地主と雑兵   作:ikkun

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保存食づくりと友達

そして翌日の早朝、豊太郎は害虫退治を頼むため使用人に豆助を、自分で作兵衛の家を訪ねると・・・

 

つる「ZZZ・・・」

 

昨日はくじけそうになってたつるがむしろで胸を少しはだけさせながら爆睡していた・・・

 

豊太郎「僕たちより爆睡だね・・・」

 

作兵衛「全くだ!いい加減起きろ!はしたねぇ!」

 

取りあえず二人でつるを起こして作兵衛に依頼を伝えた。

 

作兵衛「わかった。仕事といえば・・・つるは何ができるんだ?流石にただ飯食わせるわけにはいかねぇぞ。」

 

つる「私も武家の端くれですので・・・字の読み書きと和歌と生け花ができます。」

 

作兵衛「やっぱり豊太郎のとこで働くのも視野に入れた方がいいんじゃねぇか?」

 

豊太郎「でもうちでも兵糧とかは作るしその習得が先だね。とりあえずうちの使用人もよこすから小菊ちゃんと一緒に教えるの頼んでみようか。」

 

作兵衛「そうだな・・・」

 

そうして豊太郎は時雨を呼ぶ。

 

時雨「この人がつるさんですか・・・初めまして。私、豊太郎様の使用人のまとめ役時雨です。」

 

つる「はじめまして・・・」(すごい美人ですね・・・)

 

時雨もつるには及ばないものの美人の部類なのでつるは驚く。

 

作兵衛「こっちも小菊を呼ぶか・・・おーい小菊、使用人に保存食の作りかた時雨と教えてやってくれ。」

 

小菊「えー・・・やだよめんどくさい。ん?使用人?」

 

その黄色がかった髪の少女、小菊はつるを見る。

 

小菊「やらない理由に軽蔑が加わった。作兵衛が女攫うなんて・・・」

 

作兵衛「何人目だろうなこの誤解・・・」

 

時雨「豊太郎様が疑われないのが人望を物語っててさらに悲しいですね・・・」

 

とりあえずつるに事情を説明してもらう。

 

小菊「なるほど・・・私は小菊、農民の娘。保存食の作り方だよね。時雨さんだけでも大丈夫なんじゃ・・・」

 

豊太郎「つるさんのつまみ食い防ぐには何人いてもいいからね。」

 

作兵衛「そうそう、それに俺豊太郎に仕事頼まれてるんだよ。」

 

そう言って二人は去っていった・・・

 

つる「ぎく・・・」

 

時雨・小菊「するんだ・・・」

 

おしとやかに見えたつるの意外な一面に二人は驚いた。

 

つる「それにしても豊太郎さんって良い人ですね。浪人にも仕事を依頼するなんて・・・」

 

時雨「あー・・・うちの土地って広大だから使用人と小作人だけじゃ業務が全然終わらないのでそれで作兵衛さんや豆助さんみたいな人にも頼らないといけないんです。」

 

小菊「そうそう。ほぼ村だよあの土地は。いちおううちの村所属になってるけど・・・」

 

つる「それなのに豊太郎さん戦に出てるんですね・・・」

 

時雨「奪い合った土地だからか大切なものを失うことを恐れてて土地だけに頼らない稼ぎ方も経験したいということで・・・本当は私たちにも頼って欲しいんですけどね。」

 

小菊「大将向きの性格ではないんだよね・・・」

 

豊太郎の性格に呆れつつも小菊たちはまずは芋がら縄の作り方を説明する。

 

小菊「10日以上干した里芋の茎を縄上に編んで味噌で煮詰める。」

 

つる「このままでも美味しいですよね。」

 

そういってつるが鍋に手を伸ばす。

 

時雨「まさかの手づかみ!?火傷しますよ!」

 

つる「早速か!」

 

作兵衛と豊太郎の言葉の意味を知って素早く止めた二人。

 

小菊「いい、雑兵飯の基本は味噌、味付けてそして干す。保存もきくし味もいいし元気が出る。このあたりは豆も多く取れるからね。」

 

つる「味噌って豆からできてるんですね・・・」

 

時雨「もう味噌の作り方も教えた方がいいんじゃ・・・」

 

小菊「お姫様~・・・」

 

つるの世間知らずっぷりに悪戦苦闘しながらも教えを続行する。

 

小菊「あとは焼きみそやみそ玉も作ろうか。」

 

時雨「どちらも焼いたり丸めるだけですから作りやすいんですよ。」

 

つる「お二人とも詳しいですね。」

 

小菊「農民の娘なら普通だよ。家族が戦に行くし。」

 

時雨「村での生活必須能力です。」

 

つる「私の家も出陣前は鮑、栗、昆布を用意してました。」

 

時雨「縁起物三昧・・・」

 

小菊「上流めー・・・」

 

そうしてバタバタな教習は終わった・・・

 

小菊「つるさんも大変だねー・・・こんな暮らしになっちゃって。」

 

時雨「私は豊太郎様に拾われたので良かったですけど・・・作兵衛さんは大丈夫なのですか?」

 

つる「平気ですよ。作兵衛さまは見た目と違って優しいですから。例えばわざわざ小菊さんにも頼んだのは村に知り合いのいない私を気を使って少しでも多く友達を作らせるためだったのですから。というわけでお二人とも私と友達になってください。」

 

時雨「もう主従の絆が出来てる・・・これならここでもやっていけそうですね。歓迎しますよ。もちろん友達にもなります。」

 

小菊「わ、私だって!」

 

つる「ありがとうございます・・・では友達ならつまみ食いも内緒にしてくれますか?」

 

小菊「本当に食いしん坊だなこの人・・・」

 

時雨「でもダメですよ・・・」

 

そうしてつまみ食いを阻止していると作兵衛たちが帰ってきた。

 

豊太郎「時雨、お疲れ様。」

 

作兵衛「仕事しがてら晩飯も取ってきたぞ!」

 

豆助「一緒に食べようっす!」

 

女性陣も笑顔で了承した。

 

作兵衛「鉢の巣退治で手に入れた蜂の子だ!」

 

豊太郎「イナゴもあるから遠慮せず食べてね。」

 

豆助「塩味がいけるんっすよね。」

 

昆虫食に若干引くつるのあった・・・(結局美味しくいただきました。)

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