さすがにこの回を駆け足で終わらせることは避けたかったので、時間をいただきました。
遊戯vs海馬。
決着です。
海馬 LP 4000 手札4枚
青眼の白龍
攻 3000
伏せカードなし
遊戯 LP 3000 手札5枚(クィーンズ・ナイト)
ブラック・マジシャン
攻 2500
伏せカード2枚(武装再生)
黒き魔術師と、白き龍。
対峙する2体のモンスターと、それを従える決闘者たち。
古代エジプトより石板から受け継がれた戦いの記憶を持つ者にとって。
否。そんな記憶を持たずとも。
この決闘の終着点が近づいていることは、この場にいる皆が感じ取っていた。
「"ブラック・マジシャン”に、"青眼の白龍”……」
「2体のエースが、揃った……」
「とうとう来たね……いや。これからだ」
彼らの交差する視線の火花が。
彼らの体を迸る電流が。
ぶつかり合い、高まり合う、彼らの熱が。
見える。聞こえる。感じ取れる。
まさに運命の好敵手同士の、魂を賭けた一戦だった。
「遊戯……何度でもいうが、俺は3000年前の過去からの運命などというオカルトに等興味はない」
「……」
「過去を追い求めるものになど、未来はない。俺は、己が力を証明するため。そして……貴様との忌まわしき戦いの歴史に終止符を打つため! その未来をこの手でつかみ取るために戦うのだ! ブルーアイズとともに!」
「海馬……」
遊戯は、海馬の言葉にほんの少し息を飲む。
(海馬のいう通り……俺の記憶を求めて戦うこと。それは……失われた過去を追い求める、愚かな行為なのかもしれない。だが、俺はそれを取り戻さない限り、未来へ進むことはできない! そして何より……)
「海馬! 俺にも、たどり着かなければならない未来がある! 勝利の先にある光を掴むために! そして……仲間たちとの未来をつかみ取るために!」
(勝利君とともに見た、最高の未来! あの場所へたどり着くまで、俺は、負けるわけにはいかないんだ!)
「……いいだろう。ならば見せてみろ! 未来を掴むための、貴様の覚悟をな! 俺がその覚悟を、記憶に巣くう古の石板ごと粉砕してくれるわ!」
「っ! ああ! 行くぜ海馬! 俺は手札から、装備カード、"ワンショット・ワンド”を発動!」
ワンショット・ワンド
装備魔法
魔法使いのみ装備可能
攻撃力を800アップ
攻撃後、破壊し1ドロー
「"ブラック・マジシャン”に装備! これにより、"ブラック・マジシャン”の攻撃力が上昇!」
『ハァ!』
"ブラック・マジシャン”の持つ杖の先端が、月の姿を形どる。
その瞬間に、彼の周りに魔力がたまる。
ブラック・マジシャン
攻 2500 + 800 = 3300
「これで、"ブラック・マジシャン”の攻撃力が、海馬のブルーアイズを上回った……」
「伏せカードもない。千載一遇のチャンスだ!」
「さらに俺は、"魔導戦士ブレイカー”を召喚!」
魔導戦士ブレイカー
闇属性 魔法使い族 星4
攻撃力 1600
守備力 1000
魔力カウンターを1つ持つ
魔力カウンター1つにつき、300ポイント攻撃力をあげる
魔力カウンターを消費し、魔法、罠を1枚破壊する
「このカードは、召喚成功時に魔力カウンターを1つ乗せる! そして、そのカウンター1つにつき、攻撃力を300アップする!」
魔導戦士ブレイカー
攻 1600 + 300 = 1900
「モンスターを召喚しよった」
「……海馬君のデッキの破壊力を鑑みれば、低級モンスターを並べるのはできる限り避けたいはず。それでも、モンスターを攻撃表示で召喚したってことは……」
「ここで、勝負に出るってことよね」
遊戯が、強く右手を握る。
それは……自身を奮い立たせるための、覚悟の拳だった。
「さあ、バトルだ! "ブラック・マジシャン”! "青眼の白龍”に攻撃! 『
「くっ!」
ブラック・マジシャン
攻 3300
青眼の白龍
攻 3000
海馬 LP4000 ー 300 = 3700
「そして、装備カード、"ワンショット・ワンド”の効果発動! 戦闘後、このカードを破壊することで、デッキからカードを1枚ドロー!」
ブラック・マジシャン
攻 3300 ⇒ 2500
遊戯 手札3枚 ⇒ 4枚
「ぐぅ!! おのれぇ……」
まるでその身を焼かれたかのような怨念の表情で、海馬が遊戯を睨む。
"青眼の白龍”が戦闘で破壊されたという苦渋もそうだろうが、遊戯のライフコストの支払いを除けば、このダメージは激闘の果てにようやくたどり着いた、彼らが欲し続けた
遊戯に、先を行かれた。
それが、海馬にとって何よりも許しがたい現実だった。
「この怒り、俺の次のターンで確実に返してやる! 俺は、墓地の"霊廟の守護者”の効果発動!」
