遊戯王~黒き羽根は夢に舞う~   作:haruko

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墓守の罠 現世と冥界の逆転

 

 

勝利  LP4000

 

「「デュエル!!」」

 

イシズ LP4000

 

 

「私のターン。私は、"ケルベク"を攻撃表示で召喚」

 

 

ケルベク

 

地属性 天使族 星4

 

攻撃力 1500

 

守備力 1800

 

このカードを攻撃したモンスターは持ち主の手札に戻る

 

 

 

「さらに、カードを2枚セット。ターンエンド」

 

 

イシズの淡々とターンを進める様子を観察する勝利だったが、イシズの表情から彼女の心象を見抜くことは、さしもの勝利でも難しいものだった。

 

まるで、規定作業のようにターンを進めるその様子に、勝利は少しだけ辟易する。

しかし切り替えて、自分の決闘を進めることとした。

 

 

「僕のターン、ドロー! (よしっ。いいカードだ!) 僕は……」

 

「お待ちなさい」

 

ドローカードをかがげ、ディスクにおろそうとしたその瞬間に、イシズが次の行動を制した。

勝利は、固まったままイシズを見る。

 

「この瞬間、私は罠カード、"強烈なはたき落とし”を発動」

 

「っ! 何!?」

 

 

強烈なはたき落とし

 

罠カード

 

デッキからカードを手札に加えた時、そのカードを墓地に送る

 

 

「手札補充の妨害カード……」

 

(どちらかといえば、特殊な意図がない限りはデッキからカードを選択して手札強化する魔法カードに対して打つべきカードのはずだけど……)

 

推し量るような視線をイシズに向ける。

しかしイシズは無表情のまま、言葉を続けた。

 

 

「さあ、"黒い旋風”を墓地にお捨てなさい」

 

 

「っ!!!?」

 

勝利は、目を見開いたのち、自分の手のカードをちらと見る。

 

 

黒い旋風

 

永続魔法カード

 

このカードがフィールドに存在する限り、『BF』の召喚時に、より攻撃力の低い『BF』を手札に加える

 

 

「……クックック。これは、まいったね」

 

 

勝利は、そのままカードを墓地に送る。

笑顔を浮かべてイシズに向き直るものの、顔には一筋の冷や汗が流れた。

 

 

(……彼女の前で、いや、そもそも僕が公式の場で"黒い旋風”を発動したことは一度もない。カード名を知っているだけでもおかしいのに、ましてやドローしたカードの内容を言い当てるなんて……)

 

 

「……どうやら、未来を見通せるっていうのは、嘘ではなさそうだね」

 

「……」

 

イシズはそっと、発動したカードを墓地に送る。

その表情からは、勘のいい勝利ですら、何の感情も読み取ることはできなかった。

 

(これが、千年アイテムの力……遊戯君。君がペガサスと戦っていた時も、こんな気分だったのかな?)

 

(……このような力は、本来真剣勝負において用いることなど断じて許されるものではない……しかし私は、その罪の代償に神に命をささげる覚悟です。すべては……弟、マリクを救うための、ほんのわずかな可能性を掴むために)

 

何とも言い難い感情が背筋を通過していく。

しかし、相手がどんな力を使おうとも、勝利は決して引くつもりはなかった。

 

「(もとより、負けたら終わりの一戦なんだ! 謎の力に臆して何もできないくらいなら、こっちから突っ込んでやる!) 僕は手札から、"BFー黒槍のブラスト”を召喚!」

 

 

BF-黒槍のブラスト

 

闇属性 鳥獣族 星4

 

攻撃力 1700

 

守備力 800

 

BFがいるとき特殊召喚できる

モンスターの守備力にもダメージを与えることができる

 

 

「さらに、"BF-砂塵のハルマッタン"も特殊召喚!」

 

 

BFー砂塵のハルマッタン

 

闇属性 鳥獣族 星2

 

攻撃力 800

 

守備力 800

 

BFがいるとき特殊召喚できる

召喚時に、味方BFの分だけ星を上げる

 

 

「バトルだ! ブラストで、"ケルベク"に攻撃! 『デス・スパイラル』!」

 

 

BF-黒槍のブラスト

 

攻 1700

 

ケルベク

 

攻 1500

 

 

イシズ LP 4000 ー 200 = 3800

 

 

「……ですが、"ケルベク"のモンスター効果が発動。モンスターを、手札に戻します」

 

