遊戯王~黒き羽根は夢に舞う~   作:haruko

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ペガサス戦です。
勝利の決闘も舞さんの決闘も終わりましたが、王国はまだ続きます。


切り札は、心 遊戯&遊戯vsトゥーンモンスター

 

 

「お疲れ、舞さん。惜しかったね」

 

勝利は、城の外壁に体重を預けながら、外を眺める舞を見つけた。

 

 

城之内との決闘が終わり、舞は声を発することなく決闘場を後にした。

 

 

勝利は喜ぶ遊戯たちに一声だけかけて、返事を聞くこともなくテラスを後にして舞の後を追った。

そうして城の外まで出てきたところで、舞の姿を見つけることができた。

 

「慰めはいらないわ。惜しくなかったもの。あの城之内に、いいようにやられた。あたしの、完敗よ」

 

「……城之内君は、すごかった。彼に負けたことは、決して恥ずべきことじゃないよ」

 

「わかってる。別に文句があるわけじゃない。でも……これで、終わったわ。あたしも、あんたも、これで決闘者王国は終わった」

 

後悔ではないし、決闘を憂いているわけでもない。

淡々と事実を述べる舞に、勝利も顔を少し俯かせる。

 

「うん……そうだね」

 

そこから、無言の時間が続いた。

城の下の森のざわめきがやたらうるさく感じる。

 

今の舞の心にかける、最適な言葉が一つも見つからない。

鋭いと自負する勘がうまく働いてくれないことがあまりにももどかしかった。

 

 

 

「……あたしは、適当に船見つけて先に王国を出るわ」

 

 

 

そう言って、舞は城の階段へと向かう。

勝利は驚いて出遅れてしまったが、階段を下る舞に上から声をかける。

 

 

「舞さん! 待って! 僕も」

 

「駄目よ」

 

 

勝利が無理やり絞り出した言葉を、舞がぴしゃりと止めた。

 

 

「あんたは、遊戯たちを応援してやんなさい」

 

「……舞さん」

 

 

舞はそのまま、歩き出した。

勝利の心が激しく揺れる。

 

王国で舞と過ごした日々が、勝利の中を駆け巡る。

宛らそれは、走馬灯のようだった。

 

 

もしやもう、舞と会えなくなるのではないか。

 

 

決闘で結ばれた彼女との絆は、決闘者の王国から離れたとしても、離れはしない。

そう考えているのは、自分だけではないか。

そんな不安が、勝利の心を支配した。

 

 

 

 

「勝利」

 

 

 

 

そんな考えを、舞の声が切り離した。

 

 

 

 

 

「またね」

 

 

 

その一言に、勝利は涙がこぼれ落ちそうになるのを必死に堪え、言葉を絞り出す。

 

 

「……僕なんかより、舞さんの勘のほうが、すごいんじゃない?」

 

「女の勘はね、常識や理屈を超えるのよ」

 

舞は最後に投げキッスを鳴らし、階段を下っていく。

勝利は、舞の姿が見えなくなるまで、その場で見送り続けた。

 

 

 

 

 

 

その後、遊戯と城之内の決勝戦が行われた。

結論から言えば、遊戯は城之内に勝利し、決闘者王国の優勝と、ペガサスの挑戦を決めた。

 

しかし、城之内のデュエルは決して遊戯に見劣りするものではなく、彼の「遊戯のエースモンスターを一体ずつ全力で対処し、対応していく」という戦略は、事実として遊戯を後一歩のところまで追いつめた。

最後に差を分けたのは、ちょっとした知識と、経験の差だった。

いずれ城之内が、実力で遊戯を超える日が来ることもあるのかもしれない。そう思わずにはいられないほどの、素晴らしい決闘だった。

 

余談だが、城之内のその戦略は、勝利の遊戯に対する戦い方を参考にしたという話を後日に聞いた。

曰く、城之内が知っている中で、最も遊戯を追い詰めた戦略だったから、とのこと。

面と向かって言う城之内に、勝利は気恥ずかしく顔を逸らしたことを覚えている。

 

 

それはともかくとして。

そうして遊戯は、ペガサスの対戦相手として、決闘者王国の王者として、ここまでたどり着いた。

ペガサスもそれに答えるように、高らかに宣言した。

 

 

