遊戯王~黒き羽根は夢に舞う~   作:haruko

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原作では終ぞなかった、アニメでもドーマ編までなかった、城之内vs舞の再戦回になります。
こういうのを描けるのも二次創作の醍醐味ですね。


再戦 城之内vs舞!

 

 

 

「……負けちゃった」

 

「……そうね」

 

遊戯との決闘の決着がつき、テラスへと移動する道中の廊下で、勝利と舞が対面する。

勝利は、笑顔で言ったのに対し、舞は浮かない表情をしていた。

 

「……舞さん」

 

「っ!」

 

声をかけられてようやく、舞と勝利の眼が合う。

勝利は、舞から目を外さない。

ほんの数秒立った後、ため息をついた舞が、観念したかのように話す。

 

 

 

「……口出し、しないほうがよかったかな。ってね」

 

「……」

 

 

 

「なんも言わなきゃ、あんたの勝ちは確定だった……人様の決闘に横槍を入れてしまった。っていうのが、ちょっとね……」

 

舞の脳裏にこびり付いているのは、件の怒りの声。

遊戯と勝利。二人の決闘の結果を、自分の言葉で歪めてしまった。

そんな今までにない体験に、思わずその選択をしてしまった自分に、どうしようもない複雑な胸中を覚えて、勝利のことを正面から見れないでいた。

 

舞は一人で戦ってきた、孤高の決闘者だった。

信じられるのは己のみ。他人の応援やじゃれあい等、決闘の勝敗を左右するものではない。そう信じていた。

この、決闘者王国に来るまでは。

 

勝利に、遊戯たちに、出会うまでは。

 

応援が、力になるなど、考えもしなかった。

仲間の言葉を、強さに変えることなど、ありはしないと思っていた。

 

そんな舞が、自分の言葉で、遊戯を勝たせてしまった。

それに、困惑しているのだ。

 

勝利は、それに気づいた。

 

 

 

だからこそ舞に向けるべきは、謝罪ではないこともわかっていた。

 

 

 

勝利は、沈んだ顔の舞をそっと抱きしめた。

 

 

 

「しょ、勝利?」

 

 

 

 

 

 

「……舞さん。ありがとう。僕の大好きな、『楽しい決闘』を、守ってくれて」

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

その言葉に、舞が驚愕の表情で、自分を抱きしめる勝利を見る。

勝利は涙ながらに語るが、その表情から負の感情はまるで見られなかった。

 

「……舞さんの優しさに、僕の決闘は救われた」

 

「……」

 

「舞さんの言葉で、僕が負けたんじゃない。舞さんのおかげで、僕は最後まで戦うことができたんだ」

 

「……勝利」

 

舞が、勝利の肩を抱く。

肩を掴む力が、少しだけ強くなる。

 

 

 

 

「舞さん……ありがとう。僕は、楽しかった!」

 

 

 

 

言った後、舞の力がさらに強くなり、軽く爪が肌に刺さる。

勝利は少しだけ顔を歪めたが、笑顔を崩さなかった。

 

 

 

 

 

勝利がそっと離れた後、舞の顔を見る。

その表情に憂いはなく、前を向いた、強い舞の顔が戻っていた。

 

 

「……行ってくるわ」

 

 

「うん。頑張って」

 

 

どちらともなく上げた手で軽いハイタッチをして、決闘場へ向かう舞を見送った後、テラスへ向かうため身を翻す。

 

 

 

「……勝利!」

 

 

だが、決闘場の扉の前の舞の言葉で、もう一度顔を見合わせる。

 

 

「……? どうしたの、舞さん?」

 

 

「……ごめんなさい。何でもないわ……行ってくる」

 

 

何か言いかけた言葉を飲み込んだ舞が、そのまま決闘場の扉を開ける。

勝利は、閉まるまで扉の先を見続けた。

 

 

 

 

「やったね! 遊戯! ちょっとハラハラしちゃったけど、勝って信じてたよ!」

 

「……ああ、なんとかな。だが……」

 

言いながら遊戯は、決闘場へと降り立った舞、そして、今しがたテラスに入ってきた勝利を見る。

 

(俺が勝つことができたのは……勝利君の想い。そして何より……舞の言葉のおかげだ)

 

 

「……お疲れ、遊戯君。杏子ちゃんも。ははっ、決闘の結果に何の文句もないんだけど、ここで顔合わせになっちゃうのは気まずいね」

 