ブラストが、手札に戻ってくる。

しかし、ケルベクに弾き飛ばされるブラストの横顔は笑っていた。

 

「続けて、ハルマッタンでダイレクトアタック!」

 

 

BFー砂塵のハルマッタン

 

攻撃力 800

 

 

イシズ LP 3800 ー 800 = 3000

 

 

「モンスターを退けて万々歳ってかい? 残念。ブラストは、BFモンスターがフィールドにいる場合は、手札から特殊召喚が可能なのさ。再び舞え、ブラスト!」

 

『かぁー!』

 

意気揚々と、フィールドに舞い戻るブラスト。

しかし、イシズの表情は動かないままだった。

 

「カードを一枚セットし、僕はターン終了」

 

 

イシズ LP 3000 手札 3枚

 

モンスター無し

 

伏せカード1枚

 

 

勝利 LP 4000 手札 2枚

 

BF-黒槍のブラスト

 

攻 1700

 

BFー砂塵のハルマッタン

 

攻 800

 

伏せカード1枚

 

 

「私のターン、ドロー。私は、"天使の施し”を発動」

 

 

天使の施し

 

魔法カード

 

デッキからカードを3枚引き、手札からカードを2枚捨てる

 

 

「3枚ひき、2枚捨てる。そして、手札から"死者蘇生”を発動」

 

「死者蘇生だって?」

 

 

死者蘇生

 

魔法カード

 

敵味方問わずモンスターの魂を蘇生させ、味方にする事が出来る

 

 

「この効果により、"天使の施し”で手札から捨てた、"ムドラ”を特殊召喚」

 

 

ムドラ

 

地属性 天使族 星4

 

攻撃力 1500

 

守備力 1800

 

墓地の天使族の数×200攻撃力を上げる

 

 

「墓地に存在する天使族の数だけ、攻撃力を上げるモンスター。墓地にいるのは、"賢瑞官カルダーン"と"ケルベク"の2枚。よって、攻撃力は1900」

 

 

ムドラ

 

攻 1500 + 400 = 1900

 

 

「……"死者蘇生"とはまた……墓守の一族としては、随分と掟破りなカードを使うんだね」

 

軽口をたたきながらも、勝利は場を見定めていた。

 

冷静に、しかし、急速に脳を回す。

この序盤に、そんなにも考え込む理由。それは、彼女のプレイングにあった。

 

 

("死者蘇生”は、敵味方問わず、レベルも問わず、墓地からモンスターを呼び出す強力魔法カード。その力故に、スーパーエキスパートルールではデッキに入れることができる枚数を1枚に制限されているカード……いくらブラストを倒したいからって、そう簡単に使うカードなのか?)

 

 

そもそも、彼女は"天使の施し”を使用し、手札から捨てるモンスターを選ぶことができたはず。

だというのに、上級モンスターを一瞬で召喚できる"死者蘇生”をわざわざ使って、ムドラを呼び出しているというその現状が、勝利の心を揺らしていた。

 

しかし、イシズはそんな勝利の困惑など一瞥もせず、変わらぬ様子でターンを進めていく。

 

 

「さらに、"ケルドウ"を召喚」

 

 

ケルドウ

 

地属性 天使族 星4

 

攻撃力 1200

 

守備力 1600

 

戦闘によって破壊された時、相手の墓地のカードを2枚をデッキに戻す

 

 

「バトル。"ケルドウ”で、"BF-砂塵のハルマッタン"を攻撃。『聖なる光』」

 

 

ケルドウ

 

攻 1200

 

ハルマッタン

 

攻 800

 

 

勝利 LP 4000 ー 400 = 3600

 

「……ハルマッタンは破壊される」

 

「続けて、"ムドラ”で"BF-黒槍のブラスト”を攻撃。『セイント・ブロー』」

 

 

ムドラ

 

攻 1900

 

BF-黒槍のブラスト

 

攻 1700

 

 

勝利 LP 3600 ー 200 = 3400

 

 

そのダメージを受け、勝利は顔を歪める。

しかし、歪めた原因はダメージそのものではなかった。

 

(なんなんだ。この人の決闘。攻撃に、気概を感じない。僕のモンスターを倒したかったのか。LPを削りたかったのか。"死者蘇生”まで使って仕掛けてきた攻撃だというのに……彼女のプレイから、意志を感じない)

 

 