「あれは……海馬君が神の生贄として用意していた……」
霊廟の守護者
闇属性 ドラゴン族 星4
攻撃力 0
守備力 2100
ドラゴン族の生贄にするとき、2体分となる
ドラゴン族が破壊された時、このカードを墓地から蘇生し、通常ドラゴンを墓地から呼び戻す
「このカードは、表側表示のドラゴン族が破壊された場合、墓地から特殊召喚できる! そして、破壊されたブルーアイズは、再び手札へと戻る!」
霊廟の守護者
守 2100
胡坐のまま現れた"霊廟の守護者”は、場に鎮座して手に力を籠める。
その手のひらの真ん中に集まった光球は、やがて光の玉となり、1枚のカードに姿を変える。
そしてそのカードが、海馬の元へと届けられる。
遊戯に見えるように加えられたそれは間違いなく、"青眼の白龍”だった。
「うそっ!? あいつは確か、ドラゴン族限定のダブルコストモンスターのはず!!」
「つまり、次のターンにはもう一度ブルーアイズが召喚されるっちゅう寸法か」
「守備力は2100。遊戯君の"魔導戦士ブレイカー”じゃあ破壊できない……どこまでも抜け目ないぜ、海馬君」
このままでは、すぐに建て直される。
次のターンを思い描き絶望を顔ににじませる勝利たち。
しかし、遊戯に憂いは欠片も見られなかった。
「ふっ……そうはさせないぜ、海馬! 俺は伏せカード、"武装再生”を発動!」
「なにっ!?」
武装再生
速攻魔法
モンスターの攻撃力を800上げる
または、墓地の装備カードを適切な対象に装備する
「この効果によって、俺は墓地の"ワンショット・ワンド”を"魔導戦士ブレイカー”に装備! 攻撃力アップだ!」
魔導戦士ブレイカー
攻 1900 + 800 = 2700
「う、うまい!」
勝利が思わず声を零す。
これで、"魔導戦士ブレイカー”が"霊廟の守護者”を上回った。
当然、"魔導戦士ブレイカー”にも攻撃の権利がある。
「"魔導戦士ブレイカー”で、"霊廟の守護者”に攻撃! "マナ・ブレイド”!」
魔導戦士ブレイカー
攻 2700
霊廟の守護者
守 2100
「ぐっ……まさか、ここから全滅だと!?」
「まだだ! 再び、"ワンショット・ワンド”の効果発動! このカードを破壊することで、デッキからカードを1枚ドロー!」
魔導戦士ブレイカー
攻 2700 ⇒ 1900
遊戯 手札4枚 ⇒ 5枚
「すごい! 海馬のモンスターを一層しながら、手札を整えた!」
「これが、覚悟を決めた遊戯君の本気の攻め……!」
「カードを3枚セット! 俺はこれで、ターンエンドだ!」
海馬 LP 3700 手札5枚(青眼の白龍)
モンスターなし
伏せカードなし
遊戯 LP 3000 手札2枚(クィーンズ・ナイト)
ブラック・マジシャン
攻 2500
魔導戦士ブレイカー
攻 1900
伏せカード4枚
「伏せカードが、4枚……」
「おそらく、伏せられるカード全てやな」
「うん。ブラフか、そうじゃないかはわからないけど。少なくとも、彼らは確信している。もうここが、関ヶ原。天王山だ」
残り数ターン。
早ければ、次のターンにでも、この決闘は決着する。
出し切らなければ、海馬の持つ力の激流に飲み込まれる。
遊戯の覚悟が、伏せカードから見て取れる。
そして……海馬とて、そんなことには気づいている。
そのうえで、彼が止まるはずもなかった。
「俺のターン、ドロー。俺は手札から、"強欲な壺”を発動」
「っ……ここでか」
強欲な壺
魔法カード
デッキからカードを2枚ドローする
「カードを、2枚ドロー」
これで海馬の手札は、7枚。
攻めるも守も、どうとでもできる手札だった。
(だが……俺の伏せには、"トラップ・スタン”がある。さっきまでのような罠カードによる時間稼ぎは、通用しない)
トラップ・スタン
罠カード
このターン中、フィールドの他の罠カードの効果は無効化される
(手札にも、次の攻め手は残っている……このターンさえ、耐えきれば)
「……フン。凌ぎさえすれば、などという、後ろ向きな決闘では、この俺は倒せんぞ。遊戯」
「っ! 海馬……」
遊戯の心をそのまま映し出すかのように、海馬が言い放つ。
遊戯の背中が、汗で湿る。
(……中盤までの海馬君とは、まるで違う。見えてるものも、見据えている先も……)
本当に彼は、遊戯の遥か上を行き、ねじ伏せるのかもしれない。
勝利にさえ、そう思わせる力が、今の海馬にはあった。
「……行くぞ、遊戯! この俺の全力を以て、このターンで貴様に敗北という名の烙印を刻み付けてやる! 俺は手札から、"竜魔導の守護者"を召喚!」
竜魔導の守護者
闇属性 ドラゴン族 星4
攻撃力 1800
守備力 1300
このカードを召喚したとき、手札を1枚捨て、デッキから「融合」カードを手札に加える