 

「あはは……勝利君も、お疲れ! すごい決闘だったわね!」

 

「うん。ありがとう。さ、切り替えて、二人の決闘を応援しよう」

 

「……ああ! そうだな!」

 

 

3人はそう言って、決闘場へと向き直る。

ちょうど城之内が到着し、舞と向かい合っていた。

 

「舞」

 

「……城之内。ようやくこの時が来たわね。確かに、あんたたちには助けられた。『見えるんだけど、見えないもの』も認める。でも、この勝負は譲らないわ」

 

「ああ……わかってるぜ!」

 

二人が、闘志を燃やす。

一度負けた相手。一度だけ勝つことができた相手。

どちらも、賭ける想いに陰りはなかった。

 

「俺が一度勝てたのだって、まぐれが重なっただけだ。俺の実力が舞より劣っていることくらい、よくわかってる。だがよ、俺にはここまで支えてくれた仲間がいる。俺を信じて、ここまで送り出してくれた仲間が!」

 

「……」

 

「てめぇ一人じゃあ、この決闘者王国を勝ち抜くことなんざできなかった……だからこそ、応援してくれたみんなのためにも……そして、俺自身の夢のためにも! お前に勝つ!」

 

 

城之内の啖呵を静かに聞いていた舞が、顔も動かさずに目線だけを一瞬こちらに向けた。

その目を見て、勝利ははっとして、舞がつぐんだ言葉を理解する。

勝利は遊戯たちから、一歩だけ距離をとった。

 

 

「……? 勝利君?」

 

 

杏子が気づき、怪訝な声を上げる。

 

 

 

「遊戯君……杏子ちゃん……僕、この決闘……舞さんの応援をしてもいいかな?」

 

 

 

「っ!?」

 

「……勝利君」

 

「お願いだ」

 

勝利が、頭を下げる。

だが、遊戯はすぐに笑い、勝利に言葉を返した。

 

 

「ああ、もちろんだぜ。勝利君、君は舞の応援をしてやってくれ」

 

「勝利君……うん! あたしたちが、勝利君の分まで城之内を応援する! だから、勝利君はあたしたちの分まで、舞さんを応援してあげて!」

 

 

遊戯と杏子は、サムズアップを勝利に向けた。

勝利は小さな声で、「ありがとう……」とこぼし、決闘場へと向き直して、渾身の声を上げた。

 

 

 

 

 

 

「舞さん! がんばれ!!」

 

 

 

 

 

 

その声に反応した舞は、あっけにとられたような顔を勝利に向け、やれやれといった表情で「馬鹿」と呟き、再び城之内に相対する。

 

 

「行くわよ! 城之内!」

 

 

「おうよ!」

 

 

 

城之内 LP2000

「「デュエル!!」」

舞   LP2000

 

 

 

「俺のターン! "格闘戦士アルティメーター"を守備表示にして、ターンエンド!」

 

 

格闘戦士アルティメーター

 

地属性 戦士族 星3

 

攻撃力 700

 

守備力 1000

 

 

「あら? "ベビードラゴン"の召喚はやめたの?」

 

皆の脳裏によぎるのは、竜崎戦。

何の抵抗もできない状態でエースモンスターを場に並べる城之内の姿。

 

安直な行動を咎められたことを思い出した城之内は、顔を赤くして怒号を飛ばす。

 

「う、うるせぇ! さっさと進めやがれ!」

 

「ふふっ。あたしのターン! "ハーピィ・レディ"を召喚!」

 

 

ハーピィ・レディ

 

風属性 鳥獣族 星4

 

攻撃力 1300

 

守備力 1400

 

 

「カードを一枚セットして、バトル! "ハーピィ・レディ"で、"格闘戦士アルティメーター”に攻撃! 『爪牙砕断(スクラッチ・クラッシュ)』!」

 

 

ハーピィ・レディ

 

攻 1300

 

格闘戦士アルティメーター

 

守 1000

 

 

「アルティメーター撃破!」

 

「くっ!」

 

「ああ、城之内……」

 

「いや、あれは正解だよ」

 

落胆する杏子に、勝利が声をかける。

遊戯も同意し、それを引き継いで話す。

 

「その通りだ。城之内君は、舞の攻撃を守備で誘ったんだ。ほかの攻撃モンスターで、"ハーピィ・レディ"を倒すために」

 

