遊戯王~黒き羽根は夢に舞う~   作:haruko

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王国編特殊ルール⑤

フィールドパワーソースを得たモンスターが戦闘によって破壊された場合、破壊された側はもともとの攻撃力で計算してダメージを算出する

例)キラービー 攻撃力1200 + 30% = 1560
  炎の剣士  攻撃力1800 + 30% = 2340

  戦闘結果 キラービー破壊
  ダメージ計算 炎の剣士の攻撃力 2340
         キラービーの元々の攻撃力 1200
         2340 ー 1200 = 1140
         1140ダメージ
  となる

よくわからなければ、発生ダメージ(及び王国編でのデュエル全般)についてはなんとなくで見ていただければ問題ないです。


吹雪く技術は暗殺術。BF、本領発揮!

 

 

 

二人はデュエルボックスに入り、デッキをセットして向かい合った。

 

「互いにスターチップは一個賭け。そして……『負けた方が勝者になんでも従う』……だっけ?」

 

「ああ。今のうちに孔雀舞にお別れしとくんやな!」

 

「キャー、竜崎さん。かっこいい~!」

 

舞の声援で、竜崎はやる気に燃えている。このデュエルから降りる、という事は、もはやないだろう。

 

(……騙してデュエルするというのは好きじゃないんだけど……まあ、騙しているのは僕じゃないしな)

 

そして、舞の大きな声に加えて、大会1位 VS 3位のマッチメイクという事もあり、ギャラリーが続々と集まってきた。おそらくこれで、この王国の大まかなルールは周知され、大会上位者のアドバンテージは小さくなっていくだろう。

 

(……やめよう。考えれば考えるほど、舞さんの策略にはめられているような気分になってくる)

 

今は、このデュエルに集中することにしよう。

 

「フィールドは、『山』40%、『荒野』40%、残りは『森』だ」

 

「ああ。さあ、始めようやないか!」

 

 

 

竜崎 LP2000

「「デュエル!!」」

勝利 LP2000

 

 

「ワイのターン! いけぇ! “二頭を持つキングレックス”! 荒野のフィールドパワーソースを得て、攻撃力アップや!」

 

「GYAOOOOO!!」

 

 

 

二頭を持つキングレックス

地属性 恐竜族 星6

 

攻撃力 1600 + 30% = 2080

守備力 1200 + 30% = 1560

 

 

 

「なるほど……」

 

周りがソリッドヴィジョンに感心する最中、どうやら、舞さんは早くも王国のシステムに気が付いたらしい。流石。

 

「なら僕は、こいつを出すよ “BF-極北のブリザード”! 山のフィールドパワーソースで、攻撃力アップ!」

 

「ぴー!」

 

 

 

BF-極北のブリザード

闇属性 鳥獣族 星2

攻撃力 1300 + 30% = 1690

守備力 400 + 30% = 560

 

 

 

バタバタと羽を羽ばたかせながら登場する。

おう、今日の君は絶好調だね。頼むよ。

 

「何や……『BF』? そんなよわっちそうな鳥ども、ワイの恐竜の敵やないで!」

 

「ぴ!? ぴー! ぴー!」

 

ブリザードが怒って竜崎に抗議している。

 

(……そうだね、今のはさすがに僕もムッと来たかな)

 

「なら、試してみたらいいんじゃないかな?」

 

「ええやろ! バトルや! いけえ、“二頭を持つキングレックス”! 踏み潰したれぇ! 『ダイナスタンプ』!」

 

「くっくっく、ブリザード!」

 

勝利がそう叫ぶと、ブリザードはキングレックスの股下をくぐりながら『ダイナスタンプ』を躱し、空へと飛翔していく。

 

「っ! しまった!? 『飛行』能力か!」

 

「今更遅いよ! 飛行能力を持っているモンスターに、地上のモンスターは攻撃を当てられない!」

 

そして攻撃を当てられなければ、フィールドパワーの恩恵を受けることもできない!

 

「行けっ! ブリザード! 『アイシクル・ショット』!」

 

 

 

BF-極北のブリザード

攻 1690

 

二頭を持つキングレックス

攻 1600

 

 

 

竜崎 LP 2000-90=1910

 

 

「撃破!」

 

「ピー!」

 

誇らしげに帰還するブリザードに、ギャラリーは「おおー!」と歓声を上げた。

 

「くそう……奴の『BF』は、飛行能力を持った鳥獣モンスターか……」

 

「ああ、竜崎さんやられちゃったぁ。残念ねえ……」

 

「っ、まだや! まだデュエルは始まったばっかりやでえ!」

 

舞の声に再び発奮する竜崎。

 

 

(……あ、もしかしてあれ、一応舞さんの援護射撃なのかな?)

