【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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プロムン9周年の生放送のお陰で筆が乗るなぁ!
これ繋ぎだけどねぇ!
文字数が増えていく…不思議…。




第12話

 

 

「これが私達の拠点、"ロドス・アイランド号”です。」

 

「はぁ…?デカすぎるやろ、何やコレ。」

 

アーミヤ達がやってきたというロドス・アイランド号を見た初めての感想。アーミヤの言う通りなら、協会支部の大きさを遥かに超え、下手したら一つの巣の裏路地を纏めたとしても足りないぐらいの大きさかもしれない。

想像以上のロドスの規模に驚きつつ、宿舎に案内される。

道中沢山の人とすれ違うが、その全てが体のどこかに動物の特徴を持っていた。改めて思い出すと、動物の特徴を持っていない人物で出会ったのはWとパトリオットぐらいだろうか。彼も彼女も動物の特徴を持っていないだけで、角や尾が生えていたり、信じられないほどの巨体だったりとおかしいところはいっぱいあるが。

 

H社の(ワン)の実験体みたいなものだろうか。などと考えながら周りを注意深く見ていると、アーミヤの袖に隠れていたところから黒い線のようなものが見えた気がした。

気になったが、自分より格上ということで詮索を諦める。もし自分が同じ立場にまで上り詰めたら聞こうと心に誓う。

 

(知らん事が一杯やな、おもろいけど、やっぱしんどいわ。)

 

未知を追求し、知識を広げることは必ず自分のためになることを知っているため、貪欲に知識を求めているが、その途中で無礼を働いてしまうのは辛い。

そんな事を考えていると、窓から走っているフェンが見えた。向こうはこちらに気が付くことなく一生懸命に走り、鍛えている。

先導するアーミヤが立ち止まり、レイホンたちに向き直った。

 

「親指の皆さんはここで待機していてください。備品は好きに使っていただいて構いません。…レイホンさんは、これから話をするので一緒に来てください。」

 

「ちゅう事や、お前ら礼を失うなや。」

 

30もの人を容易く収納できる程の大きさの宿所が大量にあることを考えると、ロドスの規模は親指に匹敵…それを超えるかもしれないと思う。現在は質の点で勝っているが、成長していくことを考えるとロドスに所属するのも悪くない気がした。

 

しばらく歩く。レイホンは目上の者(アーミヤ)がいるので一切自分から口を開かず、アーミヤも何度か口を開こうとしたが、やめた。

不思議な空間のまま向かった先は作戦会議室と書かれていた。

 

(こういうのは読めるけど、文字は書けんのよな。)

 

文字を書けるようにならなければ、機会を見つけ次第勉強しなくてはと強く思う。

アーミヤが部屋の中に入り、「どうぞ。」と声がかかってから入室する。部屋の中にはアーミヤとレイホン、そして白髪で頭から猫の耳を生やした緑色の薄手の服を着た少女がいた。

 

「この方がドクターの救出に協力してくださった、親指のレイホンさんです。レイホンさん、この人はロドスの医療事業のリーダー、ケルシー先生です。」

 

『君がアーミヤの言っていた…。画面越しで済まない。まぁ、座ってくれ。』

 

ケルシーという名の少女が医療事業のトップという事を知り、表情に驚きの心情を出さないよう必死に努めるレイホン。ロドスもレユニオンも、トップに少女を置くのが流行っているのかと思う。しかもロドスがどうかはまだ分からないが、戦闘能力が異常に高い少女だ。

今すぐこの頭痛を収めるためにシガーを吸いたい気分に襲われつつも、ケルシーの言う通り高そうな皮椅子に座る。

 

ブウゥゥ…とレイホンの体が椅子に沈み込む音が部屋に響く。

ケルシーは大人しく席についたレイホンを見て一度頷くと、今回レイホンを呼び出した理由を語り始めた。

 

『今回君を呼んだのは君の要求である、我々にとっての高い地位、弾丸、専属の工房についてだ。Aceや行動予備隊A1から腕前は聞いている、ロドスに所属するのなら、エリートオペレーターとしての座を用意できるが…君はロドスに所属する気が無い事も知っている。』

 

レイホンに説明するように液晶を操作し、Aceやフェン、クルースなどの顔が次々に空中に浮かぶ。

 

『地位に関しては後回しにさせてもらおう。専属の工房については、私がこれから向かう炎国の龍門(ろんめん)に手配しておく、腕は確かだ。最後の弾丸についてだが…見本となるものをロドスのエンジニア部に預けてくれ。何とかするだろう。質問はあるか?』

