【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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き、気づけば総合評価1000を超えている…!?
ありがとうございますありがとうございますありがとうございます
感謝の記念の何かを書かねば……書く暇が…ないっ…!

暇は作るものです。




総合評価1000突破記念 飲み会

 

 

龍門に来てから二日目。

手始めにシラクーザのマフィアを潰し、それ以外の組織を潰して回っていた頃。

日が完全に沈み、辺りを大通りのライトが照らす中、拠点に在住するロドスのオペレーターから貰った通信機が震えた。懐に入れておいたそれを取り出し、耳に当てる。

 

『おっと…繋がりましたか。レイホン、例の"ブツ”を届けに工房に来たのですが…現在は何処に?』

 

通信先はホシグマだった。つい先日の件の報酬(高級シガー)が用意できたことに胸を躍らせつつ、下顎を砕かれてくぐもった声しか出せない男の右腕を斬り落とす。

 

「g 「静かにせいや。」 〜〜〜!!!」

 

足で頭を踏みつけて無理やり黙らせ、他の処理を部下に任せる。

 

「おお、もう用事は終わるさかい待っとってくれや。…今収入も手に入ったところやし、どや、ちっと飲みに行こけ?」

 

『ほう…いいだろ———いえ、いい考えですね。小官も勤務が終わりましたので、ではお言葉に甘えて。』

 

一瞬ホシグマの素が聞こえたような気がしたが、今は気分が良い。通信を切る。

路地は静まり返っており、潰した組織から奪った龍門幣が詰まったカバンを左手で持つ。組織のトップは降伏しなかったのか、ソルダートのIIII(クァルト)に全身を破壊されて虫の息だ。

 

「お前ら、任された領域の半分潰したら帰って休めや、勿論襲撃には気ィつけや。」

 

「「「はっ。」」」

 

「俺達の…っ。クソォ!」

 

「……。」

 

ボグォ!

 

背後から響く鈍い音を右から左へと受け流して進む。

龍門に住む彼女なら、美味い酒を飲める場所くらい知っているだろう。自分の持っている額がどれくらいかは分からないが、中を見る限りかなりの龍門幣が束で詰まっているのを見るに金の心配はしなくても良さそうだ。

そんな事を考えつつ、返り血を拭って拠点に戻るのだった。

 

 

———

 

 

「すまんな、案内頼むで。」

 

「…その鞄が何なのか気になるが、まぁいいだろう。」

 

拠点にしている工房に戻ると、そこには先日の姿とはまた別のラフな格好をしたホシグマがいた。長い袖には鬼や彼女が持っていた三角形の盾の模様があり、背中には大量のステッカーが貼られた長方形の金属板()、腰から鬼の面やポーチを下げている。

 

言葉遣いも変わっており、バイクにもたれかかって立つ姿は謎の圧迫感がある。

 

「少し離れたところにあってな、様々な酒がある。焼酎はイケる口か?」

 

「はっ、舐めとんのか?酒に弱いやつにカポが務まるわけないやろ。」

 

「それは上々。極東(故郷)の焼酎、シラクーザのワイン、サルゴンの希少な果実酒…。少し前に取り寄せてもらったんだ、酒は一人より複数人で飲んだ方が美味い、楽しみにしておけ。」

 

そう言うと、バイクの車輪止めを上げて跨りエンジンをかける。親指で指し示す通り後ろに乗れという事だろう。

所々傷が見えるが、それもバイクが醸し出す雰囲気を良くしている。

後ろに乗ると、ホシグマから紙のケースを渡された。ボス、という音を立てるそのケースには葉っぱの絵が描かれており、包装越しでも葉の香りがする。

 

()の隊長からだ、変なクセもない高級品だ。」

 

「ありがたく貰っておくで。」

 

「あぁ、じゃあ、行くとしよう。」

 

一人称も変わっており、こちらが彼女の"素”ということを悟る。なるほど、嫌いではない。

そうして、低い唸り声を響かせるバイクが大きな男性と女性を乗せて走り始めた。

 

 

———

 

 

「着いたぞ。」

 

「随分とボロっちい所やなぁ。」

 

思ったことを口に出した通り、目の前の(バー)は良く言えば年季のある、悪く言えばボロボロな店だった。

それでも勧められるままに中に入ると、外見とは違い綺麗に掃除された壁と床、薄暗く調整された暖色の照明、ほんのりと香る酒の匂いが底辺の店ではないことを伝えてくる。

 