不気味。

イシズから感じるのは、その一言に尽きる。

 

(……彼女には、どんな未来が見えているんだ……)

 

「ターンエンド」

 

 

 

イシズ LP 3000 手札 2枚

 

ケルドウ

 

攻 1200

 

ムドラ

 

攻 1900

 

伏せカード1枚

 

 

勝利 LP 3400 手札 2枚

 

モンスター無し

 

伏せカード1枚

 

 

 

イシズの挙動に疑問を感じながらも、疑心を振り切るようにターンを開始した。

 

「僕のターン、ドロー! 僕は、"闇の誘惑”を発動!」

 

 

闇の誘惑

 

魔法カード

 

2枚ドローし、闇属性モンスターを1枚除外する

手札に闇属性がいない場合、手札をすべて墓地に送る

 

 

「2枚ドロー。よし、"BFー精鋭のゼピュロス”を除外する。そして、"BF-蒼炎のシュラ”を召喚!」

 

 

BF-蒼炎のシュラ

 

闇属性 鳥獣族 星4

 

攻撃力 1800

 

守備力 1200

 

相手モンスターを破壊したとき、デッキから攻撃力1500以下のBFを呼び寄せる

 

 

「バトル! シュラで、"ムドラ"を攻撃! 『ブルーインパルス』!」

 

 

BF-蒼炎のシュラ

 

攻 1800

 

ムドラ

 

攻 1900

 

 

(よし、ここでカードを!)

 

「伏せカード発動。罠カード、"針虫の巣窟”」

 

「っ!」

 

勝利が手札に手をかけた瞬間に、再びイシズの宣言が割り込んだ。

 

 

針虫の巣窟

 

罠カード

 

デッキからカードを5枚墓地に送る

 

 

「カードを5枚墓地に送ります。そして、"アギト”、"光神機-桜火(ライトニングギアーおうか)”、"光神機-閃空(ライトニングギアーせんくう)”が墓地に置かれたことにより、"ムドラ"の攻撃力がアップ」

 

 

ムドラ

 

攻 1900 + 600 = 2500

 

 

そのイシズの行動に、勝利はさらに顔を渋くしながらカードを発動する。

 

「……手札から、"BFー月影のカルート”の効果発動。シュラの攻撃力をアップさせる」

 

 

BFー月影のカルート

 

闇属性 鳥獣族 星3

 

攻撃力 1400

 

守備力 1000

 

手札から墓地に送ることで、そのターン、BFの攻撃力に自身の攻撃力を加算する

 

 

BF-蒼炎のシュラ

 

攻 1800 + 1400 = 3200

 

ムドラ

 

攻 1900 + 600 = 2500

 

 

イシズ LP 3000 ー 700 = 2300

 

 

「……"ムドラ”は破壊されます」

 

(……まただ。一見すると、"ムドラ”を強化して与えるダメージを増やそうとしたように見える。けど、そもそも攻撃力が"ムドラ"より低いシュラで攻撃しているのに、何も警戒していないのがおかしい。ましてやイシズは、自分には未来が見えていると宣言した。なのに、僕の行動に対して守るのか、攻め返そうとしているのか、全く読めない。やろうとしていることがあまりにもちぐはぐで、目指すものがわからない)

 

 

しばらく考えこんだ後、勝利は自分の意識を切り替えるべく、大きく息を吸って肺に空気をためる。

そして、心の靄を呼吸に乗せて体内から追い出すように息を吐き出した。

 

(……臆していても何も変わらないのだから、突っ込む。そう決めたじゃないか。相手に未来が見えていようが、関係ない。僕は、僕の決闘をするだけだ!)

 

「シュラの効果発動! モンスターを戦闘破壊したとき、デッキからさらなるBFを呼び寄せる。僕が召喚するのは、"BF-幻耀のスズリ”!」

 

 

BF-幻耀のスズリ

 

闇属性 鳥獣族 星4

 

攻撃力 1400

 

守備力 1400

 

 

「そのままスズリで、"ケルドウ"に攻撃! 『ミラージュ・フラッシュ』!」

 

 

BF-幻耀のスズリ

 

攻撃力 1400

 

ケルドウ

 

攻 1200

 

 

イシズ LP 2300 ー 200 = 2100

 

 

「……戦闘破壊された"ケルドウ"の効果。相手の墓地のカード2枚を、デッキに戻します」

 

