月曜休みの今が勝負です。
ということで、勝利の2戦目の相手のお披露目となります。
「さてさてさて。次は誰と決闘しようかなー。悩んじゃうなー……はあ」
バンデット・キースとの華々しい初戦から一転。
好調な滑り出し、をしたとは思えない表情の勝利が、空元気を隠そうともせずに、勝利はため息を吐く。
理由は、当然……
「おい、クリエイターだ……」
「馬鹿野郎、目合わせるな! 決闘挑まれちまうぞ!」
(……いじめられている気分だ)
一応、それなりに結果を残してる決闘者ではあるのだが、王国といい今回といい、事前情報のせいで碌な思いをしていない勝利は、
(ちやほやしてほしい……とは言わないけど、もう少しいい思いをしたって罰は当たらないのではないだろうか……)
等という、情けない思いを掲げながら童実野商店街の中央をとぼとぼと歩いていた。
(……まっ、悩んでいてもしょうがない。戦ってくれる決闘者を探す以外ないんだから)
王国の時にも戦った、梶木でも探してみようか。
等ということを考えながら歩いていた勝利は、ふと、見覚えのある街並みが現れたことに気が付いた。
勝利は、何の気なしに、そちらの方向へと歩いていく。
数分後、たどり着いたのは、童実野博物館。
海馬が決闘者たちを集め、バトルシティの開催を宣言した、あの場所だった。
海馬君がバトルシティ開幕を宣言したあの日。
舞とデートをしたあの日。
舞のおかげで、前を向き、未来を見据えて歩き出すことが出来るようになったあの日。
大切なあの日の想いでは、僅か数日前の事とは思えないほど、勝利の胸の中で熱く、大きく育っている。
この場所に再度立ったことで、それを再認識することが出来た。
勝利は思わず、相好を崩した。
そんな風に想いを馳せながらそこで十数秒ほど立ち尽くしていた勝利に、一つの疑問が浮かび上がり、改めて美術館の前に立つ。
『古代エジプト展』と書かれた大きな立て看板を横目に、勝利は強い瞳でその建物を見つめなおした。
(そういえば……気にしていなかったけど、海馬君は、なぜここをバトルシティ開催の宣言の場所としたんだろう……? 過去の歴史や遺産なんて、いかにも海馬君は興味なさそうなのに)
『ふん。千年アイテム? そんな悪趣味なオカルトグッズなど、ガラスケースにでも飾ってせいぜい人寄せに使っておけ。数千年前の過去の遺物など、今のテクノロジーにおいては何の意味もない』
脳内の海馬が、鼻で笑う。
それに思わず苦笑がこぼれ、口を抑えた。
しかし、改めて考えても海馬の趣味、主義、思想にまるでそぐわない場所だ。
なぜ、ここで。
勝利がそんな答えの出ない疑問に頭を走らせているところに、声が届いた。
「黒羽勝利。あなたを、待っていました」
「っ! 誰だ?」
ぱっとその声の方向を向く勝利。
すると件の博物館の中から、一人の女性が歩いてくる。
褐色の肌に、民族的装い。
古代エジプト展を行っている博物館の関係者だろうか。
そんな思考を、彼女の首元に輝く、黄金のアクセサリーが吹き飛ばした。
「っ!? それは……千年アイテム!」
気づくや否や、足を肩幅ほどに軽く開き、腕のディスクにそっと手を添える。
警戒度を、体で表すようだった。
驚愕と不信感を混ぜ合わせた表情の勝利を見ながら、その女が話始める。
「私は、イシズ・イシュタール。エジプトの墓守の一族の一人。そして……この、千年
その者、イシズの宣言に、勝利は困惑の表情のまま頭を掻く。
そのままやり場のない感情を、必死に形にして声に出す。
「……聞きたいことがありすぎるな……とりあえず、目下一番聞きたいことを最初に聞くよ。あなたは、僕の、敵か?」
勝利は、鋭い目でイシズを捉えた。
警戒する勝利が思い出しているのは、キースの記憶の中。
キースの目の前に現れた、千年アイテムをもってキースを支配し、刺客として自分に仕向けてきた男。
(千年アイテムの形状が違うし……この人がグールズには見えはしないけど……警戒をほどくには情報が足りない)
