【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

105 / 105

一区切り
Tulipさんみたいな半例外は距離的にも来てません
実装くれ(強欲)



第105話

 

 

「ほい、お前のモンや。」

 

「これは……フォプーンか?———っと。」

 

「やっぱ変わるか。指令の意志っちゅうのはどこから来とるんやろうなぁ。」

 

レイホンから渡された、柄が金属製の黒いフォプーン。

それを見た時、少しだけ心臓が痛んだ気がした。

同時に、深い心の底に閉じ込められていた一部の記憶が漏れ出すような感覚も。

 

どろり

 

溶け出したフォプーンは元の体積よりも大きな鎌の形を模り、不思議としっくりくる重さを伝えてきた。

 

 

 

===

 

 

 

『あなたみたいな夫と、どうしてこんな運命的な出逢いができたんでしょうね。』

 

運命的な出会い(都市の意志)。絶望。

 

『俺が…まるでここに残るかのような言い草だな。』

 

娘。決別。

 

『一つ聞かせて。貴方は、幸せになれるのかしら?』

 

悔恨。死別。

 

『———リアン……さん?』

 

慈愛。未来。

 

『……どう聞こえる?』

 

憐憫。恋しさ。

 

 

 

===

 

 

 

「……。」

 

「———返事せぇや。何か思い出したか?」

 

「……あぁ。」

 

声が聞こえた。自分が見ていいものなのか、分からない光景も。

自分が死ぬのは誰もが望んだ結末で、誰もが疑うことのない正しい終わり方。

果たすべき役目を終えた()には、静かに消える結末が訪れる。

この名も、この姿も、少しずつ時間が記憶から洗い流す筈だった。

 

「レイホン。この先、迷惑をかけることになる。」

 

「もう今更やし、ロドスなしでも回せるよう用意しとるかい遠慮すんなや。」

 

すべての記憶が戻ったわけではなく、しかし思い出せたこともある。

 

大切な妻が、娘がいたこと。大切な妻、娘は何か(・・)に従った結果であるということ。

俺は誰かを模した存在であり、何かに従った結果として同じ道を辿り、彼女らを失ったこと。

何かへの恨みを募らせつつ、しかし与えられた幸せも真実であるが故に、思考を放棄したこと。

満たされることに苦しみ、苦難の道を前にした誰かに味方して、自分の意志で裏切り殺したこと。

 

妻の顔も、娘の顔も、殺した相手が誰なのかも分からない。

 

「そんで、どうしたいんや?」

 

「俺が傷付けた者たちへの謝罪。意味があるかは、分からないが……。」

 

「意外やな。てっきり『それはそれ、これはこれ』っちゅうて縁切るかと思っとったんやけど。」

 

「お前が言うなら、昔の俺はそう言っていたんだろうな。」

 

「いや、適当言うただけや。」

 

「……まぁ、できればもう一度、縁を繋ぎたいと思ったんだ。」

 

絶縁。断ち切られた赤い糸。

だが、断ち切られた糸も先と先を結び合わせれば繋げることができるものだ。

そこまで言うと、レイホンは笑みを浮かべた。

 

「ええで。元通りになんのも期待しとったけど、今のお前の方が仲良くできそうや。協力はしたるかい、あとはお前次第やで。」

 

「恩が深まるばかりだな。」

 

「いつか返してくれや、仇以外でな。」

 

「善処しよう。」

 

 

 

===

 

 

 

「歯ぁ食いしばりなさい!」

 

「グッ!?」

 

バシッ!!!

