【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら 作:しきょーかい
俺がいない間に荒れる界隈。
対岸の火事すぎて何も言えないの少し寂しい。
とりまアークナイツするか…。
「はっ!そん程度で向かってくるんか!?馬鹿にしとるやろ!!」
「ぐぅっ……!」
力を込めた大振りの一撃は隙だらけだが、虎標弾の推進力で無理やりその隙を埋める。スカルシュレッダーはどうにか両手の発射機で攻撃を逸らそうとするが、子供の力で逸らせるほど軟い一撃ではない。
「スカルシュレッダー!!…ぐッ、こいつら、強い…!」
「……。」
無闇矢鱈に傷付けるようなことをしてはいないが、やはり無礼な者に対して罰を与えられないのはストレスなのだろう。見る限り、推進弾を多めに使っている部下が何人かいた。
「ホイっと…。こんまま撤退するんやったら、少なくとも追撃はせんで。」
迫り合う中、空いた片足でスカルシュレッダーを蹴り飛ばす。吹き飛ぶのが二回目となると、受身を取って立ち上がるのが一回目より早い。
周りが見えているリーダーなら、ここは一度撤退して体制を立ち直すだろう。だが…。
「信じられるか!俺の仲間を、よくも…!」
(ガキは周りが見えとらんからな。)
鼻で笑い、剣に弾丸を装填する。ロドス製の虎標弾は従来の虎標弾とほぼ変わらない性能だった。少し推進力が足りない気もするが、この程度なら許容範囲内だろう。
「周りを見ろや。お前が本当に仲間を想うんなら、さっさと全員連れて逃げるやろ。……逃げずに戦うっちゅうなら…お前にとって、仲間はその程度の価値やったっちゅう事やな。」
朴刀を地面に叩きつけ、最終通告を言い渡す。これ以上向かってくるのなら、多少死人が出たとしても仕方がないことだろう。ロドスが何か言ったとしても、相手がレユニオン幹部なら黙らせることができる。
「スカルシュレッダー!俺達はいい、だから、お前はミーシャの所に行け!」
「……クソッ!」
部下に拘束されたレユニオン兵が叫ぶが、スカルシュレッダーはガスマスク越しにそう吐き捨てて身を翻した。部下に手で指示し、拘束を解かせる。
負傷したレユニオン兵達が互いに互いを支えながら、スラム街の奥へと逃げていくのを眺めていると、列の最後を歩くスカルシュレッダーが最後に呟くのが分かった。
「……次は、ない。」
「それは俺っちの台詞やろ。」
その言葉を聞き漏らす事なく拾ったレイホンがそう言い返すと、何も言い返すことなく去っていった。
カチィン。ベルトに装着している虎標弾が一発地面に落ち、高い音を響かせる。
それを丁寧に拾った猫耳の生えた少女は、レイホンに向けて両手で差し出した。
「すまんな。」
ワシワシと帽子越しに頭を乱暴に撫でると、少女は満面の笑みを浮かべて下がっていった。彼女のアーツユニットも含めそこそこの出費だったが、全く良い拾い物をしたものだと思う。
さて、ここからどうすべきか。ロドスと合流してもいいが、撤退しているレユニオンを追跡し、この龍門に巣食っているレユニオンを一網打尽にしてもいい。
(まぁ、部下をロドスんとこ行かせて俺っちが追えばええか。)
「お前らはロドスと合流しろ、俺っちはあいつらを追うわ。」
———
「はぁ…?こん数がいるのに近衛局は動かんかったのか?」
道中別れたスカルシュレッダー以外のレユニオンを追跡し、大量のレユニオンが集まる採掘場跡を発見することができた。道中何度か見つかったが、目撃者は全て黙らせてきた。気休め程度だが、今はレユニオン達が被るボロボロの仮面を装着している。
野ざらしの荒野にこれだけの数が集まっているのを見るに、龍門の中に潜んでいた感染者も取り込んでいるだろう。
よく見れば、何故かロドスと共に行ったはずのミーシャが白髪に赤のメッシュ、二本の角と尾を生やしたサルカズの女性…Wと一緒にいる事が分かった。
さらにそこへスカルシュレッダーが合流する。何やらミーシャと会話しているようだが、ここからではよく聞き取れない。聞き取ろうとこれ以上近付けば、Wを初めとするサルカズの傭兵に限らず、レユニオンの構成員にすらバレるだろう。
懐にシガーと一緒に入れていた通信機が震える。
『レイホンさん、聞こえますか?こちらアーミヤです。』
「おう、聞こえとるで。もうちょい静かにしてくれると助かるわ。」
通信先はロドスだった。既にレユニオン兵には薄々気付かれているが、もう少し声のトーンを下げるよう伝える。
