【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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完全にROGが死んだな。もう何も残っちゃいない。



第13話

 

 

そびえ立つ摩天楼は大量の光を発し、辺りの高層ビルも夜の街を照らす。

ケルシーとレイホン達が龍門へ着いたのは、既に日が沈んで何時間も経過した頃だった。その間レイホンはケルシーの質問に答え続け、たまに訪れる自分の質問のチャンスを逃さずにこの世界の現状を知る。

 

(源石がエネルギー源…旧L社んエンケファリンみたいなもんか。で、それを得ようとすると源石病(オリパシー)になる可能性が高まる…。まぁ、都市と言うて変わらんな?)

 

利益を得るためには何か対価を払わなくてはならない。どこの世界でも変わらない事のようだ。

都市に源石がやってきたとしても、エネルギーを生産する会社の立ち位置が危うくなり、多少組織の勢力争いが活発になるだけで終わるだろう。都市とこの大地…テラでは死生観が違うのだ。

 

「レイホン、私はこれから龍門の執政者…ウェイ・イェンウとの会談がある。君には龍門の地図を渡しておこう。工房の場所に印をつけているから顔を合わせに行くといい。…それと、龍門の市民を傷付けるようなことがあれば、ロドスはすぐに君達との縁を切る。」

 

感情を感じ取らせない一切の無表情で淡々と話すケルシー。赤く丸で囲まれた地図をレイホンへ渡し、釘を刺す。

 

(俺っちが言い聞かせたとして、部下共が従いそうにないんよな。俺っちより規律やし。)

 

返事をせずにそんな事を考えながら、乗り物から降り、炎国の地を踏みしめる。

ググ…と固まった体を伸ばしていると、降りたケルシーの後に続いて部下たちも降りる。検問所に行く前に部下たちに釘を刺す。

 

「俺っち達の立場は今そこらの市民と同じと思えや、指示出した時以外で手ェ出しなや。」

 

はっ。と返事をする部下たちだが、信頼はできない。自分たちの立場が確立できている場所なら構わないのだが、それを行く先々で押し付けるのは自殺行為に等しいと自分で気付いてほしい。

 

検問所では軽い身体検査だけで、剣は没収されずに済んだ。流石に暴力行為をしたら捕まって没収されるだろうが。

 

「ではレイホン。私は君達と良い関係を築ける事を願っている。」

 

「俺っちもな。」

 

右手の手袋を取り、軽く握手する。ここまで一切表情を変えないままのケルシーが、高級そうな車に乗って去っていくのを眺めていた。

 

そして…。

 

 

 

===

 

 

「で?ワシに用があるんだってな?虎を模した猫よ。」

 

(なんでこうも自分より格上ん相手が初っ端から敵意滲ませてんのや…。)

 

ガチャ…。

 

目の前に座る、アンダーボスを彷彿とさせる威圧を放つ、白いコートを羽織った鼠の姿をした老人。

龍門の工房へ顔を合わせに行き、スラム街や裏路地で辺りを支配している組織へ挨拶に行こうとしたのが事の発端だった。

手当たり次第にホームレスや、裏路地で遊ぶ子供にまで聞いていると、既に日が暮れていた。今日は工房にでも泊めてもらおうか、そう考えて来た道を戻ろうとすると、身なりの良い青年たちがレイホンを案内しに来たと言う。

それに従い、来てみればこれだ。両手で杖を中央に構え座る彼の目には、明らかな敵意が滲んでいる。

 

「何か話したらどうだ?ん?」

 

「…ちぃと待ってや、すぐに済ませたるさかい。」

 

今すぐに一服したいが、そんな事ができる場ではない上に、シガーを持っていない。取り敢えず向こうの挑発に対して銃剣のグリップを動かした部下の手首を折る。

 

「情報が正しければ、こん方は龍門で知らんやつはおらん、マフィアである貧民窟の鼠王やろ。…すまんかったな。部下の非礼は俺っちの非礼でもある、処罰を受けよう。」

 

手刀で部下の手首を叩き折り、部下と自分の非礼を詫びる。鼠王はその様子を眉を顰めて見ていたが、レイホンが頭を下げ続けていると突然大きく笑った。

 

「ははは、好き勝手スラム街を踏み荒らしたことに対しては怒りを覚えたが…お前らの方が龍門に面白い利益を与えるかもしれんな。」

 

ひとしきり笑うと、頭を上げい。と低く響く声で言う。頭を上げる。

 

「お前、名前は?」

 

「レイホン。」

 

「何の用でワシを探した?」

 

「近衛局ビルん近くに俺っち達の専属の工房がある。そこん周りを貸してもらいたい。」

 

「———近頃、近衛局ビル周辺の裏路地に殺人鬼が出ている。そいつと周辺を荒らすマフィアのゴミ掃除をしろ。情報はやる。…殺人鬼を殺れたのなら、そこはくれてやる。」

 

「…恩に着るで。」

 

封筒を渡され、中身の写真を確認する。ガスマスクと一体化しているスーツ。中から漏れ出す赤色の液体。一切残らない死体。

都市の裏路地にいたのなら誰もが一度は見たことがあるだろう。

 

(運が回ってきたな。)

 

 

===

 

 

「う、うわぁぁっ!!!」

 