 

 

思えば確かに今の失敗は、彼らしくない凡ミスだったと思う。

もしや舞はわざとああやって彼の気持ちをはやらせて、ミスをするよう誘発しているのだろうか?

 

(ふふふ……真の決闘者は自分以外を信じない。周りの人間に惑わされているようじゃ、まだまだね。竜崎)

 

(あ、笑ってる。恐……)

 

「ワイのターン……ちっ、モンスターを守備表示や。カードも一枚セット」

 

竜崎の様子を見て、そうだろうな、と勝利はほくそ笑む。

彼のデュエルは大会で数回見たが、彼のデッキを構築するカードのほとんどは単体能力が強い恐竜カード。だとすれば魔法、罠で対処するカードが少ない以上、空を飛べる『BF』と戦う術はおろか、攻撃する方法すら少ないだろう。

 

(まあでも、仮にも大会3位の実力者。対策を何も用意していないなんてことはないだろうな。慎重に進めていこう)

 

「僕のターン。カードを一枚セット。そして、ブリザードでモンスターを攻撃! 『アイシクル・ショット』!」

 

勝利

 

BF-極北のブリザード

攻 1690

 

伏せカード 1枚

 

竜崎

 

守備モンスター

屍を貪る竜

守 1200

 

伏せカード 1枚

 

 

 

「撃破!」

 

「ちぃ、あんま調子に乗るんやないで。ワイのターン! っ、きたで!」

 

(来るか……)

 

「まずはカードをセット。そして、“ヘルカイド・プテラ”召喚や!」

 

 

 

ヘルカイド・プテラ

風属性 恐竜族 星4

攻撃力 1400 + 30% = 1820

守備力 1000 + 30% = 1300

 

 

 

「……飛行能力持ちの恐竜モンスター」

 

「いけえ! “ヘルカイド・プテラ”!! 極北のブリザードに攻撃や!」

 

空中からブリザードめがけて滑空してきたヘルカイド・プテラ。

そのまま逃げるブリザードとヘルカイド・プテラの攻防が繰り広げられる。

 

「逃げても無駄や! 獲物を捕らえた恐竜からは、鳥ごときでは逃げられん! ホンでもって、守備で逃げようとしても、セットカードの“守備封じ”が逃がさへん! 形勢逆転や!」

 

 

「……『BF』の速度は、逃げるための速さじゃない」

 

「……なんやて?」

 

「『BF』が得意な戦術は本来、逃げる事でも、守ることでも、ましてや、相手をねじ伏せる事でもない。篤と味わえ、これが『BF』の神髄!」

 

 

 

その瞬間二体のモンスターが交錯し、鋭い刃物を装備したブリザードに切り刻まれたヘルカイド・プテラが、空中から地面へと落下した。

 

 

 

BF-極北のブリザード

攻 1300 + 500 + 30% = 2340

 

ヘルカイド・プテラ

攻 1820

 

 

 

 

竜崎 LP 1910-940 = 970

 

 

「くっくっく。これが『BF』の神髄。暗殺だよ。彼らの鋭い攻撃は、敵にやられたことさえ気づかせない」

 

「んな、あほな……」

 

(一体、何が起きたというの?)

 

竜崎君も、そして、周りにいるみんなも、同じ気持ちでフィールドを見ていたらしい。

僕は笑いながら、カードを見せる。

 

「伏せカードを発動したのさ。魔法カード、“BF-極夜のダマスカス”をね」

 

 

 

BF-極夜のダマスカス

闇属性 鳥獣族 星2

攻撃力 1300

守備力 700

 

使用後、このカードは『BF』を強化する。攻撃力500アップ!

 

 

 

「速攻強化カード……そんなカードまであったのね」

 

舞の言葉に、勝利は思わず苦笑する。

 

(……ほんと、独特な効果ばっかりだよね君たちは。でも、もちろんそんな君たちが好きなんだけど)

 

「さて、僕のターン。一応言っておくと、ブリザードの攻撃力は戻っているよ。カードを一枚セット。さらに、“BF-陽炎のカーム”を召還しておこうかな……もちろん、『山』のフィールドに適応しパワーアップ」

 

 

 

BF-陽炎のカーム

闇属性 鳥獣族 星4

攻撃力 600 + 30% = 780

守備力 1800 + 30% = 2340

 

 

勝利

 

BF-極北のブリザード

攻 1690

 

BF-陽炎のカーム

攻 780

 

伏せカード 1枚

 

竜崎

 

伏せカード 1枚

 

 

 

 

