姫川大輝は逆行する_が、どうにも弟が弟じゃない。   作:ある日の残り香

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 アクアくん(原作)の髪の毛ってさ、いい匂いするのかな。
 姫川さんはどう思いますか?

 あと、iPhoneを更新してからiPhoneの予測変換がバカになった気がしますが、私の気のせいですか?
 てにをはに干渉してきたり、ひらがなを別の文字に変えたり、そんなことばかりなんですけど。

 今回もルビーのキャラが著しく崩壊しています。


第十三話【そして旅は終わり(視点:星野ルビー)】

 私は、ママとせんせを奪った犯人への復讐を計画している。しかし、その取っ掛かりになるものが全く思いつかない。前に進めないもどかしさから、私はストレスが溜まりに溜まっていた。

 

 そんな時だった。ロリ先輩があの写真を見せてきたのは。

 

 視界に入って数秒間の間、私はその光景を脳で処理することができなかった。金髪の綺麗な少女が、黒い髪の男性に抱きついて離れようとしないという図であるが、その人物が誰であるかという情報を、脳が拒んでいた。

 

「さっき話した事件(アクアが消えてしまいたいと発狂したこと)が収まった時の写真なんだけど、昨日のアクアは凄かったわよ?すごく大泣きして、最終的には姫川さんにべったりして離れなくなっちゃったのよ〜!結局、昨日はアクアは姫川さんと寝たし。アクアも他人に対して甘えん坊ちゃんになることなるのね〜!」

「アクたんの新たな一面だね〜」

「……は?」

 

 この少女が、アクア?アクアが、姫川さんに抱きついた……?ひめ、姫川大輝が、アクアと一緒に……寝た………?

 

 私の脳内では、アクアがあられのない姿で布団に横たわり、その上に姫川大輝が覆い被さって、お互い指を絡めあって顔を赤く染めている不健全なイメージが浮かんだ。

 

「冗談じゃない!あの変態!!シスコン!!!実妹に手を出すとかマジで軽蔑するんだけどぉ!!!!?はぁ〜???!!!!私でもお姉ちゃんとここ数年一緒には眠ってすらいないんだけど〜!!!!!???てか、そもそもなにこれ!!!!?どうして姫川大輝がアクアに抱きつかれているんだ!!!!そこは私の場所だろ!!!!」

 

 運転してるミヤコさんすら「ひっ……」と声を上げるほどの音圧、怨念が車内を包み込んだ。ロリ先輩もガタガタ震えている。MEMちょも同様だ。

 

「許さない……姫川大輝……私のお姉ちゃんを、私のお姉ちゃんをよくも……」

 

 だが、脳裏をよぎるのはアクアが姫川に「姫にい」と笑いかける姿ばかり。アクアが、普段纏い続けている影を見せることなく、年相応の(肉体的な意味)少女として振る舞う姿だ。あの姿を引き出すのは、姫川大輝にしかできない。つまり、姫川大輝も復讐対象として殺してしまうというのはお姉ちゃんから、年相応の幸福感を奪うことにもつながる。

 

「……姫川大輝の手からアクアを取り戻して、アイツにはできない甘え方をしてやる。」

 

 ママの復讐よりも先に、やるべきことが決まった。これもまた、ある意味では復讐なのだろうか。

 

 

 

「今日のルビーは、いつにも増して甘えん坊だね。どうしたの、撮影大変だった?」

「うん……」

 

 私は姫川大輝の手から、アクアを奪い返すことに成功した。だが、これで終わりではない。私は、姫川大輝に見せつけるように、アクアの胸に顔を埋めた。お姉ちゃんはたしかに側から見れば絶壁であるが、それでも身体は女の子であり、たしかな柔らかさがそこにはある。これこそ、同性の姉妹か彼氏にしかできない甘え方だ。その上、私はこれを大衆の前でやってのけた。こんなのは、私にしかできないだろう。

 ククク、この様子を見て奴は大層悔しがっているは__

 

 姫川大輝は、まるで微笑ましいものでも見るかのように私たちを見ていた。まったくのノーダメージである。クソ、流石はお姉ちゃんの純潔を奪っただけある。くたばれ。逆にあかねちゃんが大きなダメージを受けているのが見えた。

 あかねちゃんが息を荒げながらアクアに近づいてくる。まずい、このままではアクアをあかねちゃんに取られる。私は、アクアを手放さまいとアクアの腕を思い切り引っ張る。あかねちゃんも、もう片方の腕を負けじと引っ張った。

