遊戯王~黒き羽根は夢に舞う~   作:haruko

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仕事でAIを使おうとしていて、その練習がてらこの小説の執筆の際にチャットGPTに相談したりしながら作っているんですが、なかなか面白いものですね。
拙作のアイデアをとてもほめてくれるので気分がいいです(笑)
少し前に話した勝利の見た目についても、チャットGPTに案だししてもらったりして一緒に考えました。

ちなみに、闇のプレイヤーキラーについて知っているか聞いたところ、光のプレイヤーキラーの弟だそうです。



さて、プレイヤーキラー戦決着です。


はじけろ、漆黒の闇! BF大爆発!

 

 

闇のプレイヤーキラー

LP 1290

 

???(モンスター 詳細不明)

 

伏せカードなし

 

勝利

LP 2000

 

BF-白夜のグラディウス

 

守備力 1500

 

 

 

「舞さん、大丈夫? 落ち着いた?」

 

「ええ、ありがとう杏子。もう大丈夫よ。さあ、勝利を応援しましょう」

 

「そうだぜ! あんにゃろうのモンスターを破壊してライフも削った。勝利の圧倒的有利だぜ!」

 

「……確かに勝利君はうまく相手の攻撃をいなしている。この決闘の流れをつかんでいるのは間違いなく勝利君だ。だからこそ、この勢いで相手の展開する『闇』を破壊してしまいたい。勝利君のいう『切り札』を早いうちに引き込めればいいが……それが遅れるようであればまだわからない。油断は禁物だぜ」

 

喜ぶ城之内に対し、遊戯は状況を分析する。

闇を打ち破る『切り札』がデッキに眠っていると勝利は宣言した。

しかし、現在戦闘破壊を防ぐ"BF-白夜のグラディウス"だけでいつまでも耐えきることができるとは思えない。だからこそ、相手を翻弄できている今のうちに『切り札』を引き込むことが勝利の課題であると遊戯は考えていた。

 

 

 

 

「さあ、行くよ。僕のターン、ドロー。ふふっ、いいカードだ」

 

「っ!」

 

「カードを一枚セット。ターンエンドだ」

 

(こ、今度こそ『闇』を打ち破る『切り札』なのか!?)

 

「さあ、どうした? お前のターンだぜ」

 

「く、くそっ!」

 

まるで自分の『闇』に怯えることのない勝利の様子に、闇のプレイヤーキラーの苛立ちはさらに加速する。

 

 

 

 

 

そんな中、俯瞰で冷静に状況を見ていた遊戯に、違和感が走る。

 

「……勝利君。いったい何を狙っているんだ」

 

「え? どうしたの遊戯?」

 

「舞。お前は勝利君のデュエルをみているんだよな」

 

「……ええ。実際に対戦もしているし、王国に来てからも何度も見ているわ」

 

「ならお前は、勝利君が言う、『闇』を打ち破る『切り札』に、心あたりはあるのか?」

 

「いいえ。あたしの知る限り、そんなカードは見てないわ」

 

「何っ!? じゃあもしかしたら、『切り札』ってのは勝利のハッタリかもしれねえってことか!?」

 

「馬鹿、城之内! 声が大きい! もしハッタリだったら、今の話相手にきこえたらどうすんの!?」

 

「や、やべ!」

 

焦る杏子に口を噤む城之内。

そして杏子の言葉に遊戯が続ける。

 

「……勝利君が、無計画にハッタリで勝負するとは思えない。だが、さっきから見ている限りでは、勝利君は自分のドローに期待しているような様子じゃない。まだ見ぬ『切り札』を待ち望んでいる決闘者の姿に、どうしても見えないんだ」

 

「……あたしも同意見よ。そもそもあいつは、カードの一枚一枚を友達と呼ぶほどに大切にしているわ。だからこそ、これまで見てきた決闘も、特定カードの単体パワーというよりは、カード同士のコンボ性と彼特有の勝負勘や洞察力で勝ちをもぎ取ってきた。そんなあいつが、特定のカード一枚で試合を決めようとしているとは、到底思えない」

 

「なんだよ、舞! じゃあ、勝利が負けちまうってのかよ!?」

 

