湾岸ミッドナイト 阪神高速湾岸編   作:にしむー

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遂にブラックバードのポルシェターボを運転した村田

クルージングだけでもその息づかいははっきりと伝わる

ここから全開走行

果たしてどのように感じるのだろうか────


【再燃③】

 

[村田]

島さん ほな 全開いきますヨ────

 

 

[島]

ええ どうぞ────

 

 

 

 

 

\ブロロァアアアアア/

 

 

 

 

[村田]

────ッ

 

 

なんや────コレは────ッ

 

体感したことのない加速感────

 

4WDとも違う RRならではの 圧倒的なトラクション────

 

 

 

 

[島]

あんがい 躊躇なく 踏むんですね

相当なブランクが ありそうですけど

 

 

 

[村田]

まァ 身体になじんでますから 車の動き

わかるんですヨ どんな操作したら どんな動きするか

ほんで 操作することで 重心はどのへんとか タイヤの状態とか

車とつねに コミュニケーションを とるとゆーか

それは 街中を流して走るときも かわらんでしょ

しみついとるんですヨ

 

 

 

[島]

なるほど────

 

 

 

[村田]

さーて このへんから 250km/hオーバーか────

 

 

 

[島]

この速度域から フロントの接地感がなくなるはず

この男は どのようにして このポルシェターボを 操るんだ────

 

 

[村田]

これがRR やっぱフロントが ういてきた────

 

 

\スッ/

 

 

 

[島]

なんというんだ────

全くブランクを感じさせない────

 

この超高速域 フロントの接地感は皆無

初めて乗る車で 久々の限界領域でのドライブのはず

なのに────

 

 

左足ブレーキを使って 綺麗にフロントに荷重をかけ

かつ 駆動も途切れさせず ナーバスな挙動をさせない────

こんな人間が 世の中にいたのか

なのにどうして────

 

 

 

[島]

上手いですヨ このポルシェターボを いきなり走らせて

超高速域でちゃんと曲げられる人は そういません

しかもそれを かなりのブランクがあるでしょうに いきなり────

 

 

[村田]

なんか わかるんですヨ

車を加速させたり 揺さぶったりしたら

タイヤの荷重が どんなふーに 掛かってるか

どーゆー操作したら どんな動きしてくれるとか

 

 

 

[島]

その左足ブレーキも 自然にとった動きみたいですネ

 

 

[村田]

そうそう そのトーリですわ

どんな動きしそうやから どう操作するとか

頭で考える前に 身体が勝手に──── ハハ

 

左足ブレーキしてるなんか 言われるまで 気づきませんでしたわ(笑)

 

 

[島]

この男 本当に凄いことをしている なのに────

その事を全く自覚せず さも当たり前かのように やる

世の中で活躍できてないのが 不思議なくらいだ────

 

 

 

[村田]

さァ きた 全開区間終盤 オーバー300km/h────ッ

 

 

 

\スッ/

 

 

[島]

まただ────

レーンチェンジで しぜんと 左足ブレーキ

この車が フロントの接地感がないのを 全く感じさせない────

まるでこの車の動きを すべて把握しているかのような

 

 

 

[村田]

さて ここで一気にブレーキング

中之島の S字カーブから カントのついた きつめのコーナー

 

 

さすがはRR その真価は ブレーキングで生きる

フロントに一気に荷重が乗る フロントタイヤの仕事量が一番増える この領域でも フロントに余裕があるから 右に左に曲がれる

ポルシェゆーのは 欠陥のよーで よくできてるわ

 

 

 

\ホァアンンンンン/ \ホァアンンンンン/

 

\ボァアアアアアア/

 

 

 

[島]

きれいなヒールアンドトーのフルブレーキングをしながら

S字を綺麗に鼻を入れて

そのままきついカーブに進入

そして 切れ目なく 一気にトラクションをかけて 全開────

いきなりできる技じゃあ ナイ ましてや 初めて乗る車────

 

この男 とんでもないポテンシャルを 持ち併せている────ッ

 

 

 

[村田]

ポルシェならではの動き ブレーキング時の鼻の入り

脱出のときの トラクションのかかり方

おもてたとーりですわ こりゃ楽しい

 

 

 

[島]

このポルシェターボ 僕でさえ 手に負えない時期があった

なのに この男は それを楽しいと────

 

 

 

[島]

ずいぶんと 器用に乗りこなすんですネ

 

 

[村田]

まあ そりゃあ 車体の構造 だいたいわかってますから

どう操作すりゃいいかも だいたいわかりますヨ

 

 

[島]

なるほど────

これまでこのポルシェターボ いろんな人に 乗ってもらったことがあります

ですが あなたほど すぐに乗りこなす人は はじめて見ました────

 

 

[村田]

もともと 自動車の設計家に なるはずでしたから

これくらい 構造から 車の動き 予測できんと ダメですよネ

 

 

[島]

村田さん あなたは一体 どのような経歴をお持ちで?

