つると作兵衛が住むことになったのは村中、当然豊太郎の管理する土地にも伝わった。
小作人「聞きましたよ!あの雑兵暮らしが気ままで良いって言ってた作兵衛が女連れ込んできたんだって!?」
豊太郎「耳速いね・・・うん、つるさんの希望でね。」
使用人「何やってるんですか!男と女で何も起きないはずがありません!今すぐ保護した方が・・・」
皆が騒いでいると使用人のまとめ役である水色がかった髪の女性・・・時雨も豊太郎に助言する。
時雨「豊太郎様、つる様はこれからなれない家で暮らすわけですしせめて少しの間だけ様子を見るのはどうでしょうか?」
豊太郎「まぁ確かに・・・じゃあお土産持って行ってみるよ。」
時雨「それに作兵衛さんや豆助さんにはうちの蜂とか害虫駆除手伝ってもらってますし。旦那様が行くことでお土産をもらって少しでも豪華な食事をしてもらいたいです。」
小作人「旦那の料理で倒れたときも介抱や口直し作ってくれたしな!」
豊太郎「そんなに使用人や小作人に料理を振る舞うことって罪なの!?」
時雨「いえ、単に旦那様が上手くなってくれれば・・・」
そんなこんなで豊太郎は途中で合流した豆助と一緒に様子を見に行った。
豊太郎「という感じでお見上げに茄子とか雑穀を持たされてきたよ。」
作兵衛「お前んとこの人間耳早いな・・・」
豆助「皆に慕われて兄貴も豊太郎さんも凄いっすね!オイラもつるさんに関しては全面協力っすよ!」
つる「ありがとうございます・・・」
豆助「岩の陰とか木下でも住めば都っすから!」
つる「なりえません、すみません・・・」
作兵衛「豊太郎に雇われるべきなのこいつなんじゃね・・・?」
豆助「おいらは別に充実してるっすから大丈夫っす!それよりつるさんって苗字が田中っていうんすよね?諏訪地方の田中家の姫といえば才女として有名だったらしいっす。」
豊太郎「豆助も耳早いね・・・」
つる「いえそんな・・・一通りの学問と教養を備えてるだけです。」
豆助「なのにドジで不器用で食い意地が張ってる変な姫だって。」
つる「忘れてくださーい・・・」
そんなことを話していると・・・
ぐぎゅうう・・・・
作兵衛「つるか・・・しかし音でけぇな。」
つる「歩きっぱなしだったので・・・」
作兵衛「しゃーねぇな。差し入れもあるし集め汁でも作るか。」
つる「集め汁!魚肉や大根、キノコ。里芋を味噌で煮る・・・大好物です。」
作兵衛「豊太郎が差し入れたの除けばごぼうとその辺の草しかねぇぞ。」
つる「あまり集まってませんね・・・」
豊太郎「キノコ欲しいの?しょーがないな・・・」
作兵衛・つる「?」
豊太郎がどこかへ行くと大量のエノキやシイタケ、マイタケなどを持ってきた。
作兵衛「すげーな!?これもお前の畑で!?」
豊太郎「いや、これはよく自分のごはん代節約するためにそのまま食べられるキノコとか木の実を探してるうちに判別力が身についたんだ。」
つる「ドケチの悲しい習性でしたね・・・」
そうして4人で食べることになった。
作兵衛「魚肉が入ってなくて少し上手くねーだろーけどな。」
つる「いえ、私なんでも美味しく食べられるのが長所でして・・・なんなら作兵衛殿の分も食べて見せますか?」
豆助「やばいっす!俺たちのも死守っすー!」
作兵衛「やめろー!」
つる「でもこうして皆さんと会話できてちょっとほっとしました・・・ここ数日間不安だったので・・・情けないですよね。15にもなって。」
作兵衛・豊太郎(俺達より年下だった・・・)
ちなみに作兵衛が25で豊太郎が20である。
作兵衛「取りあえず食え!とっておきの胡桃もあるからよ!」
つる「美味しい!」
つるはさっきの悲しそうな顔が一発で吹き飛んだ。
作兵衛「しかしうまそうに食うな・・・どんどん食わせたくなる。」
豊太郎「こっちも農家の血が騒ぐ・・・節約して溜めてるのに・・・」
二人ともお人よしのため悩んでしまう・・・
豊太郎「そういえば寝る時はむしろだけど大丈夫?」
そういって豊太郎はわらのむしろを指さす。
つる「・・・」
豆助「もうくじけそうっすね・・・」
作兵衛「先長いのに大丈夫か・・・?」
早くも幸先不安な一日であった・・・