「竜崎君。君のデッキが力で相手を倒すスペシャリストなら、僕のデッキは技で相手を翻弄するスペシャリストだ。君が僕のBFを弱者と馬鹿にしている限り、君は僕には勝てないよ」

 

「うるさいわ! 今に見とれ、その鼻っ柱へし折ったるわ! ワイのターン!」

 

ドローを見た竜崎が表情を変えた。

……おそらく、『飛行』能力を持ったカードだ。

 

「いくで勝利! 今度こそお前のその鳥どもを、葬って焼き鳥にしたる!」

 

ブリザードとカームがまたバタバタと翼を振り回し、主張している。

 

「……まだ馬鹿にするか……なら、相応の負け方を覚悟しておくんだね!」

 

「いけえ! “エビルナイト・ドラゴン”!」

 

身体をうねらせながら、邪悪な表情をした竜が姿を現す。

 

(ああ、全国大会の途中でもらえたカードか)

 

 

 

エビルナイト・ドラゴン

闇属性 ドラゴン族 星7

攻撃力 2350

守備力 2400

 

 

 

「ドラゴン族やからワイのフィールドである『荒野』のパワーは得られへんが……こいつのパワーはすでにお前の貧弱なモンスターたちのパワーをうわまわっとる!」

 

「……君にいくら口で言ってもわかってもらえないようだね。ならば、僕の勝利で証明しよう。僕とBFの、絆の力を!」

 

「やかましい! “エビルナイト・ドラゴン”! 標的は忌々しいあのブリザードや! 『ナイトメア・シャドウ・ソニック』!」

 

エビルナイト・ドラゴンがひとたび羽ばたくと、漆黒の風が巻き起こり、無数の刃となってブリザードに襲い掛かる。

 

(さすがに迎撃は不可能か。なら!)

 

「伏せカードオープン!」

 

 

 

宣言に遅れて、勝利の目の前で爆発が起こる。

 

 

 

「へっへっへ……なんぼ素早い言うても、今のは避けらせへんかったやろ……な!?」

 

 

 

煙が晴れ、出てきた姿に竜崎は絶句する。

いや、勝利の発動したカードをみたことがある舞以外の全員が絶句していた。

 

 

 

BF-暁のシロッコ

 

闇属性 鳥獣族 星5

攻撃力 2000 + 30% = 2600

守備力 900 + 30% = 1170

 

フィールドのBFの攻撃力を結集させる

 

 

 

勝利 LP 2000

 

そこにいたのは、新たなBF。

そして、無傷の勝利のライフだった。

 

「なんや……何が起こったんや! そいつはなんや!? ブリザードは、どこに消えたんや!」

 

「くっくっく、このカードさ」

 

 

 

フェザー・ウィンド・アタック

魔法カード

フィールドとデッキのBFを入れ替える

 

 

 

「入れ替える……やと!?」

 

「そう。君の攻撃が決まる寸前、僕はフィールドにいるブリザードと、デッキにいるシロッコに入れ替わってもらったのさ。よってブリザードへの攻撃は不成立だ」

 

「くそっ! 小賢しい真似しよって……」

 

「……ああ、そうだね。でも、安心しなよ。君の言う、小賢しい真似はここまでだ。そして……これがラストターンだ!」

 

「な、なんやて!?」

 

 

勝利のラストターン宣言に、今度は舞を含めた全員がどよめく。

 

 

(ここからどうやって……)

 

「魔法でうまいこと攻撃を躱しただけで、いい気になるんやないで! ワイのライフはまだ十分にある! このターンで削りきることはできん!」

 

(それに“エビルナイト・ドラゴン”がやられても、まだワイのデッキには最強のカードが眠ってるんや……それさえ引けば……)

 

「出来るんだよ、『BF』の力なら! "暁のシロッコ"の、特殊能力発動! フィールドの『BF』の力を、シロッコに集約させる!」

 

 

 

BF-暁のシロッコ

攻 2600(シロッコの攻撃力) + 780(カームの攻撃力)

= 3380

 

 

 

「んな……あほな……こんな、鳥どもが……」

 

「あの"青眼の白龍(ブルーアイズホワイトドラゴン)"をも上回る攻撃力になるなんて……」

 

 

 

「君の敗因は、僕とBFたちを怒らせたことだよ。いけ、シロッコ! 『ダークウィングスラッシュ』!」

 

 

 

BF-暁のシロッコ

攻 3380

 

エビルナイト・ドラゴン

攻 2350

 

 

 

竜崎 LP 970-1030=0 

 

 

 

 

「……ま、こんなところかな。楽しいデュエルには程遠いけどね」

 

 

 

 

 

 

「……ワイが……負けたやと?」

 

うなだれている竜崎を余所に、デュエルグローブに星をはめる。

これで3個。相手を選んで戦えばもし次のデュエルで負けたとしても、即敗退という事はなくなっただろう。まあ、当然負ける気もないが……ん?