「これより、王国最終バトルを決行しマース!」

 

 

ペガサス自身も、心が躍っていることが勝利に伝わってくる。

どれだけ不思議な力が使えるようになろうとも、どれだけ優れたカードを持っていたとしても、強者と戦うことに高ぶるその姿に、勝利は決闘者の魂の欠片を見た。

 

(君ならば……あの人の心を、決闘者としての誇りを、取り戻させることができるかもしれない)

 

 

ペガサスが決闘場へと移動するために姿を消したのと入れ替わりに、今日姿を見せていなかった本田と獏良が勝利たちのもとに現れた。

どうやら二人は、モクバを助けるために奔走していたのだという。

しかし、海馬とモクバを本当の意味で助けるためにはやはり、ペガサスを倒すしかないということだった。

 

「頼む遊戯。あいつら兄弟を助けられるのは、お前しかいない……」

 

「遊戯君。モクバ君のためにも、勝ってね」

 

本田と獏良が、遊戯に声をかける。

それをきっかけにするように、みんなで遊戯に激励を飛ばす。

 

「勝てよ! 遊戯!」

 

「がんばって、遊戯!」

 

「……遊戯君。自分を、信じて。君が勝ち抜いた、この決闘者王国の戦いを信じて、頑張ってくれ!」

 

「ああ。城之内君、杏子、本田君、獏良、勝利君。みんなありがとう。俺は、必ず勝つぜ!」

 

 

そして、ペガサスがテーブルへとやってくる。

後は、応援するしかない。

皆は誰からともなく、応援のためにテラスへと駆けだした

 

 

「遊戯君、大丈夫かな。相手の心を読んでしまう千年眼の力は脅威だよ」

 

「馬鹿野郎! 遊戯が負けっかよ! あいつは勝つ! 遊戯は絶対、決闘者王国の真の王者になる!」

 

「……うん。遊戯君は、そのために戦う。自分の、魂をかけて」

 

勝利の、遊戯を信じるその言葉はしかし、並走するみんなの心をざわつかせた。

勝利が何を言っているのか。

それは、遊戯とペガサスの会話が、答えとなった。

 

遊戯はペガサスの前で、二枚のカードを翳す。

 

"王の右手の栄光"

 

"王の左手の栄光”

 

王の右手には、莫大な賞金が。

そして、王の左手には、空白が記されている。

 

勝利は、千年アイテムについて詳しく把握しているわけではない。

だが、海馬たちの様子、そして、常識を超越したペガサスの超能力の存在から、この後に何が起こるのかを察していた。

 

「絵柄の存在しない、ペガサスへの挑戦権を意味するカード……つまり、そこに刻まれるのは、決闘の決着後。敗者の姿が、空白に記される」

 

「……フフフ。お見事、正解です。勝利ボーイ。そして遊戯ボーイも、その事実を理解して挑戦してくるその勇気、実にあっぱれデース」

 

「なんだと!? 遊戯が負けたら、海馬と同じ運命!?」

 

「勝利、お前気づいてたのかよ!?」

 

「確信はなかったけどね。何せ、現実をかけ離れた異能力の話だ」

 

「……遊戯……」

 

みんなの様子に、勝利は大きく踵を打ち鳴らし、注目を集める。

 

「狼狽えないで。僕らが焦っても、何も変わりはしないよ。僕らにできることは、もう限られてる。僕らにできること、それは……」

 

少しテラスから身を乗り出し、フィールドを覗く。

 

 

 

「遊戯君の勝利を、信じることだけだ」

 

 

 

みんなは、一瞬顔を見合わせた後、勝利と同じように身を乗り出す。

 

 

 

「「「「……がんばれ! 遊戯!」」」」

 

 

 

 

遊戯はその言葉に、もう一度気合いを入れなおす。

そして、ペガサスとデッキを渡しあい、互いのデッキのカットを進めた。

いよいよ、その時が来た。

 

 

 

「行くぜ! ペガサス!」

 

「……ええ」

 

 

 

ペガサス LP2000

「「デュエル!!」」

遊戯   LP2000

 

 

 

全員の期待が乗った遊戯の、王国最後の決闘が、始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、絶望までの時間は、そう長くなかった。

 

 

 

「私にはYOUのどんな戦術も通用しない……"トゥーン・デーモン”で石化した"インプ"を攻撃!」

 

