【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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あなや〜!
クソほど忙しくて過労死するなり〜!!!

恒常はトナカイロージャか
ん?ウティは???


第33話

 

 

「大体こんなもんやな。」

 

コートを羽織って杖をつく鼠王の前に立ち、被害と収穫の話をする。

 

「そうか。……儂に、聞きたいことはないのかの?」

 

その小さい体から放たれる覇気が緩まり、問いかけられる。

この世界と都市を見てきたレイホンからすれば、命の価値が高いこの世界であそこまでするのは少し過激だったと思うが…彼には何か考えがあるのだろう。

 

「あの死体の山ん事言っとるんやったら、俺っちから言う事ないで。」

 

「……見たのか。」

 

驚いたように目を開き、弱まった覇気が再び強まる。

 

「見る限り"処理”する奴らばっかやったし、俺っちからは特にないなぁ。アレ、レユニオンの奴らと繋がっとった奴もおったやろ。」

 

「…。」

 

沈黙が場を支配し、鼠王も特に話すことがない様子なので拠点に戻ることにした。

チェンが何か思い違いをしているようだが、どうせこの鼠は知っているだろう。龍門の損になるなら止めて、得になるなら促す。レイホンにも親指にも真似できない事だ。

 

 

———

 

 

「で、これはどういう状況や?」

 

拾った少年(ファウスト)がロドスではなく、拠点の臨時病室に移されたとのことで来てみれば、目の前には荒らされたベッドと、割れた花瓶、血を流して倒れた複数の部下が散らばっていた。

倒れている部下を踏んづけてみれば呻くので、生きているのだろう。殆どは軽傷なので心配していなかったが。

 

問題はベッドでバリケードが作られている事と、その隙間からこちらにクロスボウが向けられている事だ。

あの威力の矢が、この距離で放たれたら避けることはできないだろう。当たる場所にもよるが、あれはレイホンに致命傷を負わせることができる凶器だ。

 

「何故、俺を助けた。」

 

「勧誘する相手が死んどったらあかんやろ。」

 

懐にしまっていた黒色の短剣を取り出しながら近付く。撃ってこない。

 

「俺っちの手ぇ痺れさせる程の射撃、他ん所にやるのは勿体無いわぁ。…って考えるのは当然の事やろ。俺っちの所(親指)に入れ。ま、そういう勧誘やな。」

 

「クラウンスレイヤーは、フロストノヴァは…メフィストは、どうなった。」

 

「答える義理はない上に、礼儀を弁えん奴は嫌いでなぁ。…撃たんのか?」

 

ベッドのバリケードでクロスボウが固定されている為気づかなかったが、引き金に指は掛かっているが、よく見ると指が震えており、クロスボウを支えている腕も震えているのが分かった。

 

「クラウンスレイヤーはロドスが対処、フロストノヴァは死んだ、メフィストは…」

 

黒色の短剣を右手でクルクルと回しながら、バリケードの目の前に立つ。装填された矢がレイホンの腹部に触れるギリギリでも撃ってこない。左手で射線を下に無理やり押さえる。

 

「そこらに転がっとるコイツラの方が詳しいと思うで、誰かさんのせいで寝とるけどな。」

 

バリケードを蹴飛ばせば、勢いよく壊れるベッドの下からファウストが出てくる。

右手に持ったクロスボウを即座に構えるが、震えて狙いが定まっていない。

入らないのなら、今ここで一人の感染者が死ぬだけ。容赦無く短剣を持って近づこうとすると、イカれたので交換した通信機器が震えた。

 

「…どうしたんや?——あぁ、思ったより騒ぐんか。———まぁ、俺っちらも手伝ったる。——また今度飲みに行こか、勿論あんたの奢りで頼むで。」

 

通信機器を耳に当て、ファウストを無視して話す。通信を切った今もなお、ファウストは震える腕でクロスボウを構えていた。

 

「……撃たんのか?撃てへんねやろ。使いもんにならんガキはいらんからなぁ…。」

 

「…っ。」

 

「勝手にせいや、しょーもないやつに(かも)うとる暇あれへん。」

 

黒色の短剣をファウストに当たるギリギリを狙って投げつける。

短剣はファウストの長い耳を少し切り裂き、スコン!という音を立てて壁に突き刺さった。

病室の出口に向かって走る。ここ最近、連続しての戦闘で疲れているが面白くなってきた所だ、気張って行くとしよう。

 

扉を思い切り閉めた。

 

「お前ら、俺っちの弾ぁ用意しろ。そんでチェン・フェイゼの捜索依頼や、全員で探せ。」

 

「「「はっ!」」」

 

 

 

===

 

 

部屋の中には、壁から短剣を引き抜いたファウストと今もなお気絶する親指の構成員が残される。

黒色の短剣を握りしめたファウストが呟いた。

 

「……エレーナ姐さん。」

 

震えは、いつの間にか消えていた。

 

 

———

 

 

p.m.7:20 黄昏時/龍門アップタウン

 

「グッ!…この私を、ここまで追い詰めるとは。だが——もう終わりだ、チェンお嬢様。」

 

「その呼び方をやめろと…!——お前は…。」

 

チェンとホシグマが争ったのか、辺りは滅茶苦茶になっている。穴だらけの道、切り傷だらけの壁。かなり派手にやったらしい。

ゆっくりと近付けば、鞘に納めた剣に手をかける。

 

「龍と虎ァ…どっちが強いかっちゅうのは、永遠の問い。そう思わんか?」

 

