【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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アリスよ。幼稚な御伽話をとって

やさしい手でもって少女時代の

夢のつどう地に横たえておくれ

記憶のなぞめいた輪の中

彼方の地でつみ取られた

巡礼たちのしおれた花輪のように



第36話

 

 

 

殺風景な航空機の中は沈黙で包まれていた。

レイホンがいる中で自ら話し始めるような間抜けは親指におらず、新入りのファウストですら黙っている。

運転するロドスのオペレーターの顔色は悪くなる一方で、ロドス付近に着陸したときの晴れやかな表情は忘れられない。

 

「俺っち達より速いってどういう事や…。」

 

「君達から貰った龍門幣で買ったんだよ。ウッ、上級転化塩、上級熾合金、副産物ゥ……。」

 

「ただの発作だ、気にするな。ドクター、直ぐに移動するぞ。」

 

褐色肌の青年に指示されたドクターは大人しくアーミヤ達に連れて行かれた。

バイザー越しでも分かるほど死んだ目をし、呟き続ける彼は大丈夫に見えない。

 

「レイホンだったな。ドクターの指揮する小隊の隊長をしているソーンズだ。」

 

「おう、今回()よろしく頼むで。」

 

ソーンズと名乗った彼とはスカルシュレッダーの件の時に顔を合わせている。

差し出された右手を取り、軽く手を取り合う。

 

「お前達からの依頼は実に興味深かった。次もロドスに依頼するといい。」

 

横目で見ると複数のオペレーターが青い顔をして首を横に振って訴えていた。部下がいなくてよかったと思う。心からそう思った。

依頼…航空機の中で着た新しいコートの事だろうか。歪な剣を使う目の前の少年は研究者には見えないが、意外と研究者の中でトップなのかもしれない。

どうでもいい事を考えつつ「気が向いたらな」と当たり障りのない言葉を返す。

周囲のオペレーター達が深く息をついているのを見るに、間違った返しではなかったらしい。

 

「準備ができました、レイホンさん達もどうぞ。」

 

「さよか、ほんなら…気張ってくで。」

 

丁重に送り出され、その時に複数の弾丸を渡される。色と重さからしてロドスの猛虎標弾だろう。

いくつかはベルトに装填し、入らなかった分は部下に持たせる。

パトリオットを前にして部下たちが弾丸を供給する暇があるかは分からないが、決死の覚悟で弾丸を渡してくれればなんとかなるだろう。

 

ドクター、アーミヤ、ケルシー、ソーンズを始めとした複数のオペレーター。

彼らが乗り込んでいる乗物とは違い、親指は別で陽動兼戦闘ということで正面から暴れることになっている。

 

「行って来いや、こっちやったら会えんやろ。」

 

「……いいのか?」

 

「裏切りさえせんけりゃ何でもええわ、そんかわりちゃんと働いてこいや。」

 

「ああ。」

 

ファウストをドクターの指揮下に送り、完全に都市からやってきた面子で揃う。

全員の武器も新調し、虎標弾を連発できるとまではいかないが使っても反動で壊れるような事はなくなったため、それぞれに虎標弾を三発ずつ渡しておく。

 

「さぁて、これが最後になるとええな。」

 

にやりと笑い、これから始まる戦いに血が滾る。

 

 

———

 

 

 

「運転ちゃんとせいや!!!」

 

「これでも上手い方です!」

 

「アーツが左から来とるやろ!避けろや!!」

 

「あぁもう!運転したことのない人は黙っていてください!見えてますから!!!」

 

「ぐぅっ、今ァ逆さになる必要なかったやろ!」

 

「大人しくシートベルトつけて降下地点までじっとしておいてください!」

 

「……。」

 

「無言でグリップ動かすの止めてくれません!?私が死んだら貴方の上司もお陀仏ですよ!!?」

 

「ほなさっさ飛べや!!!」

 

「まだブレイズさんやアスカロンさんの方がマシだ!もうやだ!!!」

 

 

———

 

 

 

———ドゴォン!

