【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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ちょっとしたサプライズ。
良い事があったわけではないけど、たまにはね?




幕間 聴こえる者、聴こえた者

 

 

「制圧しろ、レッド。来い、Mon3tr。」

 

「分かった。」

 

「(軽快な鳴き声)」

 

濃霧が辺りを包む中、私に向かって攻撃してくるレユニオン兵をレッドと共に制圧する。

いくら霧が濃くても、私の感覚を阻害することはできない。

斬りかかるレユニオン兵を打ちのめすMon3trを眺めていると、声が聞こえた。

 

【■■■■■■■■■?】

 

「あぁ、私はもう迷わない。私のするべき事は…。」

 

歩兵だろうと、重装兵だろうと、狙撃兵だろうと、術師だろうと…立ち塞がるものは排除する。その一歩として、目の前にいるこいつらを全員——。

Mon3trに指示を下そうとして気付く。

 

「ッ!?私は、今、何を…?」

 

「(悲痛なうめき声)」

 

あのまま指示を下していたら、確実にこの場にいるレユニオン全員を殺していた。

イリヤの娘であるリュドミラを含め、全員を殺す気でいた事に驚く。

 

「どうした!化物を出したかと思えば、罪悪感で動けなくなったか!?この裏切り者が!」

 

「くッ…レッド、リュドミラを…クラウンスレイヤーを抑えろ。…戻れ、Mon3tr」

 

Mon3trを戻し、レッドにリュドミラを拘束するように指示する。辺りのレユニオン兵は既に分断されており、相手になるような者はいないだろう。

本来ならMon3trは過剰戦力すぎる。私だけでも十分だ。

濃霧…正しくは、煙の中でリュドミラとレッドが争う音が聞こえる。

 

【■■、■■。】

 

「…静かにしていろ。」

 

「捕まえた。…ケルシー、大丈夫?」

 

レッドの心配に「問題ない」と返す。まだ頭の奥が痛む。

組み伏せられたリュドミラを見て、先程の殺意が湧き出ないことを確認し安心する。

声による精神的異常は、日に日に強くなってきている。

他のオペレーターに頼んだ精神調査では何も問題はなかったが、自分では今の自分にとてつもない違和感を覚える。まるで、自分ではない誰かの意志が混ざり込んでいるかのようだ。

しかもそれは相容れない存在なのか、声が聞こえるたびに激痛が走る。

だが、これから話すことには関係ないだろう。

 

「…リュドミラ、たまたま私は逃げ延びただけだ———。」

 

彼女が消えるまで、殺意は湧き出なかった。声も、聞こえなかった。

 

 

===

 

 

「お別れだ、イーノ。」

 

「サーシャ!?待って、僕を置いていかないでよ!!サーシャ!!」

 

路地から足音を残して消えたサーシャの方を眺める。

体に力が入らない、膝をつき、項垂れ、もう目の焦点も合わない。あぁ、これは涙のせいか。

思考が滅裂になる。いや、もしかしたら思考の繋がりなんてあってないような物だったのかもしれない。

 

どうして。僕は、僕はただ…。

何か間違ったのか?僕がサーシャの言うことを聞かずに、行動したから?

僕が君の言うことに従っていれば、君を失わずに済んだのか?

 

『お前に本当にやりたいことが見つかったなら、俺は…お前が何を選ぼうと責めはしない。』

『もしそんな日が来れば……メフィスト、それはきっと素晴らしいことだ。』

 

分からない。なぜ君は笑って僕を置いていくんだ。

分からない。サーシャ、君がいないと、僕は何も信じられなくなってしまう。

君が僕を救ってくれたんだ。君がいなければ、タルラ姉さんを信じることもなかった。

君が本気で言うのなら、僕は彼女を信頼することはなかったよ。

 

「分からない、僕は、僕は何をすればいいんだ、サーシャ…。」

 

自問自答をしても、答えは見つからない。君の言っていた、「生きろ」という言葉に従ったほうが良いのか?君のいない世界で生きた所で、一体何になるというのだろう。分からない。

君は言ったよね、生きたところで何も良いことはないって。でも、僕は君が一緒に生きてくれるなら、この地獄みたいな世界でも生きていこうって思えたんだよ。

 

分からない。

自分の体を抱えて移動する、サーシャの部下の狙撃兵たち。

分からない。

彼らが僕をどこへ連れて行くのか。チェルノボーグには行かないだろう。

分からない。

ただ、サーシャの遺したアーツが切れる前に迅速に移動する。

分からない。

バシュシュシュ!!!遠くで大量の矢が放たれる音がした。いつもの砲撃音は聞こえない。

分からない。

金属がぶつかり合う音が聞こえた気もしたが、どうせ気のせいだろう。

分からない。

何故彼らは、空に向かって起爆矢を放つのか。

分からない。

何故彼らは涙を流しているのか。

分からない。

何故、僕は泣いているのか。

分からない。

何故、僕は叫ぼうとしているのか。

分からない。

何故、僕の心は空っぽなのか。

分からない。

分からない。

分からない。

分からない。

分からない。

分からない。

分からない。

分からない。

分からない。

分からない。

 

「分からないんだ、教えてよ…誰か…。」

 

【悲しそうに叫ぶ貴方は、一体何を知りたいの?】

 

何も無いところから、暖かい声が聞こえた。

 

 






大体投稿する前に友達に軽く見せてるんですよ。
なんか今回は人の心を疑われた、バベルで泣かなかったお前に返したいその言葉。


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