「鼠の下についた年老いた虎が、若き龍に勝てるとでも?」

 

「はっ、未だに地を這う龍の成り損ないが言うやんけ。トカゲすら狩れん虎はおらんやろ。」

 

「……。」

 

チェンは口を閉じ、代わりに剣を抜いて答えた。

ホシグマは既に目は閉じ、レイホンに判断を委ねたようだ。

 

「30秒、今の嬢ちゃんを見極めるんやったらそれで充分。…かかってこいや。」

 

天退星刀を抜き放ち、装填された虎標弾を全てつまみ出すと、ロドス製の猛虎標弾を代わりに弾倉へ装填する。

うっすらと自分の体を淡い光(シン)が纏い、その周りを更に紅の(シン)で纏う。

しかし、その間もチェンは向かってこない。剣は向けるが、自分から一切の攻撃はしない。

 

「かかってこんのやったら…こっちから行くでぇ!」

 

ボォン!!!

 

「ッ!?」

 

大きく振り上げた天退星刀を振り下ろすと同時に猛虎標弾を発射する。

弾丸を放ったレイホン本人ですら驚くほどの爆音を放ち、途轍もない推進力に体が持っていかれそうになるも、耐えて斬りつける。

既に天退星刀には一つの光の輪が輝いており、全力で目の前の龍を狩るために攻撃する。

左下から右上へ斬りかかり、そのままチェンの後ろへ抜ける。

チェンは間一髪防御したが、前髪が少し切れていた。

 

「はっ!こいつぁ最高やなぁ!こん暴れ馬乗りこなせたら楽しいでぇ!」

 

「ぐッ!……くッ!!」

 

くるりと手元で回転させ、右肩に剣を構える。

この動きをするのはいつぶりだろうか、鉄檻寺の前で戦ったとき以来だったか?

体が覚えているままに動き、上ではなく前に向かって跳躍しながら上から下へ大きく振り抜く。

 

直ぐに向き直り、チェンの首目掛けて振り抜くと、彼女はギリギリで首が飛ばないように防御していた。

ここまでの乱撃を防ぐ技量もだが、一撃を耐える赤い剣もただの剣ではない。

だが、その剣も手に持っていなければ意味が無い。力任せに巻き上げ、上に向かって斬り吹き飛ばす。

 

「ぐぅッ…!」

 

「俺っちに向かって啖呵切ったんや!どうにかしてみぃ!」

 

未だ体制の整っていないチェンに向かって、右肩に剣を構え、低く屈む。

 

ボボボ…!ゴウッ!!!

 

6つの銃口全てから炎が吹き出し、最後の一撃に合わせるため今までの数倍の熱量が放たれる。

紅の炎が噴き出す中、突然炎の色が蒼色に輝いたと思うと、身に纏う(シン)のような淡い金色になった。

体制を整えて、回転しながら地面に落ちてくる剣を手中に収めるため駆け出すチェン。

 

「上か!だが…これで!」

 

大きく上に跳躍し、重力と推進力、レイホンの全力を込めた振り下ろしに対してチェンは剣を構える。

レイホンの目に赤い線が幾度となく走ったように見えたと思うと、服ごと全身が切り裂かれた感触があった。

だが。

 

(こんくらいで止まるヤツは、都市じゃなかろうと長生きはできんよなぁ!!!)

 

心の中で叫び、一切力を抜くことなく殺す気で斬り裂く。

 

「タァッ!!!!!」

 

ドォン!!!!!

 

チェンへの一撃は地面に当たり、床をかち割り全てを揺らす。

天退星刀は熱で真っ赤に輝いており、ひび割れた地面も衝突による熱で輝き溶けている。

 

「ハッ…ハッ…ハッ……見定める…にしては…やり過ぎだと…思うが。」

 

短く息を継ぎ、呼吸を整えようとしているが上手くできていないチェン。

彼女が最後の一撃を受ける時、レイホンの握りしめた手を集中的に切り刻んだため、全力の攻撃を逸らすことができた。

しかし、彼女の角を見てみれば右角のほうが少し欠けているのが分かる。

ジュゥゥゥ…と排熱している天退星刀を見て、レイホンは笑みを浮かべてパン、と手を叩く。

 

「いんやぁ!ホンマに俺っちの技を受けきれるとはなぁ!全力を出し切ってしもうたかい、力が入らんわぁ!」

 

「何のつもりだ。まだやれるだろう。」

 

「俺っちがお前を見極められたっちゅう事や、まだやりたいんやったら相手するで。」

 

「…遠慮しておこう。」

 

走り去っていくチェンの姿はすぐに消える。

 

仰向けに倒れて空を仰ぐホシグマは、複雑な顔をしてガシガシと頭を掻いた。

 

「…お前なら、止められると思ったんだがなぁ。」

 

「俺っちを高く評価してくれんのは嬉しいけどな? アレ以上やったら殺してまうからな?」

 

「それは嫌だな。」

 

天退星刀を納め、補給したシガーの端を噛みちぎりながら答える。

ホシグマと同じように空を見上げれば、ビルのライトに照らされた薄暗い空にも星が見えた気がした。

ただ、煙で霞んで見えた気がしただけだったかもしれない。

 

 

 





友達と賭けしてたんですよ。
シーズン6ラストの人格誰?っていう賭け。
ウティ来てないからウティに賭けたんですよ。

賭けに負けたので友達に焼肉奢ることになりました。つーか奢った。(事後報告)
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