 

 

[村田]

子供ン時から 自動車にゾッコンで

高校の時から 車づくり してました

一番偏差値高い 工業高校で トップクラスの成績維持するくらいに がんばってました

 

もともと メーカーに就職するつもりでしたケド

高卒からやと 自動車本体の設計職には つかれへんとわかって

 

大学に 切り替えようと したんです

でも 就職コースでしたから 大学に必要な 学科の単位がなくて 行くにしても 下宿する資金的余裕は うちの家庭にはなくて

 

仕方なく メーカー系の専門学校いくことにしたんです

折角ならと フォーミュラカーの設計を カリキュラムに組み込んだ 研究開発学科に

 

そこで 元F1メカニックの教員がうじゃうじゃおる中で しごかれまくられながら フォーミュラカーでは 車体設計 おもに足廻りとか 重心位置 タイヤの位置 サスペンションジオメトリー そーゆー設計を やりました

 

ほんで メーカー系列の会社に 就職したんです

そこで車を一から作ったる それぐらいの 意気込みで

 

でも 社会は思ったより 残酷なもんで 自動車関連メーカーに勤めてる人みんなが 車に興味があるわけじゃない

生活のために ただただ労働してる人が大半

 

世の中そんなもん 人もそう付いてくるもんやないし────

 

だから 自分で会社つくって そこで車つくったほーが はやいやろて

 

でも そのとき地元におった恋人に 距離をおかれて

んで悪いことは 連続して おきるもんで

その時乗ってた愛車を ひょんなことで 事故らせてしもて その事故の相手と揉めて 示談は一年以上 ながびいた

 

そんな時 地元で一番の親友の生活がピンチになって ここの拠り所がなかった俺は そいつを生活拠点につれてきて でも そこでいろんなトラブル起こされて それに巻き込まれて────

ヤクザまがいのことにも なりかけました

 

そこで 毎日不安で 夜勤上がりに眠れずに またそのまま夜勤 なんて日が続いて 精神がおかしくなってもーたんです

 

そっから まともに働くゆーことが できんよーになって

それで僕のキャリアは 終わってしまいました

 

 

 

[島]

なるほど────

とても辛かったと思います

僕も実は医者でして 外科医なので専門外ですが────

精神系の病は ほんとうに 厄介みたいですネ

 

 

[村田]

ほんまに そーですヨ 身体はなんともないのに 脳みそがストップをかけてくるとゆーか ストレスに対するアレルギーいいますか そんな感じになってまいました

こんだけがんばってきたのに 全部ムダ

終わってますよね・・ハハ・・

 

 

[島]

あなたなら 何を選びますか────?

 

 

[村田]

へ・・?

 

 

[島]

もしあなたが このブラックバードに張り合う いや撃墜してしまうような そんな車を組むとしたら どの車を選びますか────?

 

 

 

[村田]

・・・・

 

 

 

[村田]

スープラ────

80スープラ────

 

 

 

 

[島]

いがいですネ てっきりスバル車かと 思いました

 

 

[村田]

確かに僕は 今までスバルの車ばっかり 乗ってきました

でも それとこれとは ハナシは別です

 

 

[島]

ほう・・

 

 

[村田]

一度乗ってみたいんです 80スープラ

直列6気筒 完全バランスのエンジン

3リッターの大排気量に ツインターボで武装

1000馬力なんか かんたんにでてしまう 堅牢なエンジン

重量級にもかかわらず よく曲がる優れたシャーシ

ワイドアンドローの 流れるような ボディ形状

 

 

でも そんなことは どーでもいい────

 

 

子供の頃からの 憧れ────

 

 

ずっと80スープラが スキやった

 

 

手がとどかへんから 敬遠してた

 

 

でもだからこそ そんな80スープラに いっかいでも 乗ってみたい────

 

 

 

[島]

もしあなたが80スープラを手にすることができて

そしてチューニングを自由にできる環境を与えられたら

あなたはこのブラックバードに 挑戦しますか────?

 

 

 

[村田]

やりたい────

やりたいです もしそんな事が できるんなら

報われたい 今までの 俺の技術 俺の努力 俺の人生────

報われたい────ッ

 

 

 

[島]

気づいていないかもしれませんが・・

あなたは 作れるんですヨ その環境を いつでも 自らの手で

 

 

[村田]

今の俺に できんのか────

はじめてもすぐ 疲れてしまうんとちゃうか────

苦しくなって 動けんようになって

つぎ込んだカネ 浪費するだけで────

 

 

[島]

ためしてみませんか 80スープラがもし見つかれば

先ほどのシゲさんを たどれば

きっと 見つかると思いますヨ

 

かりに 見つからなくても こっちには 首都高エリアには

それができる人 沢山いますヨ

 

もし難しそうなら 試乗だけでも いいですから

なにか いい人生経験に なると思いますヨ

 

 

[村田]

試乗だけ・・それなら できそうです

是非80スープラ 乗ってみたいです

 

 

[島]

なら 決まりですネ

気負わないで下さいネ あくまで あなたの判断で かまいませんから

 

あなたのような人が もし理想をつぎ込んだら どんなものができあがるのか 少し興味があったので────

 

 

[村田]

いえいえ ありがとうございます すこし 夢を見られるだけでも おもろいですから────

80スープラ 試乗だけでも やってみたいです

 

 

 

 




村田は、ブラックバードの全開走行を平気でこなせるほどの腕を持っていました。そして技術面にも広い知見があります。そしてブラックバードに過去を打ち明けて、突然の提案に驚きを隠せません。不安ながらも80スープラの試乗には非常に乗り気の村田。果たして80スープラは見つかるのでしょうか……?次回作、ご期待ください!
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