「城之内君は、舞さんと戦うための自分の手が限られていることをわかっているんだ。だからこそ、先手では決して無理はせず、舞さんが攻撃してくるのを待った……強くなったね、城之内君」

 

勝利は、優しい目で城之内を見た。

しかし、すぐに表情を鋭く切り替え、舞の場に視線を移す。

 

(あのセットカード……舞さんも、先手を譲る気はなさそうだ)

 

 

 

「俺のターン! 行くぜ舞! 俺は、"魔導騎士ギルティア”を召喚!」

 

 

魔導騎士ギルティア

 

光属性 戦士族 5

 

攻撃力 1850

 

守備力 1500

 

 

「よし! "ハーピィ・レディ"の攻撃力を上回ってるわ!」

 

「しかもギルティアは魔法攻撃モンスター。飛行能力を持つハーピィもとらえられる」

 

感心したような声を上げる遊戯たち。

だが、その様子と裏腹に、城之内の表情は険しいままに、固まっていた。

 

 

「……? 城之内の奴、なんで攻撃しないのかしら?」

 

「城之内君が、決闘者として成長した証さ」

 

杏子の疑問に、即座に勝利が答えた。

 

「城之内君は舞さんのあのセットカードが、罠カードであると読んでいるんだ。だからせっかく出したギルティアを、攻撃させていいものか悩んでいる。さっきも言った通り、城之内君の虎の子の主力モンスターだからね。安易な攻撃で失っていいものか葛藤しているのさ」

 

 

勝利の予想通り、城之内は静かに、次の選択を見極めていた。

 

(俺の手札に、舞のセットカードを破壊する手段はない……だが、舞の『ハーピィ』デッキは、"ハーピィ・レディ"をコンボカードで強化していくデッキ。次のターンにギルティアでハーピィを倒せる保証はない。だったら、罠を承知でいくしかねえ!)

 

 

「バトル! ギルティアで"ハーピィ・レディ"に攻撃! 『ソウル・スピア』!」

 

 

「行けーっ! 城之内ー!」

 

(それで正解だぜ、城之内君。待っていても舞のハーピィは強化されていくだけ。ならば、舞のカードを使わせて、次のターンにかけたほうがいい!)

 

遊戯は城之内を肯定する。

しかし、舞とともにこの王国を過ごした勝利には、別の答えが見えていた。

 

「そう……それが正解だよ城之内君……本来ならね」

 

(残念ながら、舞さんは、城之内君を舐めてない)

 

 

 

「……セットカードを警戒できたことは褒めてあげるわ。伏せカードオープン! "銀幕の鏡壁(ミラーウォール)"!」

 

 

 

銀幕の鏡壁(ミラーウォール)

永続罠カード

 

相手プレーヤーが攻撃を宣言した時、銀幕の鏡壁(ミラーウォール)が敵モンスターの攻撃力を半減させる。

 

 

 

ギルティアが攻撃エネルギーのチャージを始めたその瞬間、ハーピィとギルティアの間に、鏡壁(ミラーウォール)がせり上がる。

 

「な、なんだこの鏡は!?」

 

「城之内! 攻撃宣言したあんたのモンスターの目の前に、鏡壁(ミラーウォール)が立ちふさがるわ!」

 

「っ! 鏡に、ギルティアが映り込んだ!?」

 

「そう。銀幕の鏡壁(ミラーウォール)の効果により、ギルティアは鏡に映った自分自身に攻撃してしまい、その攻撃力を落とすわ!」

 

 

魔導騎士ギルティア

 

攻 1850÷ 2 = 925

 

 

「くっ! ギルティアの攻撃力が!?」

 

「あたしのターン! カードを1枚セット。そして、バトル! "魔導騎士ギルティア"に攻撃! 『爪牙砕断(スクラッチ・クラッシュ)』!」

 

 

ハーピィ・レディ

 

攻 1300

 

魔導騎士ギルティア

 

攻 925

 

 

LP 2000 ー 375 = 1625

 

 

『おーっほっほっほ!』

 

肩に自分の魔法を受けて蹲るギルティアを、ハーピィが八つ裂きにする。

オープニングヒットは舞がとった。

 

 

「さすがだね、舞さん」

 

「……しかも、あの"銀幕の鏡壁(ミラーウォール)"というカード……」

 

 

 

