【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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文字数が増えていく…切のいい終わり方ができねぇ…。
あ、今回は会話多めです。
もういっそ6000字くらいにして纏めるか?



第19話

 

 

ロドスと合流すると、アーミヤとドクターが知らない人物に囲まれていた。知らない人物達が仲良くロドスのオペレーターと話しているのを見るに、ドクターが最近雇用したというオペレーターだろう。

褐色肌の異様な片手剣を持った少年や、先に円状のものが付いた杖を持ったヴァルポ、よく見るとフェンもいる。辺りを見る限り、他の行動予備隊A1の人員はいないようだ。

 

「…あ!レイホンさん、ご無事で何よりです。」

 

「一応背中を爆破されたんやけどな、無事に見えたんなら何よりや。」

 

レイホンの無事を喜ぶアーミヤに対し、少し嫌味を込めて言い返す。部下が推進弾を過剰に使ってストレスを発散していたように、自分も猛虎標弾を使って暴れ回りたい気分で一杯だ。それほど、自分が下に見られたことは屈辱だった。

 

「え!?あ、すみません!!今すぐに治療を———」

 

「すまんな。でも必要ないわ、コートが焦げたくらいで傷一つないで。」

 

アーミヤからの治療の誘いを断り、人の集まる方を見る。

BSWのリスカム、フランカ。ペンギン急便のテキサス、エクシア。龍門近衛局のチェン、ホシグマ。そして他多数のオペレーターの中心になっている、全身コートにフードとバイザーを装備した明らかな不審者——ドクターの方へ歩いていく。

 

「君は……アーミヤから聞いている、自由に話してもらって構わない。呼ぶときはドクターでいい、今回はよろしく頼む。」

 

「親指のレイホンや。臨時やけどよろしく頼むで、ドクター。」

 

「レイホン。君にはお礼を言いたかったんだ。…私を助けようとしたロドスに協力してくれて、どうもありがとう。」

 

「俺っちは報酬があったから協力しただけやけどな。」

 

「それでもだ。私は君が、無事に生きていることが嬉しい。」

 

差し出された右手を取り、握手をする。それで挨拶は終わりかと思ったが、ドクターからは思ったよりも感謝されていることを知って驚く。

上下を弁えない行動をされたならまだしも、感謝をされて悪い気はしない。

 

「…まぁ、後で詳しく礼は聞くわ。それよりも、来るで。」

 

レイホンが撤退してきた方を見ると、複数のレユニオン兵と、その中に混じる恐らくWの部下であろうサルカズ傭兵の姿が確認できた。ドクターは小さな端末を取り出し、ドローンを数機空に飛ばす。

 

「ドクター。」

 

「ああ、分かってる。…総員、戦闘準備。レイホンも、私の指示に従ってもらう。」

 

その言葉にコクリと頷き、全弾装填された朴刀を腰から抜く。その瞬間、ロドスのオペレーター達が少しざわめいた気がした。

ロドスで模擬戦をしたときのドクターの指揮は素晴らしいものだった。これほどの指揮官の下で動けるのならどれほど楽だろうか、そう考えながらも自分をうまく使ってくれることを確信して笑みを浮かべるのだった。

 

 

———

 

 

ドサッ。

最後の一人が斬り伏せられ、他のレユニオン兵は倒れているか撤退した。空になった弾倉に虎標弾を装填する。

空に浮かぶ偵察用ドローンがドクターの下に戻っていき、通信機からは『戦闘終了。皆お疲れ様。』とドクターからの労いの言葉が届く。

 

(それにしても…見事な采配やったな。)

 

レイホンを出撃させる瞬間、レイホンを配置させる場所、虎標弾を使用するべき相手…その全てが正解だった。レイホンが動こうとするよりも早く、ドクターの指示が飛んでくる。

目の前の相手に完全に集中していたとしても、ドクターの指揮下では一切の問題がないだろう。

記憶を失う前はこの指揮能力に、医者としての知識を兼ね備えていたということだ。戦闘能力が皆無だとは言え、多数のオペレータが彼を守る為、彼の指揮下で戦うということを考えると恐ろしい。

 

 

ボコリ。

 

レイホンがその音に気付くことができたのは、勝利の余韻に浸る程の相手ではなかったからだった。

 

「これで……終わりだ!」

 

ドクターの下へ戻ろうとした瞬間、地面から見覚えのあるガスマスクを付けた子供(スカルシュレッダー)が飛び出てくるのが見えた。

ドクターの周囲にはアーミヤしかおらず、自爆でもするのか、赤く光り始めている何かを持っているのが遠目で分かった。あの距離では自爆を防ぐことはできないだろうし、榴弾を普通に放ったとしても防ぐことはできないだろう。

だが、この距離なら、自分なら(シン)を纏って強化すればスカルシュレッダーに届く距離でもある。

 

「…チッ! 報酬には色付けて貰わんと割に合わんわ!」

 

あの猫(ケルシー)の澄まし顔を歪ませる程の報酬を請求してやる、そう心に誓って足腰を重点的に強化し、スカルシュレッダーへ体当たりするか、もしくは蹴り飛ばすかと考える。

朴刀が抜き身のままで駆け出していたため、剣で両腕を斬り裂くなりしての無力化も選択肢の中に入れる。

 

「やめて…!ドクターを、傷付けないで……!」

 

そのせいで、意識から外れていたアーミヤへの反応が遅れた。

アーミヤから放たれる、黒色のアーツ。それはスカルシュレッダーの体を貫かんと高速で宙を切る。

 

(は!?何かあるんやったら言えや!)

