遊戯王~黒き羽根は夢に舞う~   作:haruko

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宣言通り。
これで黒き記憶編は完結。
次からはバトルシティ編になります。


告白

 

「……落ち着いた?」

 

「うるさいわね」

 

目尻を拭う舞が、少し怒る。

何でもないように笑う勝利に苛立ちを覚えてしまい、そんな自分にまた腹が立った。

 

全てを話し終わり、勝利の過去の苦悩や悲しみを感じた舞は堪えきれずに数滴の涙をこぼした。しかし、対称的に勝利はすっきりとした顔をしていた。

憑き物が落ちたような、初めて見るくらいに綺麗で、穏やかな表情だった。

その表情を見られただけで、今日という日に幾ばくの価値があっただろう。そう思えた。

 

だからこそ舞は、無遠慮な質問を躊躇わずに問うた。

今日の彼には、それが必要なのだと理解したからだった。

 

「ねえ。あんたが、『楽しいデュエル』を求めるのってさ……」

 

「……まあ、そうだね。昔、ギャンブルで勝敗を争ってたときの、反動みたいなものかな。カードをやってみて、初めて知ったんだ。勝つとか、負けるとかの、外側を。負けたくなくて全力で戦うことと、勝負を楽しむことが共存できることを知った。それを知ってからは、最初に教室で見た遊戯君たちの決闘みたいに、楽しく、勝負ができるようになりたい。BFたちと一緒に、そういうデュエルをできる決闘者になりたい。そう思うようになったんだ」

 

 

勝利が、舞の肩に手を差し出す。

ブリザードが、ゲイルが、勝利に飛び移り、嬉しそうに泣く。

 

 

「アンティルールが嫌いなのも、そういう理由が大きいかな。もちろん、彼らを無為に失うっていう怖さはあるけれどそれ以上に、どうにも、昔を思い出しちゃうからね」

 

 

そっか……と呟いた舞が、優しく勝利の頭を撫でた。

気恥ずかしさは当然あったが、勝利はそれを受け入れた。

 

 

 

「ねぇ。もう一つだけ聞いていい?」

 

 

 

舞が、暗にこれで最後の問いであることを宣言し、勝利を見つめた。

勝利は、すぐに返した。

 

 

「なあに?」

 

 

 

 

 

「怖くなかった? あたしに、それを話すこと」

 

 

 

 

 

「……流石に、怖かったかな」

 

 

舞は勝利を軽蔑などしない。

舞は勝利を見捨てなどしない。

 

(そんなことは、このネックレスをもらった時から。いや、本当は、もっとずっと前から。わかっていたことだった)

 

それでも、怖いものは怖いのだ。

自分の穢れを曝け出すっていうことは、それだけのことだ。

 

 

(でも……それでも……)

 

 

 

「言わないって選択は、なかったからね」

 

 

 

 

舞の方を向いて、答える。

その表情には、決意が、覚悟が見えた。

 

 

 

 

「勝利……」

 

 

 

 

「舞さん……」

 

 

 

 

 

もはや肌寒さすら感じる屋上で、勝利は手に滲む汗を感じた。

喉が熱くなり、声が詰まる。

それでも、勝利は、体に残る最後の憂いを、想いを、吐き出すかのように言葉を絞り出した。

 

 

 

「舞さん……僕は……」

 

 

 

 

 

「すみませーん! 外来のお客さんの入場時刻が終了しましたー。あっ、いた! 黒羽さん! 申し訳ありませんが、退館をお願いします」

 

勝利の言葉は、屋上のドアを開いたナースの声に遮られた。

 

自分たちを白の病室に案内してくれたナースだった。

帰る手続きが出来ていなかったから、探しに来てくれたのだろう。

 

 

何とも言えない表情をして、顔を伏せる勝利と舞。

 

しかし黙りこくっているわけにも行かず、必死に笑顔を作って、ナースに向き直った。

 

「すみません。すぐ帰ります。ご迷惑をお掛けしました」

 

「いえいえ。また、来てあげてくださいね。お母さん、喜びますから」

 

 

一瞬だけ、ほんの少しだけ、固まった勝利に舞は気づく。

しかしその後、まだ即答と言える速度で、応答した。

 

 

 

 

「はい。また来ます」

 

 

 

 

その言葉に、ナースが笑顔になり、つられて舞も笑った。

 