 

思い切り振り抜いた拳が、リアンの顎の先を撃ち抜いた。

脳が揺れたのか、がくんと、力が抜けて崩れ落ちる体。

 

「ハッ、ざまあないわね!」

 

「えっ、えぇ……!?」

 

「ほら子ウサギ、アンタもやりなさいよ!忘れてたって殴る権利くらいあるわ!」

 

「私は大丈夫です……治療しますね。」

 

「そう?じゃあ私が代わりにもう一発叩き込めるわ、ねっ!」

 

「っ!」

 

倒れたリアンをアーミヤが治療し、即座に同じ場所を拳が打ち抜く。

立ち上がったかと思えば再び崩れ落ちるその姿は、壊れた玩具にそっくりだ。

バベルメンバーからの要望である、一人一発(手段は問わない)袋叩き大会。死なない程度に遊ばれているように見えるが、リアン自身が望んだことである以上止める気はない。

 

「お前はやらんのか?」

 

「俺か?命の恩人の知り合いを殴るのはな。」

 

「んな引き摺ることか?ロドスから十分助けてもらったと思っとるんやけど。」

 

「俺から返せたことなんて、ちっぽけなもんさ。それに……」

 

Aceは一度区切り、どこか遠くを眺め、目の前の光景に目を向けた。

今はMantraとMechanistが倒れたリアンを軽く小突いている。

 

「ドクターと同じく、これからの行動で示してくれることを皆望んでいる。」

 

レイディアンが近付き、リアンに触れたかと思うと、一度ビクンと跳ねて動かなくなった。

PithとTouchが動かなくなった体、腰を狙って蹴りを入れる。

ワルファリンがケルシーに何かの薬剤の使用許可をとり、笑顔で注射器を突き刺した。

クロージャが龍門幣の束で顔をはたいて、起き上がろうとしたリアンの後頭部をカメラの角で叩く。

 

「俺っちにはトドメ刺そうとしとるにしか見えんな、ホンマに死なんよな?」

 

「あぁ、大丈夫……なはずだ。」

 

SharpとStormeyeが倒れたリアンを抱え上げ、どこからともなく現れたMiseryがスツール椅子に縛り付ける。

薬の影響か、それともまだ脳が揺れているのか、一切の抵抗ができないまま拘束されたリアン。

 

「『回れ』。『加速せよ』。」

 

それをロゴスが回転させ、次第に速度が上がっていく。

リアンの顔は既に青ざめており、治療も意味をなさないようだ。

 

「これ見とる側おもろいけど、やられとる側地獄やろ。ぎっくり腰なってるんやないか?」

 

「違いない。」

 

黒のスーツに身を包んだ大の大人が椅子に縛られ、高速回転している状況。

偶然見かけたのなら脳が理解を拒み、見なかったこととしてスルーするだろう。

 

「うむ。『止まれ』。」

 

ある程度回して満足したのか、ロゴスが停止させる。

Sharpが拘束を解き、立ち上がろうとしたリアンは足がふらついてうまく立てていない。

そこに、アスカロンが歩み寄った。

 

「うっ。……君で、最後か。」

 

「あぁ、覚悟はできたか?」

 

パシィン!

 

そう言ったアスカロンは、平手打ちを食らわせた。

散々痛めつけられたリアンを倒すには十分な一撃で、前のめりに倒れる。

 

「これで終わりってのも味気ないけど、寛大な心に感謝しなさい!」

 

「瞬間的な硬直だからもう立てるはずだよ。それじゃあ、私はこれで。」

 

「素晴らしいバランスであった。うむ、これは期待できる逸材であるな。」

 

「これからはクロージャ様の購買部にお金を落とすこと!絶対だよ!」

 

「……。」

 

それぞれ言いたいことを言って去っていく。

Aceもまだやることがあるのか、軽く言葉をかわすと去っていった。

残ったのはレイホンとリアン、そして治療をするアーミヤの三人。

 

「……彼らの一撃、結構効いたぞ。全身がとても……ズキンとしてるんだ。」

 

「これからのお前に期待しとるっちゅう証拠やし、甘んじて受け入れろや。」

 

「それもそうか、もう大丈夫だ。アーミヤ……だったな。」

 

アーミヤの持つ杖から放たれる光が弱まる。

スーツに付いたホコリを払い、ゆっくりと立ち上がったリアンの顔はどこか晴れやかだった。

自分より遥かに小柄なアーミヤを見下ろそうとして、膝をついた事からも心情の変化が伺える。

 

「望む力になれるかは分からないが、贖罪の為にも力を振るわせてもらおう。」

 

