とフォークを消しレイアに歩み寄る。
「ごめん、ちょっと体借りるね」
「え?」
同時にレイアの意識は落ち次に意識が覚醒した時、レイアは自身のベットの上で寝ていた。
日付を確認すると最後の記憶から2日経っておりその間の記憶だけが無い、混乱するままテレビを点けると【議員大量辞任】と銘打たれたニュース報道ばかりが流れている。
そんなニュースを見ながらぼんやりと朝食を取り1日のスケジュールの確認を終え母の面会に向かう。
母親は何時も通りレイアに見向きもせずボーッと流れるテレビを見ていた。
スタジオについても変な事ばかり、影でコソコソと自身の噂をしていたスタッフや芸能人達は掌を返した様にレイアのご機嫌取りに執心する様になっている。
結局訳が分からないまま1日を終えた、レイアは後は寝るだけと言う時に再び失った記憶を考える。
(あの時は確か…………ヒロ君・エマ君・ユキ君とユリカ君が……………………ユリカ君?)
同時にレイアは布団を跳ね除け起き上がる。
「ユリカ君!!そうだ!!ユリカ君…………」
全ての要因がユリカである事を悟ったレイアは怒るでも喜ぶでも無く少し困った様に笑い部屋の中に戻った。
「ありがとう、ユリカ君」
どういたしまして
と言う声が聞こえた気がしたがそこに誰も居らずレイアは眠りについた。