【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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一区切り
Tulipさんみたいな半例外は距離的にも来てません
実装くれ(強欲)



第88話

 

 

「ほい、お前のモンや。」

 

「これは……フォプーンか?———っと。」

 

「やっぱ変わるか。指令の意志っちゅうのはどこから来とるんやろうなぁ。」

 

レイホンから渡された、柄が金属製の黒いフォプーン。

それを見た時、少しだけ心臓が痛んだ気がした。

同時に、深い心の底に閉じ込められていた一部の記憶が漏れ出すような感覚も。

 

どろり

 

溶け出したフォプーンは元の体積よりも大きな鎌の形を模り、不思議としっくりくる重さを伝えてきた。

 

 

 

===

 

 

 

『あなたみたいな夫と、どうしてこんな運命的な出逢いができたんでしょうね。』

 

運命的な出会い(都市の意志)。絶望。

 

『俺が…まるでここに残るかのような言い草だな。』

 

娘。決別。

 

『一つ聞かせて。貴方は、幸せになれるのかしら?』

 

悔恨。死別。

 

『———リアン……さん?』

 

慈愛。未来。

 

『……どう聞こえる?』

 

憐憫。恋しさ。

 

 

 

===

 

 

 

「……。」

 

「———返事せぇや。何か思い出したか?」

 

「……あぁ。」

 

声が聞こえた。自分が見ていいものなのか、分からない光景も。

自分が死ぬのは誰もが望んだ結末で、誰もが疑うことのない正しい終わり方。

果たすべき役目を終えた俺(・)には、静かに消える結末が訪れる。

この名も、この姿も、少しずつ時間が記憶から洗い流す筈だった。

 

「レイホン。この先、迷惑をかけることになる。」

 

「もう今更やし、ロドスなしでも回せるよう用意しとるかい遠慮すんなや。」

 

すべての記憶が戻ったわけではなく、しかし思い出せたこともある。

 

大切な妻が、娘がいたこと。大切な妻、娘は何か(・・)に従った結果であるということ。

俺は誰かを模した存在であり、何かに従った結果として同じ道を辿り、彼女らを失ったこと。

何かへの恨みを募らせつつ、しかし与えられた幸せも真実であるが故に、思考を放棄したこと。

満たされることに苦しみ、苦難の道を前にした誰かに味方して、自分の意志で裏切り殺したこと。

 

妻の顔も、娘の顔も、殺した相手が誰なのかも分からない。

 

「そんで、どうしたいんや?」

 

「俺が傷付けた者たちへの謝罪。意味があるかは、分からないが……。」

 

「意外やな。てっきり『それはそれ、これはこれ』っちゅうて縁切るかと思っとったんやけど。」

 

「お前が言うなら、昔の俺はそう言っていたんだろうな。」

 

「いや、適当言うただけや。」

 

「……まぁ、できればもう一度、縁を繋ぎたいと思ったんだ。」

 

絶縁。断ち切られた赤い糸。

だが、断ち切られた糸も先と先を結び合わせれば繋げることができるものだ。

そこまで言うと、レイホンは笑みを浮かべた。

 

「ええで。元通りになんのも期待しとったけど、今のお前の方が仲良くできそうや。協力はしたるかい、あとはお前次第やで。」

 

「恩が深まるばかりだな。」

 

「いつか返してくれや、仇以外でな。」

 

「善処しよう。」

 

 

 

===

 

 

 

「歯ぁ食いしばりなさい!」

 

「グッ!?」

 

バシッ!!!

 

思い切り振り抜いた拳が、リアンの顎の先を撃ち抜いた。

脳が揺れたのか、がくんと、力が抜けて崩れ落ちる体。

 

「ハッ、ざまあないわね!」

 

「えっ、えぇ……!?」

 

「ほら子ウサギ、アンタもやりなさいよ!忘れてたって殴る権利くらいあるわ!」

 

「私は大丈夫です……治療しますね。」

 

「そう?じゃあ私が代わりにもう一発叩き込めるわ、ねっ!」

 

「っ!」

 

倒れたリアンをアーミヤが治療し、即座に同じ場所を拳が打ち抜く。

立ち上がったかと思えば再び崩れ落ちるその姿は、壊れた玩具にそっくりだ。

バベルメンバーからの要望である、一人一発(手段は問わない)袋叩き大会。死なない程度に遊ばれているように見えるが、リアン自身が望んだことである以上止める気はない。

 