やることに、なるかもしれない。
覚悟して、ディスクを少し前に向ける勝利。
しかし、イシズに反応はなかった。
「……敵か、味方か。それを話す前に、まず、私の話を聞いていただきたいのです」
「……」
少し考えた後、勝利はひとまず構えを解く。
しかし、目線は鋭いままだった。
「……聞こうか。ただし、条件がある。さっきも言った通り、あなたには、聞きたいことが多すぎる。あんたの話を、僕の質問を主体に話してもらう。僕が言いたいのはそれだけだ」
「わかりました」
想像通りの問い。と言わんばかりに、イシズが即答した。
勝利はそれにたじろぎながらも、自分の疑問を整理していく。
すると、イシズが博物館の方へと歩き出した。
(……着いてこい。ってことか)
後ろを振り返る様子もない。
まるで、勝利が着いてくることがわかっているかのような様子だった。
(……くそっ。不気味ではある。けど……グールズと戦うことを決めたということは、千年アイテムを持つ奴と戦うということ。ここでの情報は、見逃せない)
思い通りに進められている感覚に歯噛みしながらも、勝利はイシズの後を追った。
もう、閉館済みなのだろうか。コツコツと床を叩く二人の足音だけが空間に木霊する。
こちらからの質問に答える。というこちらの条件に答えるためか、はたまた無暗にしゃべろうという気はないのか。
イシズからは一切の言葉はない。
痺れを切らしたかのように、勝利の言葉が先に吐いた。
「……まずは、何よりも聞きたいこと。あなたは、なぜ僕のことを知っている? いや、知っていることはいい。僕も、それなりに名の知れた決闘者である自信はある。でも、『待っていた』っていうのはどういうことだ? まるで、僕がここに来ることを知っていたような口ぶりだけど……」
「はい。わかっていました」
「っ!?」
またも即答。
それに勝利は驚愕し、思わず足を止める。
(……少なくとも、僕にこの博物館を訪ねる気はなかった。完全にたまたま、ここの近くを通りすがっただけ。なのに……ここに来ることがわかっていた? それってまるで……)
「それこそが、この、『千年
「……何ともまあ。とんでもない力だね。ペガサスの力に勝るとも劣らない。特に、決闘においては、圧倒的な力だ」
表情をなるべく変えず、応答を返した勝利。しかし、冷や汗が一滴頬を伝って床へと落ちた。
顔が引きつるのを必死に抑え込んで会話を進める。
「墓守の一族って言ったね。千年アイテムを、守るものと」
「はい」
「……遊戯君の千年パズルのような、不思議な力も持ったものが、まだ他にもあるってことかい? あなたの、そのタウク以外にも」
「そう……そして、そのうちの一つ、千年ロッドを持ってグールズを組織するものこそが、あなたが追っている者。その名は、マリク・イシュタール」
「っ!!? マリク……イシュタール!?」
「そう。私の弟です」
突如語られた衝撃の事実に、さすがに表情を抑えきれずに反応する。
勝利の動揺すらも見透かしていたのか、何も気にした様子もなく、イシズは歩みを進めた。
(マリク・イシュタール……それが、キースを操り、卑劣な決闘を仕掛けたグールズの長の名前……しかも、このイシズって人の弟……)
思考の整理が追い付かなくなってきて、頭を抱えながらも必死にイシズを追う勝利。
そこでイシズが急に足を止めたことに驚いて、勝利も併せて足を止めた。
顔を上げるとそこにあるのは……壁画。
エジプト展という博物館の触れ込みから察するに、彼女がエジプトから持ってきた展示物なのだろうか。
一瞬、そんなことを考えていた。
だが、その内容も、その壁画の内容を目にした瞬間に吹き飛んだ。
「ゆ、遊戯君!?」
そう。そこに描かれていたのは、勝利の友人の姿。
紛れもなく、武藤遊戯の姿そのものだった。
そして、その壁画の対ととなる場所に描かれているのは……
「か、海馬君……そして……"ブラック・マジシャン”に、"青眼の白龍”……」
思わず砕けかけた腰を必死に持ち上げ、床に倒れ伏すのを耐える。
