【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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スマホでアークナイツはできる。
リンバスは容量的にキツい。

あの、Steamギフトカード買ったんですけど…。


第16話

 

 

結局近衛局のお世話になることはなく工房に戻る事ができた。既に日が真上に昇っているが、外から見る限り工房は静かそうだ。

中に入ると、工房の中では部下たちが職人から銃剣の手入れを教わっており、丁寧に刃を磨いて汚れを拭き取っていた。

鍛冶台に向かい金属を打つ職人もいれば、ロドスのオペレーターもいる。元々龍門にロドスの支部を作るときの足がかりにする場所だったらしく、レイホンに渡すのに丁度良かったとのことだ。

 

「おう、帰ったで。銃剣の手入れ終わったらコイツ綺麗にしといてや。俺っちは手入れ終わったら昼寝するかい、起きるまでに規律教えとけや。」

 

抱えてきた少女をコートごと大きめのソファーに寝かせ、愛刀(天退星刀)の手入れをしようと磨き布を取ろうと手を伸ばす。

 

「分かりました。武器の手入れは私達にお任せください。…それと、この子は?」

 

「おお、気が利くやんけ。そいつは拾い物や、ロドスの奴らならどうにかできそうやろ。…俺っちは汗流して寝るとしよか。」

 

その寸前でロドスと書かれた服を着たオペレーターが磨き布を取り、レイホンの朴刀を受け取る。いつもなら天退星刀を他のものに渡すことはないが、この二日間で強敵と連続して戦い抜いたお陰で疲れが溜まっていたため大人しく渡した。

ロドスのオペレーターにはケルシー曰く「最上の礼を払う」ように伝えているらしい。部下も見ているため、もし持ち出そうとしたらすぐに分かるだろう。

少女について尋ねられるが、非常に疲れているため今すぐに休みたい。

 

「ああ、俺っちの替えの服用意しといてや。」

 

背後から聞こえる「はっ」という返事に満足し、風呂へと向かう。ロドスでも軽く汗を流したが、湯船に浸かるのはこの世界で初めてではないか。

 

 

———

 

 

服を脱ぎながら休める時間ができたことに感動し、これからの計画を練ろうと裸で風呂場に入ろうと扉を開いた瞬間、風呂場に取り付けられた磨りガラス越しに不明瞭な影が見える。

 

パリーン!!!

 

「ごめんなさい…ってうわぁっ!ちょっとソレ隠してよ!」

 

「エクシア、どうし———すまない。」

 

影が近づいてきたと思うと、ガラス窓を破壊して赤髪の少女と黒髪の少女が風呂場に入ってくる。ガラスの破片程度で傷つくほどの施術を行っていないため無傷だが、張られた湯の中に大量の破片が入ったのを見て湯に浸かりたいと思う人はそう多くないだろう。

 

パン!

 

レイホンの一糸纏わない姿を見て顔を赤らめる少女の頭には、光る輪があり、背中からは不思議な形状をした翼のようなものがある。

大きめの荷物を抱えて壊れた窓から入ってくる黒髪の少女は、耳に犬のような耳を生やしている。慌てる赤髪の少女をエクシアと呼び、何かあったかと心配しようとして、レイホンの姿を確認すると一礼して謝る。

 

エクシアと呼ばれる少女はこちらに銃を向け、トリガーに力を込めたと思うと迷いなく発砲してきた。

銃弾を身に纏う(シン)で強化された肉体で避け、銃口を手で抑える。

 

「わ〜っ!近付くなって!」

 

「そっちから入ってきたんやろ、随分積極的で乱暴な嬢ちゃんやな?」

 

「テキサス!このおじさんどうにかしてよ!」

 

「いや、恐らくこの人が配達相手だ。済まないがサインを頼む。」

 

騒ぐエクシアを無視してこちらに荷物とペンを差し出す、テキサスと呼ばれた少女。場のノリに流されペンを受け取り、自分の名前を書く。

 

「見たこともない字だが…。ペンギン急便の利用、感謝する。」

 

そう言ってテキサスはエクシアの服を掴んで割れた窓に放り投げると、自分も跳躍して去っていった。

風呂場にはレイホンと割れたガラス、そして謎の荷物だけが残る。

窓の外からは謎の銃声と怒号が飛び交い、工房の方からはガラスの割れた音に気が付いた部下たちが来る複数の足音が聞こえてくる。

 

「…ペンギン急便か、後でお礼参りに行かんとな。」

 

風呂場の前で待機している部下に謎の荷物を渡し、浴槽に沈むガラスを適当に取り出す。

結局湯に浸かる頃にはぬるま湯になっており、休める時間を台無しにしたペンギン急便とやらにお礼をしに行く計画も考えるのだった。

 

 

———

 

 

ぬるま湯から上がり服を着る。近くにいる部下に着付けをしてもらい、二階にあるレイホンの為に整理したという執務室へ案内させ、そこで仮眠を取ることにした。

大きな長机が中央にあり、それを囲むように椅子が置かれてある。一番奥にはいかにも高そうな皮椅子があり、そこに身を預けると沈み込んでいく。

机の上にはペンギン急便とやらが配達してきた荷物があり、送り主はロドスのようだ。部下に命令し丁寧に開けさせると、中には大量の弾丸と一枚の紙が入っていた。

 

「推進弾300、虎標弾20。猛虎標弾はもう少しかかる。」猛虎標弾がないにしろ、まだ一日しか経っていないのにこれだけの弾丸を用意できるのは流石といったところか。

 

(土地は手に入れた。弾丸の安定供給も目処がついた。問題は人員と名声や。)

 