「お前はやらんのか?」

 

「俺か?命の恩人の知り合いを殴るのはな。」

 

「んな引き摺ることか?ロドスから十分助けてもらったと思っとるんやけど。」

 

「俺から返せたことなんて、ちっぽけなもんさ。それに……」

 

Aceは一度区切り、どこか遠くを眺め、目の前の光景に目を向けた。

今はMantraとMechanistが倒れたリアンを軽く小突いている。

 

「ドクターと同じく、これからの行動で示してくれることを皆望んでいる。」

 

レイディアンが近付き、リアンに触れたかと思うと、一度ビクンと跳ねて動かなくなった。

PithとTouchが動かなくなった体、腰を狙って蹴りを入れる。

ワルファリンがケルシーに何かの薬剤の使用許可をとり、笑顔で注射器を突き刺した。

クロージャが龍門幣の束で顔をはたいて、起き上がろうとしたリアンの後頭部をカメラの角で叩く。

 

「俺っちにはトドメ刺そうとしとるにしか見えんな、ホンマに死なんよな?」

 

「あぁ、大丈夫……なはずだ。」

 

SharpとStormeyeが倒れたリアンを抱え上げ、どこからともなく現れたMiseryがスツール椅子に縛り付ける。

薬の影響か、それともまだ脳が揺れているのか、一切の抵抗ができないまま拘束されたリアン。

 

「『回れ』。『加速せよ』。」

 

それをロゴスが回転させ、次第に速度が上がっていく。

リアンの顔は既に青ざめており、治療も意味をなさないようだ。

 

「これ見とる側おもろいけど、やられとる側地獄やろ。ぎっくり腰なってるんやないか?」

 

「違いない。」

 

黒のスーツに身を包んだ大の大人が椅子に縛られ、高速回転している状況。

偶然見かけたのなら脳が理解を拒み、見なかったこととしてスルーするだろう。

 

「うむ。『止まれ』。」

 

ある程度回して満足したのか、ロゴスが停止させる。

Sharpが拘束を解き、立ち上がろうとしたリアンは足がふらついてうまく立てていない。

そこに、アスカロンが歩み寄った。

 

「うっ。……君で、最後か。」

 

「あぁ、覚悟はできたか?」

 

パシィン!

 

そう言ったアスカロンは、平手打ちを食らわせた。

散々痛めつけられたリアンを倒すには十分な一撃で、前のめりに倒れる。

 

「これで終わりってのも味気ないけど、寛大な心に感謝しなさい!」

 

「瞬間的な硬直だからもう立てるはずだよ。それじゃあ、私はこれで。」

 

「素晴らしいバランスであった。うむ、これは期待できる逸材であるな。」

 

「これからはクロージャ様の購買部にお金を落とすこと!絶対だよ!」

 

「……。」

 

それぞれ言いたいことを言って去っていく。

Aceもまだやることがあるのか、軽く言葉をかわすと去っていった。

残ったのはレイホンとリアン、そして治療をするアーミヤの三人。

 

「……彼らの一撃、結構効いたぞ。全身がとても……ズキンとしてるんだ。」

 

「これからのお前に期待しとるっちゅう証拠やし、甘んじて受け入れろや。」

 

「それもそうか、もう大丈夫だ。アーミヤ……だったな。」

 

アーミヤの持つ杖から放たれる光が弱まる。

スーツに付いたホコリを払い、ゆっくりと立ち上がったリアンの顔はどこか晴れやかだった。

自分より遥かに小柄なアーミヤを見下ろそうとして、膝をついた事からも心情の変化が伺える。

 

「望む力になれるかは分からないが、贖罪の為にも力を振るわせてもらおう。」

 

「はい、ロドスはあなたを受け入れます。」

 

手と手を握り合い、協力し合うことができる。

 

「では早速ですが、レイホンさんたちに依頼があります。サルゴン、イベリア、シエスタ、クルビア、極東、リターニア……行きたい地域の要望があればお聞きします。」

 

「過労死せんよな……?」

 

「ユジンさんたちも手伝っているので、これでも減ったほうですよ。ドクターはイェラグへの訪問まで予定に入れてますので、それに比べればまだ休めないです。」

 

リアンと顔を見合わせ、これから先に待ち受ける苦難と面倒事を想像して溜息を吐いた。

 

 





見る専になるかも
あ、レイホンとこのキャラの絡みみたいとかがあれば言ってください
アイデアくれ(強欲)
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