【完結】もしもどこぞの都市のカポがアクナイの世界に転生したら 作:しきょーかい
というか危機契約は初めてだったりするのよね、対よろ。
実はこっそり上げてたやーつ↓
https://syosetu.org/novel/400274/
「よぉ、久しぶりだな、カポネ。」
「…ガンビーノか。」
龍門の夜。裏路地。
親指の統治下を巡回して、そろそろ終わるかという頃、懐かしい顔を見た。
最後に見たときよりも毛並みが荒れ、少しやつれた男は気さくに話しかけてくる。
「そんな派手な色の服を着て、随分と上手くやっているみたいだな?」
「…あぁ。」
上手くやっているのは事実だ。
俺達のボス、彼と共にいた者達、新しくカポの座についた少年。
彼らに逆らわず、身分を弁え、礼儀を重んじているように見せるだけでいい。
プライドさえ捨てれば何も問題はなかった。
「
「あぁ、キチガイ共を相手に儲けが出るわけねぇ。処刑人に怯えながら生きるのはもうこりごりだ。」
マフィアに怯え、軽く脅すだけで暮らすことができる昔は良かった。
ある日突然現れた奴らのせいで…協力と呼ぶのも烏滸がましい、利益だけで繋がった市民たち。
反抗により、返り討ちにあったマフィアが出始めてからはもうダメだった。
「俺達は近々、シラクーザへ向かうことになっている。入れ違いになるな。」
「ほぅ、それは良い時に出会ったようだな、兄弟。」
キラリと、ネオンの光を反射して光るナイフを喉元に当てられる。
「何のつもりだ、ガンビーノ。」
「いや、俺達が龍門でやっていくのに元手が欲しくてな。少し分けてくれねぇかっていう相談だよ。」
「相談なら、武器はいらないだろう。それ以上武器を向けるのは推奨しない。」
「オイオイ、推奨しないなんて…いつ俺より偉くなったんだ?」
俺を取り囲むように現れる、元
「俺だって仲間を傷つけたくないんだ。金と、場所と、稼ぎ方…譲ってくれよ。」
「残念だが、俺にその権限は——— ッ!?」
話していると、裏路地から見える大通りに、赤い服が見えた。
その腰に下げている刀がなかったとしても分かっただろう。彼の放つ威圧は一つのトラウマだ。
首に当てられた刃を無視して頭を下げる。刃が肉に食い込む寸前でガンビーノはナイフを下ろした。
殺す気はなかったのだろう。それはそうか。
あの方が通り過ぎるまで、頭を下げ続ける。
龍門の近衛局の元隊長、副隊長、ロドスのドクター…目を合わせられず、声をかけることも許されない存在。
彼らが通り過ぎて頭を上げると、俺を睨みつけるガンビーノの目には軽蔑と怒りがあった。
「お前…ファミリーを裏切ってやがったのか。」
「…ファミリーの誇りと、俺と仲間の命。俺は後者の方が大事だったからな。生きてさえいれば…。」
「……そこまでだ。」
底冷えするような声。
声の主の姿は見えないが、目を合わせないために再び下を向き、口を閉じる。
辺りを見渡すガンビーノには、
「お前達は既に包囲されている、降伏しろ。」
「あぁ!?姿を——— ガキじゃねぇか?こんな奴らに怯えてんのか?なぁカポネ。」
(そうだ!だからその口を今すぐ閉じろ!)