「っ! 発動した鏡のカードが、まだ残ってやがるだと!?」

 

 

 

そう発言した城之内に、舞は「ふーん」と一言漏らした後、カードを前に掲げた。

 

「よく気付いたじゃない。このカードは現在数百種にも及ぶ罠カードの中でも最もレアリティの高い永続罠カード。このカードが場にある限り、あんたの攻撃の宣言によって、何度でも"銀幕の鏡壁(ミラーウォール)"は再発動する」

 

「な、なんだって!?」

 

「それじゃあ、城之内のモンスターの攻撃は舞さんのハーピィまで届かないじゃない!?」

 

絶望的な宣言を受け、遊戯たちの表情が一気に曇る。

 

「……城之内君は、罠カードである以上、一度きりの使用で場からなくなると判断して攻撃を仕掛けた。だが舞は、その上を行っていたということか」

 

「"銀幕の鏡壁(ミラーウォール)"は数多ある罠カードの中でもトップの性能。もちろん舞さんのデッキの中でも最上位のレアカードだ。城之内君のことを認めているからこそ、最初からあのカードで対応したんだね」

 

さて、次の城之内の手はどうなるのか。

周りの期待が、城之内に集まった。

 

(罠カードは基本、俺の攻撃の宣言によって発動しちまう……だったら!)

 

「俺のターン! 俺は、獣戦士"ガルーザス”を召喚!」

 

 

ガルーザス

 

炎属性 獣戦士族 5

 

攻撃力 1800

 

守備力 1500

 

 

「カードを1枚セット! ターンエンドだ!」

 

 

 

舞   LP 2000

 

ハーピィ・レディ

 

攻 1300

 

銀幕の鏡壁(ミラーウォール)

伏せカード1枚

 

 

 

城之内 LP 1625

 

ガルーザス

 

攻 1800

 

伏せカード1枚

 

 

 

「さあ……ここからだね」

 

「ああ……舞の強力なハーピィコンボと"銀幕の鏡壁(ミラーウォール)"、これを城之内君がどうやってきり抜けるかがこの決闘の最初のターニングポイントになる」

 

真剣な眼差しで見つめる遊戯と勝利。

そのターニングポイントである、舞のターンが開始する。

 

「あたしのターン。行くわよ城之内! あたしは、"誘惑のシャドウ"をハーピィに対して発動!」

 

「……なるほど。さすがは舞さん。すごいコンボだ」

 

発動したカードの効果をよく知る勝利だけが、舞の戦略に感嘆した。

 

 

誘惑のシャドウ

魔法カード

 

このカードの魔力が備わったものは敵を戦闘ホルモンによって誘惑し、攻撃を強要する事が出来る。

 

 

シャドウから漏れ出るフェロモンが、城之内のフィールドへと流れていく。

すると城之内の"ガルーザス"が、指示を受けていないにもかかわらず動き出す。

 

「何っ!? "ガルーザス"が!?」

 

「このカードの魔力によって、あんたのモンスターは攻撃本能を刺激され、強制的にハーピィと戦闘を行うことになる!」

 

「っ! まずい! 城之内君のモンスターの攻撃で、また"銀幕の鏡壁(ミラーウォール)"が起動する!」

 

 

"ガルーザス"が、鏡に映った自分に向けて斧を投げつける。

当たった体に傷がつき、思わず苦しそうに膝をついた。

 

 

ガルーザス

 

攻 1800 ÷ 2 = 900

 

 

「今よ! "ハーピィ・レディ”に、"電撃鞭”を装備して、"ガルーザス"に攻撃! 『鞭打処刑(ウィップバニッシュ)』!」

 

 

「くそっ! 何度も見過ごしてたまるか! 罠カード発動! "鎖付きブーメラン”!」

 

 

鎖付きブーメラン

 

敵が攻撃を宣言して発動。

その後武装カードとなり、500攻撃力アップ

 

 

「このカードで、攻撃してきたハーピィを拘束するぜ!」

 

 

「うまい! 武装カードなら、空中のハーピィも狙い撃てる!」

 

"ガルーザス"が手元のブーメランをハーピィに投げつける。

しかし、ハーピィは余裕そうな表情で、大きく羽を構えた。

 

「惜しかったわね。伏せカードオープン! "ハーピィの羽根箒”!」

 

「何っ!?」

 

 

ハーピィの羽根箒

 

魔法カード

 

相手プレイヤーの場に魔法、罠カードをすべて除去する。

 

 

「このカードで、"鎖付きブーメラン”を除去するわ!」

 

空中のハーピィの羽ばたきにより、大きな風が巻き起こった。

その風が城之内のフィールドに届くと、"ガルーザス"の身体から、"鎖付きブーメラン"をはぎ取っていった。

 

「くそっ! 俺の罠が……」

 

「さあ、これでハーピィの攻撃は止まらないわ!」

 

 

ハーピィ・レディ

 

攻 1300 + 300 電撃鞭 コンボ!