 

「……何か、随分と静かだね? どうしたの?」

 

あれだけデュエル中に騒ぎ立てていたギャラリーが、デュエルボックスから出てきた自分に一言も声をかけてくれない。それどころか、なぜか目を合わせまいとそそくさと去っていく者までいる始末にいぶかしむ様子の勝利。

 

「……あんたとやりたくないって思ってんでしょ? 大会優勝者で、3位の竜崎を無傷で倒してしまうような、あんたと」

 

「……ああ、なるほど」

 

そういえば、ダメージ喰らってなかったっけ。

完膚なきまでに倒してやろうとは思っていたが、そこまで完封してやろうという気はなかった。ただの偶然による副産物だ……と主張しても、恐怖はぬぐえないだろうな。

 

「まいったね。次のデュエルがやりづらくなっちゃった」

 

「まあいいわ。ルールも大体理解したし、次からはあたしがデュエルする番よ。あんたはあたしのハーピィちゃんが華麗に戦う姿を眺めてなさい」

 

……何か舞が燃えている。

いつの間にか猫かぶりモードも解けてるし、何があったんだろう?

 

(……負けてられない。同じ鳥獣使いとして、決闘者として、負けてられないわ!)

 

 

 

「……ああ、そうだ。負けたら、いう事聞いてくれるんだよね。竜崎君」

 

 

 

もう集まっていた人も散り、まばらになってきたところで、ボックスから出てきた竜崎に話しかける。

 

「ちっ……ああ、約束は約束や。何するんや、言うてみい」

 

舞がにやりと笑い、前に出ようとしたのを制する。

 

 

(悪いね、舞さん。でも、デュエルに勝ったのは僕だから)

 

 

軽くそうつぶやいた後、竜崎の前に立つ。

 

 

 

「竜崎君。僕が今、君に望むことは一つだけだ」

 

 

 

『謝ってくれ』

 

 

 

「……何やと?」

 

「君が乏した、雑魚と呼んだ僕の『BF』の力を、僕と『BF』の絆の力を認め、謝ってくれ」

 

 

 

デッキを掲げたまま、じっと目を見る。竜崎は軽く目をそらしたものの、観念したかのように膝をつき、そのまま地面に手をついた。

 

 

 

「……悪かった。あんさんのデッキは……『BF』は……強かったわ。ワイの、完敗やった」

 

 

 

勝利は軽く笑い、歩き出す。

 

「ちょ、ちょっと! 待ちなさいよ!」

 

舞は、歩き出した勝利の後についてくる。

 

「……よかったわけ? あれだけで。レアカードの一枚でも奪った後で、しもべにしてやればよかったのに……」

 

「いいよ。僕、自分のカード以外興味ないし。それに……」

 

カードをだして、舞に見せる。

 

「こいつらが、満足してるみたいだからね」

 

 

 

 

「……?」

 

 

 

 

『ピー!』

 

わけがわからない、と言った舞の前で誇らしげに胸を張る、ブリザードが面白かった。

 

 

 




今あるストックが尽きるまでは3日おき、18:00投稿で進めていこうと思います。
現状は今月中(10話)まで持つのは確定ですが、その後は未定になる恐れありです。
まあ、切れた時にまた連絡します。

本編の話ですが、ダマスカスはまさかの魔法化。時の魔術師化ともいいます。
いくらダマスカスといえど、王国ルールで手札からの奇襲は強すぎるだろ。ということで、破壊されやすい魔法カード化。いっちゃうとナーフ。王国編限定措置。バトルシティ以降でダマスカスが出てくるかどうかは未定ですが。



あと、いったん相棒を出せたので、私の勝利の見た目イメージをこの辺で残しておきます。


髪色:薄い水色 長くはないが、前髪が少し目にかかるくらい
服装:黒のインナーに白の襟付きロングコート 襟元に、黒い羽のような装飾
顔:かっこいいよりは幼い系
身長:167㎝。杏子よりちょっとだけ大きい。特別小さいとも思ってなかったのでそんなに気にしていなかったが、舞と並ぶと負けていることが丸わかりなのがやや不満。

全体的なイメージ:極北のブリザードっぽい人 装飾や服が黒多め

遊戯王のキャラの中で一番近いイメージなのは、乃亜をもう少し成長させ、ちょっとだけ顔を大人っぽくした感じです。
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