 

「チッ。」

 

もうもうと立ち昇る土煙の中で舌打ちをする。

アーツや狙撃を掻い潜り、ビルの屋上に親指を放り投げたあの乱暴なパイロットが別れ際に言った「終わったらアーミヤさんに言いつけてやる!」という捨て台詞が意外と効くのだ。

未だに弾丸はロドスに依存している弊害だ。

 

道中は問題ばかりだったが…任務は問題なく果たせそうだ。

崩壊しかけのビルを降りれば、ワラワラと蟻のように湧き出てくるレユニオン兵。

突如現れた航空機があれだけ派手に飛び、何かを投下したのなら相手は無視できないだろう。これから乗り込むロドス(戦うであろう相手)のためにも軽く準備運動といこう。

 

「親指の恐ろしさ、味わせたるわ。……勿論、殺しはナシやで。」

 

「「「…はっ。」」」

 

天退星刀を抜いて突撃し、前線のレユニオン兵を切り裂き奥へ、奥へと進んでいく。

部下たちも確実に一人、また一人と無力化して前線を後退させていく。

 

「ここから先は通させん。」

 

「大尉が来るまで持ち堪えろ、耐えれば我々の勝ちだ!」

 

今までに見てきた重装兵とは違い、更に分厚い兜と盾、鎧を装備した重装兵が現れた。

その言葉は落ち込んだ士気を上げるには十分だったようで、重装兵と切り結んでいるレイホンを背後から斬りかかろうと大量の歩兵が、狙撃手の弾丸や矢、術師のアーツが迫る。

 

「フン!」

 

気合と共に体を大きく捻り、回転して攻撃を弾きつつ重装兵の体制を崩す。

弾丸を消費した一撃に乗った推進力が死ぬ前に弾いた盾を奪う。

 

「何ッ!?」

 

「使わせてもらうわ。」

 

自分の背後に突き立て、まだ迫る攻撃から身を守る。

いくつかはコートに当たったが、矢や弾丸は呆気なく弾かれ、アーツに至っては何もなかったかのように消え去った。

 

「ここぉ制圧すれば問題ないやろ。」

 

パトリオットが来る前に、全員片付けてしまえば楽になるだろう。ロドスからの援護でアーミヤとエリートオペレーター、アスカロンと呼ばれるオペレーターが来るとの事だが、必要ない状況にしてしまおう。

天退星刀を地面に打ち付け威圧する。

 

「…(きぃ)や。ロドスの奴らが来る頃には全員仕留めたる。」

 

 

 

===

 

 

「……はぁ、騒がしい人達だった。」

 

任務のうちの一つを遂行し、溜息をつきながら運転する。

攻撃を掻い潜り、あえて墜とされないギリギリの低空飛行をするのは心臓に悪い。特に今回のような無茶振りやいちゃもんを付けてくる相手が同乗者だったら尚更だ。

 

「…そろそろ出てきてもいいですよ、皆降りましたから。」

 

「…。」

 

誰もいない場所に話しかける。

すると、武器や救急セットなどを入れていた箱から小さなフェリーンの少女が出てきた。

 

(おっと、本当にいたとは。思ったより可愛い子猫だな。)

 

そんな事を考えつつもよそ見をせずに運転していると、少女は口を開いた。

 

「どうして、気付いたの?」

 

「そりゃあ、出発前に重量の確認ぐらいするでしょうよ。本来ならもっと重かった筈なのですぐに気付きました。」

 

たった数kg、されど数kg。その差で生死を分けることになるかどうかは知らないが、自分の感覚通りに運転することができれば事故を起こすことはない。

何かあったのかなと思って他のオペレーターに聞いてみたが、誰も知らないということなので親指関係だと思ったが大当たりだったようだ。

 

「どうしたんです?こっそり潜り込んでまでついてき———うおっと、危ない。」

 

「…くっ。…私も、どうしたかったのか分からない。」

 

「? まぁ良く分かりませんが、話してみてください。力になれることなら手伝いますよ。」

 

真下から撃たれたアーツを機体を横に傾けることで無理矢理回避する。

もちろんそうすれば機内が傾き、自分の体を含めた機内にある全てのものが揺れる。

()に上手く着地するのは流石フェリーンと言ったところか。別にフェリーンだからと言って全員が全員運動神経が良いわけではないが。

 

「まぁ取り敢えず彼らの近くに下ろしますよ。」

 

「!?待って、話を聞く流れだったんじゃないの!?」

 

「私も暇じゃないですし、陽動の仕事が終わったら追加で運ぶ人いるんですよ。ほらハッチ開放〜。」

 

「正気じゃない…!」

 

「ははは、正気の人はエリートオペレーターを乗せて運転できませんよ。それじゃあ頑張ってください、親指の子猫さん。」

 

ハッチを開けて、無理矢理ビルの屋上に放り出す。

恨み言を言っていたようだが、残念なことに龍門スラングは分からない。つまりノーダメージだ。

 

「さて、もう一仕事行きますか。」

 

 





ROG帰ってきた。
取り敢えずブラソやりましょうね。

グウッ!(久しぶりに師匠を見る)(トラウマ)(致命傷)
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