しかしさすがに、動揺の表情を抑えきることは勝利の精神力をもってしてもとても叶うものではなかった。
「……まるで、現代の二人の決闘をそのまま映し出したような……いや、違うか」
これが、勝利にはどれくらいかも想像がつかない、途方もない過去からの歴史的遺産であると仮定して、改めて石板を見直す。
心を必死に落ち着けて、再度石板を望む勝利。
もう一度見てもそこには、今を生きる二人の決闘者、武藤遊戯と海馬瀬人の戦いを模した壁画が、石板に刻み込まれていた。
「まるで……二人の決闘が、古代のころより決定づけられた二人の決闘者の決着が、現代まで繰り返されているようだ……彼らが再び相まみえる、現代のこのバトルシティの舞台まで……」
「……歴史への懐深いご理解に感謝します」
混乱しながらもイシズの意図をほんの少しずつだけ理解した勝利に、イシズが続ける。
「ここに刻まれているのは、私の母国エジプトで三千年の長きに連綿と続く王朝の一つ。第十八王朝の王の姿」
「王……それが、遊戯君だっていうの?」
「この人物が、武藤遊戯かどうかはわかりません。彼の真名が刻まれているはずのカルトゥーシュは、何者かによって既に削り取られている。ですが、その名もなき王のためのメッセージを守り継いでいく。それこそが、我々墓守の一族の指名なのです」
今だ混乱を整理しきれていない勝利。
しかしイシズは、ですが、と一呼吸置いて、勝利に追撃のような言葉を放つ。
「しかし、我が弟マリク。彼はその墓守の使命を忘れ、名もなき王、武藤遊戯を葬ろうとしている。自らの復讐、憎しみという炎に身を焼かれ、悍ましい闇にとらわれているのです」
「っ!? 遊戯君を……葬る?」
ええ。と頷き、勝利へと向き直った。
「なぜ、マリクがそのような復讐鬼となってしまったのか。イシュタール家の惨劇の過去の話については、あなたには不要な話と思いますので、控えさせていただきます」
「……話の大筋は、大体わかったよ。そのマリクが、遊戯君を狙ってグールズを組織していること。遊戯君はこのバトルシティという舞台で、決闘者として以外の戦いも行っていたということ。別に、イシュタール家の惨劇とやらも、聞かなくていい。知られたくない過去くらい、僕にだってあるからね」
「お心遣い痛み入ります」
深々と頭を下げたイシズ。
しかし、勝利の表情はまだ厳しさを纏っていた。
特に、勝利の瞳は、鋭くイシズを射抜き続けている。
「でも、まだ肝心なことがわかっていない」
「……」
「僕の事だ」
勝利は、一歩前に出た。
「あなたは、その話を僕にして、僕に何をさせたい? 僕をここで待っていた理由は何だ? 僕はただの遊戯君の友達。墓守の宿命にも、名もなき王への復讐劇にも参戦した記憶はない。イシズ。あなたは、僕に何を見ているんだ?」
勝利は、イシズに詰め寄る。
イシズは、見ろ、と言わんばかりに、石碑へと視線を戻す。
勝利も、それに合わせて石碑を見た。
「王と神官の頭上に描かれている、石版。あそこに描かれているのは、三体の幻神獣」
明と暗を司りし神
"オベリスクの巨神兵”
善と悪を司りし神
"オシリスの天空竜”
天と地を司りし神
"ラーの翼神竜”
「M&Wの生みの親、ペガサス・J・クロフォードはかつて、エジプトを旅した際にこの石碑を見て、ゲームのインスピレーションを得たと聞いています」
「……確かに、ペガサスからそんな話を聞いた記憶があるよ。とある壁画を見て、M&Wを開発したって。それは、この壁画だったってことか」
「おそらく。そして、この三幻神のカードも、ペガサスはこの世に生み出した。しかしそれらのカードには、神の力が乗り移ったかの如く強大な力を得てしまった」
「……」
カードに力が乗り移る。
極めて非現実的な情報だが、勝利はそれを頭から否定できない理由がある。
そっとデッキに触れる。
デッキのカードからの、脈動を感じていた。