「はい、ロドスはあなたを受け入れます。」

 

手と手を握り合い、協力し合うことができる。

 

「では早速ですが、レイホンさんたちに依頼があります。サルゴン、イベリア、シエスタ、クルビア、極東、リターニア……行きたい地域の要望があればお聞きします。」

 

「過労死せんよな……?」

 

「ユジンさんたちも手伝っているので、これでも減ったほうですよ。ドクターはイェラグへの訪問まで予定に入れてますので、それに比べればまだ休めないです。」

 

リアンと顔を見合わせ、これから先に待ち受ける苦難と面倒事を想像して溜息を吐いた。

 

 





見る専になるかも
あ、レイホンとこのキャラの絡みみたいとかがあれば言ってください
アイデアくれ(強欲)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

蜘ノ糸ノ青(作者:おねむなボンちゃん)(原作:ブルーアーカイブ)

リンバス・カンパニーとの戦いで命を落とした蜘蛛の巣のメンバー。目を覚ますと、そこは美しい青空が広がり、そこら中から銃声が聞こえる未知の場所で…?▼彼らはこの未知の場所、キヴォトスでどのような生活を送るのか。▼2026/7/19 現状の1話以降を人差し指編としました


総合評価:948/評価:9.07/連載:11話/更新日時:2026年09月02日(水) 20:00 小説情報

中指長姉はキヴォトスに転生する(作者:HAL86)(原作:ブルーアーカイブ)

中指長姉がキヴォトスに行く物語。都市にはない世界で彼女はどう生きるのか。▼この作品には著しい解釈不一致が存在する可能性があります。許せる方だけお読みください。▼また、当然の如く駄文かつ見切り発車の作品なので温かい目で見てくれると嬉しいです。▼2026年2月23日 蜘蛛の巣、親指タグ追加。▼2026年5月20日 人差し指タグ追加。▼2026年6月4日 薬指タグ…


総合評価:560/評価:7.65/連載:34話/更新日時:2026年08月27日(木) 22:13 小説情報

黒い沈黙の行先(作者:シロネム)(原作:ブルーアーカイブ)

Library Of Ruina × Blue Archive▼図書館で本の整理を行っていたローランは、アンジェラに命じられ1冊の本の中を探索する事となる。都市の苦痛を取り除く為、本の中に入ったローランは、その先で一体何を手に入れるのか。▼※この作品は、Library Of Ruinaのネタバレを含みます。▼本作品は、Library Of Ruina未プレイ…


総合評価:5555/評価:8.97/連載:183話/更新日時:2026年08月16日(日) 17:31 小説情報

アンダーボスはキヴォトスへ(作者:ただの紅茶好き)(原作:ブルーアーカイブ)

都市に転生し、生き残るために親指に所属して死に物狂いで出世したアンダーボスは指令にてW列車に乗り目が覚めるとキヴォトスへ▼アンダーボスは青春都市で平穏に過ごすことができるのか▼本作はLimbus Company9.5章縒り合せ、及びブルーアーカイブ第二部EXロア追跡作戦第一章正午の陽炎までに公開されたストーリーを元に投稿を開始しています。そのため、それ以降の…


総合評価:490/評価:8.13/連載:18話/更新日時:2026年07月05日(日) 12:00 小説情報

LCB、シャーレの先生になる(作者:ハーメルンのTakamagi)(原作:ブルーアーカイブ)

普段通り、都市のあらゆる所に黄金の枝を求めて赴く、時計頭の管理人『ダンテ』と十二人の囚人達は、ある日『都市の理の外にある黄金の枝を奪取せよ』というイカれた命令が送られた。▼タイミングを鑑みて早速目的地へ舵を切るも、予想外の事態によりダンテらは逸れてしまう。▼彼らが迷い込んだ場所は、学園都市『キヴォトス』。▼都市とは違う世界観に翻弄されながらも、彼らは黄金の枝…


総合評価:1706/評価:9.08/連載:22話/更新日時:2026年09月03日(木) 22:31 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>