落ち着きを取り戻した舞のあまりに冷静な意見に、城之内が思わず声を荒らげる。

それに対し、舞はほんの少し息を吐いた後いう。

 

 

 

 

「そんなわけないでしょ。勝利は勝つわ」

 

 

 

 

「……えっ?」

 

「舞さん?」

 

「舞……お前……」

 

「勝ち方なんかさっぱりわからない。何を狙っているのかも、想像もつかない。でも、あの子は言った。あたしのため、仲間のために、絶対勝つって。勝利は、絶対負けないわ」

 

ほんの少し赤みを帯びた表情を隠そうともせず、舞は言った。

そんな舞に遊戯たちも何も言わず、勝利を信じることを決めた。

 

 

 

闇のプレイヤーキラー

LP 1290

 

???(モンスター 詳細不明)

 

伏せカードなし

 

勝利

LP 2000

 

BF-白夜のグラディウス

 

守備力 1500

 

伏せカード1枚

 

 

 

「俺のターン! ドロー!」

 

(……今度こそ『切り札』のカードを伏せたのか……しかしもう手札に『死神』のカードはない。仕方ない、ここは万が一の展開に備え、防御を固めるぞ!)

 

「俺はフィールドのモンスターに、"ミスト・ボディ"を装着する!」

 

 

 

ミスト・ボディ

 

魔法カード

 

モンスターの体を霧に変える。戦闘ダメージを受け付けない。

 

 

 

「このカードを装備したモンスターは、戦闘によってダメージを受けなくなる!」

 

「勝利のグラディウスと同じ効果になるってことか!?」

 

「これでより一層突破が厳しくなったぜ」

 

魔法が使われた姿そのものは見えないが、今の説明を聞くに、相手のモンスターはさらに手出しがしづらい状況になってしまっていた。

 

周りが不安そうな声を漏らす中、勝利はまた一つ馬鹿にしたような笑いをこぼした。

 

「くっくっく。僕のモンスターが倒せないからって、闇の中で僕のモンスターの真似事をしてみたわけだ」

 

「き、貴様! どこまでも俺のことをコケにしやがって!」

 

「上手に模倣できたご褒美に、教えてあげるよ。破壊できないモンスターの、突破方法をね。僕のターン。伏せカード、"痛み分け”を発動!」

 

 

 

痛み分け

 

魔法カード

 

自分と相手に、一体ずつモンスターを選び、墓地(セメタリー)に置くことを強要する

 

 

 

 

「い、"痛み分け"!?(またしても、『切り札』とやらではない!? おのれぇ!)」

 

プレイヤーキラーは思わず歯を食いしばる。

不愉快に思いながらも同じような手で何度も手玉に取られているという事実を認めざるを得ず、言いようもない負の感情でどうにかなってしまいそうなのを必死に抑え込んでいた。

 

「だ、だが我が『闇』のフィールド下で、霧と化している"ダーク・キメラ”は魔法で狙うこともできないはず!」

 

「このカードは、プレイヤーへ、モンスターを墓地に送ることを強制する効果だ。当然、戦闘耐性も関係ないし、『闇』で僕から姿を隠していても関係ないよ!」

 

「な、なんだとぉ!」

 

「す、すごい! 勝利君、『闇』をもろともせずにまた相手のモンスターを倒しちゃった!?」

 

「すげぇ! いいぞ! 勝利!」

 

杏子と城之内が盛り上がる。

だが、それに喜びの声を上げなかった遊戯と舞は再び低い声で状況を言葉にした。

 

「でも……」

 

「ああ、この勝利君のカードによって、勝利君自身のカード、"白夜のグラディウス"も墓地に送られることになる」

 

「な、なにぃ!? じゃあ勝利は、粘ってくれていた自分のモンスターを道連れに相手のモンスターを倒したってことか!?」

 

「ああ……逆を言えば、勝利君は"白夜のグラディウス"は役目を終えたと判断したということだろう」

 

「……どういう展開になるにしろ、次のターンは、今まで止まっていたゲームが動きだすターンになるわ」

 

遊戯たちの解説に呼応するように、勝利が手を進める。

 

