地主と雑兵   作:ikkun

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濁り酒と祭り

村が秋になると早速小菊たち農民は米を収穫にかかる。

 

小菊「収穫の秋―!武田軍が引いてよかったー!」

 

農民「そこそこ豊作じゃしのう。」

 

豊太郎「うちも大量に取れて困ってるんだよねー。」

 

小菊「それはあんただけだよ・・・」

 

豊太郎とちょっとげんなりしてる小菊を作兵衛たちは見る。

 

作兵衛「今年はもう戦はねぇだろうな・・・つまり雑兵の俺たちはもう稼げないかもな・・・」

 

豆助「いいことばかりじゃないっすね・・・」

 

つる「私も手伝います。小菊さんにはお世話になってますからね。」

 

つるが田んぼに降りて稲を刈ろうとする。

 

作兵衛(つる・・・大分村に馴染んじまったな・・・)

 

作兵衛は感慨にふけっていたが・・・

 

すぱー!

 

小菊「駆らなくてもいいから干すのやって!」

 

豊太郎「軟膏持ってこないと!」

 

鎌で盛大に指を斬るつるに唖然とする作兵衛だった・・・

 

つる「干した後はどうするんですか?」

 

小菊「稲穂から米を取って籾殻を除いて形の良い米だけ俵に詰めるの。」

 

豊太郎「手間かかるんだよねーうちは人手多いから良いけど少ないとそれだけで数日食うんだよ・・・」

 

つる「でもそれが終わったらたらふく食べれるんですよね!」

 

小菊・豊太郎「ほとんど年貢で持ってかれる。」

 

つる「そうなのですね・・・」

 

作兵衛「持ってかれた米はな。領主から米問屋に売られて流通したり家臣に与えられたり、兵糧蔵に備蓄されて戦の時に兵士に腹に入るってことだ。ありがたや・・・」

 

作兵衛の拝みに小菊と豊太郎は頬を膨らませる。

 

つる「そうして米はこの世の中を回ってるんですね。」

 

時雨「というか武家ではこういうの習うんじゃ・・・」

 

つる「私居眠りが多かったもので・・・」

 

作兵衛「ひょっとして今までの無知もそれでか?」

 

豊太郎「才女って噂でしたけど嘘?」

 

つる「本当ですよ!証拠にあの立て札にあるのを読んで見せます!」

 

豊太郎「う・・・漢字もあるから難しい・・・」

 

作兵衛「ひらがな読めるだけでも凄いけどな・・・」

 

つるは怒って立て札を読んで見せる。

 

つる「えーっと・・・豊作っぽいので年貢を増やします。」

 

農民「ふざけんなー!!」

 

つる「褒められるつもりが怒られた―!」

 

イラつく農民につるは怯える。

 

つる「死活問題なのですね年貢は・・・」

 

作兵衛「今年はまだましだけどな。凶作になった農村は地獄だぜ。」

 

豊太郎「なんせ種もみ一粒盗んでも私財だからね。」

 

豆助「つるさん気を付けてください!」

 

つる「なんで念を押すんですか!?常識はありますよ!」

 

普段の食欲だけに念を押されるつるだったが小菊や豊太郎の手伝いを終える。

 

豊太郎「そうだ、収穫祭でウチで作った酒も出るから皆来てよ。」

 

作兵衛「おぉ、今年もか。ことあるごとにやってるけどやっぱお前の作る酒は格別だからな。」

 

つる「楽しみです!父が外に出さない方針だったので・・・」

 

時雨「お嬢様ですね・・・」

 

そうして祭りが始まると笛や太鼓の音、踊りの掛声で盛り上がる。

 

つる「こういう人の営みが身近に感じられるのは嬉しいです。」

 

スケベオヤジ「ねーちゃんいいケツしてるなー。」

 

オッサン「小便止まらねー・・・」

 

作兵衛「汚い部分も見えちまうけどな・・・」

 

祭りの中でナンパする奴や立小便するのを見て作兵衛が言う。

 

豊太郎「おーい作兵衛、つるさん。これがうち自慢のにごり酒だ!」

 

作兵衛「来た来た!今年もいい色してるな。」

 

つる「なんか白濁としてますね・・・本当にお酒ですか?」

 

時雨「まぁ、庶民でも作れるお酒ですし色はそうなっちゃうんですよ。武家ではどういうの飲むんですか?」」

 

つる「水みたいな澄んだお酒とかですかね・・・(清酒や貴撰酒など)」

 

そうして飲んでみると・・・

 

作兵衛「あー・・・五臓六腑に染みわたるぜ。」

 

つる「これがお酒ですか・・・初めてですけど美味しいですね。甘くて芳醇で・・・」

 

作兵衛たちが酒を楽しんでいると・・・

 

男「おぉ、いい女だ。」

 

男「へへ、俺達と遊ぼ―ぜ。」

 

男たちが酔っ払ってつるに絡んできた。

 

時雨「全く・・・いくら取り締まってもなくなりませんねこういう手合いわ・・・」

 

豊太郎「いつもボコボコにしてるもんね・・・」

 

時雨がボコボコにしようとすると・・・

 

作兵衛「俺の女だ!手ぇ出すな!」

 

なんと作兵衛がすぐに大声を上げたのだ。それにはつるも驚いたようで・・・

 

つる「ななな・・・何言ってるんですか。いつから・・・っていうかまずは段階を踏んで・・・」

 

時雨「すごい慌ててますね・・・」

 

男「なーんだ、作兵衛の女か。」

 

男「わりーわりー・・・」

 

そう言ってすんなり去っていった。

 

作兵衛「せっかくの祭りだし穏便に済ませたいからな。ああいえば説明なしでいいだろ?」

 

豊太郎「作兵衛・・・魔性の男ですね。」

 

つる「・・・時雨さん!濁り酒追加で!!」

 

時雨「ありがとうございまーす!」

 

作兵衛の無自覚っぷりにムカついたつるは酒を大量に追加で飲み・・・

 

つる「んふふ~!」

 

見事に酔っぱらった・・・

 

作兵衛「しかも悪酔いっぽいな・・・」

 

つる「海のおさかな食べたいですね~タイとか鮭とか~あとは~クジラをまるごと!」

 

作兵衛・豊太郎「できそうで怖い・・・」

 

つるの酔いっぷりに二人はドンびく・・・

 

つる「作兵衛殿ぉ!いつもありがとうございまふ!助けていただいて優しくしてくれて感謝してるんですよー!」

 

そういってつるはハイテンションで作兵衛に近づく。

 

作兵衛「つる酔いすぎだぞ!?」

 

つる「酔ってませんよ~一人で着物も脱げますし・・・」

 

そういってつるは胸を晒し始める・・・

 

時雨「男どもはみるなー!」

 

ブスっ!

 

男「ぎゃぁああ!?」

 

時雨は村の男たちの目つきを繰り出して見せないようにする!

 

作兵衛「もう帰るぞ!」

 

そうして盛り上がる祭りであった・・・

 

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