【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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だから、文字数が増えていくんですよ。
平均3000文字の読みやすい量を心がけてるんですよ。

あ、黒獣酉筆頭、黒獣未は出ませんでした。シーズン1チケは握ファウ2人でした。




第22話

 

 

スカルシュレッダーとの交戦から数日。レイホンは暇だった。

鼠王から許された範囲の統治も順調で、特に異常はない。外から新しくやってきたマフィアや、既に親指に吸収された組織と繋がっていた薬物を売買する組織がいたが、全て鼠王と親指の名の下に処罰を行ったので問題はないだろう。

少し前は愛刀(天退星刀)の手入れをする暇もなかったのに、今は磨きすぎて刃が無くなる心配をしたほうがいい程暇だ。

 

ケルシーとの約束通り、例の戦闘記録は全て消去された。更にロドスからの報酬で、都市にはないあるものを手に入れることができた。大きすぎるため龍門には持ち込めず、今はロドスに預けている。

ロドスからの依頼は、ドクターまたはアーミヤの二名を通してのみ行うことにした。

正直言って、あの猫(ケルシー)の顔を見たいとは思わない。あの無表情が苦痛に歪む所を見れるのなら、大金を払う気があると答えるくらいは嫌いだ。元はと言えば、完全に油断していた自分のせいなのだが。

 

暇になった今、やることと言えばロドスから送られてくる弾丸の分配、ロドスとの依頼の処理、ホシグマと酒を呑むくらいしかない。楽しみといえるのは後の二つくらいだ。

レイホンは今、ロドスから得られる依頼ついでに預けているものを見ることと、ドクターと少し話をするためにロドスに来ている。

巨大なロドス艦内を歩いていると、オペレーターと廊下ですれ違うたび一礼される。

ロドスにも自分の存在が知れ渡っているのか?と不思議に思いつつ、ドクターの執務室へ向かう。

 

「あかん、迷ったわ。」

 

迷子になった。近くのオペレーターに道を聞こうと思ったが、周囲を見回しても人影は見当たらない。

最近も似たようなことがあった気がする。よく分からない所を歩いていると、医務室と書かれた部屋からケルシーが出てきた。

 

「……。」

 

「…。」

 

互いに言葉を発することなく、ケルシーは何も言わずに去っていった。

医務室には近付かないようにしようと心に決めた時、医務室からアーミヤが出てきた。

 

「あ、レイホンさん。ドクターに会いに来たんですよね、案内します。」

 

そう言って先導するアーミヤの姿を見ると黒獣の筆頭が頭に浮かび、そこから繋がるようにジア・チォウの姿が浮かび上がる。これだけはどうしても消えることはないだろう。アーミヤには悪いが、そういうものだ。

 

「……レイホンさん。私に対して、敬意を払う必要はありませんよ?…私は一人じゃ誰一人救えない、無力な人間ですから。」

 

突然口を開いたかと思えば、やけに憂鬱そうな表情で呟くアーミヤ。スカルシュレッダーとの件を引きずっているのだろう。全ては彼女が選んだ道、ぶつかり合った結果があれだ、後悔はないだろう。

 

「俺っちより上の立場やと、他の誰でもない"俺”が決めたんや。俺っちが間違っとると言いたいんか?…そして、俺っち(親指)に規律に反しろっちゅうのは無理な話や。」

 

「まぁ、俺っちはそこまで縛られとらんがな。」と続けながらアーミヤの頭から生える耳の付け根をグリグリとほぐすように撫でる。名無しのフェリーン…部下からはセコンドと呼ばれた少女で分かった事だが、頭から耳を生やしている種族は耳の付け根辺りが凝るらしい。

アーミヤでも試してみたが、撫でられている間はじっとしていたため、嫌ではないのだろう。

 

「そういう意味で言ったわけでは…。」

 

「そんじゃあ俺っちの判断が間違ってないって証明せいや、できんのか?」

 

「いえ、できます。やり遂げて、みせます。…落ち込んでる暇はありません。」

 

前を見るその両目には、光が宿っていた。ロドスの掲げる大層な理想を背負うにはあまりにも小さい身体だが、簡単に壊れることはなさそうだと思う。

 

「そうや、お前らんとこのオペレーターが俺っちに礼をするんやけど、誰か教えたんか?」

 

