遊戯王~黒き羽根は夢に舞う~   作:haruko

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この決闘書いててすごく楽しいんですが。
早く勝利の決闘を書きたいという思いも強まってきました。


滅びの爆裂疾風弾vs黒・魔・導!

 

 

 

海馬 LP 4000 手札1枚

 

オベリスクの巨神兵

 

攻 4000

 

伏せカード2枚(天よりの宝札)

強制終了

 

 

遊戯 LP 4000 手札3枚(クィーンズ・ナイト)

 

磁石の戦士マグネット・バルキリオン

 

攻 3500

 

伏せカードなし

 

 

 

絶対無敵のオベリスクを従え、オシリスを撃破した海馬。

しかし、当の海馬は決闘を支配している決闘者とは程遠い表情で遊戯の場を睨んでいた。

 

そしてギャラリーの空気さえも、1ターン前のオシリスを打倒された時とは一変していた。

 

 

 

「ま、マグネット・バルキリオン……まさか、こんな局面で……」

 

「信じられへん……"アルカナ ナイトジョーカー”だってめったに見られへん伝説級のモンスターやっちゅうのに、それを囮にオシリスを召喚して、今度はバルキリオンやと……?」

 

「力を一つに。一つの力をみんなに。あのモンスターたちこそが、遊戯君の力の象徴。遊戯君の強さの源なんだね」

 

 

 

バルキリオンが電気が迸る磁石の剣を、オベリスクに向ける。

海馬は表情を変えず、しかし、馬鹿にするように鼻を鳴らした。

 

「フン……最上級モンスターを並べてさぞご満悦のようだが……オベリスクの攻撃力は4000! その程度のモンスターごときで、俺の神は倒せはしない!」

 

 

 

オベリスクの巨神兵

 

攻 4000

 

磁石の戦士マグネット・バルキリオン

 

攻 3500

 

 

 

オベリスクが海馬の意志を示すように拳を構える。

しかし、バルキリオンもまた、遊戯の想いを示すように、自分の剣を握りなおす。

 

 

 

「……神がいなくなるのが、怖いか? 海馬」

 

「……何?」

 

 

 

遊戯の言葉に、海馬が拳を握る。

遊戯は、意に返さず続けた。

 

 

 

「神を打倒されるのが、怖いかと聞いているんだ」

 

 

 

「……遊戯君」

 

勝利は、遊戯の顔を見る。

まっすぐに、相手を見つめる遊戯が、今何を思うのかを察する。

 

 

 

 

 

「……神は、強力だ。しかし、超えられない壁ではない。俺はそれを、友に学んだ」

 

 

 

 

 

「……遊戯」

 

「遊戯……お前……」

 

 

(……遊戯君は、城之内君を……)

 

 

遊戯は、城之内と同じように、神に立ち向かっている。

たとえ神がいなくとも、神を超えることはできる。

 

そう証明してくれた城之内に。

神を超えるための、最高の決闘をしてくれた城之内の姿に、その姿からもらった勇気に、報いようとしている。

 

 

 

 

(だから……ラーに立ち向かい、打倒した城之内君と、同じことを……)

 

 

 

 

「……はっ」

 

離れた場所で一人、マリクが面白くなさそうに息を吐く。

 

 

 

 

「……くだらん! 城之内が起こした奇跡の欠片に縋る貴様の決闘になど興味はない! 神の力をもって、城之内の亡霊ごと貴様を粉砕してくれるわ!」

 

 

 

城之内への侮辱の言葉にすら、遊戯の心を動かすに至らない。

今の遊戯は、どこまでも決闘者だった。

 

 

 

 

 

 

「……ならば受けてみろ! この攻撃を!! バトル! "磁石の戦士マグネット・バルキリオン"で、"オベリスクの巨神兵”に攻撃! 『電磁剣(マグネット・セイバー)』!」

 

 

 

 

 

 