辺りから音が消えていく。
終わったなコイツという、諦めの混じった俺の目を、ガンビーノは見ることができるのか…それは、彼の判断に委ねられている。
「『
「なっ——— ッ〜〜〜!!!!!」
下を見る俺の視界に、両手を銃剣で地面と縫い付けられ、倒れ伏すガンビーノの姿が映った。
頭や胸を狙わず、すぐに殺さなかった事に安堵する。
流石に元仲間の死を傍観したとなると、同僚や部下からの印象が悪くなってしまう。
「カポネ、知り合いか?」
「はっ、元同僚といった所です。」
「任せられるか?巡回は俺が代わろう。」
「申し訳ありません。」
「俺が自分で言ったんだ。お前達、カポネを手伝ってやれ。」
頭を下げて、苦しむガンビーノを視界に収めたまま待つ。
じっとしていたガンビーノが拘束から逃れようと暴れるのを見て、ようやく頭を上げる。
「…ガンビーノ。」
「なんだ、この恥知らずが!」
ピリピリと、空気が張り詰めるのを感じる。
最近同じ階級になったフェリーンのテルツォ。
俺程度じゃ見破ることのできない迷彩を纏い、無音で目標を始末する狙撃兵。
彼女らが残ったこの場でここまで大きな口を叩けるとは、無知とは恐ろしいものだ。
「…今ここで死ぬか、俺達の下について生き延びるのか。お前に選ばせてやる。」
「……。」
「お前の判断で、部下の命も消えると思え。」
ガンビーノの下した決断は———
———
「ん?見ない犬コロやな、どこで拾ってきたんや?」
次の日の朝、巡回で起きた事を報告するためガンビーノを連れて行く。
俺が報告するよりも早く向こうから問いかけてくれた。楽で助かる。
「昔の友人です。親指に入りたいとの事で…。」
頭を下げさせたままのガンビーノが頭を上げて、何かを言おうとしたのを殴って止める。
余計なことをして飛ぶのは自分の首だけじゃないというのを、まだ理解していないのか。
「人手は足りんからなぁ…。犬一匹だけか?」
「いえ、部下も含めると30はいるかと。」
「…やるやんけ。」
にやりと、目の前の彼は笑った気がした。
報告を済ませ、震えるガンビーノを連れて出ていく。
「ふぅ…なんとかなったな。」
「俺が…お前の部下になるって?ふざけるのも大概に———「規律。それさえ守れば殺されない。」…。」
「お前があの人を殺せるっていうんなら、やるといい。だが俺を巻き込むな、絶対に。」
規律に関して、気をつける事をまとめた書類を渡す。
新しいものが入った時には渡すようにしているものだ。でなければ、すぐにいなくなってしまうから。
「……クソっ。」
「死ぬよりかはマシだ。」
吐き捨てるガンビーノに、慰めにもならない言葉を返す。
死ねば終わり、生きてさえいれば…この選択をして良かったかどうかが分かるだろうから。
===
変わりなく、異常な大きさを誇るロドス・アイランド号。
廊下を歩き、整備室や近付く気は一切なかった医務室、突然の庭園を経て、ドクターの執務室へ辿り着く。
コンコンコン。
「入っていいよ、また新しい仕事でも———レイホンか。」
「おう、例の件はどうなったか聞きたくてなぁ。やること全部手につかんわ。」
一人書類に向き合い、山を崩そうとするドクターに話しかける。
手土産として持ってきた茶菓子と龍門の冷凍餃子を冷蔵庫に入れ、畳まれたパイプ椅子を広げて座る。
「ケルシーは私とアーミヤに任せるって。アーミヤも問題ないって言ってたし、私としてもレイホンがいると安心できる。断る理由はなかったね。……私達にはだけど。」
ガリガリガリガリ…。
話しながらも一切速度の変わらない、ペンを走らせる音が響く。
ロドスがこれからどこへ行くのかは知らないが、シラクーザへは行けそうで良かったと安堵する。
「ん?それやとアーミヤの嬢ちゃんとドクター、それとあの猫以外に問題があるように聞こえたんやけど。」
「そうなんだ。簡単に言うと、
「ドクター?まだ休み時間には——— こんにちは、レイホンさん。」
「おお、お邪魔しとるで。」
そう言って腕を止め、大きく伸びをして立ち上がろうとするドクター。
突然ドアが開けられ、書類を抱えたアーミヤが入ってくる。
山はまた大きくなり、立ち上がろうとしたドクターは大きくため息をついて再び座る。
「俺っちは我慢できるで、どっちかっちゅうと部下の奴らが心配やろ。命令すればどうにかなるやろうけど…規律を守らんかったら、俺っちにも刃ぁ向けてくるんよな。」
「事故防止のためにも、一度上下関係をハッキリさせたいよね…。取り敢えず、物資を詰め込んだら出発するらしいし、準備はしておいてね。」
「あの、ドクター…。」
「道中の任務にも参加してもらうからそのつもりでね、私はちょっとお手洗いに…。」
「ドクター。今日中に終わらせる仕事の追加です。」
「アーミヤ、私は、お手洗いに———」
「ドクター。
こちらを見つめるドクター。
助けを求めているようだったが、レイホンに出来ることはない。
「……死なん程度にな。じゃ、帰るわ。用があったら呼べや。」
「ええ、お気をつけて。」
バイザー越しに伝わる、ドクターの絶望。
ドクターとアーミヤ、本当に過労死するのではないかと思うほどの書類の山を背中に部屋を出るのだった。
まぁ本当の理由はエンフィに時間が吸われて手が付けられないというね
工業やってると頭痛くなる。
工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業工業……
ああっ!パンツ見えた!(幼児退行)