 

 

 

 

すっかり日が暮れた夜を走る車。

 

口数の少ない帰り道だった。舞は、真っすぐに前を見て運転する。勝利は、横目に舞を見るだけで、実におとなしいものだった。

 

しかし、病院へ向かう行きの車の無言とは違う。

二人に、圧迫感や、息苦しさはなかった。

 

勝利を、理解している。

舞が、理解してくれていることを、わかっている。

 

 

だからこそ、優しい無言の時間が続いていた。

 

 

車が快音を鳴らすこと10分ちょっと。

童実野の街並みが、戻ってきた。

 

 

「夕飯はどうする? また僕のお勧めでいいなら、西側に和食のお店があるよ」

 

「おバカ」

 

勝利の言葉を、華麗なシフトチェンジで一蹴する。

舞がハンドルを切った方向は、勝利の発言とは真逆だった。

 

「今日はもう帰って、ゆっくりしなさい」

 

「……ははっ。まいったな」

 

気疲れを悟られたか。

今日の舞さんは本当にすごい。

 

勝利は、舌を巻くしかなかった。

 

 

 

 

 

童実野駅までたどり着いたところで、勝利は車のドアを開け、降りる。

またね、と声を上げようとした瞬間に、エンジンを切った舞が、同じく車を降りた。

 

きょとんとした勝利に、舞が一言、

 

「送る」

 

と言って、勝利の手を取った。

 

「……舞さん。本当にいいよ。僕なら、もう大丈夫。それに夜道が危険なのは、舞さんのほうだ」

 

「満足したら、すぐに帰るわよ」

 

気分転換がてら歩くだけ、と言われてしまい、反論の言葉をなくした勝利は、「全く……」と申し訳なさそうに、嬉しそうに呟いた。

 

 

 

 

 

「……ねえ、勝利」

 

「……なあに?」

 

 

手をつなぎ、夜道を行く二人。

辺りはかなり暗くなっているが、雲一つない空の月明りと街灯が二人を照らす。

 

 

「……バトルシティ……さ……」

 

「出るよ」

 

 

舞の言葉に被せるように、先んじて答えを置いた勝利。

舞が口を噤んだその隙を、と言わんばかりに、勝利が続けた。

 

 

「舞さんの言いたいことはわかってる。苦手なアンティの大会に、このタイミングでようやく会えるようになった母さん。確かに、今回は見送って、母さんとの時間を大切にするというのも、一つの選択肢なのかもしれない」

 

でもね、と続ける。

その瞳には、決意が静かに燃えていた。

 

 

「僕は、出るよ。そのために、今日、母さんに会いに来たんだ」

 

 

「勝利……」

 

「それにね、舞さん」

 

舞の心配の声を押し切るように、勝利はさらに言葉を重ねる。

そして舞とつながる手を離し、両手を広げて前に躍り出た。

 

 

 

「母さんと、会うことが出来た。過去を、舞さんに受け入れてもらえた。僕の過去は、忘れられるものではないし、忘れてはいけない。でも、僕の過去は今日、本当の意味で過去のものになった! 僕は今日とうとう、あの日の地獄から一歩踏み出して、前に進むことが出来たんだ!」

 

 

 

 

勝利が、心臓を抑える。

気持ちが、あふれて体を突き破ってしまいそうだった。

 

「早く……早くみんなと戦いたい! この想いを、遊戯君に、城之内君に、海馬君に、竜崎君に……そして誰よりも、舞さん! あなたに、受け止めてもらいたい!」

 

「勝利……あんた」

 

 

 

 

「覚悟してね、舞さん……今の僕は、超強いよ」

 

 

 

 

「……望むところよ!」

 

 

舞は、拳を突き出す。

勝利はそれに、拳を合わせた。

 

 

もう、今の勝利に、隣の支えは必要ない。

 

 

二人は、再び向き合い、並び立ったのだった。

 

 

 

 

そうしてさらにほんの少し歩いたところで、勝利が止まる。

そこは、勝利のアパート。

それはデートの終了、そして、舞と過ごした激動の一日の終わりを意味するところだった。

 

 

「……次に会うのは、バトルシティだね。舞さん」

 

「ええ……手加減しないわよ」

 

「当然。そんなことしたら、僕一生許さないからね」

 

舞は、ふっと笑った後、じゃあね、と一言だけ残し道を戻っていく。

 

 

 

 

その後ろ姿を見た勝利は、一つ大きく深呼吸をして、ネックレスを軽く握った。

 

行ける。

今しかない。

そうだろ?