「さらに僕はカードを一枚セット。そして、"BF-二の太刀のエテジア"を攻撃表示!」

 

 

BF-二の太刀のエテジア

 

闇属性 鳥獣族 星3

 

攻撃力 400

 

守備力 1600

 

 

「そ、そんな貧弱なモンスターを、攻撃表示だと~~~!!!!」

 

「ターン終了」

 

 

 

 

闇のプレイヤーキラー

LP 1290

 

モンスターなし

 

伏せカードなし

 

勝利

LP 2000

 

BF-二の太刀のエテジア

 

攻撃力 400

 

伏せカード1枚

 

 

 

「おいおい勝利。大丈夫かよ。あんなよわっちそうなモンスターを攻撃表示って……」

 

「どう見ても、罠だ。勝利君は明らかに挑発している」

 

(果たして、あのセットカードは今度こそ本当に『切り札』なのか。それとも……)

 

「……勝利」

 

 

 

 

「ぐぬぬ……俺のターン! っ!!!! うはははははは! どうやら先に最強のカードを引いたのは俺のほうだったようだな!」

 

「何?」

 

「なんだと!?」

 

「最強のモンスターだって!?」

 

「今召喚してやる! いでよ、"闇魔界の覇王"!!」

 

 

 

闇魔界の覇王

 

闇属性 悪魔族 星7

 

攻撃力 ???

 

守備力 ???

 

 

 

 

「ウシシシシシ。こいつが来たからには、小賢しい罠や『切り札』に怯える必要ももはやない!」

 

「っ! まずい! 奴が先に『切り札』を引いたことで、自信をつけてしまっている。これでもし、勝利君の言葉がハッタリだったとしたら……」

 

「おいおい……勝利。お前、ぜってぇ負けんじゃねえぞ!」

 

「勝利君……頑張って!」

 

「ウシシ。健気な声援だなあ。その伏せカードが本当に『切り札』なら、それであの声援にこたえてみるといい。できるのならな! 行くぞ! "闇魔界の覇王"の攻撃! 『魔導波』!!!」

 

 

瞬間、闇を切り裂いたエネルギーの塊が闇を切り裂き、"二の太刀のエテジア"に襲い掛かる。

『闇』でステータスが見えずとも、それが勝利に致命的ダメージを与えるのに十分な攻撃力を持っていることは簡単に見て取れた。

 

"エテジア"はそれをかわそうとする素振りさえも見せず、地に足をつけて着弾を待っていた。

 

 

「「「勝利(君)!!!!」」」

 

 

遊戯たちは声を上げた。

杏子に至っては、迫りくる敗北の恐怖で手で顔を覆ってしまっている。

 

 

 

そんな中で、舞は一人、かみしめるように呟く。

 

 

 

「あんたのデュエルが……これで終わるわけない」

 

 

 

 

「もちろんさ、舞さん」

 

 

 

 

隣にいる遊戯たちさえも聞こえない程度の舞の小さな呟きに、勝利が小声で返事を返した。

 

 

「伏せカードオープン! "ガード・ブロック"!」

 

 

 

ガード・ブロック

 

罠カード

 

敵からのダメージを打ち消し、ドローに変換する。

 

 

 

勝利の目の前で光線の爆発が起こる。

しかし、"エテジア"が破壊された後も、勝利のライフが削られている様子はなかった。

 

「"ガード・ブロック"は、僕が受けるダメージを一度0にし、カードを一枚ドローするカード。よって僕は、一枚ドロー」

 

「……ふん。まだ耐えるカードがあったか」

 

 

 

「ふー。とりあえずこのターンもしのいだな」

 

「……でも、やっぱりあのセットカードも『切り札』じゃなかったわ……」

 

「ダメージを無効にし、ドローに変えるカード……状況を見ればやはり勝利君は相手の攻撃をいなしながら、『切り札』を待っているようにみえるが……相手が先に『切り札』モンスターを引いてしまった以上、これまでのように尻込みはしてくれないだろう」

 

(むしろ、ここまでの展開から、勝利君の『切り札』発言はハッタリだと決め売って全力で仕掛けてきてもおかしくはない頃合いだ。勝ち筋があるとするならば、仕掛けるしかないぜ、勝利君!)

