ちょっと任されている仕事が激化していて、執筆の時間が取れずにいました。
このシルバーウィークを勝負としています。
さて、久しぶりのヒロイン登場です。
「……ねえ、お母さん。いいの?」
「いいのよ。今日は……あなたの好きなことをして」
「……勝利」
子供らしくない気遣いをしながら、子供らしい歩幅で、しかし親の顔を伺いながら手をつなぎ歩くその姿。
未成熟な感性と、気遣いの心。
幼い勝利のそんな姿を見て、舞は言葉にし難い感情に震えた。
見れば見るほど、それは、黒羽勝利そのものだった。
だからこそ舞は、顔を渋らせる。
勝利の口以外からは、とても聞きたくもない。
たとえ勝利の口からでも、二度は聞きたくない。
そんな、最愛の人の、醜悪な過去。
苦しそうな顔で歩き。
楽しそうな顔で跳ねて。
悲しそうな顔で、前を見る。
自分の知らぬ、素直な、様々な顔を見せる勝利を見せられ続ける舞。
然し、舞の表情は、依然として変わることはない。
その先に何が待っているのか。
舞はそれを知っている。
知っているが故に、今の景色を素直に受け入れられずにいる。
今の勝利の幸も不幸も、荒れ狂う人生の中のさざ波の一部に過ぎない。
後の大きな波にのまれる前の序章を一つずつ見せられているような気がして、舞は終始気を悪く思っていた。
(いったい……誰なのよ。こんなものを、見せているのは……)
そして、再び景色が切り替わる。
次に現れたその景色に、舞は息を飲んだ。
「……おら、さっさと来い!」
「……うん」
突如現れた、大男。
そして、その男に手を引かれる勝利。
勝利の表情は、怯えているような、求めているような、そんなやるせない表情。
舞は一目でわかった。
(この男が、勝利の……)
そしてすぐに、その卑劣な振る舞いから目を背けた。
勝利に聞いていた通りの、いや、聞きしに勝る男だった。
「よしよし……いい調子だ。それでこそ、俺の息子だぜ」
「クックック……馬鹿と息子は使いようってな。ギャンブル中毒の馬鹿どもが。何も気づかずに吊られてくれやがる」
「これには、こいつの力と、馬鹿どもを支配する力がある……そして何より、俺にはすべてを掴む天運がある! 俺は、無敵だ!」
勝利の名前を呼ぶ声よりも、目の前の金に歓喜の声をあげる男。
それを、必死に追いかけ、ぼろぼろ笑顔で着いていく勝利。
話してくれた彼の過去が、何の違いもなく、その薄汚い姿を舞に見せつける。
必死に目を瞑り、耳を塞ぎ、それから目を背ける。
それでも、その時間は終わらない。
「…………待ってよぉ」
時には手を挙げるその男の後ろを、必死に追いかける勝利。
思わず手を伸ばす舞だったが、自分の手は勝利の体をすり抜けるだけ。
その想像通りに事が進む、最低のドラマを見せられ続け、舞の心は荒れていく。
「勝利……ダメ……戻って」
届くはずのない声が、零れ落ちる。
だが当然、勝利は止まってはくれなかった。
まだ、続く。
いつまでも、続く。
一体何分、この場にとらえ続けられただろうか。
そんな物語に、終わりが訪れる。
とある日の、小さな家の中。
外に出ようとする男。
それについて行こうとする勝利。
そして……それを止めようと、立ちふさがる女性。
「……お願い。勝利を、返して」
「……はあ? 何言ってんだ? こいつは俺のもんだろうが」
女性の悲痛な声に、信じられないという顔で当たり前のように言い放つ男。
舞は思わず歯を食いしばり、拳を握る。
女性が、殴られた。
女性は諦めまいと、出て行こうとする男を引き留めた。
殴った。掴んだ。殴った。殴った。
「……やめなさい……」
震える声が、顔を殴るパチンという乾いた音に消える。
不意に部屋の隅の少年を、勝利を見た。
怯えて、震えていた。
自分しか、止められるものはいない。
でも、どうすればいいのかわからない。
そんな苦悩が、表情から見て取れる。
そして……その時は来た。
父親と母親の間に、勝利が割り込む。
「……やめなさい」
もう一度、舞が言う。
然し、勝利たちは止まらない。
勝利は二人の間で手を広げ、母親の……白の方を向いた。
その姿はまるで……父親を、守ろうとしているようで……
白の絶望した顔が、心を刺す。
そして勝利が、ゆっくりと口を開く。
その後に何が起こるのかを、舞はすでに知っている。
「……もう、やめてよ。かあさ『やめなさい!』」
勝利の声を打ち消すように、舞の声が木霊した。
それが合図か。
はたまた、見せたいものを見せ終わったのか。
小さな家の一間の風景が、光の粒のようになって消えていく。
父親も、母親も、勝利も。
役目を終えたかのように、消えていった。
舞は、叫んだせいで切れた息を必死に整えながら、周りを見る。
先ほどまで見せられていた最低の世界の景色は消え去り、無機質な金属の廊下が、目の前に続いている。
どこかの建物の、廊下だろうか。
その廊下はまっすぐに、正面に伸びていた。
まるで、何者かが、舞を誘っているかのように。
(……いいわ。乗ってあげる。どこのどいつがやってるのか知らないけど、あたしにこんなものを見せて! 一発ぶん殴ってやらないと気が済まないわ!)