 

駆け出したレイホンの体は止まらず、そのままスカルシュレッダーの華奢な体を空に吹き飛ばすほどの体当たりを行った。そして、黒色のアーツはスカルシュレッダーがいた場所…レイホンが硬直している場所目掛けて一直線に飛んでいく。

 

抜き身のままでいた愛刀(天退星刀)の刃で攻撃を逸らすように構える。もし納刀していたら間に合わなかった、そう思うほどの速度で向かってきていた。

 

ギャリリィィィィン!!!!!

 

迷わずに虎標弾を全弾消費する。アーツとぶつかり合う時の音は、パトリオットの戦槍との衝突、それ以上を思わせるほどよく響いた。

 

「グッ!…………タァッ!!!」

 

(こんな力あるんやったらはよ言えや!)

 

力任せではなく、上手く逸らすことのできたアーツは空高く飛んでいく。アーミヤの方を見ると、先程の攻撃で力を出し切ったと言わんばかりに疲弊しているのが分かる。

ドクターの方を見ると、ドクターはレイホンを挟んで対角線上に吹き飛んだスカルシュレッダー、そのような配置になるように回り込んでいた。

どうやら自分の安全を確保するのにも長けているらしい。

 

「まただ、また、お前は俺の、レユニオンの邪魔をする…!」

 

「そんなら俺っちに邪魔されないような力と地位を手に入れるんやな!」

 

立ち上がるスカルシュレッダーは爆弾を放り投げ、こちらに向き直り構える。邪魔をするなと叫ぶスカルシュレッダーは、発射機に榴弾を込めると迷いなく放った。それを弾き飛ばし、距離を詰めて下から上へ斬り上げる。

体に斜めの傷が入り、血が吹き出す。

 

「グアッ…! グフ、ゲホッ…。 俺は、ここまでなのか…!?」

 

「馬鹿言え、そんくらいで死ぬわけ無いやろ。死なない程度に斬り裂くんは慣れとるからなぁ。」

 

前のめりに血を吹き出して倒れるスカルシュレッダー。勝手に死を覚悟しているが、手応えからして放っておけば死ぬだろうが、この世界の治療を行えば死ぬことはない。

 

「さっさ武装解除して治療してやれや。」

 

「えぇ…治療オペレーターの皆さんは、彼の治療をお願いします!」

 

その場にいる全員がドクターの無事と、相手を殺さずに済んだことに安堵を覚える。

アーミヤの指示に従いスカルシュレッダーの治療がその場で始まり、装備が無造作に地面に置かれていく。

ロドスを、その様子を見ていたレユニオンと少女は安堵ではない感情を抱いていたが。

スカルシュレッダーより強い者が、その武器でスカルシュレッダーを切り裂いた。血を吹き出して倒れ伏す。その事実はレユニオン達に勘違いさせるには十分な事実すぎた。

 

「スカルシュレッダー!よくも、スカルシュレッダーを!」

 

「ロドスの奴ら、やりやがった!」

 

「感染者を救うだと!?どの口が…ふざけやがって…!」

 

「ス、スカルシュレッダーさんはまだ生きています!」

 

撤退しようとしていたレユニオン兵がただ怒りのままに叫び、怒りのままにこちらへ向かってくる。それを見て、まだ疲れが顔に現れていアーミヤが立ち上がり叫ぶ。怒りの、恨みの前に、言葉ほど虚しいものはないというのに。

 

「ドクター、指揮を頼んでもええか。」

 

背後でその様子を淡々と見ていたドクターに話しかける。ドクターはコクリと頷くと、先程着陸させたばかりのドローンを飛ばし、端末を操作し始める。

レユニオンをどうにか止めなければならない。そう思って指示する。

 

「はいは〜い。また会ったわね。」

 

ドゴン!

 

地面ごと吹き飛ばす爆発。土煙が辺り一帯を覆うが、声のした方へ、気配のある方へ向かって剣を横に一閃する。

横に振られた剣を飛び台に、レイホンを超えてスカルシュレッダーの方へと飛び去っていくWに向けて、もう一度斬りかかろうとして、既に届かない範囲まで逃げたのを確認したため諦める。

 

「ああ、そうそう。これ渡しに来たんだったわ。ウサギちゃん、あなたの話したい子がいるらしいわよ?」

 

アーミヤに向けて携帯電話らしきものを放り投げると、ロドスの医療オペレーターを散らしてスカルシュレッダーの体を持ち去っていく。治療の途中で完全に止血しきっていないのを見るに、あのまま持ち去られたら手遅れになり死ぬだろう。

 

「待ってください!彼の治療はまだ———!!!」

 

「残念ね、レユニオンの皆さんはこの子を取り戻すことの方が大事らしいわよ。」

 

そう言ったWは煙幕を張ると、煙幕が晴れた頃には迫りくるレユニオンの奥にいた。その腕の中に血まみれのスカルシュレッダーを抱いて。

 

「スカルシュレッダー……くッ。……ありがとう、W。」

 

「礼なんていいわよ、行動で示してね。こいつはどうすればいいの?」

 

「ミーシャの下に持っていってくれ。酷かもしれないがその方が、スカルシュレッダーにとっていいだろうから。…それと。」

 

「どうせミーシャを守ってくれ…とかでしょ。分かってるっての。」

 

「ありがとうW…俺達は行く。後は任せたぞ。」

 

「期待はしてないけど、そっちもね。」

 

レイホンの耳には全てが聞こえていた。勿論耳の良い種族なら全員聞こえていただろう。

仮面越しでも分かるほど、その目に覚悟を滲ませたレユニオン兵はそれぞれの武器を構えてこちらに向かってくる。

 

「済まないが皆、もう一度頼む。戦闘準備。」

 

ドクターの指示とともに、戦いが始まった。

 

 






ノーパソじゃリンバスキツいっすわ。
これWin10じゃねぇか!!!(大声)
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