「ぐっ……」

 

 

 

海馬が思わずうめき声を零すが、飛び上がったバルキリオンは止まらない。

 

海馬が何に苦しんでいるのか。それは、この後の展開に、想像がついているからだった。

 

 

 

「バルキリオンの攻撃力は、3500。オベリスクには、とどいてへん」

 

「でも……遊戯はすでに、攻略法を知っている。城之内が、身をもって示してくれた戦い方が」

 

 

 

そう。神の弱点。それは、その破壊的なカードへの耐性ゆえに、受け付けるサポートカードも限られるということ。

城之内はその一瞬の弱点を突き、自身のモンスターを強化する『コンバット・トリック』カードを使うことによって、見事ラーを打倒した。

 

海馬は、気づいている。

遊戯の攻撃を止めるには、今しかないということを。

 

城之内の想いを胸に、神に挑む遊戯の戦術はただ一つ。『コンバット・トリック』による攻撃力の底上げ。

それを発動されるころには、海馬の"強制終了”で攻撃を止められるタイミングは過ぎ去っている。

 

 

(……海馬君は、選択しなければならない。オベリスクは負けないと信じ、バルキリオンと戦うか。それとも、ここの攻撃を通したらまずいと判断し、オベリスクの敗北を認めて"強制終了”を発動するか)

 

 

海馬の決闘者としての勘は、勝利に並ばずとも並大抵のものではない。

海馬は、間違いなく気付いている。遊戯が仕掛けたこの戦闘は、決してブラフの類ではない。

 

 

 

通せば、9割9分やられる。

だが通さなければ、『通したらオベリスクがやられる』という事実を認めることになる。

 

 

 

プライドか。決闘の先か。

 

 

 

どちらを選択したとしても、間違いなく、今の海馬の信念。

 

『絶対無敵の神をもって、遊戯を倒す』

 

これは、折れる。

 

 

 

 

 

(……どちらを選んでも、この先の決闘は、もう……)

 

 

 

 

 

 

「……くっ。俺は、"強制終了”の効果発動! 伏せカード、"最終突撃命令”を墓地に送り、このバトルを終了させる!」

 

 

 

 

 

 

オベリスクの眼前に攻撃が迫ろうというその最後のタイミング、忌々しい、という言葉をその表情で雄弁に語りながら、海馬は宣言をした。

海馬の場から伏せカードが飛んでいき、バルキリオンの剣を受ける。

 

カードの盾にはじかれたバルキリオンは、遊戯の場へと戻っていく。

 

攻撃は、失敗した。

だが、攻撃をした遊戯は、納得するような表情で微笑み、海馬は歯ぎしりを鳴らした。

 

 

 

「信じらんない……神を倒されて、圧倒的不利になったはずだったのに……遊戯が、もう一度流れを引き戻した」

 

小さな小さな体のバルキリオンが、オベリスクの前に立ちはだかり、場を支配する姿に絶句する舞。

勝利は、少し笑いながら、遊戯と海馬を見比べる。

 

「神に固執する海馬君と、神を仲間の一人と考え、皆で戦う遊戯君との差だ」

 

 

そしてそのまま視線を、海馬のフィールドへと移す。

 

 

「"最終突撃命令”……本来は、遊戯を追い詰めるために伏せていたカードでしょうね」

 

 

最終突撃命令

 

永続罠

 

このカードが存在する限り、フィールドのモンスターは攻撃表示を強制される

 

 

「ああ。せやけど、バルキリオンの攻撃を防ぐためにはあのカードを"強制終了”で墓地に送る以外になかった」

 

「苦渋の決断だったことは、海馬君の顔を見れば簡単に想像つくけどね。それでも、状況はまだ好転していない」

 

 

 

「俺はリバースカードを2枚セット。ターンエンドだ!」

 

 

 

海馬 LP 4000 手札1枚

 

オベリスクの巨神兵

 

攻 4000

 