 

ガルーザス

 

攻 900

 

 

城之内 LP 1625 ー 700 = 925

 

 

「ぐぅ!」

 

「城之内!?」

 

「……さすが舞。強いぜ」

 

「……さて、城之内君はどうするかな」

 

 

城之内のデッキが、騎士、獣戦士系のモンスターで構成されていることを勝利は知っている。つまり、城之内のデッキのモンスターに、"誘惑のシャドウ"にあらがうことができるモンスターはそうそういないことは明らかだった。

いち早く対処しない限り、城之内は程なくして敗北となるだろう。

 

(でも、"銀幕の鏡壁(ミラーウォール)"に、"誘惑のシャドウ"。どちらか一方に対処したところで、本質的な解決にはならない。この決闘の主導権は、完全に舞さんが支配した)

 

 

そう考えていた勝利だったが、次のターンの城之内の表情を見て、表情を崩す。

それは、相手のコンボに絶望した様子には、到底見えなかった。

 

「舞。さっきのターンのコンボは、マジですごかった。だけどな、俺の予想通りに進んでくれたこともあったんだぜ?」

 

「……なんですって?」

 

城之内は、舞の顔を見て嬉しそうに、カードを発動した。

 

「"ものマネ"カード! これで、舞の使ったカードをコピーするぜ!」

 

「も、ものマネカード!?」

 

 

ものマネ幻想師

 

幻想カード

 

相手が場に出したカードをコピーする。

ただし、「操り人形」がなければモンスターはコピーできない。

 

 

「コピーするカードは、こいつだ! "ハーピィの羽根帚”!」

 

「し、しまった!」

 

舞が城之内の策に気づくが、時すでに遅かった。

今度は城之内のフィールドから舞のフィールドに、大きな風が襲い掛かる。

 

 

「これによって、"誘惑のシャドウ”、"電撃鞭”、"銀幕の鏡壁(ミラーウォール)"を破壊するぜ!」

 

 

「!!!? まさか城之内君、"鎖付きブーメラン"は、舞さんに魔法・罠破壊カードを使わせるための囮として!?」

 

「すごい! すごいぜ城之内君! コピーカードで、形成逆転だ!」

 

 

 

舞   LP 2000

 

ハーピィ・レディ

 

攻 1300

 

 

 

強固だった舞のフィールドが、一気に崩される。

ハーピィも守りの壁を破壊され、突風を受けたことで武器をはぎ取られ、体制を崩していた。

 

 

「行くぜ! 俺は"炎の剣士"を召喚し、"ハーピィ・レディ"にバトルを仕掛けるぜ!」

 

 

炎の剣士

 

炎属性 戦士族 星5 

 

攻撃力 1800

 

守備力 1600

 

 

「"炎の剣士"! 『闘気炎斬剣』!」

 

 

炎の剣士

 

攻 1800

 

ハーピィ・レディ

 

攻 1300

 

 

LP 2000 ー 500 = 1500

 

 

「きゃあ!」

 

「"ハーピィ・レディ"撃破!」

 

城之内の高らかな宣言に、思わず勝利を含めた全員が沸いた。

 

「完全に舞さんが掴んだと思われた序盤の主導権を、城之内君が奪い取った……」

 

「あの城之内が、舞さんと互角に渡り合ってるなんて……」

 

「確かに、舞さんのほうが、カードの強さも、戦術も城之内君より優っている……でも、城之内君には、勝負所を見極め、流れをつかみ取ることに天賦の才がある。この勝負、まだわからない……けど」

 

勝利は身を乗り出して、舞に届くように目一杯の声をかけた。

 

「舞さん! 落ち着いて、自分のデュエルで戦うんだ!」

 

「っ! わかってるわ。見てなさい勝利」

 

それを見て、杏子も負けじと声を上げる。

 