マフィアが矢を装填したクロスボウの引き金をすぐに引く。が、矢はレイホンに当たることなく翻った外套に容易く弾かれ、高速で背後に回り、一撃で頭を落とす。

首から噴き出す血で汚さないように、死体を思い切り蹴り飛ばす。

 

「前に立つモンを快刀乱麻に断つ快感っちゅうのは、堪らんなぁ。」

 

そう呟くと、顔を青ざめさせて怯えるマフィアたちに向き合い、続けて口を開く。

 

「お前らに選択肢は二つある。俺っちの下に就くか、このまま死ぬか。…まぁ、こんままやったら放っておいても"シラクーザの処刑人"っちゅう奴に殺されるやろうけどな?」

 

クク…と笑いつつ部下から貰ったシガーを咥え、火を点ける。やはり安物では満足できないものがあるが、それでもある程度の疼きは解消できた。

 

「ッ!ま、待て!!」

 

「ああ、せやったな。——お前らの下顎を砕くかい、暴れんなや。」

 

「話が通じねぇ…!」

 

大きく天を突くように剣を振り上げる。通りから幾度も反射して路地に注ぐ光が、朴刀を鈍く光らせる。

それを思いきり振り下ろし、再び振り上げて振り下ろす。自分に武器を向けた者の腕を切り落としたところで、部下たちがマフィアに迫り、容赦なく銃床で下顎を砕く。

 

「さぁて、近衛局ビル周辺のゴミ掃除はコイツで終わりやな?——そろそろ3時13分や、来るで。」

 

死体とまだ生きて悶絶しているマフィアを積み上げる。貰った情報の通りなら、証拠を残さない殺人鬼はこの大地に存在しないものだろう。

どこからともなく現れ、大群で裏路地を掃除する存在。

 

ザクザクザクザクッ!!

 

レイホン達が離れてマフィアの山を眺めていると、複数の、しかしレイホンが知っている数より遥かに少ない数でだがガスマスクとスーツが一体になった、両手に鎌を持った何かがマフィア達に向かって一心不乱に鎌を振り下ろしていた。

 

「うわぁぁっ!!!」

 

「痛い痛い痛いィッ!!!」

 

「俺の体…溶けて…!?」

 

「……。」

 

身体が生きたまま解体されていくマフィア達が絶叫を上げる。それに構わず鎌を振り下ろす存在。間違いない、掃除屋だろう。

その確認を済ませると、部下たちに周りを囲むように指示をする。一匹たりとも逃してはならない。成果を残さなければ、鼠王からの評価はスラムを荒らした存在で終わってしまう。

 

(親指ん拡大のためにも、今は雌伏の時。まぁ、俺っちの為にも犠牲になってくれや)

 

何度も見てきた掃除屋の処理光景。都市の空気に久しぶりに触れられた気がして、気分が高揚する。今も吸う安物のシガーもいつも吸う高級シガーに思え…る程ではないが。

 

「準備、完了しました。」

 

「おう、そろそろ行くか。」

 

完全に包囲したことを部下から伝えられる。既にあれだけ騒いでいた声は聞こえず、山は最初の半分にまで小さくなっていた。

重い腰を上げ、剣に代替品である部下の推進弾を装填する。光が消え、闇が支配する路地に薄い紅の炎が輝く。

 

「お前らヘマすんなや!」

 

ガチャン!

 

銃剣を振り下ろし、掃除屋の方へ思い切り跳躍し、そのまま斬りつける。掃除屋のスーツを両断すると、中から血赤色の液体がどろりと漏れ出す。

すかさず周りにいる掃除屋へ斬りかかる。弾丸を出し惜しみせずに使用し、その推進力で高速移動するが、やはり虎標弾以下の推進力だとリズムが崩れると感じた。

 

こちらに振り上げた腕を斬り飛ばす。臆せずに振り上げようとしたもう片方の腕を頭ごと斬る。

このあたりで他の掃除屋が辺りへ散らばり始める。それを追って背後から斬りつけるレイホンだが、やはり何匹か逃してしまった。

 

(北に二、東に三。こんくらいなら大丈夫やな)

 

都市で体験した裏路地の夜なら、襲いかかる掃除屋の数はこんな物ではない。レイホンだろうと疲労困憊になるまでの激戦になるだろうし、部下たちも何人か掃除()されるだろう。

10もいない掃除屋を掃討し、何故この世界(テラ)に掃除屋がいるのかを考える。自分たちとの共通点は特になさそうに思えるが。

スーツから流れ出した液体でできた水溜りを踏み、気配を感じない死体の山に向かって歩く。生き残ったやつを鼠王への手土産にしようと思ったが、残念だ。

 

心にもないことを考えつつ短くなったシガーをプッ、と液体に吹き出すと、液体は炎を上げて燃えた。

火でも眺めて報告を待とうか、そう思った時。

 

「そこを動くな。」

 

声のした方に振り返った瞬間、レイホンの頬を剣が掠める。

 

「…いきなり斬り掛かってくるっちゅうのが、こん場所じゃ許されとるんか?」

 

死体の山を背中にして謎の人物と向き合う。火で照らされた路地では、"暴君”に似た角と尾を生やした少女がこちらに剣を向けて立っていた。

 

「近衛局周辺の連続殺人事件の犯人として、ご同行願おう。」

 

 






連続投稿すると筆の進みが遅くなるの、やめようね。
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