『ぎしゃしゃしゃしゃしゃ!』

 

 

 

トゥーン・デーモン

攻 2500

 

インプ(ゴーゴンの呪いにより石化)

守 1000

 

 

遊戯 LP 1400 ー (1000 ÷ 2) = 900

※呪いにより破壊されると守備の半分ダメージ

 

 

 

 

 

遊戯 LP 900

 

モンスターなし

伏せカードなし

 

 

ペガサス LP 2000

 

トゥーン・マーメイド

 

攻 1400

 

トゥーン・ドラゴン・エッガー

 

攻 2200

 

トゥーン・デーモン(コピーキャット)

 

攻 2500

 

トゥーン・ワールド ペガサスの場は全モンスタートゥーン化

ゴーゴンの眼 永続罠 守備モンスターを石化させる

 

 

 

「僅かずつYOUの戦意が薄らいでいくのがわかりマース。どうです? 決闘を放棄しますか? 遊戯ボーイ」

 

ペガサスの言葉に、遊戯が項垂れる。

 

「つ、強すぎる……」

 

獏良が呟く。その言葉に、誰も反論を持たなかった。

勝利が、小さな声で補足した。

 

「……"トゥーン・ワールド”や"ゴーゴンの眼”だけならば、いくらレアリティが高く強力なカードでも対処法はある。僕や城之内君がやったように、一枚一枚相手のカードに対処していけばいずれ突破できるときは来るからね。でも、それをしようにも、遊戯君の手の全てを見透かす、あの黄金の瞳が強力すぎる」

 

「『千年眼』……相手の心を読むことができる、ペガサスの千年アイテム……」

 

「うるせぇ! 遊戯にだって、『千年パズル』の力があるんだ! 『千年眼』の力なんかに、負けやしねえんだ!」

 

「そうよ! 遊戯、諦めないで! あなたがあきらめたら、あなたの魂が……いえ、あなたの魂だけじゃない! おじいさんも、海馬君たちも、救われなくなっちゃうんだよ!」

 

 

 

みんなの声に、下を向いていた遊戯の心が反応する。

引いたカードを改めてみて、闘志を再燃させた。

 

 

 

「そうだ! 遊戯君! 君の、君自身の、『カードを信じる力』を信じるんだ!」

 

 

勝利の、渾身の声が場に響き渡る。

 

(そうだ……俺は勝利君との決闘で、何を学んだ? 敵を見て、全力で戦うことの大切さを舞に……最後まで、可能性を信じて戦いぬくことを勝利君に……敗北を恐れずに立ち向かう勇気を相棒に教わった)

 

 

遊戯は、大きく、一つ息を吐く。

 

 

(俺が勝てる可能性は、限りなく0に近い。だが、人が前に進む限り、可能性は無限にあるはずだ!)

 

「俺は、諦めない! 最後まで、可能性を信じて戦いぬく! 俺は、"ブラック・マジシャン”を召喚し、"マジカル・シルクハット”を発動! マジシャンコンボだ!」

 

 

ブラック・マジシャン

 

闇属性 魔法使い族 星7

 

攻撃力 2500

 

守備力 2100

 

 

マジカル・シルクハット

 

魔法カード

 

魔術師とのコンボでトリック攻撃が可能!

 

 

"ブラック・マジシャン”とともに場に出てきた4つのシルクハットが、ブラック・マジシャンの場所を覆い隠す。

"ブラック・マジシャン”の攻撃力はペガサスの"トゥーン・デーモン”と並んでいる。しかし、トゥーンモンスターはトゥーンモンスター以外からダメージを受けず戦闘破壊されないため、2体がぶつかり合えば"ブラック・マジシャン”が一方的にやられてしまうが故の苦肉の策だった。

 

(しかし……もしペガサスのいう『マインド・スキャン』とやらが、覗きのトリックやイカサマじゃないのであれば……シルクハットの位置を決めるのは遊戯君自身、つまり、遊戯君の心を読めば、"ブラック・マジシャン”の位置はばれてしまう)

 

勝利の心さえも見透かすように、ペガサスはしたり顔で宣言した。

 

「遊戯ボーイ。ズバリ、"ブラック・マジシャン”は左端のシルクハットに隠していますね!」

 

「っ!?」

 

やはり、ペガサスにはばれているのか。

 

「遊戯! 諦めんじゃねえ!」

 

「遊戯! 負けないで!」

 

城之内の激が飛ぶ。

杏子の悲痛な叫びが木霊する。

 

「遊戯君……」

 

勝利が、呟く。

 

 

(もしも君が負け、魂を奪われるようなことになったのならば……今度は、僕が……)

 

 

『ぴぃー!』

 

 

 

(っ! いてっ!?)