伏せカード1枚(天よりの宝札)

強制終了

 

 

遊戯 LP 4000 手札1枚(クィーンズ・ナイト)

 

磁石の戦士マグネット・バルキリオン

 

攻 3500

 

伏せカード2枚

 

 

 

「遊戯君のセットカード……1枚は間違いなく、さっきのターンに使おうとした『コンバット・トリック』系魔法カード」

 

 

(伏せカードは、"武装再生”このカードで攻撃力を上げれば、オベリスクの攻撃を返り討ちにできる)

 

 

武装再生

 

速攻魔法

 

モンスターの攻撃力を800上げる

または、墓地の装備カードを適切な対象に装備する

 

 

 

「つまり、海馬はそれを破壊するか何かで対応せえへん限りは、いかにオベリスクを従えていたとしても攻められへん」

 

「唯一海馬に勝ち目があるとしたら、オベリスクの効果の再発動だけど……」

 

"次元融合”や"死者蘇生"。

海馬にとって有力なモンスター展開のカードは、すでにこれまでのターンに使われ墓地に送られている。

いかに"天よりの宝札”があるといえど、遊戯の伏せをくくり抜けながらモンスターを展開し、オベリスクの効果発動にこぎつけるのはそう簡単ではないはずだ。

 

 

 

 

(今の海馬君じゃあ、遊戯君の場は切り返せない……この決闘は、遊戯君の勝ちだ)

 

 

 

 

 

(俺が……負ける?)

 

ターンの開始だというのに、海馬は動かず、固まっていた。

決闘盤のブザーが鳴る寸前にようやく動き出したかと思うが、その手は、怒りか、はたまた別の何かか、デッキに手をかけて震えていた。

 

 

(く……信じるものか! 俺の敗北の未来など!)

 

 

「俺のターン! ドロー!」

 

海馬は、ドローカードを見る。

そして……目を見開いた。

 

 

 

 

 

(……ブルーアイズ)

 

 

 

 

 

そう。

引いたカードは、"青眼の白竜”。

 

 

 

 

 

その瞬間に、海馬の脳裏に、映像が蘇る。

 

 

 

 

(なぜ……あの時、偽マリクと戦った時のあの映像……あれがなぜ、今蘇ってくる?)

 

 

 

 

頭を押さえ、顔を伏せる海馬。

その様子がおかしいことに、全員が気付く。

 

 

 

 

 

 

「……海馬?」

 

 

 

 

 

 

「今度はなんや? ドローしたかと思ったら、固まってしまいよった?」

 

「……勝利。これって……」

 

 

困惑する竜崎を尻目に、舞が耳を抑え込みながら、勝利を見る。

勝利も、何も言わずに耳を触りながら、頷いた。

 

 

(なんだ……これ……誰だ。誰が、叫んでるんだ?)

 

 

誰かの、声が聞こえる。

切なく、苦しく、そして……熱い声。

 

 

 

 

 

(なぜだ……なぜ、俺が見るビジョンの先には、いつもお前がいる? ブルーアイズ……)

 

 

 

 

 

石板の前に膝をつき、ブルーアイズに頭を垂れる記憶。

古代の王国の一戦で、決闘の中で石板から現れた、自身の僕。

 

 

 

 

(そして……俺の胸を突くこの悲しみ……)

 

 

 

 

海馬は改めて、ドローカードを見る。

それは、自身の最強のモンスター。

 

 

 

 

 

"青眼の白竜”。

 

 

 

 

 

(場には、オベリスクが1体……だが、俺は……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がんばれ! 兄サマ!」

 

 

 

 

 

 

「っ!! モクバ……」

 

 

 

 

 

 

(そうだ……オベリスクで、最強の神で、遊戯を倒す。それにばかり固執し、忘れていた……お前が、俺に送ってくれたカード。幾度となく俺を救った、俺の最強のカード)

 

 

 

 

 

 

海馬は、ドローを手札にしまう。

そして……覚悟の表情を作る。

 

 

 

 

 

(俺は……この一瞬の閃光(ひらめき)を信じる!)

