完全に虚を突かれた少女達は一言も声を発する事が出来ず裁判所は静まり返る
「ナノカちゃん…………一体何を?」
エマが声を上げ視線を看守に向けるが何故か看守は動く気配がない
「この馬鹿げた殺人ゲームを仕組んでいる黒幕が私達の中にいる」
銃を構えたままナノカは続ける
「私達が魔女になっていくのを誘導し、近くで見て楽しんでいる奴がいる。ソイツが真の牢屋敷の管理者よ。もう誰か予測はついている。大人しく名乗り出たら?私は貴女を決して許さない」
2秒3秒と時間が過ぎるがその間誰も何も言わず時間だけが過ぎていく
「自分が殺されたり、処刑されたりするかもしれないのに私達の中に混ざるなんて、悪趣味ね」
マーゴが声を上げたのを皮切りに全員が自身ではないと弁明していく
「ちょ、ちょ、ちょっとお待ちなさい!何故貴女はそんな事を知っていやがるんですね?そっちのほうがよっぽど怪しいですわよ!!」
ハンナが声を上げるとナノカは銃を下ろしその理由を話し始める
「これに関しては信じてもらうしかないけれど…………私の魔法は【幻視】なの」
「幻視?」
「その人自身や想いの詰まった物に触れると対象の過去や未来が映像として視える時がある。私は、牢屋敷の過去の情報を幻視で視たの。この銃も嘗て牢屋敷に囚われた人が魔法で製作し、隠していた事を視て、ここに捕まって直ぐに回収した」
「成る程、殺し合いが起きるかもしれない中、貴女だけ最初から銃を携帯していた辻褄は合うわね。レイピアはまだしも、銃はアンフェアだと思っていたの」
「ふむ、そうなるとナノカさんは魔法で黒幕がいる事がわかったと?」
「ええ。ここに捕まる前から私は牢屋敷の事を知っていた。そして、黒幕がいる事も。ただ、私の魔法は完璧じゃない。触れたら絶対に視える訳では無いし、偶然によるものが大きい、分かっていたのは、この牢屋敷で殺人ゲームを仕組んでいる誰かが囚人に混ざっていることだけ。だから捕まってから私はその黒幕が誰かをずっと探していた。そこで魔法が発動して、私は視たの。ぬけぬけと少女のフリをしている人物達を」
「……………………達?」
ナノカは再び銃を構える
佐伯ミリアそして真田ユリカへ
「ッ!!」
「……………………ん?」
「佐伯ミリアは本人の体を奪いここにいる。真田ユリカの方が恐らく黒幕、謂わば大魔女と言う奴ね、佐伯ミリアの方は彼女の目的を手助けするサポート役だと思う」
ナノカはそう言い幻視で視た情報を説明する
佐伯ミリアはとある男と人格を入れ替えられた
真田ユリカは世界の何でも無い場所に突如として出現した、母親の腹から生まれた訳でも無く、ある日突然赤子の姿でとある夫婦の前に
(ああ、よりにもよってそこを視られたのか)
少女達が混乱する中ユリカは漠然とそう思いウイスキーを煽る
「黒幕は私達を弄んで苦しめて…………全員を異形の魔女にする事を目的としている」
「…………ハッ…そりゃあそうでしょ」
ウイスキーの瓶を片手にユリカはそう呟き少女達の視線が集まる
「真田ユリカ、それは自白ということ?」
「ハハ、別にそんなんじゃないよ。ただどうでも良くなっただけ」
「…………どうでも良くなった?」
ユリカの言葉にエマは首を傾げる
「そっ、どーでも良い。もう脱出する手段は潰えちゃったから」
「どう言う事かしら♪」
「ゴクチョーが言ってたでしょ?救済は【大魔女】を見つけないといけない」
「確かに、最初にゴクチョーさんが言ってましたね!!」
「大魔女はね、13人の魔女が儀礼剣に魔力を集めて降臨させる必要があるんだ、謂わば14人目…………ここじゃあ15人目か、の魔女なんだよ」
ユリカの言葉に少女達は少しずつ顔が青くなる
「私達は既に、城ケ崎ノアさんと二階堂ヒロさん、そして蓮見レイアさんを失っていますわ…………」
「今残っている少女は全部で11人…………」
「そんな、じゃあ」
「そっ♪既に詰みって事♪」
ウイスキーを煽りユリカは踊る、その顔は赤くなっており目が座っている
更に牢屋敷全体が揺れるのを感じ羽ばたく音が聞こえ天を見上げる
「やれやれ、可愛いゴクチョーを撃つなんて、酷い事しないで下さい。代わりは幾らでもいるので今回は見逃しますが…………本来なら処刑ものですよ?裁判は終わりましたし、皆さん速やかに自分の房へ戻って下さいね」
ゴクチョーがそう言うと少女達は自身の房へ戻っていく
ユリカも同じ様に千鳥足でアリサの後を追い掛け房のベットに横になる
(そう言えば煙草と入れ替わった物が何か調べないとねぇ♪)
酔っ払いの思考でそう考えユリカは煙草と入れ替わった物を複製するが何も生まれない
「なぁ…………」
「ん〜♪」
そこでアリサが声を掛けて来た為ユリカは軽快に返事をする
「マジでウチら、もうここから出られないのか?」
「………………………………」
「なぁ」
アリサが不安そうにユリカの横になるベットを見ると
「zzzzz zzzzz 煙草♪ zzzzz」
「………………………………」
ユリカは気持ち良さそうに眠っていた
翌朝
ユリカは二度と目覚める事は無かった