融合モンスターを見せることで、その素材モンスターを墓地から守備で蘇生する
「手札から先に戻した"青眼の白龍”を墓地に送ることで、デッキから、"融合”を手札に加えることができる!」
「えっ!? 手札に戻したブルーアイズを、また墓地に!?」
「……ブルーアイズを、諦めたんか?」
「いや……違う」
(手札をより増やしたかった。そんな理由で、海馬君がブルーアイズを捨てるはずがない。ブルーアイズで勝つ未来を、諦めるはずがない)
自分の思考が海馬の次の一手を考えようとしたその瞬間、勝利は思わず体を腕で抑え込んだ。
勝利の絶対感覚が、何かが起こると勝利に伝える。
何かが、来る。
強い、圧倒的な、何かが。
神にも、勝るとも劣らない、圧力。
そして……熱い想い。
そのすべてが、勝利の体を駆け巡った。
「"竜魔導の守護者"のもう一つの効果! デッキから融合モンスターを相手に見せることで、その融合素材モンスターを墓地から守備表示で特殊召喚する。俺が見せるのは……」
そして、海馬が笑った。
この決闘で一番の、あまりにも純粋で、攻撃的な笑みだった。
「"青眼の究極竜”!」
「あっ!」
「なっ!」
「まさかっ!」
「それか……それが、君の切り札!」
「さあ、甦れ! "青眼の白龍”!」
『うぉおおおおお!』
青眼の白龍
守 2500
唸り、再び姿を現すブルーアイズ。
守備で蘇る故に、攻撃に参加することはできずとも、その目には圧倒的な自信と力が宿っていた。
そしてそれは……当然だった。
彼らが輝くための最高の舞台は、すぐそこにある。
「覚悟しろ遊戯……俺は手札から、"融合”を発動!」
融合
魔法カード
決められたモンスター2体以上を融合する
「フィールドの1体、そして、手札に存在する2体。合計3体のブルーアイズを、融合!」
手札の、フィールドのブルーアイズが、順番に雄たけびを上げる。
1体は、気高く。
1体は、美しく。
1体は、力強く。
そして、その3体のブルーアイズが、重なり、混ざり……新たなモンスターへと生まれ変わる。
「現れよ……我がデッキ最強の僕! "
『『『グギャア――――――!!!!』』』
青眼の究極竜《ブルーアイズ・アルティメットドラゴン》
光属性 ドラゴン族 星12
攻撃力 4500
守備力 3800
「あれが……"青眼の究極竜”。海馬の……真の切り札」
「攻撃力……4500」
「……海馬君の、全身全霊……」
「すっげぇ! もう遊戯にはアルティメットドラゴンを倒す手段はない! 兄サマの勝ちだ!」
「ふっ……まさか、海馬が上がってくるとはね。ま、どちらにせよ、いずれ両方葬るつもりだったけど」
「……」
海馬を信じるものも、そうでないものも。そして、遊戯を信じるものでさえも、海馬の勝利が近づいていることを感じていた。
しかし、そんな最中でも遊戯の瞳には、まだ闘志の炎が残っていた。
(まだだ……俺の手札にはまだ、俺の切り札。"バスター・ブレイダー”が残っている)
バスター・ブレイダー
地属性 戦士族 星7
相手の墓地、フィールドのドラゴン族の数だけ、攻撃力を500あげる
(海馬の墓地とフィールドには、ドラゴン族が計6体。つまり"バスター・ブレイダー”の召喚までこぎ着ければ、"バスター・ブレイダー”の攻撃力は5600まで上昇して、究極竜を倒すことができる)
しかし当然ながら、それは遊戯のターンが回ってくればの話。
遊戯の目の前には、立ちふさがる究極竜の姿。
(……耐えきって見せる! このターンが、俺の最後の賭け!)
海馬 LP 3700 手札3枚
青眼の究極竜《ブルーアイズ・アルティメットドラゴン》
攻 4500
竜魔導の守護者
攻 1800
伏せカードなし
遊戯 LP 3000 手札2枚(クィーンズ・ナイト、バスター・ブレイダー)
ブラック・マジシャン
攻 2500
魔導戦士ブレイカー
攻 1900
伏せカード4枚
「さあ、遊戯。このブルーアイズの圧倒的力で忌まわしき過去の記憶とともに貴様を捻りつぶし、『決闘王』の称号を手にして見せる!」
「来い! 海馬! 俺のカードで、俺の信じる者の力で! この決闘に勝ち、未来を手に入れる!」
(始まる……これが、2人のラストバトル!)
「ゆけ! "青眼の究極竜《ブルーアイズ・アルティメットドラゴン》”! 滅びの光で、遊戯の闇を貫いて見せよ! 『アルティメット・バースト』!!」
三つ首の聖なる龍の咆哮とともに、輝く光線が向けられる。
その先にいるのは、"ブラック・マジシャン”。
(海馬君も、遊戯君のマジシャンコンボを警戒している……たとえダメージを何とかしても、ここで"ブラック・マジシャン”を失ったら、遊戯君は追い詰められる!)