 

 

 

 

 

 

「俺は……カードを1枚セットし、伏せカードを発動! "天よりの宝札”!」

 

 

「っ!!? (海馬君の纏う、気配が変わった!?)」

 

 

 

天よりの宝札

 

魔法カード

 

互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにドローする

 

 

 

 

「俺はこのカードで、5枚ドロー!」

 

 

「……俺も、5枚ドロー!」

 

 

 

 

「何……何が起こるの……?」

 

舞も、すでに感じ取っていた。

今の海馬は、もう、さっきまでの海馬とは違うということを。

 

そして、勝利はというと……堪えきれずに、笑っていた。

 

 

 

 

 

(……それだよ。それだよ! それだよ海馬君! 僕が見たかったのは、僕が憧れたのは……海馬瀬人は、そうでなきゃだ!)

 

 

 

 

 

「いったい、何を……ここから、バルキリオンを倒す方法は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや。ある」

 

 

 

 

 

 

そういい海馬は、手札のカードを見せつける。

 

 

「手札の、"異次元竜 トワイライトゾーンドラゴン”を墓地に送り、今伏せたカードをオープン! "コストダウン”!」

 

 

 

コストダウン

 

魔法カード

 

手札1枚を捨てることで、手札のモンスターの星を2下げる

 

 

 

 

「このカードの効果によって、手札のモンスターの星を、2つ下げることができる」

 

海馬が見せつけるそのカードは……"青眼の白龍”。

 

 

 

 

 

 

 

「これで"青眼の白龍”の星は6。1体の生贄で、召喚できるようになった……」

 

 

 

 

 

 

それを聞いたものは、全員声を上げる。

 

それもそのはず。

 

 

 

1体の生贄。

 

 

 

海馬の場に残る生贄となるモンスターなど、1体しかいない。

 

 

 

 

 

「ば、馬鹿な!?」

 

「うそっ!?」

 

「神を!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう……神を生贄に捧げる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……最高だ。海馬君」

 

 

 

 

(……聞こえる。カードの、歓喜の声。さっきの声は……カードの、願いだったんだ。海馬君と一緒に、戦いたいって)

 

 

 

 

 

 

オベリスクが。

圧倒的力で、場を支配し続けたはずの神が。

 

海馬自らの手によって場から姿を消した。

 

 

 

 

そして……白龍は、舞い降りた。

 

 

 

 

「いでよ……俺の誇り。そして、俺の魂! "青眼の白龍”!!!」

 

 

 

 

光属性 ドラゴン族 星8

 

青眼の白龍(ブルーアイズホワイトドラゴン)

 

攻撃力 3000

 

守備力 2500

 

 

 

 

「……ははっ。キレイだな」

 

その場に適した言葉かはわからない。

だが勝利の口から零れたあまりにも素直な感想が、場に響き渡る。

 

ただの呟きが全員の耳に届くほどに、うるさいほどに、静寂だった。

 

 

 

 

「馬鹿な……神を、生贄に……」

 

 

 

 

遊戯か、マリクか、舞か、竜崎か。

はたまた、全員か。

 

少なくとも、全員が等しく、同じ考えだった。

 

 

 

 

 

「遊戯……貴様を倒すにふさわしいのは……神を超越せし僕! "青眼の白龍”!!」

 

 

 

 

 

「クックック……あははははははははははは!!!」

 

 

 

 

我慢の閂がへし折れたように、狂ったかのように勝利が大声を響かせる。

その笑い声に、竜崎がびくりと体を震わせた。

 

「な、なんやなんや!?」

 

「勝利……?」

 

 

二人が振り向くと、勝利はその場に蹲っていた。

止まらない鼓動を押さえつけるように、必死に両手で心臓を掴む。

 