「ちょっとちょっと。まるで"墓荒らし"じゃないか。墓守の一族なんじゃなかったの?」

 

「……"黒い旋風”と、"BFー月影のカルート"をデッキに戻しなさい」

 

 

勝利の軽い挑発も無視して、処理を進める。

そのイシズの選択に、揺さぶってみようと挑発をしてみた勝利の心を逆に追加で揺らす結果となった。

 

 

(……また、よくわからないことを……)

 

 

"黒い旋風"は、大量展開を狙う勝利の『BF』デッキのキーカード。それに気づいていたからこそ、最初に"強烈なはたき落とし”を使って狙い撃ちをしたはず。

カルートも同様である。たった今、戦闘において大きく助けになってくれた強力カードのカルートを、なぜ率先してデッキに戻すことがあるのか。

 

 

LPに執着しない。かと思えば、罠カードでデッキを削ってまで攻撃力を上げる。

"死者蘇生”を使ってまでモンスターを召喚したかと思えば、すぐにモンスターが倒されることに抵抗しようともしない。

 

 

まるで、LPやモンスター以外の何かを注視しているかのようだった。

 

 

「(……わからない。彼女の戦術が……)僕は手札から、"翼の恩返し”を発動」

 

 

翼の恩返し

 

魔法カード

 

鳥獣族モンスターが2体以上存在する場合、600LPを払って2枚ドローする

 

 

「このカードの効果で、600LPを捧げて、2枚ドロー」

 

 

勝利 LP 3400 ー 600 = 2800

 

 

「(……戦術は、わからない。だが、僕が何かをしなければ、取り返しのつかないことになる……そんな気がしてならない) 僕はカードを一枚セット。ターンエンド」

 

 

イシズ LP 2100 手札 2枚

 

モンスター無し

 

伏せカード無し

 

 

勝利 LP 2800 手札 1枚

 

BF-蒼炎のシュラ

 

攻 1800

 

BF-幻耀のスズリ

 

攻 1400

 

伏せカード1枚

 

 

「私のターン、ドロー。"ゾルガ”を召喚」

 

 

ゾルガ

 

地属性 天使族 星4

 

攻撃力 1700

 

守備力 1200

 

このカードが生贄にされた場合、自分はLPを2000回復する

 

 

「そして……手札から、"サイクロン”を発動」

 

 

サイクロン

 

魔法カード

 

魔法・罠を一枚破壊する

 

 

「対象は……あなたのセットカードです」

 

「……」

 

勝利が、一瞬固まる。

セットカードは、"フェイク・フェザー”だった。

 

 

フェイク・フェザー

 

魔法・罠カード

 

BFモンスターを一枚手札から捨て、相手の墓地の罠カードを一枚奪い取る

 

 

(……破壊される前に、効果を発動することはできる。でも、イシズの墓地のカードで、僕に現在必要なカードはない……手札のBFを使ってまで、無理に発動する必要はない)

 

 

 

そう。

黙して、破壊される。それこそが、正着。

しかし、勝利のざわつく心が、その当たり前を許さなかった。

 

その予感を、友も感じていた。

 

 

 

『ぴぃ、ぴぃー!』

 

(……ブリザード)

 

わからない。が、このままではだめだ。

ブリザードと、意見が一致した。

 

(……そうだよね。何かが、起こる。わからないけど、それだけは確信できる。彼女は、何かを起こそうとしているんだ)

 

 

勝利は、軽く顔を叩く。

そして、イシズに向き直り、覚悟を決めた。

 

 

(……自分で動かなきゃ、何も変わらない。自分が変わらなければ、未来は変わらない。僕はそれを、痛いほど知っている! なら、今必要なのは理屈じゃない。衝動だ。動かなければいけないのは、今だ!)