「そう簡単に、やらせはしないぜ! 伏せカードオープン! "マジカル・シルクハット”!」
マジカルシルクハット
罠カード
シルクハットをフィールドに3つ展開し、魔術師を守備にしてシルクハットに隠す
シルクハットは守備力0の壁となる
「3つのシルクハットに、"ブラック・マジシャン”を守備で隠し、シャッフル!」
『ハァ!』
シルクハットに飛び込んだ"ブラック・マジシャン”が声を上げたその瞬間に、シルクハットが分離する。
"ブラック・マジシャン”の位置がとらえられぬまま、フィールドにハットが展開された。
海馬 LP 3700 手札3枚
青眼の究極竜《ブルーアイズ・アルティメットドラゴン》
攻 4500
竜魔導の守護者
攻 1800
伏せカードなし
遊戯 LP 3000 手札2枚(クィーンズ・ナイト)
伏せモンスター(シルクハット)3体
魔導戦士ブレイカー
攻 1900
伏せカード3枚
「うまい! "ブラック・マジシャン”への攻撃をいなしながら、"ブラック・マジシャン”を守備表示へ変更した!」
「これで、ハットを攻撃する分には、海馬は遊戯へダメージを与えられへん!」
「"ブラック・マジシャン”の守備力は2100。"竜魔導の守護者”じゃあ倒せないから、"ブラック・マジシャン"を倒すためには、三分の一を通すしかないけど……」
シルクハットは守備表示。
このままでは、アルティメットの攻撃力が無駄になってしまう。
ということは……
「……標的変更! アルティメットよ、"魔導戦士ブレイカー”に攻撃! 『アルティメット・バースト』!」
青眼の究極竜《ブルーアイズ・アルティメットドラゴン》
攻 4500
魔導戦士ブレイカー
攻 1900
遊戯 LP 3000 ー 2600 = 400
「ぐわあああああ!?」
ソリッドビジョンとは思えないその一撃の衝撃で、遊戯は思わず後ずさる。
それだけの力が、今の一撃にはあった。
「遊戯……LPが……」
「いや。今の戦いで、有利をもぎ取ったのは、遊戯君の方だ」
「……どういうことや、勝利。遊戯のLPは、もう400しかないんやで?」
勝利は真っすぐに、衝撃で巻き上がる砂煙の中の遊戯を見据える。
遊戯もまた、煙の中から現れる海馬のブルーアイズに立ち向かうべく、構えを崩さぬに前を見つめていた。
「遊戯君が攻撃モンスターを残していたのは、わざとだ。シルクハットで"ブラック・マジシャン"を隠せば、"ブラック・マジシャン”に攻撃できる可能性は三分の一。しかもミスをすれば、アルティメットの攻撃で1ダメージも与えられることなく遊戯君にターンを回すことになる。そんなの、海馬君が良しとするはずがない」
故に遊戯は、ブレイカーを用意した。
三分の一で守備表示の"ブラック・マジシャン"を葬れる道と、確実にダメージを与えて敵を減らせる道。
提示されれば、ほとんどが後者を選ぶことだろう。
そんな心の揺れを、遊戯は逆手に取った。
「多分遊戯君は、"ブラック・マジシャン”を破壊されたら勝ち目はないと思っていた。だからブレイカーとLPを囮にして、"ブラック・マジシャン”を守ったんだ。海馬君の、プライドすらも利用して」
言いながら、遊戯の選択にぞくりとくる。
自信のLPのほとんどを犠牲にしながら相手の心理を誘導し、相棒を守り切った。
遊戯と、海馬。
互いを知り尽くした、好敵手であり、友であるからこそ発生する、高度な心理戦。
そのレベルの高さに、思わず体が振動した。
(……これで海馬君が遊戯君の"ブラック・マジシャン”を倒す方法はなくなった。次のターン、遊戯君の反撃を受けきれなければ、海馬君の負けだ)
「さあ……どうする海馬! もう何もないなら、俺のターンを……なっ、こ、これは!!?」
青眼の白龍
攻 3000
青眼の白龍
攻 3000
青眼の白龍
攻 3000
「これって!?」
「ブルーアイズが、3体やと!?」
「まさか……」
「速攻魔法、"融合解除"! 究極龍は、3体のブルーアイズへと分裂する!」
融合解除
速攻魔法カード
融合モンスターを、場に分離させる
「このカードによって、俺のアルティメットドラゴンを分離させた。この意味が分かるな? 遊戯」
「今は、バトル中……当然、3体のブルーアイズにも攻撃権が……」
「ここで……"融合解除"……」
「シルクハットでも、"ブラック・マジシャン"を守り切れない。これが、海馬君の力……すごすごる……」
「……終わりや」
とうとう、あきらめの言葉が漏れ出す。
しかし、何よりも、誰よりも、この状況に絶望しているのは、遊戯本人だった。
LPを犠牲に、カードを盾に。
そこまでして伏せを使い、守ろうとした理由はただ一つ。
モンスターが、"ブラック・マジシャン”を生きのこらせることが、遊戯にとっての最後の勝機だった。
残りの伏せカードでは、"ブラック・マジシャン"は守れない。
そうなれば、遊戯に次のターンが回ってこようとも、逆転の手立ては一つとしてない。
遊戯は、腕を下げた。
カードの剣が。
ディスクの盾が。
遊戯の手元から、音を鳴らして落ちていく様を幻視する。
(……ここまでなのか、俺は……)
「さあ……覚悟するがいい! 遊戯! そして貴様の記憶に永遠に刻み付けておけ! 真の勝利者であるこの俺の名をな! フハハハハ!!」
ブルーアイズが、力を溜める。
別々の首が、遊戯を、フィールドに標準を合わせる。
「ブルーアイズ3体の攻撃!」
海馬の宣言に、思わず目をつむる遊戯。
その姿に、勝利さえも、とうとう受け入れた。
遊戯の、敗北。
(……恥じることなんて、何もない……海馬君は、素晴らしい決闘をした。すごい、決闘だった)
決着のその時を待つのみ。
そう誰もが思ったその瞬間に、声が届いた。
『諦めんな! 遊戯!』
「っ!!?」
(っ!? い、今の声は!)
はっとした勝利は、遊戯を見る。
遊戯の顔を、見ればわかる。
遊戯には、聞こえている。見えている。
遊戯は、再び前を向いていた。
『遊戯!』
(じょ、城之内君!?)