「それなら多分、この影響かと…。」

 

ドクターの執務室へ向かいながらアーミヤに問いかける。レイホンの記憶が確かなら、スカルシュレッダーと戦った時、レイホンが銃剣を振るうと一部のオペレーター達がざわめいた。

ロドスの中でレイホンを知っている者はいないわけではないが、少ない。

不思議に思って尋ねると、アーミヤが服を弄り取り出した一台の端末。アーミヤがそれを操作すると、それはある映像を流し始めた。

 

『このクソ熱い中で霧やと…?』

 

チェルノボーグでロドスのドクター救出作戦に協力した時、スカルシュレッダーやクラウンスレイヤーと交戦したものが撮られていた。倍速で流すと、レイホンがパトリオット、フロストノヴァに名乗りを上げ、タルラの問いに答えた所まで録画されていることが分かる。

 

「その…対レユニオンの貴重な戦闘記録として流れたのですが、レイホンさんの腕前はロドスの皆さんに興味を抱かせるには十分だったようで…。」

 

申し訳なさそうに笑いながら言うアーミヤ。なるほど、納得した。

この二人に対しては小指としての名乗りは上げていないため、消す必要はないだろう。それどころか、反抗心の残っている新入り達に見せてやるため持ち帰りたいくらいだ。

 

「何より、感染者と非感染者も同じ人間だって答え…。咄嗟に出た嘘だって言う人もいましたが、少なくとも私にはそうは見えなかったんです。」

 

何かを懐かしむように、窓から荒野を眺めるアーミヤの顔が窓に反射して見える。

 

(ジア家のボンボンとはちゃうな。)

 

レイホンがそう思ったように、ジア・バオユが常に貼り付けていたような上っ面の笑顔ではなく、他人を想い、支えようとする慈愛が込められている笑み。

慈愛など、都市ではレイホンの知る限り存在しない。あるのは慈愛を騙り人を殺す何かだ。

 

(そりゃ、こんだけの奴が従うのも分かるわ。)

 

この少女が、この大地(テラ)で何を成すのか。先を知りたい、支えたい。その気持ちだけで従う者達が集まり、その願いを継いで行くのだろう。もしかしたら、アーミヤも願いを継いだ者の一人なのかもしれない。

 

(なんか俺っちらしくないな、暇すぎて甘なったか?)

 

「あ、ここがドクターの執務室です。……ドクター、レイホンさんがお見えです。」

 

コンコンコンとノックし、ドアを開けて中に入るアーミヤに続いて入室する。部屋の中は至ってシンプルで、小洒落たものは何一つない。

真っ直ぐ進めば、部屋の中央に置かれた机に向かってドクターが作業していた。

 

「あぁ、レイホン。取り敢えずそこにでも座っててくれ。机の上に置いてあるものは自由にして構わない。これで一段落するから…少し待ってくれ。」

 

ドクターはレイホンの姿を見ると、そう言って直ぐに書類に向き直る。

機械を使えば早くなるのではと思ったが、重要な情報は大概口頭か書類だったので、全て重要な書類なのだろう。

 

「ドクター、これはケルシー先生からです。」

 

アーミヤが更に書類を積み重ね、また少し山が大きくなった。この量を一人で処理し切るのは大変だろうと思い、労いの言葉をかける。

 

「ロドスのトップも大変やな。」

 

「はは…これも私がしなければいけない仕事だから。親指の方も大変じゃない?」

 

「いんや?そんでもないで?暇すぎて辛いくらいや。」

 

「…それは、羨ましいね。」

 

そうポツリと呟いたドクターは書類を立て、トントンと整えた。

ペンを置き、椅子から立ち上がり大きく伸びをするとドクターの身体からゴキゴキと鈍い音が聞こえる。

 

「はぁ…。今回君を呼んだのは、龍門の近くで見つかったチェルノボーグの一部とされる廃都市の偵察、それを親指に行って貰うためだ。」

 

「ロドスは向かわないんか?」

 

机の上に置かれた茶菓子の包装を開け、ドクターへ差し出しながら問う。恐らく近衛局からの依頼だろう、親指の下にも似たような依頼が来ようとしていたというのを部下から聞いている。鼠王曰く「胡散臭い」との事で、その依頼は取り下げられてしまったが。

 