 

 

 

 

「そして僕のターン。カードドロー」

 

 

 

 

遊戯たちの注目を一身に受けながら、勝利はカードを引いた。

勝利が遅らせていた時間は、先ほどのターンに動き出してしまった。

つまりこの勝利のターンが、この決闘の運命を左右する大切なターンになる。

 

 

遊戯ほど詳しくわからずともぴりついた空気を感じ取った城之内は、生唾を飲み込む。

杏子は、顔の前で手を合わせ、祈っていた。

 

 

 

 

 

「モンスターをセット。カードを一枚セット。ターンエンド」

 

 

 

 

しかし、そんな思いと裏腹に、勝利のターンはあまりにもあっさりと終った。

 

 

 

闇のプレイヤーキラー

LP 1290

 

闇魔界の覇王 ???

 

伏せカードなし

 

勝利

LP 2000

 

伏せモンスター一体

 

 

伏せカード1枚

 

 

 

 

「なっ! 勝利!? お前、切り札はどうしちまったんだよ!?」

 

「勝利君!? 嘘っ!」

 

「ウハハハハハ。とうとう、万策尽きたか! だが、いまさら待ったはできんぞ! 俺のターン!」

 

 

驚愕の声を上げる城之内たちの声を切るように、そして、『ターンエンド』を撤回されないように急ぐようにプレイヤーキラーはドローを行った。

 

「さあ、行くぞ! 俺は"闇魔界の覇王"に、"メテオ・ストライク"を発動し、コンボ攻撃を行う!」

 

 

 

メテオ・ストライク

 

魔法カード

 

モンスターの攻撃に隕石の魔力を付与する。守備モンスターにもダメージを与える

 

 

 

「このカードによって、"闇魔界の覇王"は守備モンスターを攻撃した際にもダメージを与えることができるようになる。黒羽勝利、貴様の貧弱な鳥モンスターで"闇魔界の覇王"の攻撃を受けてしまえば最後! 貴様のライフは一撃で吹き飛ぶことだろう!」

 

 

「なんだって!? やべえぜ勝利!」

 

「くっ。ここまで時間を稼いだことが、裏目に出てしまったか!」

 

「このままじゃ、勝利君が負けちゃう!?」

 

 

突然の大ピンチに遊戯たちが思わず声を荒らげる。

いまだ"闇魔界の覇王"のステータスはわからないままではあるが、プレイヤーキラーの雰囲気から言って、そのモンスターが奴の『切り札』であることはハッタリではないだろう。フィールドパワーソースのパワーアップも含めれば、攻撃力が2000を超えているであろうことは想像に難くない。

ということは、"メテオ・ストライク"の効果も併せて攻撃されたら、勝利のLP2000が一撃で吹き飛んでしまう可能性は大いにあり得る話だった。

 

 

 

「さあ、黒羽勝利! 俺の『闇』からの渾身の一撃、防げるものなら防いでみるがいい! 貴様に本当に『切り札』とやらがあるんならなあ! ウハハハハハハ!」

 

 

「ば、馬鹿にしやがってあのやろう! 今に見てやがれ、勝利がすぐに『切り札』で、お前なんかぼっこぼこにして……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ごめん、城之内君。『切り札』は、見せられない」

 

 

 

 

 

 

 

激昂して声を荒らげた城之内の声が消える。

いや、城之内だけではない。

杏子も、この決闘をずっと冷静に捉えていた遊戯でさえも、絶句して目を見開いた。

 

 

「……おい、勝利……嘘だよな……? なあ、そんなわけ……」

 

城之内が、震える声を絞る。

力が入っていく拳が、やがて強くボックスのガラスをたたいた。

 

「嘘だって言いやがれ! ここからひっくり返せる、『切り札』があるんだろ! あるって、いってくれよ! なあ、勝利!」

 

「嘘じゃない。いや、この決闘中が、ずっと嘘だったといえるのかもしれない。そんな顔をさせるつもりじゃなかったんだけど、みんなも騙すことになっちゃって、ごめんね」

 