舞は滾る怒りのぶつけ先を見つけ出すかのように駆け出す。
晴れない苛立ちを抱えたままの心が踏み出す足を強くする。
ほんの数秒舞が力を込めて走ると、廊下の先に道の終わりが見えた。
大きな一枚のドアが、舞を迎えるようにそこに鎮座している。
灰色の金属のドア。だが、押せば空きそうなつくり。
それすらも挑発的に見えて、舞のいら立ちは加速する。
何かくだらない映像を見せつけられたかと思えば、一本道の廊下の果てに突然の入口。
十中八九、罠であることは容易に想像できた。
(……いいわ。乗ってやる……勝利のつらい過去を、あたしの挑発に使った事を、後悔させてやるわ)
舞はドアの前に立ち、まるで蹴破るかのように勢いよくドアを開いた。
そして舞の目に、驚愕の光景が飛び込んでくる。
「っ!? 舞!?」
「っ! 舞の姉御!」
「フッフッフッフ。来たな、孔雀舞。お前も我々の復讐対象。ここで出会えたのは好都合というものだ」
飛び込んだ空間は、鉄の壁に覆われた広い一室。
そしてその中央で、本田、御伽。そして、モンスター、"機械軍曹”が向かいあっていた。
「本田! 御伽! あんたたちが決闘を……っ!?」
思わず言葉を失う舞。
その理由は、フィールドにある。
機械軍曹 手札3枚 LP 4000
機械王
攻 2400
伏せカード1枚
御伽 手札3枚 LP 1500
ヤランゾ
守 1500
13人目の埋葬者
守 900
本田 手札4枚 LP 1200
コマンダー
守 500
(何よこれ……相手のLPが丸々残ってて、本田と御伽のLPがボロボロ……モンスターも残ってるのに、いったいどういう攻め方をされたらこうなるのよ)
困惑に固まる舞。
然しその答えは、すぐに出た。
「フハハハハ! 孔雀舞! 貴様はそこで、オトモダチが無残に葬られていく様を指をくわえてみているがいい! バトル! "機械王"で、"13人目の埋葬者”に攻撃! 『光線砲撃』!」
機械王
攻 2400
13人目の埋葬者
守 900
「くっ!?」
「まだだ! 手札の"ギガテック・ウルフ”と、"キラー・マシーン”を墓地に送り、ワシこと、"機械軍曹"のデッキマスター能力を発動! 『支援砲撃』!」
"機械軍曹"の高らかな宣言と共に場に現れた機械族モンスターたちから砲撃が飛び、舞の目の前で本田と御伽を貫く。
「ぐわあ!」
「かはっ!」
御伽 LP 1500 ー 500 = 1000
本田 LP 1200 ー 500 = 700
「本田、御伽!? あんた、やめなさい!!」
「フハハハハ! やめるわけがないだろう。ワシは海馬コーポレーション軍事工場責任者。人呼んで『鬼軍曹の大田宗一郎』。泣こうが喚こうが、決して攻撃の手を緩めることはない!」
「ぐっ……」
上機嫌な男の言葉を耳にしながら、舞は怒りに沸騰しそうになる頭を必死に抑え込みながら、敵の言葉を探る。
「……なにが鬼軍曹よ。聞いてあきれるわ。素人二人に上機嫌になって、嬲ってるだけじゃない」
「フッ。いくら姦しく騒ごうとも、この決闘が中断されることはない。そしてワシのデッキマスター能力を受けた貴様のオトモダチはすでに丸裸同然。次のターンにでも、ライフを葬ってくれるわ」
(……やっぱり。さっき発動した効果を見る限り、奴のデッキマスター能力は、機械族モンスターを使った効果ダメージで攻めるバーン効果。方向性は少し違うけど、マリクのデッキに近いコンセプト。ということは……あの男のデッキは、相手のLPを直接狙う、超高速バーンデッキ)
「……そもそも、あんたたちの復讐対象はあたしや遊戯じゃなかったの? 遊戯には勝てないからって、体奪えそうな相手に切り替えたってわけ? あんたらの実力も、たかが知れてるわね」
「安心しろ。遊戯も貴様も確実に我々の手で葬って見せる。だが少々こちらに手違いがあってな。体が足りなくなってしまったから、ワシがこいつら素人を倒して体を補填してやらなければならなくなったというわけだ」