「最近、ロドスもやることが多すぎて手が回らない。更に龍門弊も物資も足りないからそれを集める時間が欲しい。」

 

「俺っちの部下を何人か送るで、それでええか?」

 

「ああ、できれば君にも行ってほしいが…。」

 

「偵察に俺っちが行くんはちゃうやろ。…カポんII(セコンド)三、ソルダート十五の三小隊でええか?」

 

レイホンから差し出された茶菓子を受け取り、バイザーを上げて食べるドクター。

それを飲み込むと直ぐにバイザーを下ろし、コクリと頷く。

 

「レイホンさん、報酬については後ほど。…ドクター?まだ仕事が残ってるんですから、もう少し急いでください。」

 

「分かったよ。レイホン、これが依頼内容を纏めた書類だ、よろしく頼む。」

 

書類を受け取り、アーミヤに机へ引きずられていくドクターを背中に手をヒラヒラと振って返す。

書類を見る限りレユニオンが潜伏している可能性が高そうだが、都市から共にやってきた親指とそこそこ優秀な猫なら大丈夫だろう。

 

「レイホンさん、ロドスのオペレーター達と模擬戦を行ってみるのはどうでしょうか。この時間なら色んな方が修練してるかと。」

 

「おもろそうやな、ちぃと寄ってくか。」

 

「それなら私が指揮を 「ドクターは仕事を終わらせてください」 …分かってる。」

 

後ろで漫才でもしているのかと思いつつ、道行くオペレーター達に道を聞きながら訓練所を目指して歩き始めるのだった。

 

 

 

———

 

 

 

部下を送り数時間後、突然部下から連絡が来た。

 

「おーおー好き勝手やっとんなぁ、まさかこない所にレユニオンの幹部が三人もいるなんてな?強いやつおったら連絡せえって言っといて正解やったわ。」

 

「レイホン…それと、ロドスもか。」

 

レユニオン幹部二名と交戦。その連絡が来たとき、レイホンはロドスで模擬戦を行っていた。そのためロドスと共に移動でき、廃都市まで高速で移動することができた。辺りに転がる霜の貼った部下を足で転がせば、うめき声が聞こえるので死んではいないのだろう。

龍門の方も何やら動いているらしいが、そちらは部下達に任せる。

 

「覚えてくれとって嬉しいわ、あんときは戦えとらんからなぁ…。」

 

虎標弾が装填された銃剣を振るう。

 

ガシャン!

 

極寒の中紅の炎が吹き出し、叩きつけた地面の氷が割れる。

レイホンの目の前にいるのはフロストノヴァのみ、隣にいる子供(メフィスト)など範疇にない。

部下たちを戦闘の邪魔にならないようロドスの方へ蹴り飛ばす。

 

「…もう少し丁寧に扱ったらどうだ。」

 

「大事の前に起こる些事に構うんか?随分余裕やな。……一撃ブチかますさかい、日和って逃げんなや!」

 

「ッ!!お前ら、僕を守れッッ!!!」

 

「姐さんを守れぇっ!!!」

 

右肩の横に剣を構えて低く屈めば、天退星刀の全ての銃口から炎が吹き出し、勢いを抑えるレイホンの体が震える。

薄っすらと柔らかな光と、燃えたぎる赤の光を体に纏い、愛刀には一つの光の輪がつく。

その姿を見た瞬間、メフィストが周りのレユニオン兵に指示を下し自分たちの周囲を囲おうとしたが、既にレイホンは勢いに乗って跳躍していた。

 

 

「テェァッ!!!」

 

ドガァァァン!!!!!

 

 

フロストノヴァを殺す気で大きく斜めに振り下ろした剣は、フロストノヴァの部下が彼女を抱え間一髪で逸れたためそのまま地面にぶつかる。

全弾を消費し、爆音を鳴らしたその一撃は辺りを包む冷気を吹き飛ばし、レイホンを中心に放たれる熱気と衝撃は敵味方問わず後ろに下がらせるほどだった。

 

「どや、これでちったぁ暖まったやろ。俺っちを楽しませてくれや!」

 

 





4500字は俺も書くのキツいっす。
でもキリが良いところまで進めたいから伸びてしまう。

アークナイツ4,5,6は時系列複雑すぎてスマホが手放せない。アニメおもろ…。
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