 

 

 

勝利の後頭部に、軽い痛みが走る。

ブリザードが、怒りの表情で勝利に蹴りを入れていた。

 

 

ブリザードに喝を入れられた勝利は、舞の言葉を思い出した。

 

 

 

『あんたは、遊戯たちを応援してやんなさい』

 

 

 

 

(そうだ……僕は、遊戯君たちの保険でここにいるんじゃない……遊戯君を、遊戯君の勝利を信じて、遊戯君の力になるためにここに来たんじゃないか!)

 

 

勝利が頭を振り、テラスから身を乗り出す。

隣にいた城之内と杏子は、その姿から、数刻前の舞の姿を幻視した。

 

 

「諦めるな!」

 

『立ち上がれ!』

 

 

 

 

「『武藤遊戯!』」

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、遊戯の胸元の、千年パズルが光輝く。

 

 

 

 

 

 

「"トゥーン・デーモン”! 左端のシルクハットを攻撃デース!」

 

"トゥーン・デーモン”の雷が、シルクハットを襲う。

すさまじい威力の攻撃による余波の煙が、絶望感を増幅させる。

 

 

「フフ……これで遊戯ボーイのエース、"ブラック・マジシャン”は粉砕しました……何!?」

 

 

ペガサスの驚愕に、勝利たちも反応する。

煙が晴れたその場所に、"ブラック・マジシャン”の姿はなかった。

 

 

「なにっ!?」

 

「外した!?」

 

「……どうやって?」

 

 

皆が困惑する。

そんな中、勝利は……笑っていた。

 

 

「く、くくく。あはははは!」

 

 

(そうだよ……優しさと、真摯な心。君のその強さに、僕はあこがれたんだよ、遊戯君(・・・)!)

 

 

 

 

 

 

「残念だったね。シルクハットの"ブラック・マジシャン”の隠し場所は、僕の意志で代えさせてもらったよ」

 

 

 

 

 

「……!?」

 

 

 

 

 

「もう一つの僕の心は、読めなかったみたいだね」

 

 

 

 

表と裏。

強さと優しさ。

 

 

 

 

ここに『二人の遊戯』の、最強タッグが結成された。

 

 

 

 

 

遊戯 LP 900

 

ブラック・マジシャン

 

攻 2500

 

マジカル・シルクハット 残り3つ

 

 

ペガサス LP 2000

 

トゥーン・マーメイド

 

攻 1400

 

トゥーン・ドラゴン・エッガー

 

攻 2200

 

トゥーン・デーモン(コピーキャット)

 

攻 2500

 

トゥーン・ワールド ペガサスの場は全モンスタートゥーン化

ゴーゴンの眼 永続罠 守備モンスターを石化させる

 

 

 

 

 

 

 

「お前が心を読もうとしたその一瞬の隙に、こちらも心を入れ替えさせてもらったぜ、ペガサス! これがお前の千年眼に対する攻略法……『マインド・シャッフル』だ!」

 

 

遊戯の宣言に、城之内たちは歓喜に沸いた。

 

「そうか! 遊戯は表と裏の二つの顔を持っている!」

 

「ペガサスの『マインド・スキャン』とやらの心を読む能力は確かに強力……でも、今戦っている遊戯君は、もう一人の遊戯君が隠した"ブラック・マジシャン”の場所も、セットカードの存在も知りようがない。知らないものは、いくら心が読めるペガサスでも、読み取ることだできないってわけだ」

 

(いうなれば、武道の達人同士が手を読まれまいとしてたどり着く、『心を無にする」という行為を、遊戯君たちはマニュアルでやっているというわけだ。それこそが、ペガサスへの対抗策、『マインド・シャッフル』!)