 

「…はぁ。」

 

口を開いたと思ったら、止まることを知らないと言わんばかりに流れ出す言葉。要するに自分の要求は地位以外のほとんどは叶えられるという事らしい。

 

「つまり、俺っち達は見本の弾丸をロドスに置いていけばいいんやな。で、武器は龍門とやらで見てもらえと…。質問なんやけど、炎国っちゅうのはここからどんくらいや?」

 

レイホンからすれば当たり前の質問だったが、質問はないかと問うケルシーと会話を見ていたアーミヤの顔は呆れたような、驚いているような絶妙な表情になった。

完全に忘れていたが、レイホンはこちらの国も勢力も全く知らない。レユニオンの構成員から無理やり聞き出した情報だけで上手くやって来れたのが奇跡だった。

 

「あぁ、俺っち達は記憶喪失ようなもんや。知らん事が一杯やからそこんとこ頼むで。」

 

『…全員か?』

 

「せや。」

 

『アーミヤ、言っていることは—— 「…本当です。」 ——そうか。……記憶喪失の者が、30名以上もロドスにいるのは、これが初めてだろうな。』

 

レイホンの言葉を何故か肯定するアーミヤと、その言葉を鵜呑みにするケルシー。ケルシーが疑うことを知らないのか、それともアーミヤへの信用がそれほど高いのか。アーミヤもレイホンの言うことを何故肯定してくれたのか。

 

(分からんことを考えても答えは出んけど…答えがないっちゅうのは気色悪いわ。)

 

目線を一切合わせないように虚空を見つめていると、ケルシーの中で答えが出たようで、コホンと咳払いをする。

 

『レイホン、弾丸のサンプルを机の上に置いてくれ。』

 

言われた通りにベルトに装着された虎標弾と、朴刀に詰め込まれたままの猛虎標弾を取り出して一発ずつ机の上に置く。今思うと、タルラの熱による火が虎標弾に引火していたらレイホンは丸焼きになっていた。このスタイルを止めるべきかと考えるが、もう会うこともないだろうと考え直した。

ジャラ。ゴト。机に置くときの音で虎標弾と猛虎標弾の違いがよく分かる。

 

『アーミヤ、その弾丸をエンジニア部に届けてくれ。…レイホン、早速だが君は部下を…そうだな、10名ほど連れて今から私と共に龍門に向かう。道中で互いに聞きたいことを話し合うことにしよう。 あぁそれと、源石病(オリパシー)のチェックもしておこう。』

 

「分かったで、聞きたいことのメモでも作っとくわ。」

 

「分かりました。ケルシー先生」

 

アーミヤが丁寧に二つの弾丸をつまみ、退出するとケルシーが映っていた画面も消える。

そのままアーミヤに案内されて医療室で言われるがままに急ぎの検査を受け、そのあと流れるように訓練場へ連れて行かれ、何故か模擬戦を行った。

 

休む間もなく、部下の中でも見込みのあるソルダートのIIII《クァルト》二人と、適当に序列順に8名選んで出発の準備をする。準備と言っても、礼儀正しくいろという心構えだけだが。

 

 

 

———

 

 

 

ロドスから離れていく。あれだけ巨大な建物が小さくなっていくのを見ると、どこまで行こうと全ては何かの法則に縛られていることを感じる。

 

「さて、レイホンだったか。話すことを許そう。早速質問だが…何故目を合わせようとしない?」

 

「そんなん礼がなっとらんやろ。」

 

「話をしている相手の目を見ないほうが不敬だと私は思うがな。」

 

ため息を吐く目の前の相手…ケルシーはそう言って首を横に振る。画面越しで見た姿通り、頭に猫の耳を生やした少女の姿だ。

 

「君達親指について問いたいことがある。規律について全て語ってもらおう。」

 

「簡単に言うなら、目上の者に無礼を働いた体の部位を破壊する。嘘をついたら舌を切る、目を合わせたら目を抉るとかやな。そして、ゴッドファーザー様の意思に疑問を抱いてはならない。…細かく言うならもうちょいあるで。」

 

「ゴッドファーザーというのは何者だ?」

 

「親指には階級があってな?ソルダート、カポ、アンダーボス、ゴッドファーザーの順で階級が大きいんや。要するに親指んトップやな。」

 

