淡海乃海 ~麒麟が駆ける時~   作:無難

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竹若丸から見た世界です。


覚醒(竹若丸ver)

天文十九年(1550年) 十月  近江高島郡朽木谷  朽木城  朽木竹若丸

 

みながないている。

 

はーうえがないている。

 

なんでだろう?

 

 

「はーうえ、なーでないているの?なかないで」

 

はーうえのせなかをなでる。

 

「ああ、竹若丸!」

 

するとはーうえはだきついてくる。

 

まわりのみなとおなじようにかなしくてくるしんでいる。

 

はーうえのなみだがわれのくちにはいる。

 

 

 

 

 

ゴクン

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、吾の視界が、景色が一変した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今まで朧だった景色がハッキリと見える。

 

見たことがないのに様々な光景が、色が、泡沫として頭の中に入ってくる。

 

ああ、凄い。

 

世界ってこんなに綺麗なんだ。

 

吾はこんな美しい世界で生きているんだ。

 

 

 

 

 

この力をはーうえや一族を護るために使おう。

 

皆を笑顔にしたい。

 

ちーうえが言ったように皆を護りたい、幸せにしたい。

 

そのために使おう。

 

そう、心に誓う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・

 

 

みながいる広間に目を戻す。

 

皆が泣いている。その周りには黒い何かが見える。

 

はーうえの周りにも

 

まず初めにこの黒いものを何とかしないと・・・

 

「あ、そうだ。こうすればいいんだね」

 

何となく考えて浮かび上がってきたのは知らない男が舞い、謳っている光景。

 

これを真似すればいいんだね。

 

そう思ったら簡単だった。

 

おじいよりも前に出て大きく息を吸って叫ぶ。

 

「うろたえるな!」

 

「にんげんごじゅうねん、げてんのうちをくらぶれば、ゆめまぼろしのごとくなり」

 

皆が驚いている。

 

黒くて気持ち悪そうなものが薄れている。

 

 

いまだ!

 

 

「左門!俺と死ねるか!?」

 

「し、死ねまする!」

 

貞忠が身を乗り出して叫んだ。

 

吾に向かってくる流れが変わった。

 

 

そして視線を後ろの家臣達に向けた。

 

「俺と死ねる者は残れ! 余の者は要らん、去れ!」

 

みなが顔を見合わせた。

 

「し、死ねまする!」

 

「竹若丸様と共に戦いまする!」

 

みなが口々に応えた。

 

そこにおじいが畳みかけるように大声で命を下す。

 

「天晴れぞ、竹若丸。晴綱も喜んでいよう、見事じゃ。皆、守りを固めよ。物見を出せ! それからきれいな水と布、薬の用意を忘れるな!」

 

「はっ」

 

家臣達が声を出して答えた。

 

よく分からないけど、おじいがみなに対してなにかをめいじている。

 

みなの周りから黒い何かが変わって白い何かにかわっている。

 

見ただけだけど、みながえがおになっているから、悪いものじゃないよね!?

 

「ね!これでみなないていない!」

 

あんしん、あんしん!

 

さ、寝よう!

 

そう思ってさっさとはーうえのひざに頭をおいて吾は眠る

 

おじいが何か話しかけてきたようだけど、その前に吾の意識が沈んでいく。

 

 

 

明日はいい一日になっていますように!

 

 

 

 

 

 




漢字やひらがなが入り混じっているのは「中の人」と竹若丸の融合が始まったばかりで整合性が取れていないという感じを表現してみました。
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