あまりにも静かな声で答える勝利に、今度は杏子が泣きそうな声を上げる。

 

「いや……噓でしょ……勝利君!?」

 

「勝利君……君のデッキには……」

 

 

 

 

「うん。いつまで待とうとも、『闇』を攻略する『切り札』なんてものは、来ない。そんなカードは、最初から僕のデッキには存在していない」

 

 

 

 

その言葉で、杏子は崩れ落ち、城之内はもう一度思い切りガラスをたたいた。

そしてそれを合図とするように、下卑た笑い声がまとわりつくように耳に届いた。

 

「シシシシシ。ウーッハッハッハッハッハッハッハ!!!! すでにそうではないかと勘繰ってはいたが、まさか本当に無策だったとはなぁ! シシシシシ、笑いがこらえきれんわ! ハーッハッハッハ!!!!!」

 

『闇』で顔は見えずとも、プレイヤーキラーの愉悦が声から伝わる。

それにより、杏子は先ほどまで必死にこらえていた涙が思わず一滴こぼれかける。

 

 

しかし、その雫は頬を伝う前にハンカチで拭われた。

顔を上げるとそこには、こちらにハンカチを差し出しながら、鋭い目を勝利から外さずに佇む、強き決闘者としての舞の姿があった。

 

「泣いちゃだめよ。杏子。そんなものは、さっさと拭いなさい」

 

「でも……でも、勝利君が……『切り札』はないって……『闇』を、打ち破れないって!?」

 

言いながら杏子は、舞の体に縋るように体を預ける。

それを舞は無理やり立ち上がらせるように抱え込み、杏子と目を合わせる。

 

 

 

 

「あたしは、勝利を信じてる。『勝つ』といった勝利を、最後まで信じ続ける」

 

 

 

「そりゃあ……わたしだってそうしたい……でも、勝利君は、逆転の手はないって……勝てないって……」

 

 

 

 

「違うわよ。杏子。勝利は確かに、『切り札』はないといった。でも、あいつは一度も、『勝てない』なんて言葉は言ってないわ」

 

 

 

 

「えっ?」

 

「おい、舞! どういうことだ!?」

 

呆ける杏子に、混乱する城之内が声を荒げる。

 

「言った通りよ。勝利は、この決闘に勝つ気でいる。それも宣言通り、圧倒的にね」

 

「……だが現実として、『闇』を攻略できないまま勝利君は追い詰められている……これは勝利君の想定通りだとでもいうのか?」

 

「はっきり言って、その方法はあたしにもわからない。でも少なくとも、あたしたちのために勝つと言ってくれた、勝利の言葉は本物だった。だからこそ、どんな状況だとしても、あたしは勝利を信じる」

 

(いまのあたしにできること……ううん。やるべきことは、もう信じることだけ)

 

 

 

そこまで言って舞は一歩前に進み、ボックスの中に渾身の声を向ける。

 

 

 

 

 

「勝て! 黒羽勝利!」

 

 

 

 

 

(ああ……こんな状況でも、舞さんが僕を信じてくれている。心が、熱い。こんなに、力になることはない!)

 

自分の中で、名前のない活力が漲っていくのがわかる。

友達が、喜んでいるのが伝わってくる。

 

「シシシシシ。この期に及んで、まだ応援でどうにかなると思っていやがるのか。お気楽な女だ。俺がこの一撃で、絶望をくれてやる!」

 

プレイヤーキラーの不愉快な声すら、耳に残らない。

 

 

ここまで用意してきた、『ハッタリ』は消えた。

『切り札』なんてものも、ありはしなかった。

だが、勝利の顔は、自信で満ち溢れている。

 

 

 

 

(舞さんが僕を信じている……それだけで、こんな奴に負ける気がしない!)