遊戯が、虚空に目を向ける。
しかし、遊戯の瞳には。遊戯の視線の先には。
首のペンダントを赤く光らせ。
黒き羽を周りに纏いながら、そこに立つ城之内の姿があった。
『遊戯! お前、言ってたじゃねえか。カードには、必ず可能性が秘められているってよ』
(……可能性……っ!!!)
遊戯は、何かに気が付いたように墓地を見る。
そして、自分のカードを見た。
『……俺たちがいる。俺が、竜崎が、そんで、勝利と舞が。みんながいる。最後まで諦めんな!』
(……ああ。そうだったな。最後まで、諦めない。君たちに教わったそんな簡単なことを、俺は忘れてしまっていた)
遊戯は、自身のパズルを手で握る。
その時、少しパズルが光る。
でてきはしなかったが、相棒もまた、自分へ勇気を送ってくれた。
(すまないな。情けない姿を見せて……こんな俺と、一緒に戦ってくれるか? 城之内君!)
『へっ! 当たり前だろ! 一緒に、海馬の野郎をぶったおしてやろうぜ!』
「……俺は、伏せカードをオープン! "正統なる血統”!」
「なんだと!?」
正統なる血統
永続罠
墓地の通常モンスターを攻撃表示で蘇生する
遊戯は、ディスクを高らかに翳す。
そして、墓地から、1枚のカードが場へと舞い戻る。
その姿に、誰もが目を見開いた。
そして……竜崎は震え、勝利が歓喜の声を轟かせた。
「俺の墓地より……甦れ! 紅き魂! "真紅眼の黒竜”!!」
「っ! "真紅眼"!!?」
「……くっくっくっくっく。あーっはっはっはっはっは!」
驚愕の声を聴きながら、大笑いする勝利。
その瞳には、薄らと涙が滲んでいた。
真紅眼の黒竜
闇属性 ドラゴン族 星7
攻撃力 2400
守備力 2000
「れ、真紅眼……城之内の亡霊が、なぜここに……っ!!?」
(あの時……)
『伏せカードオープン! "死のデッキ破壊ウイルス”!』
『お前が発動した"死のデッキ破壊ウイルス”によって、俺の墓地には3枚モンスターが墓地に送られた』
『"死のデッキ破壊ウイルス”によって破壊された、"磁石の戦士β”、"磁石の戦士γ”の2体を手札に加えることができる!』
(……"死のデッキ破壊ウイルス”によって、遊戯のデッキの攻撃力1500以上のモンスターは3体墓地に送られた……2体はオシリスの攻撃力増強用のマグネットモンスター。最後の1体が、真紅眼だったということか……)
「竜崎君……レッドアイズが今、あの場に立っている。気高く、強く、美しく。絶望的な状況で、立ち向かっている。君が城之内君に託した可能性は……たくさんの想いを乗せて、今、遊戯君を救おうとしているんだ!」
「……見てるっちゅうねん。うるさいわアホ」
勝利の興奮をそのままに話しかけた言葉に、竜崎が静かに返す。
しかし、竜崎の声が上ずっているのを、舞は聞き逃してはいなかった。
(……嬉しいなら、そういえばいいのに。男って、ほんと全員見栄っ張りなんだから)
「なるほど……だが、下らんな」
納得したのち、一度は見せた驚愕の表情を、嘲笑に変える海馬。
そこから見えるのは、今だ絶対の自信。
ブルーアイズに対する、絶対的な信頼によるものだった。
「虎の子のレッドアイズの攻撃力は2400。ブルーアイズには及ばん。何よりも、"正統なる血統”の効果で現れたモンスターは攻撃表示で召喚される。ブルーアイズでレッドアイズを攻撃すれば、次のターンを待たずして貴様のライフを0にすることができる」
「……」
海馬の言葉に、遊戯は押し黙る。
それは、ただの事実。
今のままでは、たとえレッドアイズが場に甦ろうとも、状況はよくなっていない。
いや。このターンだけで敗北が決定してしまうのだ。
状況は、悪化したとすらいえる。
そんな隙をそのままにするほど、海馬瀬人は生易しい決闘者ではない。
海馬は、容赦なく手を振り上げた。
「いいだろう。遊戯。それが貴様の選択だとするのならば……最後は
海馬の宣言。
そして……迫りくる、攻撃の瞬間。
しかし、もはや遊戯の表情に、絶望はない。
遊戯は、ちらと勝利を見た。
勝利は、無言のままに、拳を突き出した。
(勝利君、城之内君。竜崎、舞、本田君、杏子、御伽……みんな。力を貸してくれ!)
