【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら 作:しきょーかい
短めです。だって6~7の繋ぎだもの
シーズン6ラストの人格なんだと思います?
俺は黒獣-猫-イシュメールに
膝をつき、前のめりに倒れるフロストノヴァに向かってドクターが走り、その体を横たえる。
ジュ…と熱した鉄に水をかけた時と同じような音がした。
「フロストノヴァ。」
「なんだ、ドクター。お前達は…ゴホッ。価値あることを成せ。何でも良い、死に往く者にこれ以上時間を浪費してはならない。」
今も凍った脇腹の傷口を押さえ、ゆっくりと立ち上がる。ずっと咥えていたシガーは解凍されたのか、湿っている上にしなびていた。
ドクターはフロストノヴァを膝の上に載せ、首を腕で支える。
「もし君が良ければだが…今からでも、ロドスに入らないか?」
「……それが、何に…。いや、私は負けたんだ、大人しく勝者に…ゴホッゴホッ……従うとしよう…。」
咳き込むフロストノヴァの口からは、黒い血が吐き出された。白色のコートが赤黒く染まる。
「私もロドスの一員として、お前達と共に歩めるのであれば…。」
「俺っちも誘おう思うたんやけどなぁ、先ぃ取られちまったわ。」
口に溜まった唾液と血を吐き捨て、しなびたシガーをクルクルと手で回す。
「ははは…。今までの、無礼を詫びよう。」
笑う声には力が入っておらず、かすれた息の音が聞こえる。こうなる事を分かっていて行動した事に、敬意を払い尋ねる。
「ロドスに入ったんやったらもうどうでもええわ。敵対するつもりもない上客やからな。大体、
「何を言ってるか、わからないな。」
「嘘は舌を斬るんやで?」
ふざけて天退星刀を構えると、ドクターとフロストノヴァ以外の全員が身構える。直ぐに納めて両手を上げる。ここには冗談も通じない奴らが多過ぎた。
「私は…今もなお、この醜悪な大地へ怒りの矛先を向けている。想いを燃料にしたとしても、この感情は無尽蔵に湧き出てくる。」
目を閉じて語り始めたフロストノヴァに背を向けて、来た道を眺める。辺りはまだひんやりとしているが、じきに元の気温に戻るだろう。暖かい風が吹いた。
「お前達は…その怒りを携えた猛攻を、確かに耐えた。誇るべきことだ。…だからアーミヤ、泣くのをやめろ。」
「でも、フロストノヴァさん…。」
「お前が泣いたら、後に続く者を不安に陥れる事になる。」
この場を去ろうと歩を進めた。ここにいるのはロドスだけでいい。
「…待て、ウッ……レイホン。これを持っていくといい。」
「待って!そんな事をしたら…!」
振り返ると、フロストノヴァの肌から染み出した黒色の結晶が氷と合わさり、一本の黒い短剣が空中にできていた。その顔には苦痛に歪み、ブレイズが制したように彼女にとっていい事ではなさそうだ。
「今の…私の力を込めて作った短剣だ。溶けることはない。」
空中に浮遊する短剣を受け取り、握りしめた。冷たかったが、氷よりは暖かった。装飾が何も無い短剣の刃を見ると、そこには文字が刻まれていた。
「あぁ、まだお前達と話していたいが…。どうやら、別れの…時のようだ。」
ドクターが頭を支える腕と反対の腕で彼女の手を握る。既に冷たくないのか、あの音は聞こえなかった。
「私は、ロドスと共にある。だからといって、今までの道に後悔があるわけでもない。…その感情は、一番初めに燃やし尽くした。」
もう、目は閉じられている。傷口を押さえながら、来た道を戻り始めた。
「氷の結晶一粒たりとも後悔はない。あぁ…でも…一つだけ…ゴホッ。心残りがあるとすれば…。」
「父さんに、直接謝れていないんだ…。……ごめんなさい。父さん…こんな馬鹿な娘を…許し、て……。」
背後から、何かがずり落ちる音が聞こえた。
刃に刻まれていた文字、『義を成す者へ』。鼻で笑う。義など、自分には似合わない。それこそ
「…俺っちには重すぎる肩書やなぁ。」
死してなお、誇らしげに笑みを湛えているであろう彼女の顔を思いながら、再びしなびたシガーを口に咥える。噛み締めても、冷えた葉から染み出す液体しか出ない。ただ噛み締めた。
「……。」
「おお、おったんか。……?」
緩やかに伸びるスロープを登っていると、猫が前に立っていた。
その手には緑色の液体が入ったアンプルがあり、無言で手渡したかと思うと何処かへ走り去っていった。
K社のアンプル。都市から来た部下たちが持っていたのだろうか。取り敢えず、溶け始めて痛みが走る脇腹に打つ。周囲の肉が盛り上がるように傷口を覆い、数秒もすれば傷はなかったかのように元通りになった。
(さて…俺っちが行くべき場所はもう一つ…。)
———
「そこを退け!」
「アンタはそういうやつだからこそ!ここは見ちゃダメなんだって!!」
「…すまんなぁ、嬢ちゃんら。少し、通らせてもらうで。」
龍門の排水システム。黒装束の謎の部隊が戻り、再び出てくる場所。
そこで見覚えのある少女と、見たことのない少女が言い争っている中に割って入る。
「あんた!ここから先は———」
「通らせてもらうで。邪魔ぁすんなら…。」
こちらに向かって叫ぶ少女を殺気を込めて睨みつける。彼女は即座に距離を取り、長い鎖をジャラ、と鳴らした。その隙に駆け出すチェン。
「あ!待って!」
それを追いかける少女。何処かで見た顔だと思えば、近衛局のNo.2、ベアトリクス・スワイヤーだったか。
近衛局のトップ2が揃い、駆け出していく先へと歩いていく。
(……久しぶりやなぁ。)
「これは…何のにおいだ?……ッ!!!」
都市で何度も嗅いだ匂い、日常の一部に組み込まれている匂い。
二人の少女と見下ろした先には、数え切れない程の死体が積み上げられていた。
絶句して拳を強く握るチェンの手からは、血が流れている。
「はは、レユニオンのついでにお掃除っちゅうことやな。一杯食わされたわ。」
黒装束達の目的は分かった。帰ろう。もうここには用はない。
ウェン・イェンウの采配には恐れ入る。自らの手を一切汚さず、ここまで綺麗に片付けようとするとは。
積まれた死体の山には、少なくとも近々"処理”する予定だった者の顔しか見当たらない。
関係のない者もいるかもしれないが、"処理”しない一般人の顔など覚えていないためどうでもいい。自分たちは親指という組織であって、中指ではないのだから。
(鼠王んとこと…持って帰ったガキに顔出して…ロドスと交渉やな。)
強く歯を食いしばるチェンと、それを相手にどうすればいいか分からないスワイヤーを置いていく。怪我と戦闘で疲れた体を動かし、暗い道を歩き始めるのだった。
ちなみに黒獣イシュとか言ったけど最後の最後でシーズン人格来たら普通に発狂します。
手に入れさせる気ないやろそれ
2シーズン待つほどお行儀のいい人と誉れは浜で死にました。