シャーレの執務室に出向いた四人だったが先生らしき人影が見当たらず、首を傾げながらもシャーレに所属して書類仕事をしていた知り合いに居場所を聞いてみれば、まさかの暫く前、具体的に言えば自分達がカフェに入った辺りの時間にアビドスへと向かった事を知り思わず動揺してしまう。
四人ともがそんな反応をした事に少しばかり怪しまれるが、咄嗟に原作であった先生が枯死し掛けた話を元にケイゴが出まかせを騙って言い訳すると、やっぱりアビドス初心者必須アイテムを持ってなかった事を顔面蒼白で教えられ、大慌てで一人交通が悪いが故に保有する羽目になったホバーバイク*1でアビドスへと帰宅する事に…。
途中燃料補給等での休憩を除き制限速度ギリギリで飛ばしつつ、事前にシャーレで見せてもらった写真を元にガラガラの街中でなんとか先生を見つけ出したが、見つけた際のシチュエーションに思わず止まってしまう。
それは原作であったシロコとの邂逅シーンであり、スポーツドリンクを飲んでいる写真の男性を見て取り敢えず最悪は回避出来たと一息付けたケイゴは、モモトークで先生発見の報告を上げてから二人に声を掛ける事にした。
「水分すら碌に持たずに出たと聞いた時は冷や汗かいたが…無事な様で何よりですよ、先生さん」
“君は…?”
「あっ、ケイゴ先輩…今日は出掛けてるんじゃなかったの?」
「出先で先生が碌な装備無しのままアビドスに向かったって聞いたから、血相変えて戻って来たんだよ…んんっ! どうも、アビドス学園三年生の神楽坂ケイゴです、どうぞよろしくお願いします」
「おぉ…」
シャーレが出来たから今日は休む事を先に伝えられていたシロコに返事を返しつつ、初対面なのだから挨拶しておこうと姿勢を正して先生に頭を下げると、そんな先輩であるケイゴの姿が珍しかったのか思わず感嘆が口から漏れ出すシロコ、普段の性格がどんなものなのかが一目で分かる反応だった。
“あはは…情けない所を見せちゃったね”
「一応話は聞いていますが、キヴォトスの外部から来た人は俺達生徒とは違って脆弱なんですから気を付けてくださいよ」
「ん? 先輩と同じ男の人なのに先生は弱いの?」
「最弱の拳銃であっても下手な場所に銃弾受けたら終わるレベルで貧弱だからな?」
“貧弱…”
「事実なんでそこら辺は受け入れてください」
あんまりな評価に思わず少し項垂れる先生を特に気にする事なく、ホバーバイクのシート下の物入れから冷却グッズを取り出したケイゴはそれらのアイテムを的確に先生へと使用していく。
「はい、これで良し…取り敢えずこれ以上陽射しの下に居たらいくら処置しても焼け石に水ですので、さっさと校舎に行きましょうか」
“うん、ありがとう…そうしてくれると此方としても助かるね”
「それじゃあ…ヨシ、席の後ろ側に座って下さい、200キロ迄なら乗せられるので先生程度の重量なら大丈夫な筈です」
“うん、分かったよ”
「ん…」
ケイゴがバイクのシートをスライドさせ、シートの下に畳まれていた簡易的な足場を展開する事で二人乗り用に変形させ、予備のヘルメットを手渡しながら後ろへと乗る様に指示すると、先生は特に何も無く乗ったのだが、そんな様子を見たシロコが少しばかり不満げな顔をして二人の様子を見つめていた。
「…いやシロコのそれだと二人乗りとか出来ないし、歩いて行かせる訳にもいかないんだからそんな目で見るなよ」
「ん、私が先輩のバイクに乗ったら解決」
「免許持ってないだろが己は…」
“無免許運転は認められないかなぁ…”
「ん…残念」
露骨にしょんぼりと落ち込むシロコを見てケイゴは(そういえばシロコって、初期の段階から先生に好意的というか興味有りだったな…)等と考えつつもエンジンを掛けてバイクを発進させると、初めて乗るホバーの感覚に驚いた先生が慌ててケイゴの腰を掴み、それを見てシロコが眼差しをジッ…と鋭くする。
…誓って言うがケイゴ達男子にはそっちの趣味()は欠片たりともありはしないのであしからず。
“ところで一つ気になってる事があるんだけど、聞かせてもらっても良いかな?”