(やはり、『BF』たちのように、カードに魂を宿したモンスターたちは、存在するんだ。そして、カードは、その宿した魂の力をもってしまうというのか。たとえ神の力のような、強大な力であったとしても)
「ペガサスはこの力を恐れ、エジプトの王家の墓にこれらのカードを封印し、永久に眠らせることを選択した……しかし、それらは破られてしまいました。ほかならぬ、マリクの手によって」
「な、なんだって!?」
勝利はもう感情を隠しもせずに、声を上げていた。
神と呼ばれるほどに強大な力を伴ってしまったカード。
それが、悪意ある復讐の鬼と化した男の手に渡ってしまっている。
その事実は、勝利を震えさせるには十分な情報だった。
「そのうちの1枚は、海馬瀬人に託してあります。そうして瀬人は、バトルシティを開幕したのです」
その言葉を聞き、納得した勝利が思考を回す。
これまで疑問に思ってきたいろいろな事柄が、線でつながっていく。
(海馬君がこのバトルシティを主催したのは、グールズをおびき出し、マリクから神のカードを手に入れるため……アンティルールなどというルールを設定したのも、すべてはレアカードハンターたちをおびき出して、直接対決の舞台を整えるためのものだったのか)
「そして……ここからが本題になります」
そのセリフに、思わず勝利の背筋が伸びる。
ここまで、驚愕の話を様々受け続けた。
勝利の頭はパンク寸前だったものの、ようやく全体の整理が追い付き、理解できるものへと落ち着いてきた。
だが、勝利は忘れてはいない。自分にとっての最大の疑問。
「黒羽勝利。なぜ、私が、あなたをここで待っていたのか」
言いながら、イシズは、奥の部屋へと入っていく。
ついてこいという意図か。と思って部屋に入ろうとしたその瞬間、イシズが部屋から戻ってくる。
イシズの腕には、決闘盤が装着されていた。
あっけにとられる勝利。
イシズは、言い放つ。
「あなたには、ここで、バトルシティから退場していただきたいのです」
「……はいそうですか。とはならないけどね。理由は聞こうか」
「ハイ。それを理解してもらうためには、私の計画について話させていただかなければなりません」
「……計画?」
勝利のその言葉を契機に、イシズは、ゆっくりと話し始めた。
海馬の、バトルシティ開催の意図。
そしてそれを狙った、イシズの意図。
それらすべては、神のカードを得ようとするマリクを表舞台に引きずり出すための策略だったということ。つまり、先ほどまでの勝利の予想が、大当たりだったこと。
そのために、海馬に"オベリスクの巨神兵"を、エジプト政府の想い、ペガサスの意志を託し、バトルシティの絵図を描いたこと。
(……海馬君が、彼女たちのその想いを素直に受け止めたとは到底思えないけど……なんて、ここで言うのは野暮か)
そして最後に、イシズは言い放った。
イシズの、最後の目的。
「この大会で、自分の手でマリクを打倒し、神のカードを取り戻したいのです。墓守の一族の使命として。そして……マリクの家族として」
勝利は表情を大きく変えずに、イシズの話を聞き終えた。
ほんの少しの静寂の後、勝利は自分の心うちをつらつらと言葉にした。
「……回りくどい。というよりは、意外と打算的? いや、これも褒め言葉になってないか。したたかなことを考えるんだね。別に、卑怯だとも思わないし、目的のためにあの海馬君でさえも利用する胆力は、尊敬すら覚えるよ。いや、ほんとに」
イシズがどういうものなのかもわかった。
イシズが目指しているものもわかった。
「でも、それでもわからない。僕と、決闘したいという理由がね」
目指すべき未来があるのなら、そこに向かって突き進めばいい。
未来が見えているというのなら、なおさらだ。
「僕に、あなたの計画を手伝えっていう話? それとも、その千年アイテムで、見ることが出来るという未来に、僕を倒す未来があったとでもいうの?」
勝利の問いに、イシズは小さく首を振った。
そして千年タウクに、そっと触れる。