「…遅いぞホシグマ、本来なら1分———。」

 

「お、龍の別嬪さんやんけ。先日は世話んなったな。」

 

カウンターに制服姿で座る近衛局の隊長———チェンが入ってきたこちらを見て固まった。

気軽に手を上げて挨拶をすると、唖然とした表情が一瞬で刺々しいものに切り替わる。

 

「———何故お前がここにいる。」

 

「私が誘ったんだ。酒の美味さを分かち合いたいという私のエゴだ。」

 

「くっ。」

 

「そない目の敵にされんのは傷付くわ…。俺っちが何かしたか?」

 

そう言いながらホシグマがチェンの隣に座り、そのホシグマの横に座る。

店内を見ると一つの団体が軽く騒いでいた。黒い鳥みたいな姿が見えたが気のせいだろう。

 

「同じ酒を飲むんだ、少しは仲良くしろ。最初は…そうだな、シラクーザのやつから頼む。」

 

ホシグマがカウンター越しにグラスを磨いているバーテンダーの男に注文する。

男は黙って頷き、カウンターの下から褐色のボトルを取り出す。コルクの下を焼いたナイフで傷付けている所からかなりの年代物という事が察せられた。

ゆっくりと3つのグラスに注がれた赤紫色の液体からは、芳醇な葡萄の香りがする。

 

「では、乾杯。」

 

「……乾杯。」

 

「ほい、乾杯。」

 

グラスを軽くぶつけ合い、一口で飲み()す。

やはり美味い。これ程のワインを飲んだのはいつぶりだろうか。喉を通り越してもなお香るワインを楽しんでいると、後ろから窓が割れる音と、騒いでいた団体の所から大声が聞こえてくる。

 

「テメェら、ペンギン急便の野郎共が…!」

 

「野郎じゃないですゥー!うら若き乙女だっての!」

 

「…エクシア、自分で言う事ではないと思う。」

 

「…お前ら、今度は何したんだ?」

 

割れた窓から複数の人物が入ってきており、その者達の共通点としてその手には剣やクロスボウ、短銃などの武器が握られているのがグラスの反射で見える。

集団の話で聞こえてきた「エクシア」という単語に反応し振り返ろうとした瞬間、こちらに弾丸が飛んでくるのが見えた。

掴もうと思えば掴めた、弾こうと思えば弾けたが、反射的に避けてしまった。

 

丁度ホシグマはバーテンダーから受け取った陶器の盃に酒を注いでおり、避けた弾丸が跳弾して的確に盃を砕いた。

盃を砕いた弾丸はその勢いを残し、逸れた弾丸はおまけと言わんばかりに徳利も破壊する。

 

ダンッ!

 

「よし、潰すか。」

 

その間、僅か1秒。

カウンターを叩き、長方形の盾を持って立ち上がる。

 

「…殺しはナシだぞ。」

 

「おもろなってきたな?」

 

ため息をつきながら剣を持つチェンに続き、天退星刀を下げて騒ぎに向かって歩く。

まだ言い争いをしていたが、直に暴れ始めるだろう。その無防備な顎に一撃叩き込めば静かになる…と思ったが、よく見ると鞄を奪ったところの構成員ではないかと気付いた。

 

「なっ…あのカバンは!」

 

「おい!隣のやつも見てみろ、あれは…。」

 

「近衛局も噛んでんのかよ…。」

 

向こうもカウンターの下に置かれた鞄に気付いたようで、こちらにも敵意を向けてくる。隣の二人に視線が向かうと一瞬で消えてしまうものだったが。

 

「ここは一度撤退——— 「させるわけねぇだ…ろ!っと。」うおっ! 」

 

ペンギンが人の言葉を喋り、綺麗にサマーソルトを決める。たまたま防がれてしまったが、まともに喰らえば気を失うほどの威力が込められているのが分かった。ペンギンに続き、エクシアとテキサスも動く。

 

「急がんと全部取られてまうな。」

 

「…よりによって、ホシグマの故郷の酒を撃ち抜くとは。運のない奴らだな。」

 

「……。」

 

バゴォーン!!!