 

 

しかし、鼓動が、体の震えが、笑みが零れるのが、止められない。

 

 

 

 

『ぴぃ……』

 

 

 

勝利の様子に思わず不安そうな顔で出てきたブリザードが、舞の肩に止まり、舞とともに勝利の顔を覗き込む。

 

そしてその二人に、勝利は、満面の笑みを浮かべて言った。

 

 

 

 

 

 

「早く……決闘がしたい……あの二人と」

 

 

 

 

 

「……心配かけなや、アホ」

 

「……もう……あんたは、本当に馬鹿」

 

『ぴぃ! ぴぃぴぃ!』

 

呆れと安心したような竜崎。

それに続くように、舞とブリザードが揃って一言。

 

しかし、舞の表情は竜崎よりも、優しさが勝っていた。

 

 

 

 

(よかった……勝利のこんな顔、もう久しく見ていなかったように感じる……)

 

 

 

 

その表情は、真に決闘を楽しむ、勝利の原点。

 

竜崎と、全力でぶつかり合ったときの、無垢な笑顔。

 

 

 

 

 

(ずっと願ってた。いつも勝利には、酷な決闘ばかりさせてるから。このバトルシティ、この舞台が、勝利にとって最高の舞台であってほしいって)

 

 

 

 

 

でも、現実は非情だった。

 

確かに1回戦、勝利は全力で決闘を楽しんだ。

 

 

 

 

しかし……その先に待っていたのは、因縁と闇が渦巻く、仄暗い決闘ばかり。

 

 

 

 

 

 

友と友が争い。

友の手で人が闇に眠り。

闇に抗った、友が闇に堕ちる。

 

 

 

 

 

仲間が傷つき。

仲間がとらわれ。

関わりたくない闇が、勝利に這い続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中に、とうとう輝いた勝利の瞳。

 

それだけで、舞は嬉しかった。

 

 

 

 

 

(……遊戯。海馬。癪だけど、感謝するわ。ありがとうね)

 

 

 

 

 

 

しかし、決勝に3人は立てない。

 

 

 

 

 

ここで遊戯と海馬、どちらかが落ちる。

 

 

 

 

 

勝利の歓喜とは裏腹に、遊戯と海馬の空気はすり合い、磨き合うように鋭く高まっていく。

 

 

 

 

海馬 LP 4000 手札4枚

 

青眼の白龍

 

攻 3000

 

強制終了

 

 

遊戯 LP 4000 手札6枚(クィーンズ・ナイト)

 

磁石の戦士マグネット・バルキリオン

 

攻 3500

 

伏せカード2枚(武装再生)

 

 

 

 

「……だが海馬! たとえブルーアイズが出てこようが、俺のマグネット・バルキリオンを倒すことはできないぜ!」

 

そう。オベリスクがブルーアイズに変わったことによって、むしろ状況は遊戯に好転した。

ブルーアイズの攻撃力では、バルキリオンを超えることはできない。

 

このままでは、遊戯の"武装再生"を使わせることすらもかなわず、海馬はせっかくのブルーアイズを犬死させることになる。

 

そうなれば、海馬の敗北はもはや必死。

 

 

だというのに、海馬の表情は、圧倒的余裕なままに遊戯を見つめていた。

 

 

(……終わるわけないよね。海馬君)

 

 

 

 

 

「ふっ。そんな言葉をはくのは、このカードを見てからにするがいい! 魔法カード発動! 行けっ、ブルーアイズ! "滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)”!!!」

 

 

 

 

 

「!!!?」

 

 

 

 

滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)

 

魔法カード

 

ブルーアイズがフィールドにいる場合、爆裂疾風弾が敵を吹き飛ばす

 

 

 

 

「このカードによって、遊戯! 貴様のフィールドのモンスターは一掃される! どんな攻撃力や効果を持っていたとしてもだ!」

 