 

 

 

 

 

そんな勝利の思考を貫くように、自らの勝ちを確信した男の、高らかな宣言が『闇』から響き渡る。

 

 

 

「さあ終わりだ、黒羽勝利! "闇魔界の覇王"で、貴様のモンスターに攻撃! "魔導鉱封波"! 消え去れ雑魚モンスター!! ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」

 

 

 

「……貴様は今、攻撃といったな?」

 

 

 

「……ハ?」

 

 

 

「その言葉に反応し、僕の罠カードが起動する。発動せよ、罠カード“BF-バックフラッシュ”!」

 

 

「な、なんだとぉ!?」

 

 

 

 

 

BF-バックフラッシュ

 

罠カード

 

墓地のBFが5体以上の時、BFの闇の力を結集した大爆発が敵を葬る

 

 

 

 

 

(やっぱり、そのカードだったのね)

 

「このカードにより、墓地に眠る5体のBFが一時的に復活する! 帰ってこい! BF-疾風のゲイル、BF-白夜のグラディウス、BF-二の太刀のエテジア、そして……BF-熱風のギブリ、BF-竜巻のハリケーン!」

 

「ば、馬鹿な……お前の墓地のモンスターの数が合わん……いつの間にそんな墓地に」

 

「っ! そうか、"天使の施し"は『切り札』を引くための手札交換じゃなく……」

 

 

「そう、"痛み分け"も"ガード・ブロック"も全部、このカードを発動するための布石だったのさ」

 

 

「す、すっげえぜ勝利! こんなカードを隠し持ってやがったのか!」

 

興奮する城之内。

だが、遊戯の険しい顔はそれでも晴れた表情に変わる様子はなかった。

 

「……確かに、この土壇場でカードの発動条件を満たしたことはすごいことだ。だが……」

 

(そう。ここまではあたしにも読むことができた。でも、問題は……)

 

 

 

 

「……シ、シシシシシ! 何かと思えば、そんなカードか? 発動条件を満たして意気揚々としているところ悪いが、忘れたのか!? 我がモンスターはすべて、闇に身を隠すことができる! 何体お前のモンスターを集めたところで、俺のモンスターを破壊することはできないんだよ!」

 

 

「……奴のいう通り。勝利君のモンスターは、『闇』の中のモンスターを攻撃する術をもっていない。それは、たとえ罠カードを使ったコンボ攻撃でも例外じゃない」

 

 

「何っ!? じゃあ、勝利の罠カードは無駄うちになっちまうってことかよ!?」

 

 

「その通り!」

 

 

その城之内の言葉に、プレイヤーキラーは嬉しそうに同意する。

罠カードにかかった動揺は落ち着きはじめ、平静を取り戻していた。

 

 

「貴様の渾身の罠も、外れに終わる! そして"闇魔界の覇王"でもう一度お前のモンスターを狙い打てば、それだけで俺の勝利はきまる!」

 

 

「……」

 

 

プレイヤーキラーの言葉に、勝利は何も返さない。

その様子に、遊戯たちの不安はどんどん募っていく。

 

しかし、無情にもプレイヤーキラーは、追撃の声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞ、"闇魔界の覇王"! もう一度、こうげ…………な、なに~~~~~~!!!!?」

 

 

 

 

 

 

突然、勢いづいていたプレイヤーキラーの声が驚愕の色に塗り替わる。

声しか聞こえずに状況がつかめない杏子たちは、さらに困惑を深めた。

 

 

 

「な、なに? 何が起こってるの?」

 

「そ、そんなもん俺に聞くなっつーの!」

 

「……何が起こっているのかはわからないが、奴にとって予想外のトラブルが起こっているということ自体は間違いなさそうだぜ」

 

 

遊戯の予想が正しいことは、いまだ状況の本質を掴めずに困惑の言葉をぼそぼそと漏らすプレイヤーキラーのこれが証明していた。

 

 

 

誰も、何も状況をつかめていない。

その状況を黙って傍観していた勝利が、何かを確信したかのような表情を浮かべて、口を開いた。

 

 

 

 

 

「『切り札』なんて、最初から必要はなかった」

 

 

 

 

 

「な、なんだと?」

 

 

攻撃を宣言する前と同じ人間の声とは思えないほど、弱弱しい声の問いが『闇』から届く。

 

「お前を倒すのに、特別な手なんて必要ない」

 

言いながら勝利は、手札を裏向きにして場に置いた。

これ以上に戦う気はないという意思表示が、行動から見て取れた。

 