 

勝利は、不謹慎にもワクワクしていた。

 

 

 

自分が、勝てなかった強さ。

自分が、憧れた強さ。

 

 

 

その二つが合わさり、より強大な敵に、立ち向かおうとしている。

これが、燃えないわけがなかった。

 

 

 

「あとは、ペガサスの"トゥーン・ワールド”をどう攻略するかだぜ……トゥーンモンスターには、普通のモンスターの攻撃は通用しねぇ。いくら二人の力を合わせても、攻撃が届かねぇんじゃあ……」

 

 

 

「それはどうかな? 力で通用しない。そんな相手に、遊戯君がどう戦うのか。僕らは、誰よりもそれを知っているはずだぜ、城之内君」

 

「っ? 力が通用しないときに、どう戦うか……」

 

城之内が、フィールドに向き直る。

ターンが、状況が、少しずつだが着実に進んでいった。

 

『マインド・スキャン』が通用しなくなったことで、ペガサスは精彩を欠き、1/3のシルクハットの攻撃も外した。

 

その間に遊戯たちはターンを進め、ペガサスに対する対抗策を集める。

 

「どうしたペガサス。"ブラック・マジシャン”はまだ生き残っているぜ!」

 

「くっ!」

 

悔しそうにするペガサス。

それを見て遊戯は、追撃を開始した。

 

「M&Wを生み出したあんたならわかっていることだろーが……ゲームの定義とは勝者と敗者を分かつこと。ならその境は何で決められるか。それは、ゲームを自分有利にコントロールするための判断力……そしてのるかそるかの勘ってやつさ」

 

遊戯はそこで、ちらと城之内と勝利を見た。

 

「判断力は経験と自信。勘ってやつにはさらに勇気が必要になってくる。舞は経験から、城之内君には王国を勝ち抜いた自信から身についた判断力を持って戦った。勝利君にはそいつらに加えて、踏み込む勇気を形にする素晴らしい勝負勘を備えていた」

 

「……へへっ」

 

「……遊戯君」

 

二人が、照れくさそうに笑う。

 

「だがペガサス、あんたは千年眼の力に溺れるあまり、決闘者に必要な勘を失っちまったようだな」

 

「何っ!?」

 

「……勇気って点では、俺の相棒のほうが、あんたより数倍勝っているぜ」

 

「くっ!」

 

 

 

遊戯 LP 900

 

ブラック・マジシャン

 

攻 2500

 

マジカル・シルクハット 残り2つ

 

伏せカード2枚

 

 

ペガサス LP 2000

 

トゥーン・マーメイド

 

攻 1400

 

トゥーン・ドラゴン・エッガー

 

攻 2200

 

トゥーン・デーモン(コピーキャット)

 

攻 2500

 

トゥーン・ワールド ペガサスの場は全モンスタートゥーン化

ゴーゴンの眼 永続罠 守備モンスターを石化させる

 

 

(少なくともこの決闘……この2ターンだけは、遊戯君たちがゲームを支配していたといえる……残る逆転のピースは、たった一つ!)

 

 

勝利は、その瞬間を待つ。

その想いを知ってか知らずか、城之内たちも何も言わずにその場を見守った。

 

 

ペガサスが、カードを引く。

 

 

(フフッ。グレート!)

 

 

「私のカードは、"魔法を打ち消す結界”デース!」

 

「!!!」

 

 

 

魔法をうち消す結界

 

魔法カード

 

このカードが置かれた場の魔法カードはすべてその効力を失う

 

 

 

結界が、遊戯たちの場に置かれる。

その瞬間、"ブラック・マジシャン”が隠れていたシルクハットの効力が消え失せる。

 

「やべえ! "ブラック・マジシャン"が!?」

 

「これでお分かりかな遊戯ボーイ……優れた決闘者は勘などを必要としない。いかにリスクを負わずに勝つかを考えるものなのデース!」

 

「くっ!」

 

したり顔で語るペガサスに、遊戯は苦しそうな顔を向ける。

 

 

 

「おいおい、やべえぜ!」

 

「せっかくここまで"ブラック・マジシャン”を守ってきたのに!」

 

「遊戯!」

 

 

 

「大丈夫。ペガサスがやったことは、リスクを負わない冷静な判断なんかじゃない。追われるものの恐怖に怯えた、逃げだ」

 

 

 