 

自分に問いながら、言い聞かせる。

 

 

覚悟の気持ちは、固まっていた。

 

 

 

 

「舞さん!」

 

 

 

 

大きな声で、舞を引き留める。

舞は何も言わずに、振り返る。

 

 

 

「……5分、いや、3分でもいい。僕に、今日のデートの、最後の時間をください」

 

 

 

そういいながら、勝利はさらに数歩舞に近づく。

手を伸ばせば触れ合えそうな場所まで、勝利は歩を進めた。

 

「今日のデート、本当に楽しかった。舞さんのおかげで、勇気をもらえた。ありがとう」

 

誘ってくれたこと。気を遣ってくれたこと。

まずは、今日という日に感謝を述べた。

 

「……僕は、舞さんに、僕のすべてを話した。過去の事も、精霊の事も。僕の、すべてだ」

 

大切な言葉を間違えないように、慎重に、丁寧に、言いたいことを形にしていく。

舞は静かに、それを聞いていた。

 

「すべて話した理由は、『受け入れてくれた舞さんと向き合いたかった』からで、『舞さんを、信じたかった』から。それは、本当だ。嘘じゃあない。でも……まだ、理由があるんだ! その二つに負けないほど、大切な、大切な理由が!」

 

 

 

だんだんと、勝利の語気が強まっていく。

丁寧に並べていた言葉は次第に崩れ、思考を想いが先行していくようだった。

 

 

 

「舞さんに……隠し事をしたくなかった……舞さんには、すべてを知っていてほしかった……言わないのは、卑怯だと思ったんだ。舞さんとは……これからも、ずっと一緒にいてほしいから! ずっとずっと一緒にいたいから!」

 

 

 

言葉強いままに、声が震え、涙が混じる。

訳が分からない感情に押しつぶされそうになっていく。

しかし、それでも、言葉は止めなかった。

 

 

 

「大切な時間を過ごすときに、僕の過去が、心の楔になってほしくなかったから……あなたと一緒に、大切な時を、これからも刻んでいきたいから!」

 

 

 

 

自分の体の全てを使って紡ぎあげた言葉によって、紅潮する顔、乱れた呼吸。

言葉の区切りで再度深呼吸し、心と体を整える。

しかし、次の言葉を吐くころには、その努力は無に帰した。

結局、想いのままに、ぶつけることしかできなかった。

 

 

「僕は……過去から、前に進むことが出来た! だからこそ、僕が歩むこれからの未来には、あなたが隣にいてほしい!」

 

 

どんなみっともない姿でも、言葉でもいい。

大切な言葉を、形にするために。体裁も理性もかなぐり捨て。

 

 

 

勝利は……勇気を振り絞った。

 

 

 

 

 

 

「僕は……僕は! 舞さんが! むぐっ!!!?」

 

 

 

 

 

勝利の渾身の勇気をせき止めたのは、舞の一本の人差し指だった。

一歩後ずされば、簡単に外れる程度の拘束力。しかし、勝利は動けなかった。

 

勝利の唇から、舞の指に、勝利の熱が伝わってくる。

その温もり、と呼ぶには高すぎる温度に舞は笑い、固まる勝利に、一言告げた。

 

 

 

 

 

「その先は……バトルシティの戦いが終わってからにしましょう」

 

 

 

 

言って、舞はそっと勝利の唇から人差し指を離した。

しかし、勝利はまだ固まったまま、話すことも、動くこともできなかった。

 

舞が振り向き、少しだけ歩き出す。

 

 

「今度のバトルシティで、あたしとあんたは決闘することになるわ。あの王国で叶わなかった、決着をつけるためにね」

 

 

二人の脳内に、同じ映像が過ぎる。

 

勝利は遊戯に、舞は城之内に敗北を喫し、叶わなかった未来。

しかし、二人が、望んでいた未来。

 

 

『さあ、行くよ! 舞さん!』

 

『来なさい! 勝利!』

 

 

王国の決勝で、向かい合う二人の姿。

叶わなかった未来を、二人で幻視した。

 

 

