【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら   作:しきょーかい

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これが今年最後の投稿かな…。
年末年始は忙しいので投稿はしないと思います。多分。



第45話

 

 

 

「……動かんよな?」

 

「……私はまだ動くと言われても信じる。」

 

「あぁ……パトリオットさん…。」

 

頭が吹き飛んだというのに、誰も動けない。

血を垂れ流す首の傷口は結晶で塞がれ、アーミヤへと伸ばされた左手は開かれたまま硬直している。

その手に縛られた何かを、彼の死に様を見て、アーミヤが嘆くように声を上げて、涙を流して近付いた。

 

「大尉!!!」

 

「嘘だ!パトリオットが、パトリオットが!」

 

「負けるはずがない!これは幻覚だ!彼が死ぬはずがない!」

 

彼の部下は拘束から逃れようと藻掻き、声を上げた。そして順番に下顎を砕かれる。それでも声を上げ続ける。

 

「…レイホンさん。私の代わりに、動いてくださり…ありがとう、ございます。」

 

「…礼は受け取っとくわ。」

 

「私では…彼に答えることはできなかったんです。救いを求めていない相手に、救いを押しつける…。一種の暴力とも受け取る事のできるそれを、私は…。」

 

「ウジウジ言う暇あんなら先ん事考えろや、次はどうするんや?」

 

ビルの残骸に隠れる気配を察知する。瓦礫から猫の耳がはみ出しており、上手く隠れられていない。

その方向へ小石を投げ、部下の注意を向かせるとそこから観念したかのように"猫”が出てきた。

今回出撃するように指示は出していない、大方航空機に忍び込んだとかだろう。

命令違反は重罪だが、最後の中に浮いていた弾丸がなければ負けていたかもしれない。今回は見逃すことにしよう。

 

「…チェンさんを、助けに行きます。」

 

「そんだけ考えや。後でも考えれる事、今考えんには時間が足りんからな。」

 

部下から差し出される緑色の液体の入ったアンプルを自分の体に突き刺す。先程からずっと痛み続けていた脇腹の痛み、肉体の疲労が消える。精神的には未だ疲れているが、この先に行く分には問題ないだろう。

 

「お前ら、そこの猫捕まえて()ぃ、多分弾ぁいくつか持ってきとるやろ。」

 

「「「はっ。」」」

 

予想通り猛虎標弾を18発持ってきていた猫から受け取り、空の弾倉とベルトに装填する。

 

「そんじゃあ行こうや、次が最後やろ。」

 

こちらを見下すようにそびえ立つ、レユニオンのリーダーがいるであろう下へ歩き始めた。

 

 

 

===

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ。クソッ。」

 

息を吐き、剣にこびりついた血を払う。

通ってきた道が血に塗れている、私の体もそうだろう。

 

「タルラ…お前は、私が…。」

 

進み続ける。辺りからは爆音が聞こえ、異常なほど音が聞こえなくなった場所もある。

この先に進む際、必要最低限の処置を施して前へと進む。

私はタルラを前にして、どうするべきなのだろうか。

止めろと声を上げるのか、それとも剣を向けて血を流し合うのか。

どちらにしろ進むだけなのだ、全ての者は止まるには走りすぎた。止まったとしても、慣性は残り中途半端に前へ進むだけだろう。

 

「———ふっ。」

 

息を短く吐いて、気合いを入れる。後少しだ。

 

 

 

===

 

 

 

「納得できません!ドクター!!!」

 

「そんな危険な奴を…見たでしょう、あの化け物達を!」

 

「大体、俺達の仲間を殺した相手を…ファウストだって、どこまで信じられるか…!」

 

「ケルシー先生からも言ってください!俺は…俺達はコイツを許せねぇよ…!!!」

 

…怒号で目を覚ました。

俺より先に起きていたイーノは震える手で俺の手を握っており、その顔には怯えと諦めの混じった笑みを浮かべている。

手を握り返した。全身に力を入れ、立ち上がる。

 

「…お前達は、どうする。」

 

ロドスのオペレーターから守るように囲っている狙撃兵達に尋ねる。

その問いを聞いた彼らは首を傾げ、笑って言った。

 

「俺達はアンタに救われて付いて来たんだよ、ロドスじゃない。」

 

「…そうか。ありがとう。」

 

「隊長が俺達に礼を言うなんて何時ぶりだ? アンタの立場もだが…礼を言う必要はないぞ。」

 

その言葉に苦笑し、座ったままのイーノの手を取って立ち上がらせる。

ロドスのオペレーターがざわめき、ドクターとケルシーの注目もこちらに向く。

 

「行くのかい?」

 

「あぁ、ありがとう、ドクター。」

 

「私達も…ここの処理が終わったらそっちに向かうよ。私達が此処に来たという痕跡は消さないとね。」

 

ドクターがここでは手を出さないと受け取ったオペレーター達の、殺気の込められた視線がイーノに向けられる。その間に割り込み、逆に睨み返した。

 

「親指では…目上の者と目を合わせたら目をくり抜き、許可なく発言したら下顎を砕くらしい。……ドクター、部下たちにちゃんと伝えておけ。」

 

「はは、移動中許可を出したのを後悔することがこんなに早いとは。ケルシーもだ。」

 

「……。」

 

しかめっ面のケルシーと、乾いた笑い声を漏らすドクターに背を向けて歩き出す。

イーノの手を引き、その後ろに付き従う部下たちを連れて上を眺める。

この都市の一番上。そこにいるであろう彼女の下へと進みだした。

 

 

 

===

 

 

 

最上階で、全てを見下ろした。

空を飛ぼうとした幼き鳥、前へと進み続けた戦士、討ち果たさんと迫る龍。

この身が流す涙は、様々な死が蔓延る中でも輝く太陽の美しさによるものか。

闘争を極める彼らの本質をさらけ出す、技巧によるものか。

それとも……共に生きてきた者を失う悲しさによるものか。

 

「今更涙を流すか、貴様はどう思う?」

 

『貴方がのうのうと生きている事が、原因だと思うけどね。』

 

「ふっ、よく言う。甘言を囁き、手のひらの上で踊らせようとする貴様よりマシだと思うが?」

 

虚空に問いかければ、暖かく優しい声が答えてくれる。

もちろんこの場には誰もいない。先程サルカズの傭兵が命を獲りに来たが、地面へと吹き飛ばしたばかりだ。

 

「私が抑えなければ、この身は全てを焼き尽くす業火となるだろう。そして、それは私の望むことではない。ウルサス以外の全てへと敵意を向けるならまだしも、"これ”はウルサスに恨みを持っている。」

 

『でしょうね。何時までも抑えられると思ってるの?』

 

「いいや、いつか溜まりきった負の感情は私の手を離れるだろう。その前に…。」

 

再び見下ろした。

太陽の光を反射し、砕け散ったガラスの海が輝く。

 

「私を止める者を見つけるのさ。」

 

『そうね、貴方は芯を持っているし…応援しておくわ。』

 

声は聞こえなくなり、再び静寂が戻る。

湿った肌は、跡を残して既に乾いていた。

 

 





鏡15層は振動パが一番安定すると思うの。
コイン威力ぶち上げて殴る、ほら簡単。
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