 

無言のホシグマが早足から駆け足に変わり、剣を持ったマフィアを一人、金属板で文字通りに"潰した”。

赤いシミにはなっていないが、床を突き抜けて顔だけが出ている男が残る。

辺りが静まり返り、レイホンとチェン以外の全員の注意がホシグマに向いた。

 

「…そこに並べ、叩きのめしてやる。———ペンギン急便。市民に危害を与えた今、賠償金だけでは済まない。」

 

言いながら金属板を振り上げ、また一人潰される。

 

(釘打ちみたいやな。)

 

そう思いながら近付いた構成員の下顎を殴りぬく。ゴキュリと鈍くも激しい破砕音が響く。

部下たちが逃がしたのか、それともあの場にいなかった者かは分からないが、やることは決まっている。

 

「全員叩きのめしたるかい…かかってこいや。あ、ペンギン急便とは少しお話せんとな?」

 

酒が回ってきたのか、少しずつ体も温まってきている。拳で相手するにしてもかなり力不足だが、旨い酒を飲む前の余興と考えれば力を振るうことに問題はない。

 

「あ!あの時の!」

 

「…エクシア。」

 

「ん?なぁに、ボス。」

 

「お前何やらかしたら鼠王んとこのやつが"お話”しに来るんだ!?」

 

「配達ミス?いや、配達は成功したから違うか…。テキサスー!何でだと思う!?」

 

あのペンギンがボスなのだろうか、腕前からして納得はできる。というかここに来るまで街頭のポスターやスクリーンで似たようなペンギンを見た気がする。名は確か、エンペラーだったか。

何故か漫才らしきことをしているペンギン急便を無視してマフィアを殴り倒す。

逃げ出したマフィアを一人残らず逃さないよう、自分たちも割れた窓から外に出て制圧する。

 

数分後、店の前には拘束されたマフィアが並んでいた。

 

 

 

———

 

 

 

カウンターにエンペラーと共に座る。その隣にはチェンとホシグマ、エンペラーの後ろにはエクシアとテキサスが控えている。

 

「ハァ……やっぱ高いのはちゃうなぁ。で、ちと話そうか。」

 

今回は一人で、しかも親指としてきているわけではないため気楽に話せる。部下がいると後処理が楽だが、自分より格上の存在がいると邪魔になる。今回は本当に一人で良かったと思う。

 

「で、何のお話だ。あのクソネズミからの小言は聞き飽きたぞ。」

 

「お前んとこの奴が俺っちに向けて発砲した件やな。」

 

「エクシア?」

 

「ん〜?そんな事…あったような、なかったような…。」

 

(たま)は無事やったけど、俺っちの玉と泣き別れになるかもしれんかったのになぁ…。……弾代惜しまないタマやなさそうやと思って一応弾ぁ詰めたで?」

 

「くッ……くくく……。(たま)と玉…。」

 

「品がないな…。ホシグマ?」

 

「命のたまと玉、弾丸の玉と私達を指すタマか、上手いことを言う。」

 

「え?テキサス?なんかキャラ違くない?……あ、無茶苦茶強い(やつ)じゃん」

 

「…奢るぜ。」

 

早速チェンたちから貰った葉巻の端をちぎり、先を炙って吸う。

エンペラーからカウンターの上を滑るようにして徳利を受け取る。徳利を傾けて盃に注ぎ、煙を吐いてから呑んだ。やはり美味い、ホシグマに渡す。

 

「謝罪の言葉くらいあってもええと思うよなぁ…。」

 

「うちの奴らが済まなかったな……クソネズミからは何もねぇのか?」

 

「鼠王の事を指すならそうやな、俺っちも統治任されとるだけやし。」

 

「今回も酒飲みに来たらたまたま出会っただけやしな。」と続けて、再び盃に口をつける。

先程のようなことが起こったにも関わらず、カウンター越しに焼けたベーコンを皿に乗せて出すバーテンダーに礼を言い、ベーコンを一枚口に放り込む。美味い。

 

「これから世話んなるかもしれんからな、そん時はよろしく頼むで。」

 

「ペンギン急便を今後よろしく…ってな。」

 

グラスと盃を交わし、大きく呷る。ほんのりと甘い香りが鼻から抜けていく。

 

「…まだまだ呑むだろう?なぁレイホン。」

 

「そりゃここで退いたら男が廃るわな、大体俺っちも満足しとらんし。」

 

まだまだ、夜は長い。

 

 





うちのロドスにエクシアさん来てないんすよね。
すり抜けてウルピアヌスさんが来たよ、スカジさんとスペクターさんはどこですか。

トナカイロージャは普通に楽しみ。
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