その未来にたどり着くために、船の中で交わした約束。

互いのカードに刻んだ、再戦の誓い。

 

 

 

『あたしは負けたままなんて絶対に許さない。いずれ対等な立場で、もう一度あんたと全力でぶつかりあい、あんたを倒すわ!』

 

『舞さん……ああ、わかったよ。このカードは受け取る。舞さんとの再戦の約束の証として』

 

 

 

「あの誓い、忘れてないでしょうね」

 

「……もちろんだよ」

 

 

勝利が、すぐに答えた。

体が、先ほどとは違う想いで、熱く燃え上がっていた。

 

 

「その誓いを果たすまでは、その言葉の先は聞くことはできないわ。このバトルシティでのあんたのと決着の決闘には、『決闘者としての誇り』以外の何かはいらない。ただ決闘者としての純粋な想いで、あんたと、あんたの『BF』たちと向き合いたいのよ」

 

「っ! 舞さん……」

 

 

舞のまっすぐな目が、勝利の瞳を射抜く。

その言葉の、視線の力強さに、

失敗してしまったか。

と、勝利が顔を伏せた。

 

想いに、熱情に身を託し、舞の想いを蔑ろにしてしまった。

そんな後悔が、勝利を支配した。

 

 

 

しかし、その勝利に、もう一つ舞の言葉が届く。

 

 

 

 

 

 

「そして……その決闘の勝者が、相手に告白する権利を得られるのよ」

 

 

 

 

 

 

その言葉を耳にした瞬間に、勝利は勢いよく顔を上げ、舞と目が合う。

ほんのりと頬を赤くした舞が、優しい笑顔で、勝利を見る。

 

 

 

 

「……くっくっくっくっく。あーっはっはっはっはっはっは!!!!」

 

 

 

時間も、場所も忘れ、大きな声で勝利が笑った。

この一日、自分の中で積み上げられた大量の感情の塔が一気に崩れ去り、倒壊したような感覚。

 

勝利は今、晴れやかな気分だった。

 

 

 

(舞さん……最高だ!)

 

 

 

勝利は一歩、前に出た。

それに呼応するように、舞も一歩前に出て、二人の距離が零になる。

 

 

 

 

「……勝つのは僕だよ、舞さん。そしてあなたは、僕の告白を受けるのさ!」

 

「いいえ。勝つのは、あたしよ!」

 

 

 

 

二人は、自然と差し出した右手を、がしっと組んだ。

二人の表情が、鏡合わせのように同時ににやりと笑う。

 

 

 

 

勝利の笑顔を見た舞は、自分の笑顔をそっと優しいものに変え、つないだ手で勝利を引き寄せる。

予想外の行動に驚いた勝利は、そのままバランスを崩し、舞の方向へ倒れこむ。

そのまま舞によりかかる形になったところを、舞がそっと抱き寄せる。

 

「ちょ、ちょっと! 舞さん!?」

 

勝利と舞の身長差的に、丁度舞の谷間に勝利の顔が収まってしまい、みっともなくあたふたとする勝利。

静かに、優しく抱きとめる舞の様子と相まって、恥ずかしさと情けなさが押し寄せてくる。

 

(ど、どこに手を置けばいいかすらわからない……呼吸をしてもいいものなのかすらわからない!)

 

テンパる勝利。

そんな勝利に、舞が静かに言う。

 

 

 

「……ありがとうね。勝利」

 

 

 

突然の舞の言葉に、勝利の感情が困惑に向いて、逆に少し落ち着きを取り戻す。

少しだけ顔を離して目線を上向き、舞と目を合わせた。

 

なんの礼か、さっぱりわからない。

今日一日、自分は舞に寄りかかり続けた。

舞がいなければ、今の自分はなかった。

 

感謝することはあれど、される心当たりがない。

そう思っていた。

 

 

 

(……本当はね。今日、あんたがいつもの調子に戻ったのなら……あたしが……あたしから、あんたに想いを伝えるつもりだったんだ。そう思って着いてきたのに……何もできなかった)

 

 

 

舞の抱きとめる力が強まる。

それを感じた勝利は、そっと舞の背中に自分の手を回して、合わせるように抱き留めた。

 

 

 

(だから、あんたがあたしと同じ想いで、嬉しかった……でも、それと同じくらい、悔しかったんだ。だから、決闘の決着に託した。決闘(デュエル)で伝えようとしたんだ。それしか……気持ち……届ける方法知らないから……)