「……(体が足りなくなった……じゃあ、遊戯や勝利が他の奴らを倒したのね。ってことは、あたしがこいつを倒せば……)」
「……いいわ。あたしが、代わりに決闘する」
舞がゆっくりと歩いて行って、本田と御伽の前に立つ。
「舞!?」
「舞の姉御!?」
「フン。断る。このままいけば楽に2匹の素人の体が手に入るというのに、わざわざ貴様とスイッチするメリットが無いな」
「あら、逃げるの?」
「リスク管理の話だ。戦争でも、決闘でも、冷静に立ち回ることこそが勝利の鉄則。安心しろ、こいつらを叩きのめした後に、貴様も確実に打倒してくれる」
「今あたしと決闘しないのなら、あたしはあんたと決闘はしないわ」
「っ!? なんだと!?」
舞の予想外の言葉に、太田は大きく動揺した。
(……事前のデータでは、孔雀舞はこういった挑発的な相手に対しては、より強い怒りで対抗する性格のはず……たとえ駆け引きでも、敵に背を向けるような真似をするなど……)
「仲間を助けられないんだったら、あんたみたいなやつの相手をしてやる義理もないわ。あたしは、降りさせてもらう」
「舞……お前……」
その言葉に、太田は少し驚いた後、にやりと笑う。
(……どうやら、我々の想定より、黒羽勝利以外の奴らにも入れ込んでいるようだな。それはそれで、こちらとしては好都合)
「……ならば、もっと面白いルールで戦ってやろう」
「……面白いルールですって?」
太田は言いながら、舞たちを指さす。
「3対1だ。今の決闘に孔雀舞が加わる形で、決闘を続行する。これでどうだ?」
「……」
舞が、冷や汗を一つ垂らし、そのまま続ける。
「……条件は?」
「話が早いな」
「こんなあたしたちにとって有利な条件を、あんたから提示してくるわけないでしょ」
「フフフ……ワシからの条件、それは……孔雀舞。お前に課すハンデだ」
(でしょうね……)
舞は覚悟を決めて、本田の隣の位置につく。
既に舞の心は決まっていた。
「これより、3対1に決闘形式を変更する。これまでの流れを踏襲し、孔雀舞→ワシ→本田ヒロト→ワシ→御伽龍児→ワシ→孔雀舞の順にターンを回す。そして……」
2本の指を立てて、いやらしく笑う"機械軍曹”。
その表情が、本田たちの心を揺らす。
「孔雀舞の初期LPは2000。初期手札は2枚。これがワシから貴様に与える条件だ」
「なっ!? そんな、無茶だ!」
「ふざけんじゃねえ! そんなルール認められるか!」
「別にお前たちに認めてもらうつもりも、必要もない。ワシはあくまで孔雀舞が決闘に参加する場合の条件を話しているだけ。これを飲むかどうかは、孔雀舞次第だ」
太田の言葉に、少しのため息をつく孔雀舞。
「いいわ。その条件で参加してあげる」
「舞!?」
「舞の姉御! それじゃだめだ! あいつの狙いは……」
「おっと。それ以上はアドバイスとみなすぞ? この決闘では互いの助言は禁止だ」
「ぐっ、てめえ……」
「いいわ。本田、御伽。わかってる」
そういって、そっと腕を構える舞。
その表情は既に、自分たちの言葉では揺れることのない覚悟の色が見えた。
「さあ、始めましょう」
「フフフ……いいだろう。では、デッキを選ぶがいい」
目の前に流れてくるカード群を眺めながら、舞は敵、そして本田と御伽の状況を静かに整理する。
(本田と御伽のLPは風前の灯。そしてあたしのLPは2000から。奴の狙いは、バーン攻撃による早期決着。それを対応しようにも、あたしの手札は2枚からスタート。出来ることは、限られている……絶妙に嫌な条件を出してくれるわ……)
舞の目の前に、見慣れたカードが流れていく。
"万華鏡-華麗なる分身-”
"銀幕のミラーウォール”
"ハーピィ・レディ -鳳凰の陣-”
これまでに愛用してきたそれらのカードを、歯を食いしばって見送っていく。
(LPも、手札もない状況から、コンボカードは使いきれない。出来る限り、単体で扱える性能のカード。それでいて、本田や御伽を助けてあげられるカードを……)
そうして舞は、目についたカードを選び、デッキを作成していく。