「君の階級はカポのクァルトというものらしいが…クァルトとはなんだ。」

 

「ソルダートとカポはI《プリモ》、II《セカンド》、III《テルツォ》、IIII《クァルト》で分かれとる、I《プリモ》が下でIIII《クァルト》が上やな。」

 

「君達以外に親指の組織の人間はいるのか?君達はどこから来た?」

 

「どうなんやろ、他にもいるんかな。南部の奴らがまだ復活しとらんらしいし…もしかしたらこっちにおるかもな。俺っち達は都市っちゅう所から来た。」

 

「…どうやら、私の知らないことが沢山ありそうだな…。時間はまだある、話していこう」

 

まだケルシーとの会話は終わらないようだ。龍門に到着するまで休めず、質問攻めにされるのはレイホンにとっては初めての苦痛だった。

 

「君の持つその剣について———。」

 

 

 






ロドスの人事部門に送られた臨時プロフィール

基礎情報
【コードネーム】なし。
【名前】レイホン
【性別】男性
【戦闘経験】あることは確か。期間は不明。
【出身地】不明
【誕生日】不明
【種族】■■(ケルシー医師により極秘事項とされている)
【身長】180以上?
【鉱石病感染状況】メディカルチェックの結果、非感染者に認定。

能力測定
【物理強度】卓越
【戦場機動】優秀
【生理的耐性】測定時間が足りず不明
【戦術立案】優秀
【戦闘技術】卓越
【アーツ適性】欠落
個人履歴
チェルノボーグでのドクター救出作戦にてロドスに協力した組織、親指の推定トップ。
行動予備隊A1のフェンとクルース、エリートオペレーターのAceと行動を一時共にした。
不明な点が多く、急ぎの診断だったため完全な物ではないことに注意。

健康診断
造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査の結果においても、同じく鉱石病の兆候が認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。
【源石融合率】0% 鉱石病の兆候は見られない。
【血液中源石密度】0.03u/L チェルノボーグのドクター救出作戦の際、傷口から源石粉塵が入った可能性あり。
流石にこれっぽっちじゃならんやろ?あのガキの榴弾喰らっとったらヤバかったかもな。——レイホン
傷口が塞がる速度が尋常ではない…。さらなる身体調査ができないことが悔やまれます。——医療オペレーター

第一資料 彼は特殊な形状をした銃剣と、その銃剣専用の2種類の弾丸を使用して戦闘する。
彼自身の卓越した身体能力と技術が武器と組み合わさり、文字通り爆発的な威力で敵に大打撃を与える。
私から言えることは一つです。彼を相手にするなら、Aceさん程の重装オペレーターを小隊規模で用意することが最低条件でしょう。——フェン

第二資料 ロドスでドクターの指揮のもと行われた模擬戦では、行動隊A4、行動予備隊A1、A4の3つの隊を相手に圧勝した。ドクターの指揮は見事なもので、これ以上の最善はないと言うほどのものだったが、個の力で全てを跳ね除けた。
その際、体を黄色の靄のようなものが纏っていたが、彼はそのことについて黙秘している。
いんやぁ、嬢ちゃんら結構やるんちゃうか?疲れているとはいえ、俺っちをここまで手こずらせたんのは誇ってもええで。——レイホン
なんでアーツの炎を剣で斬れるんだよ!——ラヴァ
うぅ…皆をまた守れなかった…。——ビーグル
いや、あれは無理だと思うよ…。あの角度からなんで矢が来たのが分かったんだろ。——アドナキエル

第四資料 彼と彼の部下の使う弾丸のサンプルから、酷似する代替品の製作に必要な素材を捜索する。
推進弾…その小さな質量から放たれる威力は異常。バクダンムシ死亡時の不安定な源石が爆発する、種類の違う火薬がそれと似た反応を起こしている。
虎標弾…同上。火力を上げることで代替が可能である。ただこの小ささに抑えるのは至難の業だろう。
猛虎標弾…明らかに格が違う。ここまで安定して、ありえない程の威力を放出する物質はこのロドスには存在するか怪しい。
溶岩地帯には溶岩の如き熱さを持った感染生物がいるようです。その素材を使えば…。——ロドスエンジニア部オペレーター
ヨウガンオリジムシの事を言ってるの?あれは止めといたほうが良いと思うけどなぁ…。生息域が限られすぎてて成長しすぎた個体がいそうなんだよね〜…。——クロージャ
ロドスの管理に戻れ、クロージャ。——ケルシー


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