狼狽える城之内たちに、勝利が力強く言った。

勝利は、遊戯を真っすぐに見据えながら、言葉を続ける。

 

「シルクハットは、残り二つ。たとえすべての攻撃を外したとて、次のターンにはシルクハットは消えた。しかも1/2の確率で、"ブラック・マジシャン"を葬ることができた。なら、本来のペガサスの最善手は、攻撃一択。結界カードは、温存するのが正着……」

 

「だが、ペガサスはそれをしなかった……」

 

「っ! そうか、焦っているんだ。初めて『マインド・スキャン』が通用しない相手が現れて、いち早く決着をつけようとした……」

 

獏良の言葉に、勝利が頷く。

逆転のためのピースは埋まった。勝利は、そう確信していた。

 

「城之内君……僕らの目標の遊戯君の武器は、『決闘者としての強さ』だった。なら……僕たちを友達と呼んでくれた、もう一人の遊戯君の武器は?」

 

 

 

「っ!!!!」

 

 

 

『友達に、そんなことできるわけないだろ!!!』

 

 

 

 

城之内の脳裏に、自分の事を守ってくれた、小さな小さな背中が蘇る。

 

 

 

 

「……遊戯の武器。それは……『心』!」

 

 

 

 

 

「そう! それこそが、ペガサスに勝る、遊戯君たちの可能性!」

 

 

「今だ! 伏せカードオープン! "魔法効果の矢”!」

 

 

 

 

 

勝利の言葉と、もう一人の遊戯の声が重なる。

 

 

 

魔法効果の矢

 

魔法カード

 

自軍の魔法効力を敵モンスターに与える。

 

 

 

矢の先端にペガサスの発動した結界カードが突き刺さり、ペガサスの場へと戻っていく。

その結界の効果により、ペガサスの場の"トゥーン・ワールド”が効力を失い、トゥーンモンスターの姿がとうとう露わになる。

 

 

「くっ! だが、カードの発動タイミングが遅かったですね! "トゥーン・デーモン”の攻撃を止めることはできまセーン!」

 

「残念だったね。僕が伏せたもう一枚のカードは、"聖なるバリアーミラーフォース”!」

 

「っ!!!? 罠!?」

 

 

聖なるバリアーミラーフォース

 

罠カード

 

相手が「攻撃」を宣言した時、聖なるバリアが敵を全滅させる

 

 

"ブラック・マジシャン”へのデーモンの攻撃が、跳ね返される。

そして、"トゥーン・ワールド”の無効化により、トゥーンモンスターは攻撃表示となり、反射した攻撃をその身に受ける。

 

 

 

反射『魔降雷』 2500

 

トゥーン・マーメイド

 

攻 1400

 

トゥーン・ドラゴン・エッガー

 

攻 2200

 

トゥーン・デーモン(コピーキャット)

 

攻 2500

 

 

ペガサス LP 2000 ー (2500 ー 2200) ー (2500 ー 1400) = 600

 

 

「NOーーーーーーーー!!!!!?」

 

 

大ダメージ。そして、無敵と思われたトゥーンモンスターの全滅。

ペガサスは、崩れ落ちた。

 

 

「やったー! トゥーン全滅だ!」

 

「よっしゃあ! これぞ二つの遊戯の心の連係プレーだぜ!」

 

「見事だぜ! 遊戯君!」

 

 

 

(力で倒せないトゥーンモンスター……それを破るカギになったのはやっぱり、もう1人の遊戯君と戦いたいという、遊戯君の優しい心の力だったんだ!)

 

 

 

 

 

 

 

「…………フフフフフ。Wonderful! どうやら私もお遊びが過ぎたようデース。ここからは最大限の敬意を表し、本気でお相手しマース」

 

 

 

 

 

しかし、ペガサスの気配が変わったことにより、場の空気が重苦しいものに切り替わる。

 

この決闘の決着は、まだ先だった。

 

 

 

 




一応、アニメ展開を参考に遊戯vs城之内は行っています。カットですが。
正直この回でサクッと決闘を終わらせて王国編終了の予定だったので、自分的にも想定外に深堀することになりました。

理由は、書くために漫画を読みなおしたら、遊戯二人の言葉選びがあまりにもかっこよかったから。そして、展開と勝利との相性が非常に良かったから。

次回、vsペガサス戦決着。&王国編完結
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