「……この千年タウクには、近い未来が見えているといいました。もちろん、私のこのバトルシティでの未来も見えている……マリクと私が、戦うことになる未来さえも」
勝利は静かに、次のイシズの言葉を待った。
未来が見えている。
そう豪語するイシズが、自分をここで待っていた理由。
イシズに、勝利の未来はどう見えたのか。
その答えを、冷や汗を拭いながら待った。
そして、イシズの口から、予想だにしない言葉が放たれた。
「……変わったのです。あなたの、行く末が」
「はっ?」
勝利は、間の抜けた声を上げた。
イシズは、続ける。
「私は、私と、マリクの未来を見ていました。マリクが、このバトルシティに現れることも、そして……マリクに支配されたバンデット・キースとあなたが戦うことになることも、私にはわかっていた」
「……趣味が悪いね。人の決闘をのぞき見だなんて。姉弟揃って似たようなことを」
放たれた皮肉も意に返さず、イシズは真っすぐと勝利を見た。
その様子に勝利は少し怯み、最後までおとなしく話を聞き続けることを決めた。
「途中までは、見えていました。あなたの『BF』に、キースの、マリクのモンスターたちが翻弄されていく。そして、キースは、どんどんと押されていく。そうして、焦ったキースがイカサマカードを取り出し、発動しようとしたところでカウンターを食らい、黒羽勝利にゲームを支配される。そんな展開、そんな未来が、私には見えていた」
見えて、いたのです……と、消え入るように言葉を切るイシズ。
話の意図を察した勝利は、唾を飲んだ後、ちらと目線だけイシズからそらし、虚空を見つめる。
そこには、飛びながら首を傾げてこちらを見る、ブリザードの姿があった。
『……ぴぃ?』
(王国の遊戯君とペガサスとの決闘の時にも、君たちは助けてくれた。それに、マリクとやらがキースを洗脳し、操っていた時にも……君たちには、何か、そういう
確認は、ない。
しかし、少なくとも何も見えていないイシズは、勝利と『BF』の間の、その何かを感じ取っているようだった。
「……千年タウクの力をもってしても、あなたの未来を見ることはできなかった……いえ、違う」
自分の推測のような言葉を自分で切り捨てたイシズが、軽く伏せた顔を上げて、勝利と向き合った。
「あなたは、未来を変えたのです。千年タウクで見定めたはずの未来から、外れることが出来た。あなたは我々……わたしにとっても、マリクにとっても、あまりにもイレギュラーな存在」
そうして、イシズは決闘盤をはめた左腕を突き出した。
深い息を吐いて、勝利も同じく決闘盤を構えながら、納得の表情を浮かべた。
「……ようやく理解したよ。未来が見えているあなたにとって、僕という不確定要素は、打倒マリクのためには邪魔な存在でしかないわけだ」
イシズに、今どんな未来が見えているのかは、わからない。
しかし、同じく千年アイテムを持ちながらグールズを従え、神のカードを束ねようともくろむマリクを止めるためには、千年タウクの力は不可欠。
そう考えているからこその判断だった
「……あなたに恨みはありません。ですが、墓守の一族の使命を果たすため。あなたに、その舞台に上がってもらっては困るのです」
パズルカードを、2枚見せる。
「……なるほど……ご丁寧にパズルカード2枚。僕が2枚なのも知っているってわけだ」
勝利も合わせるように、パズルカードを2枚見せる。
2枚掛けがこれで成立。
負けた方は、バトルシティ敗退が決定する。
勝利はパズルカードをしまい、でもね、と一言告げてから真剣な表情で向き直る。
「悪いけど。見えてなくったって、僕にもたどり着きたい未来がある。そのためにも、ここで止まっているわけにはいかないんだ」
仲間との約束。
舞との誓い。
この場所で、あの日決意したことを思い出し、燃える勝利。
それと対照的に、静かに構えるイシズ。
二人の温度をつなぐように、決闘盤が同時に起動した。
「……行きます」
勝利 LP4000
「「デュエル!!」」
イシズ LP4000
というわけで、2戦目。イシズ戦です。