「……俺には、このカードがある。勝利君が俺に教えてくれた、戦いの道標。そして……勝利へのキーカード! 伏せカードオープン! "瞬間融合”!」
「っ!? "瞬間融合”だと!?」
瞬間融合
速攻魔法
場のモンスターで瞬間融合を行う
瞬間融合したモンスターはターン終了時に破壊される
(……最高だ。最高の決闘だ)
「このカードによって俺はこのターン、フィールドのモンスターを使って、ターン終了時までの瞬間融合を行う!」
「このタイミングでの、融合召喚だと!」
海馬の驚愕に、全員が同意した。
遊戯の場にいるモンスターによる、融合召喚。
遊戯の場のモンスターなど、2体しかいない。
「さあ行くぜ、海馬! これが、俺たちの決闘だ! フィールドの"ブラック・マジシャン"と、"
「"
ハットから飛び出た魔術師の体と、黒竜の肉体が重なり合う。
体躯は魔術師の鎧となり、固く鋭い尻尾が鞭のようにしなり地面を割る。
ゆっくりと開いた翼がその身を大きく強く見せる。
杖の切っ先は鋭い牙をつけて、その刀身に燃えるような赤い宝石がジワリと光輝く。
鋭い瞳は、力を増していた。
指を一度鳴らしたその時に、取り巻いていた場の熱風が弾けた。
それは、そこに現れる。
「闇の竜の力を以て、その身を使い敵を討て! "超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ"!!」
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ
闇属性 魔法使い族 星8
融合モンスター
ブラック・マジシャン+レッドアイズ・ブラックドラゴン
攻撃力 3000
守備力 2500
その固い鎧鱗は効果を弾き、破壊を防ぐ
素材のモンスターの数だけ、相手モンスターを焼き払う
手札1枚で、発動したカードを燃やし尽くし、エネルギーに変換する
「"超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ"だと……」
『……』
杖の先から、炎が噴き出す。
それでも引かぬブルーアイズに、ドラグーン・オブ・レッドアイズは両手で構えた。
「……ブラック・マジシャンと、レッドアイズの融合……」
「こんなモンスターが……」
「……遊戯君を、救いに来たんだ。城之内君が。レッドアイズが」
海馬 LP 3700 手札2枚
青眼の白龍
攻 3000
青眼の白龍
攻 3000
青眼の白龍
攻 3000
竜魔導の守護者
攻 1800
伏せカードなし
遊戯 LP 400 手札2枚(クィーンズ・ナイト、バスター・ブレイダー)
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ
攻 3000
伏せカード1枚
放心状態で固まる海馬。
もはや手中のはずであった栄光の終着点への切符が、自分の手から零れ落ちたことに対する落胆。
しかし、今もなお遊戯を見据え、一つ吠えたブルーアイズの声に、再びはっとして前を向く。
「……そうだ。城之内の亡霊が混じった程度で、何を怯えることがあるというのだ! 融合したところで、初戦攻撃力は3000どまり。我が3体のブルーアイズの、敵ではない!」
(ブルーアイズは、まだ3体とも攻撃の権利を残している! まず1体の攻撃で相打ちし、残りのブルーアイズで総攻撃を行えば、奴のフィールドは一掃できる! そうなれば、俺の勝ちに揺るぎはない!)
しかし、未だ追い詰められているはずの遊戯に、焦りの色は浮かんではいない。
逆に、遊戯を土俵際まで追い詰めたはずの海馬は息が詰まるような様子で、顔は次第に陰りを帯びていった。
「……なぜだ。遊戯。なぜここまで追い詰められて、貴様の心は折れない?」
「……そいつは簡単だぜ。海馬」
遊戯は、握った拳を目の前に翳す。
力強いそれは、遊戯の空元気ではないことを示していた。
「俺には、仲間がいる。俺は、どんな時も友を……友が信じてくれた自分自身を信じる! そして……貴様を倒す!」
(海馬……お前とブルーアイズとの絆の力、見事だった。だが……お前の心にはまだ、虐げられた過去への復讐心、そして破壊的な念が残っている。それを捨て去ったその時、お前はまた一歩強くなる。だからこそ……俺は今お前を倒す。ともにバトルシティを戦いぬいた好敵手として。そして……友として!)
「……そんなものは、俺の復讐の業火が焼き尽くしてくれるわ!」
「……来い! 海馬!」
ブルーアイズが、再び攻撃を始める。
遊戯に、動き出す気配はない。
(先の攻防で、奴は発動した攻撃反応罠は"マジカル・シルクハット"のみ。他は真紅眼の蘇生と融合に使われただけ。奴に、この攻撃を止めるカードはない!)