 

決意とともに、勝利は勢いよくカードを開く。

 

 

 

「伏せカードオープン! "フェイク・フェザー”! 手札の"BF-流離いのコガラシ”を捨てて、効果起動! あなたの墓地から発動するのは……"針虫の巣窟”だ!」

 

『……ここで発動しても、無駄に手札を消費するだけ……発動は不要だ。"フェイク・フェザー”は破壊されるよ』

 

 

 

 

 

勝利の宣言に、イシズはこの決闘中初めてほんの少しだけ表情を崩した。

そんな表情に、自分の判断の正解を確信した勝利はデッキ上から5枚を墓地に叩き落した。

 

 

「その後、"サイクロン”の効果で"フェイク・フェザー”が破壊される。さあ、イシズ。まだあなたのターンだよ」

 

 

「……私は手札から、"命削りの宝札”を発動」

 

 

命削りの宝札

 

魔法カード

 

このカードを発動するターン、自分はモンスターを特殊召喚できず、ダメージも与えられない

自分は手札が3枚になるようにドローする

ターン終了時に、手札を全て墓地へ送る

 

 

「手札が3枚になるようにドロー。そして、カードを3枚セット。ターン終了です」

 

(……ダメージがないとしても、"ゾルガ”でスズリは倒せるはずなのに……攻撃しない……)

 

 

 

 

イシズ LP 2100 手札 0枚

 

ゾルガ

 

攻 1700

 

伏せカード3枚

 

 

勝利 LP 2800 手札 0枚

 

BF-蒼炎のシュラ

 

攻 1800

 

BF-幻耀のスズリ

 

攻 1400

 

伏せカードなし

 

 

「……僕のターン。ドロー」

 

「この瞬間に、私の伏せカードを発動。"一族の掟”」

 

 

一族の掟

 

永続罠カード

 

発動時に1種類の種族を宣言する

その種族のモンスターは攻撃宣言ができない

ターン開始時にモンスター1体を生け贄に捧げなければこのカードは破壊される

 

 

 

「私は、鳥獣族を宣言」

 

「……それは、まいったな。さすがに攻撃できないや。2体のモンスターを、守備表示に変更。僕はこのまま、ターンエンド」

 

 

イシズ LP 2100 手札 0枚

 

ゾルガ

 

攻 1700

 

一族の掟(鳥獣を宣言)

伏せカード2枚

 

 

勝利 LP 2800 手札 1枚

 

BF-蒼炎のシュラ

 

守 1200

 

BF-幻耀のスズリ

 

守 1400

 

伏せカードなし

 

 

 

「私のターン。ターン開始時に、"一族の掟”の効果で、"ゾルガ”を墓地に送ります」

 

カードをドローし、じっと勝利を見つめるイシズ。

その瞳が、先ほどまで淡々と決闘を進めていたイシズが向けていたものとは違う何かを孕んでいることは、勝利には伝わっていた。

 

 

「……正直に申し上げますと、驚きました。あなたは、伏せカードを発動しないはずだった」

 

「……?」

 

決闘中、初めてイシズが勝利と言葉を交わした。

会話、というにはあまりにも一方的な、宣告のような言葉だったが、先ほどまでのイシズの淡々と告げるようなセリフよりも、明らかに言葉に心が乗っている。

勝利へ、想いを伝えようという意思を感じた。

 

「やはり、あなたには、未来を歪める何かを持っている。そうなのだと思います。しかし、それは同時に、私の求める未来への障害となってしまう。この、千年タウクで見通す私の未来の雑音となってしまうでしょう」

 

申し訳なさそうな、それでいて、決意を新たに固めた表情で、イシズが言う。

 

 

 

「だからこそ……私は、あなたを倒さなければならない。弟を……マリクを止めるために!」

 

イシズの、一番の力がこもった宣言が、勝利に刺さる。

だからこそ、勝利は全力で答えた。

 

「……かける想いは違えども、負けられないのは僕も同じさ! 来なよ! 全力で向かいうって見せる!」

 

 

 

 

「……行きます。私はカードを1枚セットし、伏せカード、"現世と冥界の逆転"を発動!」

 

 

 

 

現世と冥界の逆転

 

罠カード

 

墓地に15枚以上カードがある場合にLP1000払って発動可能

お互いの墓地とデッキのカードを入れ替える

 

 

 

 

「このカードによって、お互いのプレーヤーは墓地のカードをすべてデッキに戻し、逆にデッキのカードすべてを、墓地に送らなければなりません」

 

「墓地と、デッキの逆転……なるほど。これが、あなたが狙っていた展開。墓を守るものが仕掛ける決闘の罠……!」

 

 

ディスクのデッキと墓地をそっと入れ替えながら、感嘆の声を漏らす勝利。

その一方で、イシズは何とも言い表しがたい顔で、伏せカードを開いた。

 

 

 

「伏せカード、"天よりの宝札”を発動」

 

 

 

天よりの宝札(原作効果)

 

魔法カード

 

お互いの手札が6枚になるようにドローする

 