(……勝利。あんたの力も、貸して頂戴)
「……オッケー。デッキは出来たわ」
「では、貴様のデッキマスターを選択し、決闘を始めるがいい。それが決闘再開の合図だ」
「……あたしが選択するのは……"ハーピィズペット竜"」
ハーピィズペット
風属性 ドラゴン族 星7
攻撃力 2000
守備力 2500
場の“ハーピィ・レディ”の数だけ攻撃力を上げる
『ぎゃーーーーお!!!』
「フン。忌々しき竜め。貴様にもそいつにも、必ずや借りを返してくれる!」
「やれるもんならやってみなさい! さあ、いくわよ! 本田、御伽!」
「……本田君。舞の姉御がここまでやってくれたんだ。答えられなきゃ、男じゃないぜ!」
「おう! あったりめえよ!」
「「「「決闘!!!!」」」」
機械軍曹 手札1枚 LP 4000
機械王
攻 2400
伏せカード1枚
舞 手札2枚 LP2000
モンスター無し
伏せカード無し
本田 手札4枚 LP 700
コマンダー
守 500
伏せカード無し
御伽 手札3枚 LP 1000
ヤランゾ
守 1500
伏せカード無し
「あたしのターン、ドロー!」
(これで、手札は3枚。このターンに決闘を決めれたらベストだけど……そんな芸当は、さすがに無理)
今の手札の3枚を見て、最良のルートは目指しきれないことを受け入れる舞。
敵の出した条件が的確であった事に、歯噛みする舞。
(……ペット竜の能力と、デッキマスター召喚を使えば、"機械王”を破壊して攻めることは出来る……でも、それでも奴は倒しきれないし、そもそもデッキマスターを破壊されて、あたしが先に負けたらその時点で元の木阿弥。軽々と召喚は出来ない…なら、あたしが目指すべきところは、あたしを警戒させること。そして、二人を守ること!)
「……あたしは、"ハーピィ・レディ1”を守備表示で召喚」
ハーピィ・レディ1
風属性 鳥獣族 星4
攻撃力 1300
守備力 1400
このカードのカード名は「ハーピィ・レディ」として扱う
風属性モンスターの攻撃力は300ポイントアップする
「このカードは、フィールドの風属性モンスターの攻撃力を300ポイント上げるわ」
「だが、しょせんはワシの"機械王”の攻撃力の敵ではないわ」
「あたしはここで、"ハーピィズペット竜"のデッキマスター能力を発動! 『万華鏡』!」
ペット竜が吠える。
そしてその瞬間に、ハーピィの周りに鏡が現れる。
「"ハーピィズペット竜"は、場のハーピィの数に合わせた3つの効果を持っていて、それぞれの効果を1回ずつ使えるわ! 『万華鏡』の効果により、あたしの場のハーピィ1体は、2体に分身する! デッキより現れなさい! "ハーピィ・レディ”!」
ハーピィ・レディ
風属性 鳥獣族 星4
攻撃力 1300
守備力 1400
鏡の中から現れたハーピィが、場のハーピィに倣うように場に座る。
「『万華鏡』の効果を発動したターンは攻撃できないけど、今は関係ないわね。あたしは更に、"馬の骨の対価”を発動!」
馬の骨の対価
魔法カード
場の効果を持たないモンスターを生贄に、2枚ドロー
「今召喚した効果を持たない"ハーピィ・レディ”を墓地に送り、2枚ドロー」
「なるほど。効果を持たない通常のハーピィはこのために……これで少なかった手札を稼いだ!」
「す、すげえ……」
(……さすがにカード捌きは他の二人とはけた違いだな……出来ることなら先んじて、孔雀舞を葬りたいところだが……)
「カードを3枚セットして、ターンエンドよ」
機械軍曹 手札1枚 LP 4000
機械王
攻 2400
伏せカード1枚
舞 手札0枚 LP2000
ハーピィ・レディ1
守 1400
伏せカード3枚
本田 手札4枚 LP 700
コマンダー
守 500
伏せカードなし
御伽 手札3枚 LP 1000
ヤランゾ
守 1500
伏せカードなし
(伏せカードを警戒し、守備で一切攻めない。そして、自分は罠で固める。こちらから攻めて罠に掛かれば形勢は一気に逆転する。孔雀舞を狙おうとするのは愚策か。ならば当初の予定通り……)