「し、しまった!?」

 

 

 

 

「遊戯の伏せカードは、さっきオベリスクを倒そうとしてた、『コンバット・トリック』カードのはず」

 

「この効果は……防がれへん!」

 

 

 

 

「消え失せろ、バルキリオン! バーストストリーム!!!」

 

 

 

 

ブルーアイズの口から放たれた風の弾丸が、遊戯のフィールドにぶつかり、弾ける。

 

その勢いに、その眩い光に、皆が思わず目を背けた。

 

 

 

轟音と余波の風が収まったころ合いに、一人ずつ目を開いていく。

 

そして、巻き上がった砂埃が収まるのを待つと……フィールドが、姿を現した。

 

 

 

 

海馬 LP 4000 手札4枚

 

青眼の白龍

 

攻 3000

 

強制終了

 

 

遊戯 LP 4000 手札6枚(クィーンズ・ナイト)

 

モンスター無し

 

伏せカード2枚(武装再生)

 

 

 

 

「ば、バルキリオンが……」

 

「また……海馬が切り返しよった……」

 

 

「……すごいな。これは」

 

 

 

 

 

「さて、このまま貴様のLPを削ってやりたいところだが、この魔法カードを発動したターン、ブルーアイズは攻撃できない。カードを1枚セットし、俺はターンエンド。さあ、遊戯! モンスターを呼ぶがいい! そのすべてを、ブルーアイズが粉砕してくれるわ! フハハハハハハハ!」

 

「くっ……」

 

 

 

 

「遊戯……」

 

「もういよいよ、最終局面やっちゅうのに、ここまでお互いのLPは一個も削られとらん。全くの互角やからこそ、ここで遅れるわけにはいかん。次の遊戯のドローが、遊戯の最後のチャンスかもしれへんぞ」

 

 

 

 

 

「……遊戯君」

 

 

 

(海馬君は……『海馬瀬人』を見せてくれた……遊戯君。君も、見せてくれ! 最強の決闘者、『武藤遊戯』を!)

 

 

 

 

 

 

 

(このドローに、かかっている……俺の記憶を取り戻すための未来……そして……城之内君、勝利君、舞! みんなと笑いあう、あの未来が!)

 

 

 

 

 

 

 

「俺のターン!」

 

 

 

 

 

 

(……俺はもう、未来を恐れはしない!)

 

 

 

 

 

 

「ドロー!」

 

 

 

 

 

 

 

遊戯は、カードを掲げる。

その瞳に……一寸の迷いもなかった。

 

 

 

 

 

「……俺は、今引いたこのカードを発動するぜ! 魔法カード、"黒魔術のヴェール”!」

 

 

「く、"黒魔術のヴェール”だと……」

 

 

 

黒魔術のヴェール

 

魔法カード

 

LPを1000支払い、黒魔術師を場に蘇らせる

 

 

 

「LPを1000ポイント支払い、墓地から、黒魔術師モンスターを復活させることができる!」

 

 

「黒魔術師……」

 

 

遊戯 LP 4000 ー 1000 = 3000

 

 

 

「この状況で、遊戯が場に呼び出す魔術師モンスター……」

 

「そんなもん、あいつしかおれへん!」

 

 

 

(ああ、もう……最高だ! 二人とも!)

 

 

 

 

 

「3000年前の決闘者たちの魂は、今も俺たちに受け継がれている! それは決して、幻想などではない! 受け継がれた過去は、魂は、未来を作り出すんだ! いでよ、"ブラック・マジシャン”!」

 

 

『ハァ!』

 

 

 

 

ブラック・マジシャン

 

闇属性 魔法使い族 星7

 

攻撃力 2500

 

守備力 2100

 

 

 

 

 

「くっ……ウイルスカードで墓地に葬った"ブラック・マジシャン”を……」

 

(そして、この光景……)

 

 

 

 

海馬

 

青眼の白龍

 

攻 3000

 

 

遊戯

 

ブラック・マジシャン

 

攻 2500

 

 

 

 

 

(同じだ……あの、石板の光景。そして……さっき移った、あの決闘と!)