「城之内! がんばって!」

 

「おうよ!」

 

応援を受けた二人が改めて目を合わせ、二人でにやりと笑う。

仲間(おなじもの)を得て、賞金(おなじもの)のために戦う。

彼らはまさに、対等の決闘者だった。

 

 

舞   LP 1500

 

 

モンスター無し

伏せカード無し

 

 

城之内 LP 925

 

炎の剣士

 

攻 1800

 

 

 

「あたしのターン! あたしは2枚目の"ハーピィ・レディ"を召喚! そして、ハーピィに、"サイバー・ボンテージ”を装備!」

 

 

サイバー・ボンテージ

 

武装カード

 

特定モンスターに装備。

攻撃力+500

守備力+400

 

 

ハーピィ・レディ

 

攻撃力 1300 + 500 = 1800

 

守備力 1400 + 400 = 1800

 

 

「さらにカードを1枚セット。ターンエンドよ」

 

「装備カードで強化……これで舞のモンスターと城之内君のモンスターの攻撃力が並んだ……」

 

「注目は、次の一手だね」

 

遊戯と勝利の意見があったことで、自然と視線は城之内へと集まる。

 

「俺のターン! いいカードだ、畳みかけるぜ! "炎の剣士”に、魔法カード"サラマンドラ”! 炎を強化するぜ!」

 

「っ! 城之内も攻撃力アップ……」

 

 

サラマンドラ

 

魔法カード

 

炎の属性を持つ剣に、サラマンドラの力が宿る。

攻撃力700UP

 

 

"炎の剣士”の刀剣に、竜を模した炎の力が纏われる。

呼応するように、"炎の剣士”からあふれる熱量が変わった。

 

 

炎の剣士

 

攻 1800 + 700 = 2500

 

 

 

「よし! これでハーピィを上回ったぜ!」

 

「しかも、サラマンドラの炎なら、飛行能力のハーピィを狙い撃てる。1戦目の反省を生かして、"ハーピィ・レディ"の飛行能力を最大限に警戒して戦ってるね。城之内君は」

 

「よし、行くぜ! "炎の剣士”、"ハーピィ・レディ"に攻撃だ! 飛龍炎(サラマンドラ)!」

 

炎の竜が、空中のハーピィに襲い掛かる。

しかし、舞に焦りはない。

その目は、ただタイミングを見計らっていた。

 

「……伏せカードオープン! "ハーピィの羽根吹雪”!」

 

「何っ!?」

 

 

ハーピィの羽吹雪

 

罠カード

 

敵モンスター、または敵モンスターの攻撃に強風をぶつけ、吹き飛ばす

 

 

「サラマンドラの炎を、吹き飛ばす!」

 

「っまずい! 今攻撃を跳ね返されたら!?」

 

 

炎竜はハーピィの目の前で身を翻し、"炎の剣士”へと戻っていく。

そして"炎の剣士”はその攻撃を、その身と剣で受ける以外になかった。

 

 

 

炎の剣士

 

攻 2500

 

飛龍炎(サラマンドラ)

 

攻 2500

 

 

相打ち

 

 

「くっそ!」

 

「まだまだ甘いわね。城之内」

 

悲鳴を上げて己の炎に身を焦がす"炎の剣士"を前に、思わず悪態をつく城之内。

それを見て舞が妖艶に笑う。

 

 

「ああ……"炎の剣士”が……」

 

「一度有利をとっただけでは流れを簡単には渡してくれないか……さすがに手ごわいぜ、舞」

 

「でも、城之内君の攻めも悪くはないね。カードの地力の差と経験の差はあれど、僕はその差は、城之内君の気合いと執念で埋められないさではないと見るよ。今の差は、現状の二人の立ち位置がLPに現れたと思ったらいい」

 

「ああ……何より、城之内君の眼は、まだ死んでいないぜ!」

 

 

 

 

 

 

「さすがだぜ、舞……だが、勝負はこっからだ!」

 

遊戯の言葉通り、決闘開始前より意気揚々とした城之内が、舞へと宣言する。

それを見て舞は、あきれたように笑う。

 

(まったく……でも、それでこそ、あたしがあんたにリベンジする意味があるわ!)

 

「かかってきなさい! 城之内!」

 

 

二人は、心底楽しそうだった。




さて、勝つのはどちらでしょうか。
皆さんもぜひ、予想して三日後をお楽しみください。
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