「ワシのターン、ドロー。ワシは手札から、"火炎木人18”を召喚」
火炎木人18
炎属性 炎族 星4
攻撃力 1850
守備力 0
「……火炎木人?」
突如現れたカードに、舞は怪訝な表情を浮かべた。
(……奴のデッキは、機械族系モンスターのデッキのはず……攻撃力が高いとはいえ、なんでいきなり炎族モンスターを……)
「フフフ……さあ、バトルと行こう!」
舞の懸念をよそに、"機械軍曹”は動きだす。
(次のターンは、本田ヒロトのターン。つまり、本田ヒロトのモンスターを今攻め立てておけば、ワシのターンは万全というわけだ)
「"火炎木人18”で、"コマンダー”を攻撃! 『紅蓮パンチ』!」
火炎木人18
攻 1850
コマンダー
守 500
「うおお!?」
「本田君!? まずい! 本田君のモンスターが!?」
「これで貴様のフィールドのモンスターはいなくなった。まあ、機械族の"コマンダー”が消えたことで、"機械王”の攻撃力も下がったが……大した問題ではない」
機械王
攻 2400 → 2300
「さあ、終わりだ本田ヒロト! "機械王”で、本田ヒロトにダイレクトアタック! 『光線砲撃』!」
機械王
攻 2300
本田
LP 700
「っ!? 本田君には、伏せカードもない……」
「……くっそぉ……」
本田が、迫る光線に思わず腕を構える。
「フハハハハ! 死ねえ!」
「やらせるわけないでしょ。じゃなきゃ何のためにあたしがここにいるのか、わかんないじゃない」
「何?」
太田の高笑いを嘲るように笑いながら、ぴしゃりと言い放つ舞。
すると場に、突如風が吹いた。
「ハーピィ! 本田を守りなさい!」
『はあ!!』
「な、なにぃ!?」
機械王
攻 2300
ハーピィ・レディ
守 1400
本田の目の前に突如現れたハーピィが、本田に向かう光線を受け流し、弾き飛ばす。
そうして満足そうに笑うハーピィが、本田のもとに帰っていく。
「……なぜ、破壊されぬ? 確かにタッグ決闘では、隣り合う味方の攻撃を受ける事が可能。だが……それはあくまで代わりに攻撃を受ける行為。モンスターは通常通り戦闘を行うはず……」
「それに姉御が今攻撃を受けたモンスターは、さっき姉御が墓地に送ったハーピィのはず……なんで、今そのハーピィが……」
「そのタネは、これよ。罠カード、"ピンポイント・ガード"」
ピンポイント・ガード
罠カード
相手の攻撃時、墓地のレベル4以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する
モンスターはこのターン破壊されない
「このカードによって、さっき墓地に行ったハーピィを特殊召喚したわ。その効果で蘇生したハーピィは今のターン、いかなるカードによっても破壊されない」
「っ!? そうか! "ピンポイント・ガード"は自分の墓地にモンスターが居なければ発動できない! 舞の姉御がさっきのターンにハーピィを墓地に送ったのは……」
「お、俺を守る為……す、すまねえ、舞!」
本田の謝罪。
それに舞はひらひらと手を振り返し、笑顔を見せる。
「いいのよ。あんたたちが消えたら、勝利が悲しむんだから。それより、気合入れなさい。次はあんたのターンよ」
「舞……おう!」
(おのれ……孔雀舞の存在によって、他の二人の士気も上がり出している……孔雀舞の実力を、まだ甘く見ていたという事か……だが……)
"機械軍曹"太田が、己の手札を見てほくそ笑む。
その手札は……"融合"のカード。
(いざとなれば、思い知らせてやろう。この鬼軍曹大田の人生をかけて生み出した、最終兵器の力を……)
という事で、トリオ戦です。
謎空間に幽閉された時間のせいで、舞は他よりも合流が遅れての決闘参加。
それゆえのハンデ戦となります。
果たして、本田、御伽を守り、機械軍曹の効果を超えて突破する事は出来るのか。
そして、残されたペット竜の効果とは。
次回もお楽しみに。