 

 

 

 

 

イシズとともに博物館で見た、その光景。

 

神のぶつかり合いの衝撃によって、瞳を、記憶を駆け抜けた、一瞬の映像。

 

 

 

 

 

 

以前、古代エジプト文明より出でたその石板を見て、勝利は言った。

 

 

 

 

 

 

『まるで……二人の決闘が、古代の頃より決定づけられた二人の決闘者の決着が、現代まで繰り返されているようだ……彼らが再び相まみえる、現代のこのバトルシティの舞台まで……』

 

 

 

 

 

 

(3000年の宿命のライバルが……ぶつかり合うんだ! この……バトルシティで!)

 

 

 

 

 

「行くぜ海馬! 俺は手札から、魔法カード発動! "黒・魔・導(ブラック・マジック)”!!」

 

「!!!? 何!?」

 

 

 

 

黒・魔・導(ブラック・マジック)

 

魔法カード

 

黒魔術師の渾身の一撃

相手の場の魔法・罠カードをすべて葬る

 

 

 

 

「このカードで、"ブラック・マジシャン”の一撃を、海馬の魔法・罠カードにぶつけるぜ!」

 

「くっ! おのれ……"強制終了”を……」

 

 

 

"強制終了”がある限り、海馬を攻める手は進まない。

それを見逃す、遊戯ではない。

 

軽く持ち手を入れ替えて杖を回転させた後、ぱしと音を立て杖を掴んだ"ブラック・マジシャン”が、相手の場へとその先を向ける。

 

 

 

「さあ行くぜ、"ブラック・マジシャン”! ブラック・マジック!!!」

 

 

 

勢いよく振り下ろされたと思ったその瞬間。

海馬の目の前で、爆発が起こる。

 

 

 

「ぐっ! "カウンターゲート”と"強制終了”が……」

 

 

 

海馬 LP 4000 手札4枚

 

青眼の白龍

 

攻 3000

 

伏せカードなし

 

 

遊戯 LP 3000 手札5枚(クィーンズ・ナイト)

 

ブラック・マジシャン

 

伏せカード2枚(武装再生)

 

 

 

 

 

 

 

「さあ。海馬! 最後の勝負だ!」

 

 

「……ふん。いいだろう! 下らぬ過去の遺物ごと、すべてを葬り去ってやる!」

 

 

 

 

 

 

 

ここまで来て、LPはほぼ、動かぬまま。

 

しかし、今フィールドを望む誰もが察した。

 

 

 

 

決着はもう、遠くないということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……ここは……)

 

 

 

 

遊戯と海馬が、熱く、痺れるような戦いを繰り広げている最中。

 

 

 

そこを目指していたはずの一人の決闘者。

城之内克也は、闇の中で目を覚ます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇に、一人。

仰向けか、うつ伏せか。

立っているのか、座っているのか。

 

 

 

何が正しいのかもわからぬ暗闇。

 

 

 

そこに、城之内はいた。

 

 

(……なんだ……ここ……? いったい……どこなんだ?)

 

 

ゆっくりと瞼を開き、辺りを見回しながら手を伸ばした城之内。

しかし、何も掴めない。

 

それどころか、自分の目の前に突き出しているはずの、自分の腕さえも見えない。

 

突然のそれに、城之内の脳は処理を拒んでいた。

 

 

 

(俺……なんでこんなところに……バトルシティは……遊戯たちは、どうなったんだ……)

 

 

 

必死に、頭の記憶をひっくり返す。

 

 

 

 

 

遊戯と、勝利と、竜崎とともに、決勝の舞台に上がったはずだ。

 

 

 

そして、戦ったはずだ……

 

 

 

 

 

神のカードと。

 