 

「いたたたたたた!!!ね、ねえ千切れちゃう!!千切れちゃうから!!!」

 

 ああ、なんだろう。悲痛な声をあげて苦しむお姉ちゃんを見ているとイケナイ扉を開いてしまいそうだ。ああ、可愛いなぁお姉ちゃんは。

 

 

 

「でも、そのお姉ちゃんの中に五里さんはいないんだよ?」

 

 突如、背後から声が聞こえた気がした。気づけば私は真っ暗な空間の中に立っている。声の方へと振り向くと、そこには可哀想な少女(天童寺さりな)がたっている。

 

「私の嫉妬が五里さんを追い詰めて、そして殺してしまった。」

 

 私(さりな)は、自嘲気味に笑った。

 

「ねえ、私。私ってお姉ちゃんのことをちゃんと愛してたのかな?五里さんとして愛してたんじゃないのかな?なのに、今はそんな殻で満足しちゃうの?お姉ちゃんと呼んで、五里さんが消えた喪失感を埋めようとしているんじゃないの?」

「……。」

 

 これはきっと、私の無意識だ。これに対する答え方を誤れば、まるで五里さんの存在自体を否定してしまう気がして、私の中からも五里さんが消えてしまう気がして、怖くなった。

 だけど、これについては明確にしないと、私がアクアを愛している気持ちが嘘になってしまう。それは嫌だ。

 

「私は、お姉ちゃんを……五里さんを……」

 

 

 

「うぷ……」

 

 吐き気が込み上げてきて、私の意識は現実へと戻ってきた。

 

「ルビー!?」

「ルビーちゃん!?」

 

 お姉ちゃんとあかねちゃんが駆け寄ってくる。姫川大輝も驚きつつ、ポーチからエチケット袋を取り出して渡してくる。敵とはいえ、厚意を無碍にするわけにはいかないのでありがたく受け取った。

 

「過酷な練習の後にはしゃぎすぎちゃったね、ルビー……」

 

 お姉ちゃんが、背中を摩ってくれる。その動作は、優しさは五里さんと何も変わらなかった。

 

 私は、答えを出すことを保留にした。

 

 

 

 宿に入る直前、ミヤコママに呼び止められた私は、ミヤコママの元へ向かう。

 

「あなた、今朝から無理してるわよね?昨日の事件もあったし、今日は温泉にゆっくり浸かってしっかり休みなさい。明日の昼には、飛行機に乗って帰っちゃうんだから。」

「うん……そうする。」

 

 ミヤコママの優しが沁みる。でも、私には果たしてゆっくりしている時間はあるのだろうか。復讐を遂行するためにも、休まずに走り続けるべきなんじゃないだろうか。

 そんなふうに考えていると、アクアが声をかけてくる。

 

「ルビー、私さ。昨日諸事情があって温泉入れなかったんだ。一緒に入らない?」

「入りま〜す!!!」

 

 口は正直だった。

 

 

 

 思えば、お姉ちゃんと一緒にお風呂に入るのなんて身体が小さくて、一人でお風呂に入るのが危険だった小学生の時ぶりである。

 ちらっとお姉ちゃんの身体を見る。お姉ちゃんは、ひどく痩せていた。私の身体とは大違いだった。お姉ちゃんの身体は、汚れを知らぬ天使のように滑らかな肌をしていた。

 

「お姉ちゃん背中流して〜」

「子供じゃないんだから自分でやりなさい」

「もうちょっと高級なコースを選んでもダメ?」

「どこで覚えてくるのそんな言い回し……」

「ん?なんのことだと思ったの?お姉ちゃん?」

「……。」

 

 五里さんが憑依していた頃のアクアと、今のアクアの違いを見つけた。五里さんは下ネタをかましたら「アイドルが(年頃の子が)そんなこと口にしちゃいけません」と叱ってはくるものの造詣に深い上、たまにエグい話をすることもあったが、今のアクアは割とうぶである。耐性がないとも言えるだろう。今もほら、赤面して黙っちゃってる。

 

「ふふっ、お姉ちゃん男性経験ゼロだもんね〜」

「あ、あかねがいるから男なんていらないし……っ!!」

「なら姫川さんもいらないよね?」

「ひ、姫にいも必要だよ!そもそも、姫にいはお兄ちゃんなんだから男とは別枠でしょ!!」

「……はいはい。」

 