 

 

 

舞が、深く息を吸い、覚悟を決めた表情を作る。

 

 

(でも、これだけは……伝えなくちゃ)

 

 

 

 

「遮っちゃって、ごめんね。でも、あんたの勇気。本当に嬉しかったわ。ありがとう、勝利」

 

 

 

 

そういって、顔を勝利に近づけ、頬に唇を当てる。

情熱的なマークが、勝利の頬に刻まれた。

 

 

 

 

「じゃあ、またね」

 

 

 

 

そういった舞が夜道に消えていくのを、見えなくなるまで見送った後、勝利はそのままアスファルトにへたり込んだ。

顔に手をやる。なんとなく、優しく、そっとそれに触れた。

自分からは見えていないが、跡が残っていることはわかっている。

 

 

「……もう。本当に、敵わないなぁ。決闘より、ずっと心臓に悪いよ」

 

 

勝利は、一人ごちて笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家の布団で目を覚ました勝利は、ルーティンのように時計、カレンダーと目を移す。

次に、枕もとのデッキケースを確認する。

 

そしてケースを開け、デッキとケースの隙間からすっと、ネックレスを取り出した。

翳してひとしきり眺めた後、もう一度しまう。

 

 

激動の一日から、すでに二日。

あの、大切な日が夢で消えてしまわないことを確認するように、勝利の朝にはそれがルーティンとして加わっていた。

 

 

 

そう。

あの日から、二日。

つまり今日が、バトルシティ当日だった。

 

 

 

勝利は、息を吐いて気合いを入れて布団から起き上がる。

顔を洗い、着替えをする。

服は、青のシャツと黒の革ジャケット。

それにダークグレーのタイトパンツ。

 

王国の、城で戦った時と同じ服を選択していた。

 

(あの日の約束を、もう一度)

 

デッキを腰につけ、ネックレスを取り出してつける。

軽く握りしめ、玄関に立つ。

 

ふと、そこで振り返る。

部屋の机に上の、白の写真が目に留まった。

昨日、荷物の中から探し出し、部屋に飾っておいたものだった。

 

 

 

(母さん……見ていてくれ!)

 

 

 

勝利は、勢いよく家を出た。

 

同時に、デッキから、みんなも飛び出してきた。

 

 

『ぴぃー!』

 

『かぁー!』

 

『くわぁー!』

 

 

 

「ははっ! さあみんな! 行くよ! バトルシティへ!」

 

 

 

勝利は、少年のように駆け出す。

頭に描かれている絵は、今日という日の、そして、バトルシティの未来。

 

勝ち抜く。

生き残る。

 

遊戯たちと、舞と、決闘をする。

 

 

 

 

(そして……もう一度、舞さんに告白をする!)

 

 

 

勝利は、ワクワクが抑えられなかった。

こんなにも、未来の姿に希望を見ているのは、いつ振りかわからない。

 

勝利は、信じていた。

そのワクワクの未来は、現実のものになると。

 

遊戯たちとの決闘。

そして……舞との、誓いの決闘。

 

 

 

それはこのバトルシティで、劇的な舞台で果たされることとなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、信じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バトルシティ……ねえ」

 

「ハイ、マリク様。本日がその大会の開催日となります」

 

「我がグールズのレアハンターたちは?」

 

「すでに参加資格を手に入れ、童実野町に集結ずみです」

 

「ご苦労。全員にこう通達しておけ。狙うは、『神のカード』。『武藤遊戯』。そして……『レアカードを持つもの、すべて』だとな」

 

「……ハッ!」

 

 

 

 

 

 

 

善も、悪も。

無垢も、邪心も。

男も、女も。

友も、敵も。

夢も、理想も、現実も。

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

「……行くぜ! 相棒!」

 

『……うん! もう1人の僕!』

 

 

 

 

表も、裏も。

過去も、未来も。

 

 

 

 

 

全てが、童実野町。

バトルシティに、集結した。




早よ付き合えや(怒

なんとかここまで、ノンストップで来れました。
ひとまず、走れるところまで走り抜けます。

ただ、どこかで描き溜めの時間をもらうかもしれないので、その時は後書きで連絡します。
次回は、2/9で確定。

今後とも宜しくお願いします。
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