 

「お前の一番の敗因は、『切り札』などという大層なものに気を取られ続けるあまり、一番大切なことを考えもしなかったこと」

 

 

勝利のセリフを何も掴むことができていない遊戯たちは、疑問符が増えるばかりだった。

 

しかしただ一人、場をとらえることができているプレイヤーキラーは、勝利の発言に誰にも見られない顔を青くした。

 

 

「ま、まさか……そんな……」

 

上ずった声が響く。

その声を無視して、墓地のカードを一枚ずつ愛でながら、勝利は言った。

 

 

 

 

 

「僕の『BF』は、極夜を切り裂き、残夜に行き、暁に飛び、黒夜を駆ける。暗黒を支配する鳥獣戦士」

 

 

 

 

 

「……嘘」

 

「……そんなことが……」

 

勝利の言葉をいち早く理解した舞と遊戯は絶句する。

 

(勝利を疑ってはいなかった……けど、まさか、こんな方法で……)

 

「……信じがたいが、勝利君は本当にやり切ったというのか」

 

 

「な、なんだなんだ? どういうことだよ、これ?」

 

「あ、あたしにきかないでよ!」

 

 

いまだ困惑したままの城之内と杏子の様子にクスリと笑い、勝利は確信に触れる。

 

 

 

「僕の友達、BFの話さ」

 

 

 

BF。

 

空を賭ける、鳥獣族モンスター。

 

 

 

その属性は…………『闇』。

 

 

 

 

 

「闇中の敵を見つけることなど、造作もない。『闇』は、彼らのホームグラウンドさ」

 

 

 

 

 

「な、なんだって~~~~~~~~~!!!!?」

 

そこまで言葉にされて、ようやく城之内も理解した。

 

 

 

 

「なら、勝利君のモンスターたちは……」

 

 

 

 

 

「うん。みえていたよ。攻撃しようと思えば、いつでも破壊できただろうね」

 

 

 

 

あっけらかんと言う、勝利。

そうして、全員が、何が起こっているのかを理解する。

 

 

「当然、五体もいれば相手を囲んでしまうことなんて、訳ないよ」

 

 

今頃、奴の目の前には、

BFに囲まれて、右往左往する"闇魔界の覇王"の姿を見て、言葉を失っていることだろう。

 

 

「さて、じゃあ、そろそろ決めようか」

 

 

勝利の声のトーンが、少し低くなる。

友への言葉から、敵への言葉に切り替えたことを感じ取った。

 

 

 

 

 

「一応、言っておくけど。この一撃、舞さんは華麗にさばいて見せた」

 

 

 

 

 

「っ!」

 

勝利の言葉に、舞が反応する。

勝利は、言葉を続けた。

 

 

 

 

「いなして見せなよ。この一撃。貴様に、できるものならな」

 

 

 

 

(何よ……慣れてもない挑発して、好きでもないハッタリかまして……やろうとしてたことは、たったこれだけのこと?)

 

 

 

 

舞が知る、渾身の一撃。

思い出すのは、船での決闘。

舞が、勝利の目の前で、防いで見せた一撃

 

 

 

「あたしの強さを証明するって、そういうこと……あたしが防ぐことができた一撃で、あいつを葬って見せようって……たったそれだけのために、あんなに苦労して……」

 

 

 

 

 

(ホント、馬鹿よ……あんたは。大馬鹿よ)

 

 

 

 

 

 

「さあ、装填完了。バックフラッシュまで、あと、5秒だ」

 

 

 

 

「……ろ」

 

 

 

「……何?」

 

 

 

 

 

「にげろーーーーーーーー! "闇魔界の覇王"!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

「……その程度か」

 

勝利は失望の声とともに、指を鳴らし、一言を告げた。

 

 

 

「バックフラッシュ」

 

 

 

その瞬間に大爆発と、断末魔がこだました。

 

 

 

 

『ぎやーーーーーーーーーーーーー!!!』

 

 

 

"闇魔界の覇王"は、大爆発に巻き込まれ。

その爆破の余波が、"闇晦ましの城”まで巻き込んでいく。

 

 