 お姉ちゃんが姫にいと寝たっていう話はロリ先輩から聞いてるんだよね。男性経験があることを知ってるんだよ、お姉ちゃん。なんで妹に手を出すような男を庇ってるのかな。

 

「それで結局さ。お姉ちゃんはさ、姫川さんのどこが好きなの?」

「はぇ?」

 

 素っ頓狂な声だ。質問の意図が掴めないといったような雰囲気である。

 

「とぼけなくていいよ、昨日姫川さんと寝たんでしょ?普通、好きでもない異性とは寝れないでしょ?」

「待って、なんか勘違いしてない?寝たっていうのは文字通りの睡眠、スリープだよ?」

「……そ、それ以外ないでしょ!!な、なんのことだと思ったの!?」

「うぇ……!?」

 

 危ない、普通に勘違いしてた。軽蔑は取り下げておこう。いやでも普通に羨ましい。でもつまり、まだお姉ちゃんは処女!!まだ今生に希望あり!!

 ママ、せんせ……二人の分までアクアは私が守るからね。

 

「さ、アクア!身体洗い終わったんだから温泉入るよ!!」

「もう温泉入った気分だよ……」

 

 アクアは私に揶揄われたのが恥ずかしかったのか、顔が真っ赤だった。五里さんじゃ、絶対こんなことにはならなかったんだろうなと思うと、少し面白い。

 

「もしかして、ルビー嫉妬してる?姫川さんに対して。」

「……。」

「まったくもう……」

 

 アクアが私の方を寄せてくる。それから、抱きしめて頭を優しく撫でてきた。こんなこと、初めての経験だ。アクアがここまで私にスキンシップをしてくることなんてなかった。私が求めても、「自分の妹とわかっていても犯罪臭が……」とかなんとか言って頑なにスキンシップを避けてきたお姉ちゃんが。

 ああ、そうか五里ちゃんはもういなく__

 

「可愛いなぁルビーは。」

「お、おお、お、お姉ちゃん!?」

「あんまり順位を付けるのはよくないんだろうけど、敢えてつけるとするなら、私はルビーのことが1番大事だよ。」

「うぇ、うぇへへへ……」

「何その笑い方……」

 

 直に感じるお姉ちゃんの体温。命の温かみ。ヤバ、脳に直接キく何かを感じる。今この瞬間は他のすべてのことがどうでもよく思える。浄化される気もする。見たか姫川大輝、これが妹の特権だ。いや、この様子を見てたら覗きか。

 

 そんな幸福感に包まれても、次の瞬間には復讐が脳裏をよぎり、その幸福も醒めてしまう。昨夜からずっとそうだ。楽しいこと、嬉しいこともその瞬間は感じ取れる。なのに、次の瞬間には「今はそれどころじゃないでしょ」と、せんせが殺されたという記憶と共に冷や水をかけられる。きっと、うつ病ってこんな感じなんだろう。

 

「ルビー……?」

「__なんでもないよ、お姉ちゃん!えいっ!」

「わっ!?」

 

 でも私はアイドルだ。もし暗く堕ちても、取り繕っていないと。

 私は「嘘」が嫌いだ。だけど、いつのまにか平気で「嘘」を纏うようになってしまった自分には気づけなかった。

 

 

 

「やだー!!お姉ちゃんと一緒の部屋がいい〜!!!」

「ルビー、あなたが決めた部屋割りでしょ……」

「あ、アクア。私は別に部屋変わってもい__あ、それだとあかねと同室になるのね。少し嫌かも。」

「わぁ、奇遇だねかなちゃん。私もそう。(かなちゃんと同室!?そんなの私の心がもたない!!かなちゃんかなちゃんかなちゃんかなちゃん!!!)」

 

 結局、部屋割りは変えなかった。夜、寝る前。お姉ちゃんから離れたことで、自然と思考が復讐で埋め尽くされる。

 そういえば、お姉ちゃんは裏方志望だったのに、最近は役者として仕事を自分からとりに行って、役者として活躍している。それ以前も、幼少期からカントクの元で仕事をしてでも、この芸能界(せかい)に固執している。

 もしかすると、彼女であるあかねちゃんなら知ってるかもと思い、それとなく聞いてみた。

 

「"会いたい人が芸能界に居る"って私は思ってる。その人に会う為に売れようって……多分そんな感じ?」

 

 眠そうなあかねちゃんの返答。だけど、その返答は不思議と正解な気がした。もしかすると、アクアも復讐を計画していて、その復讐対象を探している……?