『ミーシャさんの身柄がレユニオンに奪われました。レイホンさんにはその追跡をお願いしたく…。』
「そんなら俺っちの目の前やな。無理やり奪うんやったらできるで。」
レイホンが本気を出せばミーシャ、スカルシュレッダー、Wの下まで行くのは容易い。レイホンの足を止められる重装歩兵、サルカズ傭兵はまばらになっており、ミーシャを盾にすれば撤退することは容易だろう。ただ、スカルシュレッダーと話しているミーシャを見る限り、確実に抵抗される事は確かだ。
『…いえ、場所を教えてもらうだけで結構です。ミーシャさんとは、私が話します。』
「龍門の外れ、採掘場の跡。俺っちはそっちに合流するわ。」
『はい。レイホンさんも気を付けて。』
通信が切れ、ロドスの方へ向かおうとする前にもう一度ミーシャたちの方を確認する。話し合いが多少ヒートアップしているようだが、レユニオン達にミーシャを傷付ける気は無さそうだ。身を翻し、撤退しようとすると目の端に白い髪が見えたような気がした。
背中に何か冷たい物がくっつく。
「はぁ〜い、久しぶり。チェルノボーグ以来かしら?」
「…言うて四日しか経っとらんやろ。」
背中から聞こえてくる声は、Wのものだった。今はまだ遠いが、背後から更に複数の足音が近付いてくるのが分かる。恐らくWの部下であるサルカズの傭兵のものだろう。
「アンタには色々と邪魔されてきたからねぇ?ま、アンタもスカルシュレッダーを見逃してくれたようだし、私もアンタを見逃してあげるわ。」
「そんなら、この背中に付いてるモン取ってくれんか?」
「あら、ダメよ。」
見逃すという割には背中に付けられた、恐らく爆弾は取ってくれないようだ。下手に刺激して起爆されてはたまらないので、銃剣に伸ばした手をそっと戻す。Wはレイホンから一定の距離を保ち、一撃で仕留められる範囲には決して入ってこない。
「ロドスの奴らには…ウサギちゃんとドクターにはよろしく言っといてくれる?……じゃ、バァーン!!!」
コートを脱ぎ捨て、全力で
爆音に寄せられ集まってくるレユニオンが土煙で見失っているうちに、空を舞うコートを掴み全速力で走り抜ける。
コートの一部は焦げ付いていたが、穴は空いていなかった。この世界では作ることのできないであろう、特殊な生地を使ったコートが無事で安心する。
(今回は見逃したるわ…本当やったら全面戦争もんやからな!)
Wの「見逃してあげる」という、Wの方が上であると受け取ることができる発言に苛立ち、心の中で自分が見逃してやっているのだと叫ぶ。依頼を全部放り投げて、部下たちを全員集合させて叩き潰したい気持ちを必死に抑え、ロドスの方へ走っていくのだった。
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土煙が晴れた頃には、既にあの男…レイホンの姿はなかった。
「…W。敵か?」
「ええ、まぁ、私にかかれば一発ってところね。」
スカルシュレッダーが姉との会話を中断し、両手に発射機を持ってこちらに向かってくる。
そんなに大事な大事な物なら、こんな所で止まってる暇なんてないでしょうに。
「俺は…絶対にミーシャを守ってみせる。」
「はいはい、何度も聞いたわよその台詞。守りたいなら守ればいいじゃない。」
ミーシャっていうガキを狙う組織はロドス、近衛局、BSW、ペンギン急便…そしてレイホンとやらが率いる親指。
この中で最も危険なのはアーミヤのいるロドスと近衛局。けど、最も異常なのは親指だ。
最後に見たのが四日前のチェルノボーグ、その間に龍門のスラム街の半分、龍門の象徴である近衛局ビルを取り締まるまでに昇り詰めたその勢いは尋常じゃない。
さっきも、嫌な予感がヒシヒシと伝わってきたから間合いを大きめに取ったけど、それで正解だったと思う。この開けた場所から見えない程遠くまで移動できるなら、もう少し近付いていたら危なかっただろう。
「…まぁ、負けはしないけどね。」
「?」
「独り言よ、気にする必要はないわ。」
ロドスの方に就いたのなら、また会うことになるだろう。心配するようにこちらを見ているミーシャを見てニヤッ、と笑顔を浮かべる。すると顔を青ざめさせて目を逸らす。
「ミーシャ?顔色が悪いぞ、どうした?」
「ううん、大丈夫だから。」
何がいけなかったのかしら?不思議な子ね。
何も無い、枯れた草木だけが生える荒野を見てそう考えるのだった。
うちのロドスにはWもウィシャデルもいないです。
雑にソーンズ投げて終わりでよくない?