上空の城までとらえた爆破の勢いは、城の『浮遊リング』に亀裂を入れた。

ほんの数秒はとどまることができたが、やがて罅は広がっていき、リングは割れて崩れ落ちる。

 

それを後から追うように、"闇晦ましの城”は浮遊を保ち続けることができず、地へとその身をたたきつけ、がれきの山と化した。

 

「お、俺の……俺の『闇』が……」

 

「っ! おい、見ろよ! 『闇』が!?」

 

「『闇』が、晴れていく……」

 

「今のバックフラッシュの一撃が、奴のモンスターだけでなく、空中の城までもをとらえていたんだろう。これでとうとう、あのデクヤローの情けない面が拝めるようになるな」

 

遊戯が悪い表情でそう呟くとすぐに、闇は晴れ、プレイヤーキラーが姿を現した。

 

「う、嘘だ……俺の、『闇』が……『闇』が……」

 

そこに現れたのは、今にも涙と鼻水が零れ落ちそうな、情けない顔で瓦礫の山を見つめる男の姿だった。

 

 

 

 

闇のプレイヤーキラー

LP 1290 ー (闇魔界の覇王 攻撃力2000 ÷ 2) = 290

 

モンスター なし

 

伏せカード なし

 

 

 

 

「……『城』が守備表示であったがために、一応ライフは残ったんだね」

 

「あ……ああ……ああ……」

 

「……僕のターン」

 

言葉を作ることもままならない対戦相手を一瞥もせず、勝利は自分のターンを進めた。

 

「モンスターリバース。BF-黒槍のブラスト」

 

 

 

BF-黒槍のブラスト

 

闇属性 鳥獣族 星4

 

攻撃力 1700

 

守備力 800

 

 

モンスターの守備力にもダメージを与えることができる

 

 

 

「このモンスターは、守備表示モンスターを攻撃した際にも、相手のライフポイントにダメージを与えることができるカード。これで僕は、ターンを終了するよ」

 

 

「……」

 

 

勝利がターンを終えた後でも、プレイヤーキラーは動き出さない。

 

「……決まったな。まさに、完全勝利だぜ」

 

「ええ……」

 

その様子に、遊戯と舞は、この決闘の結末を確信した。

それは、ただ、勝利が圧倒的な力を見せつけた。以上の結論を確信しているようだった。

 

 

「さあ、貴様のターンだぜ。カードを引けよ」

 

「……俺の……俺の、最強の……」

 

「おい」

 

「ひっ!!?」

 

「カードを、引けよ。まだお前に、戦う意志があるのなら」

 

「お、俺は……俺は……」

 

 

 

男は、自分の意思に反して震える手を必死に動かしながら、デッキに手をかざす。

山札から、一枚カードを引こうとしたその瞬間に、勝利の顔をちらと覗く。

 

 

 

 

「…………さあ、引けよ」

 

「ひっ!」

 

 

 

 

一枚引こうとした、カードを落とす。

そして男は、そのカードを拾うこともできず、そのまま震える手をデッキの上に置いた。

 

 

 

 

「……サレンダーします……もう、許して……」

 

 

 

 

降参。

決闘者における、誇りを投げ捨てるかの行為を、男は、恐怖から選択した。

 

それはまさに、完全勝利だった。

 

 

しかしその栄光を手にした男は、勝鬨の一つも上げずに、デッキと星を持って放心状態の対戦相手をおいてそそくさとボックスを後にした。

 

 

「……舞さんのためとはいえ、二度とごめんだね。こんな、つまらない決闘は」

 

 

吐き捨てるように言葉を吐き、扉を閉じる。

その顔は険しさを崩すことはなかった。

 

が、扉を出て出迎えてくれた仲間。そして、自分を優しい目で見つめてくれる舞の姿を見て、勝利はようやく顔を崩し、数刻ぶりの満面の笑みを見せた。




決着

ちょっと師走も佳境で仕事が忙しく、書きだめが間に合ってません。
一旦行けるところまでは3日感覚で投稿しますが、ダメそうだったらちょっとお時間いただきます。
目指すは王国編完結までを休みなしで完走です。
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