「これで終わりだ! "青眼の白龍"の攻撃! 『滅びの爆裂疾風弾』!」
「いいや! 魂は、砕けやしない! 伏せカードオープン! "トラップ・スタン"!」
トラップ・スタン
罠カード
このターン中、フィールドの他の罠カードの効果は無効化される
「このカードによってこのターン、フィールドで発動する罠カードの効果を無効化する!」
「ふっはははははははは! なんだそのカードは! それが貴様の最後のカードか、遊戯!」
海馬の高笑いを祝福するかのように、遊戯の罠から放たれた砲撃は明後日の方向へと飛んでいった。
それもそのはず。
"トラップ・スタン"は、フィールドの罠カードすべてを無効にするというカード。
しかし、今は海馬にも、ましてや遊戯にも伏せカードは残っていない。
"トラップ・スタン"の効果を発動する対象は存在しなかった。
「遊戯の奴、どないしたんや!?」
「まさか、自暴自棄に……」
「いや……あれは!!」
「ああ、海馬。これがこのターンの、俺の最後のカード……そして、逆転への、ラストピースだ!」
「なんだとっ!?」
「この瞬間、手札の"クィーンズ・ナイト"を墓地に捨て、ドラグーン・オブ・レッドアイズの効果発動! 『マナ・ドレイン』!」
『ハァ!』
ドラグーン・オブ・レッドアイズが力を込めると、宝石の光が輝きを増す。
そして、杖から射出された炎が、"トラップ・スタン"の砲撃を焼き、ドラグーン・オブ・レッドアイズの体へと舞い戻ってくる。
その炎を鎧に取り込むと、鎧の、そして魔力の熱が一層上がり、燃え上がる。
「ドラグーン・オブ・レッドアイズは、手札を1枚捨てることにより、カードの発動を無効にする。
そして、そのカードのエネルギーを魔力に変換し、攻撃力を1000アップするのさ!」
「何っ!? 効果無効に、攻撃力アップだと!?」
「なるほど! それで"トラップ・スタン"を!」
「"トラップ・スタン"は、そのターンの全ての罠の効果を無効化するカード。でも、場に対して発動する効果だから、自由に発動タイミングを選べる。だからこそ、ブルーアイズの攻撃のタイミングで、攻撃力を上げるために発動したんだ!」
「……まさに、可能性の竜。レッドアイズの力やな。これでドラグーン・オブ・レッドアイズの攻撃力は……」
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ
攻 3000 + 1000 = 4000
「ぐっ! ブルーアイズの攻撃力を!」
「さあ、反撃だ! ドラグーン・オブ・レッドアイズ! 『
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ
攻 4000
青眼の白龍
攻 3000
絶対無敵のブルーアイズの『滅びの爆裂疾風弾』が、ドラグーン・オブ・レッドアイズの黒炎の波導が押し返して行く。
その瞬間に、皆が息を飲んだ
「いけぇ!」
『ぐぉおお!!!!』
ブルーアイズの悲鳴とともに、その時は訪れる。
海馬 LP 3700 ー 1000 = 2700
「ぶ、ブルーアイズの攻撃を……」
「押し返しよった……」
「すごい……すごいよ遊戯君!」
「ぐっ……だが、まだだ! まだ、俺のLPは尽きていない! 俺はカードを1枚セットし、ターンエンド!」
海馬 LP 2700 手札1枚
青眼の白龍
攻 3000
青眼の白龍
攻 3000
竜魔導の守護者
攻 1800
伏せカードなし
遊戯 LP 400 手札1枚(バスター・ブレイダー)
超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ
攻 3000
伏せカード1枚
海馬は、怒りをそのままにターンを終える。
しかし、熱く、苛立つ心とは裏腹に、頭では冷静に状況を見定めていた。
「先のターンは見事だったと認めてやろう……だが、その代償は味わってもらうぞ! ターンの終了とともに、"瞬間融合"の効果が起動!」
海馬の言葉に従うように、ドラグーン・オブ・レッドアイズの鎧に罅が入っていく。
その様子に、はっとするのは勝利だった。
「しまった……"瞬間融合"は、その一瞬の輝きを放つために、バトル中に強制融合するというカード。当然、その姿は長く維持できない。その身は……1ターンで崩壊する」
「っ! あかん! 今ドラグーン・オブ・レッドアイズがいなくなってもうたら!」
「遊戯の……勝ち目はなくなる」
「さあ……ブルーアイズを葬りし忌々しき漆黒の魔術師よ! 我が魂を狩った代償にその身を砕き、消えるがいい!」
胴。腕。足。そして、刀身。
罅が、どんどんと侵食していくのを、勝利たちは眺めていることしかできない。
赤々と光っていた宝石にも罅が届き、輝きが力を失くしていく。
(止まれ……止まれ! 止まってくれ!)
しかし、そんな懇願では時間は止まらない。
遊戯のターンまでには、間に合わない。それは明白だった。
しかし、そんな事実も何のという様子で、魔術師は愉快に指を鳴らす。
次の瞬間に、時が戻った。
鎧の罅は、一瞬で消滅した。
「ば、馬鹿な……」
「ドラグーン・オブ・レッドアイズの鎧は、時の進行を止める力がある。レッドアイズの体は朽ちることなく、ドラグーン・オブ・レッドアイズを守り続けるんだ。このカードを、効果で破壊することも、カードで選ぶこともできはしない!」
「す……すごい」
(かつて、"時の魔術師"によって風化させられた、レッドアイズの弱点。『時』を"ブラック・マジシャン"の魔術が止めてくれている。そして……そんな"ブラック・マジシャン"を、レッドアイズの鎧が守ってくれている……)
最強だ。
感動のあまりに、零れ落ちそうになった言葉を、勝利は必死に紡ぐ。
しかし、涙が、笑顔が零れ落ちるのは、どうにも止めることができなかった。
「そして……これが、ラストターンだ! ドラグーン・オブ・レッドアイズ! 最後の効果を発動!」
ドラグーン・オブ・レッドアイズが、杖の先を構える。
先端の宝石に魔力がたまり、煮えたぎる溶岩の弾丸が完成した。