天井を眺めながら思案するが、特にいい案は思いつかない。

名を広めるだけなら暴れるのが一番早いが、それはここではできないため、最悪フィクサーのような活動をするのも視野に入れておく。

人員だけならそこらに転がっているやつらに飯を食わせてやればどうにかなりそうだが、礼儀がなっていないのは確実、何より使い物になる気がしない。

 

(アンダーボス達もようやるもんやな。)

 

結局思いついたのは、元々ある程度腕の立つ組織から人員も名声も奪えばいいという事。

 

「一応戦う準備をしとけ、夜まで休んどけや。」

 

 

===

 

 

カポネはシラクーザからやってきて、龍門でのファミリーの行動範囲を広げていた。

兄弟分であるガンビーノからは、シラクーザでは上手くいっておらず、近々こちらに追放されるかもしれないという連絡が来ている。こっちも上手く回っているとは言い難く、さらに先日の事件だ。

 

近衛局ビル周辺で行動していた部下の失踪事件。

スラム街で殺人鬼による被害が出ていたのは知っていたが、近衛局ビル周辺の治安のいい場所までやって来るとは予想していなかった。何より殺人鬼などどうとでもできると思っていたが、結果は全滅、死体も回収出来ずじまいなのが拙い。

部下からの信頼は下がり、鼠王の下に就く部下もいれば、ファミリーから抜け出そうとする部下もいるほどだ。

 

「*シラクーザスラング*!!」

 

路地を構成する壁を強く叩く。部下の注目が数秒集まるが、怒りに巻き込まれてはたまらないと目を逸らされる。その行為にまた苛立つ。

光の差し込む大通りに出て、ストレスを発散するためにも豪勢な食事と決めこもう。そうだ、それがいい。

自分に言い聞かせ、大通りに出ようとした時、路地に差し込む光を遮る何かが前に立った。

 

「ここにおったんか、探したで。」

 

「誰だお前———」

 

部下が道を塞ぐ男に向かって口を開いた瞬間、部下の体は宙を舞っていた。

 

「ここは俺っちのシマやで?ボスでもない奴が誰の許可を得て喋っとるんや。」

 

ドサリ。背後で部下が着地する音が聞こえるが、俺を含めて誰一人として目の前の男から目を逸らせない。

 

「今回はお願いがあってな?…お前ら、俺っちの下に就け。」

 

命令だった。決してお願いなんて生温いものではなく、拒否権のない絶対強者からの命令(お願い)

 

「ふざけてんじゃ——— 「耳悪いんか?向こう行っとけや。」

 

また一人の部下が男に向かっていき、吹き飛ばされる。俺は何一つ動くことができず、身構えて男がゆっくりとこちらに近付くのを待つことしかできない。

 

「…断ったら、どうなる。」

 

絞り出すように出た声は、果たして自分のものだったか。それさえも分からない程、目の前の男に気圧されていた。勇気を出すように、取り出したクロスボウに力を込める。

 

「そうやなぁ、まずカポネ、頭であるお前を殺す。その後は従順になるまで残った奴らを"教育”やな。」

 

冗談を言うように軽く言い放った男は、腰に下げた異質な刀を抜くと大きく振り上げる。何かを斬るように振り下ろすと、峰に付いた筒から紅の炎が噴き出し、一瞬だが暗い路地を照らした。

 

「俺っちもコイツを試したくてな?生き残るのは少なくなりそうや。」

 

ニヤニヤと笑いながら一歩、また一歩と近付いて来る。部下たちが短銃、クロスボウ、剣を取り出して構えるが、誰も男に向かって攻撃しない。

頭は相手は一人、全員でかかれば勝てるはずだと叫ぶが、今まで培ってきた経験による勘と本能はそうではないと言う。

 

「うわぁぁああ!!!」

 

「やめろ!」

 

男が放つ圧に耐えかねた一人の部下が、男に向かって走り出し、ナイフを思い切り突き出した。静止するがもう遅い、男がどう動こうとナイフを避けることはできない。

一瞬頭に「このまま呆気なく死ぬのでは?」とよぎるが、勿論そうなることはなかった。

ナイフは確かに服を貫いた。だが男の肌に当たると、硬いものに当たったかのように刃が折れて弾かれた。

 

「は?」

 

「害した部位…まぁ両腕でええやろ。」

 

容赦なく銃剣が振るわれたかと思うと、襲いかかった部下の両腕は切断されていた。噴き出す炎で中途半端に焼かれているのか、出血は少なく人の焼ける嫌な臭いがする。

 

「もう一度言うわ。俺っちの、下に、就け。」

 

「…………分かったッ!」

 

ファミリーの誇りと自分の命を天秤にかけ、俺は自分の命を取った。

 

「いい判断やな。こいつら全員連れてくで。」

 

男がそう言うと、自分たちが通ってきた道からぞろぞろと赤い帽子と服を着た者達が現れる。不思議な銃剣を持って構え、乱れのない統一された装備と動きは軍隊を彷彿とさせた。

 

「どこに、連れて行くんだ。」

 

「お前は俺っちの所に、お前の部下は俺っち達の部下が"教育”する。」

 

そう言って笑い、刀を納める男。その姿は到底人間には見えなかった。ただ一匹の猛獣が、獲物ですらない玩具を見つけた、喜びの唸りを上げたようにしか思えない。

 

「これで俺っちも楽になる…暴れられんかったのはちっと残念やけどな。」

 

男の体が薄っすら光り、右手に小さな光の輪ができたように見えた。その手で俺の持つクロスボウを握りしめると、クロスボウは呆気なく捩じ切られる。

背中をバンバン、と強く叩かれ、馴れ馴れしく肩に腕を回す男と目を合わせないよう、下を向きながら大通りに出た。

果たして自分の決断は正しかったのか、今の俺には分からない。

 

 

 





ガンビーノもカポネも好きなんだよなぁ…。
君達オペレーターになる気はないかい?

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