【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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短めです。だって6~7の繋ぎだもの
シーズン6ラストの人格なんだと思います?
俺は黒獣-猫-イシュメールに全狂気(有償230と無償398)を賭けるぜ!



第31話

 

 

膝をつき、前のめりに倒れるフロストノヴァに向かってドクターが走り、その体を横たえる。

ジュ…と熱した鉄に水をかけた時と同じような音がした。

 

「フロストノヴァ。」

 

「なんだ、ドクター。お前達は…ゴホッ。価値あることを成せ。何でも良い、死に往く者にこれ以上時間を浪費してはならない。」

 

今も凍った脇腹の傷口を押さえ、ゆっくりと立ち上がる。ずっと咥えていたシガーは解凍されたのか、湿っている上にしなびていた。

ドクターはフロストノヴァを膝の上に載せ、首を腕で支える。

 

「もし君が良ければだが…今からでも、ロドスに入らないか?」

 

「……それが、何に…。いや、私は負けたんだ、大人しく勝者に…ゴホッゴホッ……従うとしよう…。」

 

咳き込むフロストノヴァの口からは、黒い血が吐き出された。白色のコートが赤黒く染まる。

 

「私もロドスの一員として、お前達と共に歩めるのであれば…。」

 

「俺っちも誘おう思うたんやけどなぁ、先ぃ取られちまったわ。」

 

口に溜まった唾液と血を吐き捨て、しなびたシガーをクルクルと手で回す。

 

「ははは…。今までの、無礼を詫びよう。」

 

笑う声には力が入っておらず、かすれた息の音が聞こえる。こうなる事を分かっていて行動した事に、敬意を払い尋ねる。

 

「ロドスに入ったんやったらもうどうでもええわ。敵対するつもりもない上客やからな。大体、()ろう思うたんなら全員()れたやろ。」

 

「何を言ってるか、わからないな。」

 

「嘘は舌を斬るんやで?」

 

ふざけて天退星刀を構えると、ドクターとフロストノヴァ以外の全員が身構える。直ぐに納めて両手を上げる。ここには冗談も通じない奴らが多過ぎた。

 

「私は…今もなお、この醜悪な大地へ怒りの矛先を向けている。想いを燃料にしたとしても、この感情は無尽蔵に湧き出てくる。」

 

目を閉じて語り始めたフロストノヴァに背を向けて、来た道を眺める。辺りはまだひんやりとしているが、じきに元の気温に戻るだろう。暖かい風が吹いた。

 

「お前達は…その怒りを携えた猛攻を、確かに耐えた。誇るべきことだ。…だからアーミヤ、泣くのをやめろ。」

 

「でも、フロストノヴァさん…。」

 

「お前が泣いたら、後に続く者を不安に陥れる事になる。」

 

この場を去ろうと歩を進めた。ここにいるのはロドスだけでいい。

 

「…待て、ウッ……レイホン。これを持っていくといい。」

 

「待って!そんな事をしたら…!」

 

振り返ると、フロストノヴァの肌から染み出した黒色の結晶が氷と合わさり、一本の黒い短剣が空中にできていた。その顔には苦痛に歪み、ブレイズが制したように彼女にとっていい事ではなさそうだ。

 

「今の…私の力を込めて作った短剣だ。溶けることはない。」

 

空中に浮遊する短剣を受け取り、握りしめた。冷たかったが、氷よりは暖かった。装飾が何も無い短剣の刃を見ると、そこには文字が刻まれていた。

 

「あぁ、まだお前達と話していたいが…。どうやら、別れの…時のようだ。」

 

ドクターが頭を支える腕と反対の腕で彼女の手を握る。既に冷たくないのか、あの音は聞こえなかった。

 

「私は、ロドスと共にある。だからといって、今までの道に後悔があるわけでもない。…その感情は、一番初めに燃やし尽くした。」

 

もう、目は閉じられている。傷口を押さえながら、来た道を戻り始めた。

 

「氷の結晶一粒たりとも後悔はない。あぁ…でも…一つだけ…ゴホッ。心残りがあるとすれば…。」

 

「父さんに、直接謝れていないんだ…。……ごめんなさい。父さん…こんな馬鹿な娘を…許し、て……。」

 

背後から、何かがずり落ちる音が聞こえた。

刃に刻まれていた文字、『義を成す者へ』。鼻で笑う。義など、自分には似合わない。それこそジア・チォウ(天罡星)に相応しい言葉だろう。

 

「…俺っちには重すぎる肩書やなぁ。」

 

死してなお、誇らしげに笑みを湛えているであろう彼女の顔を思いながら、再びしなびたシガーを口に咥える。噛み締めても、冷えた葉から染み出す液体しか出ない。ただ噛み締めた。

 

「……。」

 

「おお、おったんか。……?」

 

緩やかに伸びるスロープを登っていると、猫が前に立っていた。

その手には緑色の液体が入ったアンプルがあり、無言で手渡したかと思うと何処かへ走り去っていった。

 

K社のアンプル。都市から来た部下たちが持っていたのだろうか。取り敢えず、溶け始めて痛みが走る脇腹に打つ。周囲の肉が盛り上がるように傷口を覆い、数秒もすれば傷はなかったかのように元通りになった。

 

(さて…俺っちが行くべき場所はもう一つ…。)

 

 

 

———

 

 

「そこを退け!」

 

「アンタはそういうやつだからこそ!ここは見ちゃダメなんだって!!」

 

「…すまんなぁ、嬢ちゃんら。少し、通らせてもらうで。」

 

龍門の排水システム。黒装束の謎の部隊が戻り、再び出てくる場所。

そこで見覚えのある少女と、見たことのない少女が言い争っている中に割って入る。

 

「あんた!ここから先は———」

 

「通らせてもらうで。邪魔ぁすんなら…。」

 

こちらに向かって叫ぶ少女を殺気を込めて睨みつける。彼女は即座に距離を取り、長い鎖をジャラ、と鳴らした。その隙に駆け出すチェン。

 

「あ!待って!」

 

それを追いかける少女。何処かで見た顔だと思えば、近衛局のNo.2、ベアトリクス・スワイヤーだったか。

近衛局のトップ2が揃い、駆け出していく先へと歩いていく。

 

(……久しぶりやなぁ。)

 

「これは…何のにおいだ?……ッ!!!」

 

都市で何度も嗅いだ匂い、日常の一部に組み込まれている匂い。

二人の少女と見下ろした先には、数え切れない程の死体が積み上げられていた。

絶句して拳を強く握るチェンの手からは、血が流れている。

 

「はは、レユニオンのついでにお掃除っちゅうことやな。一杯食わされたわ。」

 

黒装束達の目的は分かった。帰ろう。もうここには用はない。

ウェン・イェンウの采配には恐れ入る。自らの手を一切汚さず、ここまで綺麗に片付けようとするとは。

積まれた死体の山には、少なくとも近々"処理”する予定だった者の顔しか見当たらない。

関係のない者もいるかもしれないが、"処理”しない一般人の顔など覚えていないためどうでもいい。自分たちは親指という組織であって、中指ではないのだから。

 

(鼠王んとこと…持って帰ったガキに顔出して…ロドスと交渉やな。)

 

強く歯を食いしばるチェンと、それを相手にどうすればいいか分からないスワイヤーを置いていく。怪我と戦闘で疲れた体を動かし、暗い道を歩き始めるのだった。

 

 

 






ちなみに黒獣イシュとか言ったけど最後の最後でシーズン人格来たら普通に発狂します。
手に入れさせる気ないやろそれ
2シーズン待つほどお行儀のいい人と誉れは浜で死にました。

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