「うん? 何かありましたか?」
移動開始後少しした後、先生から質問が来たので事故しない様注意しながらも返事をするケイゴ。
“いや、さっきは聞くタイミング逃しちゃってたから聞けなかったんだけど、ケイゴが腰に提げてるそれって…”
「あぁ…D.U.に居た先生なら既に女子生徒が銃火器を持ってるのは、キヴォトスでは服着てる位当たり前だっていうのは知ってますよね?」
“うん…未だに馴染みきれてないかもだけど、そういう常識があるのは知ってる”
「まぁ、そこら辺に関しては慣れて下さいとしか言えないんですが…まぁ、それと同じ位の感覚でキヴォトスの男子生徒は…うん、近接武器を持ってるんですよ」
一瞬身内の男子達に武器と形容し難い装備がある事を思い出して口籠もるが、取り敢えずの傾向としては間違ってはいないので言い切る事にした。
“それじゃあケイゴの腰に提げてある二本のソレは…”
「俺の武器であるシャムシールって呼ばれるタイプの剣ですね、男子生徒自体総数が少ないので余り見ないかもしれませんが、結構土地によって個性が出るから観察してみるのも面白いと思いますよ…まぁ俺含めてアイツらは異質な方らしいけど…」
“うん? ちょっと風で聞き取れなかったけど何か言ったかい?”
「いやぁ、まぁ、うん…別にどうって事ない話ですよ、それよりもう乗ってる状態にも慣れたみたいですし、もうちょっとスピード出しますよ?」*2
先生からシャムシールに向けられる視線に若干居心地の悪さを感じながらも、取り敢えずアビドス本校へ向かう為に速度を上げるケイゴ。
…尚これまでの間シロコはずっと並走しており、ケイゴがスピードを出していなかったのあったが一切息を切らしていなかったりする。
そしてそこから更に雑談しながらも走る事しばらくして…。
「ほらあそこ、見えて来ましたよ」
“おぉ…なんだか窓が割れてる様に見える場所あるけど、放置しておいて良いのかい?”
「今現在アビドスって色々と切羽詰まっていましてねぇ…マトモに窓張り替える余裕も無いんすよ…」
「ん? ケイゴ先輩、なんだか発砲音してない?」
「へ? …マジかよ!? すまんが先生飛ばさせてもらうぞ!!」
シロコに促されて耳をすませば確かに聞こえる発砲音、慌ててホバーバイクをフルスロットルにして『跳躍する』な方でバイクを十メートル程空へ飛ばすケイゴ、燃料をバカ食いするが一時的にホバーする為に使われる空気を大量に噴出させて飛び上がり、そのまま戦場目掛けて勢い良く突っ込んでいく。
「そういや何も聞かずに跳んじゃったけど、先生何かしらの防御手段ってあるんです?」
“バッテリーかなり消費するけどバリアを張れる、ってかそれは先に聞いて欲しかったかなぁっ!!?!”
「そんじゃあ一気に突き抜けますんで、カウント終わるまでにバリア展開しといて下さい、スリー、ツー、ワンッ!!」
“待って待って早い早い早いッ!?」
ガトリング持ちのヘルメット団目掛けて一気に加速しながら突っ込むケイゴと、そんなケイゴにしがみつく先生、景気良く銃弾をばら撒いていたヘルメット団達はそれに気付かず遂にその時を迎えた。
「エンットリィィィッ!!」
『『『みぎゃぁぁぁぁァッ!?』』」
哀れヘルメット団はその数頼みの戦術のせいで密集気味だったのが災いし、ホバーバイクの勢いとアロナバリアによる範囲の拡大によってボーリングのピンの如く弾き飛ばされるのであった。
そういやキヴォトスでの免許事情ってどうなってましたっけ?
フウカとジュリがスクーター乗って配達しているのは見たから乗る事は出来るんだろうけど、そこら辺の言及ってしてたっけ?
あ、感想や誤字報告等あればお待ちしてます。
主要メンバー以外の男子生徒について知りたいですか?
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知りたい
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興味無い