 そこまで考えたところでノイズが走る。姫川大輝だ。彼もまた、芸能人であり、芸能界である程度まで登らないと会うことは難しい。彼を探していた、と見ても納得できる。わざわざDNA鑑定をしたくらいだし。

 うん、DNA鑑定?

 

「それって誰?」

 

 姫川さん以外にもDNA鑑定をしているのだとしたら、もしかするとアクアが探しているのは父親なんじゃ……

 アイを殺す動機、アイの担当医を殺してアイの出産を妨害する動機の揃った人間……犯人像としては父親というのが1番納得がいく。アクアがどのようにそんな結論に至ったのかはわからないけど、可能性は高い。

 

「分かんないけど……多分好きな役者さんとかだよ。結構ミーハーな所あるからアクアちゃん。」

「……そっか。ねえあかねちゃん。」

「もう遅いしそろそろ寝よ?」

「ごめん、最後に一つだけ。」

 

 もし、父親が復讐対象ならもうチェックメイトじゃん。だって、姫川大輝は異母兄。父親は同じなのだから、姫川大輝の父親こそが私の復讐相手になる。

 あかねちゃんが、寝返りを打つかのようにこちらを確認したことに気づいた。それから、あかねちゃんは身体を私とは反対方向に向けてから回答を口にした。

 

「姫川さんの父親、上原清十郎は死亡している。妻の姫川愛梨と心中したの。」

「……え?」

 

 死んでるー?!!!!!

 いや落ち着け私。そうだ、あの鴉少女が言うにはまだ捕まってない犯人は当時中学生くらいの男の子。私たちより姫川さんは4つ年上なのだから、姫川さんが生まれた時の犯人は……あれ?

 

「ごめん、あかねちゃん。そのウエカワセイジュウロウって人、小学生で結婚したの?」

「……なんで、そう思ったの?」

 

 一蹴されなかったことに驚いた。我ながら、おかしなことを言ってると思ったから。日本の婚姻可能年齢は今は男女共に18歳(女の子は16歳だったはずなのに……)。小学生で結婚なんてのはありえない。児童虐待だ。

 そう、普通は一蹴するはず。なのにあかねちゃんは、意図を聞いてきた。これは、何か知っている。

 

「あかねちゃん、なんか知ってるんだ?」

「……。」

 

 あかねちゃんが息を呑んだ。あかねちゃんは、自分が墓穴を掘ったことに気づいたらしい。

 

「……これについて、私から話すって決めることはできない。」

「教えてよ。なんで隠すの__」

「だから聞きに来て。」

 

 言葉の意図を読み解くのが難しかった。私がわからなさそうにしていると、あかねちゃんは言葉を付け足した。

 

「私とアクアちゃん、姫川さんが何かをこっそり話しているところを見かけたら、突っ込んできて。アクアはルビーちゃんを巻き込みたくないだろうけど、今のルビーちゃんを野放しにしていたらとんでもない無茶をしそうだから。」

「……。」

 

 ここまで仄めかされてわからないほど私は馬鹿じゃない。つまり、そういうことだ。

 

「3人とも、復讐を考えてるんだ?」

「……寝るよ、ルビーちゃん。」

 

 明言はされなかったが、私は確信を得た。

 

 

 

 翌朝、私たちは荒立神社へとやってきた。芸能の神社であるそこで、皆で並んでお願い事をする。

 

 私の願いは……

 

ママとせんせを殺した奴が、苦しみと絶望の中で息絶えますように。

 

 

 

 私は、なんとかしてアクアたちの復讐に潜り込むことを決意した。

 ここからが、始まりだ。

 三重奏(トリオ)は、これから四重奏(カルテット)になる。




星野ルビー
 上原清十郎の死で復讐が終わったと勘違いするルートも考えたけど、ルビーって疫病神から犯人のおおよその年齢を聞いちゃってるんだよね。

星野アクア
 魂から男の要素が消えてるので、同性同士のスキンシップへの抵抗感がかなり軽減した結果ルビーをバグらせた。
 ルビーからあらぬ疑いを向けられていた。

黒川あかね
 ルビーちゃん、完全に気づいてる。これ放置したらドスカチコミもあり得る。そう思い、復讐に巻き込むことを覚悟した。

姫川大輝
 果たして今後、ルビーから兄として扱われることはあるのか。
 ルビーからあらぬ疑いを向けられていた。


三人寄れば文殊の知恵。
では四人寄れば……?
船頭多くしてh(


次回、「僕の星(視点:カミキヒカル)」


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