「敵モンスター1体を破壊し、その攻撃力分のダメージを相手LPに与える!」
「なっ!? なに!?」
海馬 LP 2700
青眼の白龍
攻 3000
海馬のLPは2700。
そして、海馬の相棒。"青眼の白龍"の攻撃力は、3000。
「これが決まれば……遊戯君が勝つ!」
「兄サマ!」
「これで終わりだ海馬! ドラグーン・オブ・レッドアイズ! ブルーアイズを吹き飛ばせ! 『
「終わらん! 終わらせはしない! 伏せカードオープン! "バーストブレス"!」
「"バーストブレス"だと?」
バーストブレス
通常罠
自分フィールドのドラゴン族モンスター1体を生贄に燃える炎を放つ
生贄モンスターの攻撃力以下の守備力を持つ相手モンスターを焼き尽くす
「"バーストブレス"の効果! ブルーアイズを生贄に捧げ、相手フィールドの守備力に、ブルーアイズの攻撃力分のダメージを与える!」
罠カードの発動により、弾丸が空を切り、地面について爆発する。
それと同じくして、遊戯のフィールドが、最後の力を振り絞ったブルーアイズの炎によって焼き払われる。
「だが、ドラグーン・オブ・レッドアイズはレッドアイズの鎧に守られとる……ブルーアイズの一撃だろうと、効果破壊はきかんやろ」
「いえ、海馬の狙いは……」
「ブルーアイズを、場から逃がすことだ」
ドラグーン・オブ・レッドアイズが生み出すダメージは、あくまでモンスターの破壊によって生み出される余波だ。
たとえその力がどれだけ強力でも、破壊に失敗すればダメージを与えることはできない。
("バーストブレス"の生贄は発動のためのコスト。"バーストブレス"の効果を無効にしてもブルーアイズは帰ってこないから、この効果は不発になる)
「おのれ……ブルーアイズを2体も……」
(だが……遊戯はこれでどうやっても、俺のLPを削り切ることはできない。たとえ1度ブルーアイズが全滅することになったとしても、俺は必ず……)
歯を食いしばり、ブルーアイズを生贄に捧げたという苦渋を、次のターンへの怒りの力に変換する。
未だ爆発と火柱で見えるフィールドを見据えながら、海馬は闘志を燃やしていた。
しかし、その闘志は再び火を上げることなく、収まった。
その代わりに海馬を支配したのは……驚愕だった。
海馬の目の前には、燃ゆる炎の最中で今度は杖を逆さに持ち、刀身の切っ先を向けるドラグーン・オブ・レッドアイズ。
そして……その上には、レッドアイスの陰があった。
「……レッドアイズ……城之内」
「ドラグーン・オブ・レッドアイズは、"ブラック・マジシャン"と"真紅眼の黒竜"。2体の攻撃を併せ持っている。さっきの1撃は、"ブラック・マジシャン"の1撃。まだ、レッドアイズの1撃が残っているぜ!」
「ば……馬鹿な」
海馬は、気づけば決闘場の限界まで、後ずさりをしている。
そんな自分に苛立ち、手すりに拳を打ち付ける。
しかし、目の前の紅き瞳の黒竜は、そんなこちらを真っすぐに見据えていた。
(馬鹿な……この俺が、遊戯に。レッドアイズに。城之内に……)
「これで……終わりだ! ドラグーン・オブ・レッドアイズ! 海馬の心の闇を、討ち払え!」
『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
杖を振り上げたその瞬間、レッドアイズの全身に、魔力の炎が宿る。
レッドアイズはそのままブルーアイズ目掛けて、思い切り加速していく。
「レッドアイズ! 『
ブルーアイズと、レッドアイズがぶつかり合う。
2体のモンスターが、爆ぜる。
その熱が、容赦なく海馬を襲う。
「ぐわあああああああ!!!! くっ!! こんな……馬鹿な!?」
海馬 LP 2700 ー 3000 = 0
「俺の勝ちだ。海馬」
「遊戯!!!」
その声が聞こえた瞬間、遊戯は勝敗の決定を前に、そちらを向いた。
そこにいるのは……何よりの待ち望んだ、最高の親友の姿と笑顔。
(……ありがとう、助けてくれて。そして……よく戻ってきてくれた、城之内君!)
『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』
友情と可能性の竜が、もう一度雄たけびを上げた。
ということで、ドラグーン・オブ・レッドアイズをここで召喚させていただきました。
これは構想に合ったのですが、この化け物を初代遊戯王の野に放っていいものなのかという懸念と、ブラパラが大好きなので彼の活躍機会を奪うことがはばかられたのでなかなか悩んでいたのですが、皆さんからのアンケートで踏み切らせていただきました。お答えいただいた方々、本当にありがとうございます。
ここを変えて描こうと考えた最大の理由は、何度も漫画やアニメを見直した結果
『……別にレッドアイズがいなくても遊戯が勝ってたっぽくね?』
と思ったからです。
そんなことがあってはならない。
せっかくの真紅眼が活躍できないなんてことはあってはならない。
そう思い、真紅眼が出てくることに意味を作りたかった。
そういう思いから生まれた決闘になります。
とは言え、ドラゴンを呼ぶ笛で出てくるわけにもいかないし、真紅き魂を使うわけにもいかないので、こうなりました。
勝利が混ざったことにより、決闘順や海馬がこなしたイベントに誤差が生じ、違った展開を描くことに無理がなかったことも踏み切るにあたってプラスだったかと思ってます。
レッドアイズを、そして遊戯をかっこよく描けていたら幸いです。
いずれ、大好きなブラパラも描く機会を作りたいですね。
というわけで、いよいよ勝利vsマリクに移っていきます。
お楽しみに。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
活動報告の方で、乃亜編のアイデアを募集しています。
・乃亜編のアイデアについて
勝利たちの『デッキマスター能力』について、募集中です。
ぜひお知恵をお借りできると幸いです。よろしくお願いします。
超魔導竜騎士の参加はありorなし
-
友情カードの融合!熱い!やって欲しい!
-
遊戯があれ使ってるの見たくない!却下!