 

 

「互いの手札が、6枚になるようにドローします」

 

「くっ……やってくれる」

 

これにより、勝利とイシズはお互いにカードをドローする。

しかし、重要なことはドローの枚数ではなく、ドローによってその数を減らしていくデッキの方だった。

 

勝利は、5枚のカードを引く。

残りデッキの枚数は、これで6枚。

 

 

(M&Wでは、山札からカードを引くことができなくなったプレイヤーはゲームを続けることができず、敗北する。僕のデッキのカードは、残り、6枚。イシズのデッキのカードは残り10枚。このままいけば、デッキが先に尽きるのは僕の方だ)

 

 

勝利は、悔しそうに自分のデッキを眺め、続けてイシズのデッキを見る。

 

 

(……カルートに、"黒い旋風"のような僕の主力カードをデッキに戻していたことも、自分は"死者蘇生”のような主力カードを一見雑に見えるほど使い倒していたのも、すべては、最後にデッキと墓地をひっくり返して逆転するため。最終的な自分のデッキに主力カードを残し、僕の主力カードをすべてデッキに戻し、最後に墓地へたたき落とすため)

 

 

勝利はイシズの戦術の深さに歯ぎしりを鳴らす。

しかし、イシズもまた、罠にかけたものとは思えない表情で勝利のデッキを睨んでいた。

 

 

 

『ば、馬鹿な……ここで5枚のカードを引かされたら……僕のデッキが……』

 

 

 

脳内のイメージに、罅が入り砕けるのを感じる。

未来は、確実に変わっていた。

 

(……本来の未来では、この"天よりの宝札”の効果により、黒羽勝利のデッキ枚数は0枚になり、次のターンで敗北するはずだった。しかし、黒羽勝利が私の"サイクロン”に対して、"フェイク・フェザー”を発動し、"針虫の巣窟”を発動したことによって、墓地が増加し、このターンの敗北を免れることができた)

 

 

 

突然迫りくる、背後の敗北に肝を冷やす勝利。

目の前まで迫ったはずの勝利が、ほんの数歩、確実に遠ざかったことに乱されるイシズ。

 

 

 

 

 

 

決着は、遠くない。

だが、それでも。

二人の未来は、まだ決定づいてはいなかった。

 




現世と冥界の逆転前の互いの墓地
イシズ 内容 16枚

ケルベク
ケルドウ
ムドラ
アギト
ゾルガ
光神機-桜火
光神機-閃空
賢瑞官カルダーン(天使の施しで捨てた)
強烈なはたき落とし
天使の施し
死者蘇生
針虫の巣窟
???(針虫の巣窟で墓地へ)
???(針虫の巣窟で墓地へ)
サイクロン
命削りの宝札


勝利 内容 11枚

BF-砂塵のハルマッタン
BF-黒槍のブラスト
闇の誘惑
翼の恩返し
フェイク・フェザー
BF-流離いのコガラシ
???(針虫の巣窟で墓地へ)
???(針虫の巣窟で墓地へ)
???(針虫の巣窟で墓地へ)
???(針虫の巣窟で墓地へ)
???(針虫の巣窟で墓地へ)

イシズ
手札なし

勝利
手札1枚


デッキ枚数と内容も大切になるので、備忘として残しときます。
果たして、残ったカードは何があるのか。
正直、ミスってないという自信がないですが。

追記 2026/02/25
案の定、イシズのデッキ枚数ミスってました。
施しで捨てたカルダーンを2回カウントしてたので、修正しときました。

ちなみに、イシズのデッキについて
かなり独自の判断で入れたカードが多いので、ここに記載しておきます。

・強烈なはたき落とし
 原作における、"無効"の代役カードとして採用。

・ケルベク、ケルドウ、ムドラ等
 当初、強化後のあの子たちを使おうかと思っていたのですが、ちょっとあまりにもだったので元の方の効果で採用させていただきました。
 効果の強さそのものというよりは、墓守の罠とまで称された"現世と冥界の逆転”について効果で触れすぎていて、ストーリーで使うにはちょっと美しくないか……ってなりました。

・針虫の巣窟、一族の掟等
 イシズのイメージに合うカードか、イシズの戦術に合うカードで採用しました。

・光神機たち
 イシズがデュエルターミナルで使ってくるカード群です。
 天使族カードのモンスターが欲しかったので採用。

という感じです。
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