マリクと。

 

 

 

 

 

 

(……ああ……俺、負けたんだ……)

 

 

 

 

 

 

腑に落ちたように、あるいは、諦めたように、ふと笑う。

 

誰にも見られることのない城之内の表情は、寂し気だった。

 

 

 

 

 

(……俺……神にやられて……そうか。マリクに、負けちまったのか……)

 

 

 

 

そして、自身がいる場所の、闇の深さを、朧げに理解する。

 

 

 

 

(なんも、見えねえ。真っ暗だ……お前、こんな闇の中にいたのかよ。静香……)

 

 

 

 

少し前まで、光を閉ざされていた、最愛の妹。

 

城之内の脳裏には、包帯を外し、自身と向き合う静香の姿が思い出されていた。

 

 

 

(……お前、すげえな。静香。俺の見てない間に、お前も、強くなってたんだな……)

 

 

 

どこにあるかもわからない自分の拳を強く握る。

そして、何もできないもどかしさに、歯を食いしばった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……また、会いてえなあ。静香に……遊戯に……勝利に。みんなに……)

 

 

 

 

 

 

 

 

『お兄ちゃん』

 

 

 

 

 

 

(……静香?)

 

 

声を必死に探すように、辺りを見回す。

しかし、静香の姿はおろか、瞳に映るものなど何一つとしてありはしない。

 

 

 

(……なんだ? 幻か……いや、違え。静香の声を、俺が聞き間違えるわけがねえ!)

 

 

 

いる。

静香が、みんなが。

 

必死に城之内は探す。

しかし、何も見えはしない。

 

 

 

『お兄ちゃん。見て』

 

 

 

 

(見て? いったい、何を……)

 

 

いや。違う。

城之内は、頭を振る。

そして必死に、目を凝らして前を見た。

 

 

(見るんだ……なんだっていい。何かがあるはずなんだ! 見ろ! 見るんだ!)

 

 

 

暗闇に、力を込めた瞳を向ける。

闇を必死に捕らえんとするその様子はしかし、城之内にとって真剣そのものだった。

 

 

 

(誰だ……? 誰が、そこにいるんだ……)

 

 

 

見えない。

わからない。

 

 

しかし、感じ始める。

 

 

 

 

城之内の第六感か。

 

それとも、首元に光る、友の優しさの力か。

 

 

 

 

やがて、城之内にそれは見えた。

 

 

 

 

 

(……遊戯! これは……)

 

 

 

 

 

黒い影か、靄のような何か。

城之内が見えるのは、それが精いっぱいだった。

 

だが、城之内は確信する。

 

 

 

そこで……遊戯が戦っていた。

 

大きく、そして、強い。

三つ首の龍が、遊戯に迫る。

 

 

 

 

 

城之内は、拳を握った。

 

 

 

 

闇から抜けたいとか。

 

誰に会いたいとか。

 

 

 

暗闇にさらされ、弱り切った心は、一瞬にして吹き飛んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頼む! 遊戯を……俺を遊戯のところへ、連れて行ってくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

想いは、同じ。

 

 

行くぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒き闇のどこからか聞こえた、そんな声が届いた後。

闇の中に、赤い目が光った。





詰め込みすぎ、と言われれば返す言葉もありませんが、イシズがいなくなろうともこのイベントはカットしたくありませんでしたね。

さて……次回、いよいよ決着です。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

活動報告の方で、乃亜編のアイデアを募集しています。
・乃亜編のアイデアについて
勝利たちの『デッキマスター能力』について、募集中です。

ぜひお知恵をお借りできると幸いです。よろしくお願いします。


皆さんのおかげで、乃亜編の全体像が相当固まってきました。
まだ早いですが、感謝申し上げます。

超魔導竜騎士の参加はありorなし

  • 友情カードの融合!熱い!やって欲しい!
  • 遊戯があれ使ってるの見たくない!却下!
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